住発第二九一号
昭和三九年九月二四日

各特定行政庁あて

建設省住宅局長通達


高層建築物による電波障害の防止対策について

容積地区制度の創設等に伴い、マイクロ波による重要無線通信の電波伝搬路における高層建築物等の建築による伝搬障害を防止する必要から、電波法の一部を改正する法律(昭和三九年七月四日法律第一四九号)が制定された。同改正法は、電波法による伝搬障害防止区域の指定に関する政令(昭和三九年政令第二八六号)及び電波法による伝搬障害の防止に関する規則(昭和三九年郵政省令第一六号)の制定をまつて、九月一日から施行され、また、九月八日には、郵政省告示第六五一号により、東京都、横浜市及び川崎市等の区域の一部が伝搬障害防止区域に指定された。改正法第一〇二条の一〇の規定によれば、郵政大臣及び建設大臣は、改正法の施行に関し、相互に協力するものとされたので、今後は、別記「電波障害防止対策要領」に従い、関係の郵政省地方電波管理局と十分連絡のうえ、措置されたい。



別記

電波障害防止対策要領

第一 伝搬障害防止区域の指定に際しての意見の聴収

郵政省は、電波法(昭和二五年法律第一三一号)第一〇二条の二第一項の規定による伝搬障害防止区域の指定にあたつては、あらかじめ関係都道府県知事(地方自治法第二五二条の一九第一項の指定都市の長を含む。)の意見を聴取する。

第二 マイクロ波による無線通信の常況の通知

伝搬障害防止区域に係る無線通信(以下「重要無線通信」という。)の関係図面は、電波法の規定による伝搬障害防止区域の指定に関する政令第二条の規定により関係特定行政庁に備えつけられ、また、重要無線通信以外のマイクロ波による固定地点の無線通信(以下「普通無線通信」という。)の常況(予定のものを含む。)は、地方電波監理局長から特定行政庁に通知される。

第三 重要無線通信関係

重要無線通信については、次の措置を講ずる。
一 特定行政庁は、電波法の規定により郵政大臣に届出を要する建築物の建築の確認申請又は許可申請をしようとする者に対して、あらかじめ電波法の規定による届出を行なうよう、及び電波法の規定による届出があつた旨の郵政大臣の証明を附するよう、指導する。
二 地方電波監理局長は、電波法第一〇二条の五第一項の規定により重要無線通信障害原因となると認める旨の通知をした場合、第一〇二条の八第一項の規定により工事の停止等を命じた場合、又は同条第三項の規定により命令を撤回した場合には、すみやかにその旨を特定行政庁に通知する。
三 地表からの高さが三一メートルをこえる建築物で、電波法による伝搬障害の防止に関する規則第四条第四号及び第五号の規定により届出を要しないものについては、次の措置を講ずる。

(1) 特定行政庁は、建築の確認又は許可の申請があつたときは、電波法第一〇二条の三第一項に規定する届出事項を、また、確認若しくは許可をしようとするとき、又は確認若しくは許可をしないこととなつたときはその旨を、それぞれすみやかに関係の地方電波監理局長に通知する。
(2) 地方電波監理局長は、(1)の通知を受けた場合において、当該通知に係る工事計画が重要無線通信の障害原因となると認めたときは、遅滞なく、障害原因部分を明示して、その旨を特定行政庁に通知する。
(3) (2)の通知を受けた特定行政庁は、次の行政指導を行なう。

イ 建築主に対し、障害原因部分に係る工事計画の変更(設計変更、工事期間の延伸等を含む。)その他の適切な措置を求める。
ロ 建築主に対し、重要無線通信を確保するため必要な措置に関し、免許人と協議するよう勧奨し、また協議に際して建築主又は免許人のいずれか一方又は双方の申出があつたときは、関係の地方電波監理局長と協力して、必要なあつせんを行なうとともに円満な解決を図る。

第四 普通無線通信関係

特定行政庁は第二の規定により通知された普通無線通信に障害を与えるおそれのある高さ三一メートルをこえる建築物について建築の確認又は許可の申請があつたときは、申請の概要をすみやかに関係の地方電波監理局長に通知する。

第五 第一から第四に掲げるもののほか、高層建築物によるマイクロ波無線通信の障害対策について、特定行政庁と地方電波監理局長は緊密な連絡を保つ。
(電波障害防止対策要領の運用注意)

第一について
伝搬障害防止区域の指定にあたつての意見は、おおむね、次の観点から述べるのが適当である。
(1) 新設の電波通信路について伝搬障害防止区域を指定する場合には、できる限り大都市の中心部を避けることとし、やむを得ず大都市の中心部に設ける場合には、関係地域における高層建築物の建設状況を考慮して、パラボラアンテナの高さが電波障害を起さない程度高くする。
(2) 既設の電波通路について伝搬障害区域の指定にあたつては、(1)と同様の観点からパラボラアンテナの高さの低いものについての改良計画を進める。

第三 一について

(1) 電波法による伝搬障害の防止に関する規則(以下「規則」という。)による届出用紙は、地方電波監理局からあらかじめ送付されることとなつているので、確認又は許可の申請をしようとする者に届出用紙を交付する等により実効を期されたい。
(2) 高さの算定方法及び届出を要さない建築物については、規則第三条及び第四条に規定されているので、注意されたい。
第三・三(1)及び第四について第三・一の場合と同様に地方電波監理局からあらかじめ用紙が送付されることとなつているので、確認又は許可を申請しようとする者に対して用紙に記載させる等の措置を講じられたい。
第五について
地方電波監理局の所在地及び管轄区域は、次(地方電波監理局一覧)のとおりである。

地方電波監理局一覧
名称
所在地
管轄区域
 
関東電波監理局
東京都千代田区大手町二の一
(都道府県)
東京都、神奈川県、埼玉県、群馬県、千葉県、茨城県、栃木県、山梨県
(都道府県以外の特定行政庁)
横浜市、川崎市、横須賀市
信越電波監理局
長野市旭町一〇八
長野県、新潟県
新潟市
東海電波監理局
名古屋市中区七間町一の一
愛知県、三重県、静岡県、岐阜県
名古屋市
北陸電波監理局
金沢市鳴和町一の二八
石川県、福井県、富山県
金沢市、七尾市
近畿電波監理局
大阪市阿倍野区旭町一の一の二
大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、滋賀県、和歌山県
大阪市、京都市、神戸市
中国電波監理局
広島市宇品町三五番地七〇七の一
広島県、鳥取県、島根県、岡山県、山口県
広島市
四国電波監理局
松山市堀之内七
愛媛県、徳島県、香川県、高知県
今治市
九州電波監理局
熊本市新堀町四〇
熊本県、長崎県、福岡県、大分県、佐賀県、宮崎県、鹿児島県
福岡市、北九州市
東北電波監理局
仙台市北六番丁一九五の二
宮城県、福島県、岩手県、青森県、山形県、秋田県
仙台市、八戸市、塩釜市、山形市
北海道電波監理局
札幌市南一九条西九丁目
北海道
札幌市、函館市


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