住指発第一四九号
昭和四四年五月一日

建設省住宅局建築指導課長から各都道府県知事あて

通知


建築基準法施行令の一部を改正する政令の施行について


一月二三日に公布され、五月一日から施行される標記政令による改正に伴い建設大臣の定める屎尿浄化槽、排煙設備等に関する構造基準については、三月七日付け建設省住指発第八五号及び三月二六日付け建設省住指発第一〇二号によりその原案を送付し、事前の行政指導その他施行準備に遺憾のないよう依頼したところであるが、これらの構造基準が別添のとおり五月一日付けの官報で告示されるので通知する。
また、今回の改正規定の運用については、三月三日付け建設省住指発第二五号及び同第二六号により、それぞれ建設事務次官及び住宅局長から通達されたとおりであるが、その他等に、左記に留意されたく、貴職の格別の御配意をお願いする。

一 既存の不適格建築物に対する措置

現に存する建築物又は工事中の建築物で、改正規定に適合しないものについては、極力、当該規定に適合するよう指導を強化するものとし、当面の重点として、防災上著しく危険である特殊建築物における避難施設、内装仕上げの不適格な事例については、建築基準法第一〇条第一項の規定に基づき所要の措置を命ずるものとする。
なお、具体的な運用基準に乏しいことから、一部に法第一〇条第一項の規定の適用に消極的な向きもあるので、運用基準の具体化についても検討中であり、まとまり次第通知する予定である。

二 防火区画

令第一一二条第三項の改正規定の趣旨により、公共住宅等にみられる階段室形の共同住宅における各住戸の出入口扉についても、同条第一三項に規定する要件を充足すべきこととなる。この場合、本来、同項第一号の規定は常時閉鎖状態にある。構造又は用法によるもの(はめごうし戸、パイプシヤフト等の点検口の戸など)には適用されないことにかんがみ、各住戸の出入口扉についても用法上、同条第一三項第二号の要件のみを充足すればよいものとする。
また、同条第八項ただし書の規定により、避難階からその直上階又は直下階のみに通ずる吹抜きを設ける場合に、壁及び天井の内装の仕上げ及び下地を不燃材料で行なうべき範囲は、当該吹抜きを含めて耐火構造の床若しくは壁又は甲種防火戸若しくは乙種防火戸で区画された部分のすべてとするよう指導するものとする。

三 内装制限

特殊建築物及び高さ三一メートルをこえる建築物にあつては、居室から地上に通ずる主たる廊下、階段その他の通路の壁及び天井の内装仕上げ材料から難燃材料が除外されたが、ここでいう「その他の通路」には、「通路、入口等に属するロビーの類」、「避難専用通路」等のほか、「避難上必要な他の用途部分の通り抜け部分」などが含まれるものである。
防火材料の格付けについては、そのための試験方法を改正すべく目下作業中であり、火災時に発生する煙による障害の防止の観点から、所要の措置を講ずる予定である。
また、従来、取扱い上不徹底のきらいのあつた紙、布等による現場貼付け仕上げの取扱いについては、格付け及び試験方法の改正に伴ない徹底させる予定であるが、それまでの間、暫定措置として当面、防火材料(モルタル、しつくい、鋼板、石綿、スレート、石、ボードその他可燃材料による表面仕上げを施してないものに限る。)に紙貼りを施したものは、紙又は布の厚さがおおむね〇・三ミリメートル以下で、かつ、下貼りを行なつた場合に限り、貼り下地の防火材料と同等の防火性能を有するものとして指導するものとする。
なお、壁又は天井の表面に設ける照明器具のカバー等で不燃材料でないものについては、天井面に占める表面積の合計を天井面積の二〇分の一以下とし、同じく換気口等(排煙設備であるものを除く。)についても、天井面における開口面積の合計を天井面積の二〇分の一以下とするとともに開口部に防火上有効に金網、パソチングメタル、防火ダンバー等を設けさせるよう指導するものとする。

四 防火区画等を貫通する給水管、配電管等の不燃化措置

令第一二九条の二第一〇号の規定に基づく貫通管の不燃化措置の例外に関し、建設大臣の定める基準については、所要の実験を実施し、目下その結果について分析検討中であり、近日中に制定の見込である。

五 屎尿浄化槽

屎尿浄化槽の構造基準は、極めて多様な構造形式のうちの、共通的、かつ、基本的な所要の性能を得るための要件を集約し、それにより構成したものであり、個々具体の例によつては判断の困難な場合の生ずることも予想されるが、現実の局部的な付加又は改良の有無にとらわれず、基本的な要件を充足しているか否かにより判断する必要がある。
また、処理対象人員の算定方法については、とりあえず現行の日本工業規格「し尿浄化槽の容量算定基準(A三三〇二)」のうち表一「建築用途別設計人員算定基準表」によることとしているが、近日中にこの規格は改正の予定である。
なお、屎尿浄化槽の取扱いについては、別途詳細について通知するので念のため。

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