住発第二四八号
昭和二七年五月三〇日

建設省住宅局長から各都道府県知事あて

通達


建築基準法及び同法施行令の一部改正について


耐火建築促進法の制定に伴い、建築基準法、同法施行令の一部を改正する政令及びこれに基く建設省告示が昭和二七年五月三一日耐火建築促進法の公布と同時に施行になつております。
今回の改正の趣旨は、防火地域及び準防火地域内の空地制限、防火地域内の既存不適格建築物の建築制限及び一般の建築物の主要構造部に関する耐火構造の規定を緩和して耐火建築物の建設を促進し、防火地域指定の普及を計ろうとするものでその改正要旨は別紙のとおりであるが、その運営にあたつては、左記事項に御留意の上遺憾のないよう願いたい。

一 耐火建築物建設の促進を計るとともにその恒久性にかんがみ、都市環境を阻害するおそれのある過少規模の建築物が簇生しないよう、建築基準法施行令第一三一条(現第一三一条の二第一項)の指定及び共同建築の勧奨等を行うこと。
二 防火地域及び準防火地域内の空地制限の緩和は、防火地域に関する規定が確実に実施されることを前提としたものであるから、工事中及び工事完了時の検査を適格に励行すること。
三 耐火建築物について今回建蔽率の制限が撤廃されたが、特に避難関係に留意して指導し、交通量の多い地区に建築される大規模建築物については、敷地内又は建築物内に駐車場の設置を勧奨すること。
四 建築基準法第六一条の二(現八六条の二)は同法第六一条の特例を規定したもので、適格建築物については従来通り法第六一条の規定が適用され、不適格建築物についてのみ法第六一条の二によつて若干の増改築が認められることとなつたのであるから、不適格建築物の台帳を整備して基準時の規模を明らかにして増改築の限度をこえるもののないようにすること。

なお、同法第六一条第一号の附属建築物の取扱いについては、附属建築物の限界を超えないようその用途を充分吟味すること。


(別紙)
第一 建築基準法改正要旨

一 第五五条第一項但書

現行法においては、防火地域内の耐火構造の建築物の建蔽率は、一般の場合より一割だけ緩和されているが、防火地域の大半を占める商業地域においては、耐火構造の建築物についてその建蔽率の制限を撤廃することによつて、その建築を容易ならしめようとするのである。

二 第五五条第二項

防火地域及び準防火地域内では、他の区域に比較して防火に関する制限が厳であり、且つ、土地の価格が高くその利用率を増進する必要を認めたので、建蔽率の制限を緩和したものである。

三 第六一条の二(現八六条の二)

現行法においては、防火地域内の不適格建築物の増改築は、新築の場合と同様の取扱いになつていて実施上無理があるので、政令の定める範囲内で若干の増改築を認めることによつて防火地域内の建築制限を適正化しようとするものである。


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