建設省住指発第四八七号
昭和四六年八月一二日

建築主務部長あて

通達


建築基準法第二三条に規定する土塗壁と同等以上の延焼防止の効力を有する構造の基準について


建築基準法第二三条に規定する土塗壁と同等以上の延焼防止の効力を有する構造の判定基準(試験方法)を別添のとおり定めたので通知する。
今後の運用については、建設省建築研究所(建築試験室)の発行した試験成績書又は「建築基準法に基づく防火材料の指定等又は建築基準法において予想されていない特殊の構造方法等の認定に係る試験結果取扱要領」(平成六年一〇月二一日建設省住指発第四三三号)第三の基準に適合する試験機関の発行した試験成績書をもとに、当職において逐次判定し、貴職あて通知することとするので申し添える。
なお、当該基準に該当するものとしては、現在のところ、左記のものがあるので、参考とされたい。

1 下地を準不燃材料以上の材料で造り、表面に亜鉛鉄板を張ったもの。
2 厚さ3.2mm以上の石綿スレートを表面に張ったもの。
3 準不燃材料以上の石膏ボード又は木毛セメント板(表面を防水処理したものに限る。)を表面に張ったもの。
4 アルミニウム板張りペーパーハニカム芯(パネルハブ)パネル。〔具体例は、昭和四六年八月一二日付け建設省住指発第四三七号で送付済〕
5 木造骨組石膏ボード(9mm)硬質繊維板(7mm)貼り外壁。〔具体例は、昭和四七年七月七日付け建設省住指発第五八四号で送付済〕
6 片面アルミニウム板化粧両面硬質繊維板(35mm)発泡スチロール充填パネル。〔具体例は、昭和四七年九月二八日付け建設省住指発第六五五号で送付済〕
7 アルミニウム板貼集成木材外壁。〔具体例は、昭和四八年一一月二一日付け建設省住指発第八六七号で送付済〕
8 着色亜鉛鉄板パーライト混入ウレタン樹脂成型板アルミ箔裏張り複合板張り土塗壁同等外壁。〔具体例は、昭和四九年五月七日付け建設省住指発第三九五号で送付済〕
9 石綿セメントけい酸カルシウム板(8mm)張り木造下地土塗壁同等構造(外壁)。〔具体例は、昭和四九年八月一九日付け建設省住指発第六七〇号で送付済〕
10 パルプ混入炭酸マグネシウム板(9mm)張り木造下地土塗壁同等外壁。〔具体例は、昭和五〇年三月二五日付け建設省住指発第一四八号で送付済〕
11 セメントモルタル吹付(9mm)構造用合板(10mm)木造下地土塗壁同等外壁。〔具体例は、昭和五〇年八月一五日付け建設省住指発第四九四号で送付済〕
12 両面化粧鋼板張りポリイソシアヌレートフォーム板、木造下地土塗壁同等外壁(22mm)。〔具体例は、昭和五一年二月一三日付け建設省住指発第一四八号で送付済〕
13 木造下地鉄鋼モルタル(15mm)塗土塗壁同等外壁。〔具体例は、昭和五一年六月一七日付け建設省住指発第三二六号で送付済〕
14 硬質石綿けい酸カルシウム板(6mm)張り土塗壁同等外壁。〔具体例は、昭和五一年一二月八日付け建設省住指発第七〇七号で送付済〕
15 セメントけい酸カルシュウム板(9mm)張り木造下地土塗壁同等外壁。〔具体例は、昭和五二年四月一一日付け建設省住指発第二四〇号で送付済〕
16 セメントモルタル(9mm)塗り、内部グラスウール(25mm)中空二重合板下地木造土塗壁同等外壁。〔具体例は、昭和五二年四月一一日付け建設省住指発第二四〇号で送付済〕
17 石膏ボード(12mm)裏打化粧鋼板張り(16mm)木造下地土塗壁同等外壁。〔具体例は、昭和五二年五月九日付け建設省住指発第三〇七号で送付済〕


別添

建築基準法第二三条による土塗壁と同等以上の構造指定のための防火試験方法

1 総則

防火性能試験は2に規定する試験体を、3に規定する加熱炉によって、4に規定する加熱温度を与えて、5に規定する加熱試験を行う。

2 試験体

2・1 試験体はその構造を実際のものと同一に製作し部分により防火力に差がある場合は、防火上弱点と思われる部分を含ませる。
2・2 試験体の形状は、短型状の版とし、大きさは各辺の長さを90cm以上とする。厚さは実際のものと同一とする。
2・3 試験体は気乾状態に乾燥したものとする。

3 加熱炉

加熱炉は日本工業規格(以下「JIS」という。)A1301(建築物の木造部分の防火試験方法)の3に規定するものとする。

4 加熱温度

加熱温度は試験面の温度が時間の経過に伴って次の表に示す温度となるようにするものとする。なお、この加熱曲線は、別図の屋外3級(新)加熱曲線である。

経過時間(単位分)
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
加熱温度(単位摂氏度)
25
55
100
180
300
410
500
550
550
525
経過時間(単位分)
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
加熱温度(単位摂氏度)
490
450
400
365
330
305
280
260
240
225
経過時間(単位分)
22
23
24
25
26
27
28
29
30
加熱温度(単位摂氏度)
210
190
175
160
150
140
125
110
100
備考 2分までは常温から漸増させる。
5 加熱試験

5・1 加熱試験は、5・2から5・3までに定めるところにより外表面を加熱面として行い5・4に定めるところにより結果の判定を行う。
5・2 加熱温度、及び裏面温度の測定は、それぞれ次の(イ)及び(ロ)に定めるところにより行う。

(イ) 加熱温度を測定する熱電対の熱接点は、試験面に均等に配置するものとし、3箇以上設置する。熱接置方法は、それぞれJIS.A.1301(建築物の木造部分の防火試験方法)の5・2、5・3及び5・4に規定する方法による。加熱温度の測定は1分ごとに行う。
(ロ) 防火被覆材料の裏面温度(以下「裏面温度」という。)を測定する熱電対の熱接点は、試験面の反対面に均等に配置するものとし、3箇以上設置する。熱電対及び熱接点の設置方法は、JIS.A.1301(建築物の木造部分の防火試験方法)の5・5に規定する方法による。裏面温度の測定は1分ごとに行う。

5・3 加熱試験は3回以上行い、各回とも合格しなければならない。ただし、試験体の各辺長さが、2に規定するものに比し十分に大きいときは加熱試験の回数を1回減ずることができる。
5・4 加熱試験の結果、試験体が(イ)から(ホ)までに適合するものを合格とする。

(イ) 防火上有害と認められる変形、破壊、脱落などの変化を生じないこと。
(ロ) 防火上有害と認められる発炎をしないこと。
(ハ) 試験終了後30秒以上の残炎がなく、かつ、1分以上火気が残存しないこと。
(ニ) 裏面温度が260℃をこえないこと。ただし、装置金物などが接触する局部的な木材部分については、実際の着火がなければよい。
(ホ) 試験体のいずれの部分も裏面に達する着火がないこと。



別図


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