

建設省住街発第六号
昭和五〇年三月二五日
建設省住宅局市街地建築課長通達
建築基準法等の一部改正について
都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律(昭和四九年六月一日法律第六七号)、都市計画法施行令及び建築基準法施行令の一部を改正する政令(昭和五〇年一月九日政令第二号)並びに都市計画法施行規則及び建築基準法施行規則の一部を改正する省令(昭和五〇年三月一八日建設省令第三号)による建築基準法(以下「法」という。)、建築基準法施行令(以下「令」という。)及び建築基準法施行規則(以下「規則」という。)の一部改正については、昭和五〇年三月二四日付け建設省住街発第五号をもって住宅局長から通達されたところであるが、その細目は次のとおりであるので、今後の運用に遺憾のないよう願いたい。
第1 工業専用地域の建ぺい率の強化について
工業専用地域及びその周辺の環境を整備保全するため、工業専用地域の建ぺい率を多様化し、その規制を強化する途を開いたものである。建ぺい率の限度の決定については、当該工業専用地域の位置及び周辺の状況、工場の立地の状況、工場の業種等を勘案し、特に比較的大規模な工場が計画的に立地する地域等については一〇分の三又は一〇分の四とし、その他の地域については原則として一〇分の五又は一〇分の六と定めることとなると考えられるので、都市計画担当部局と連けいを保ち、当該改正の趣旨を生かした措置が採られるよう配慮されたい。(法第五三条第一項)
第2 工作物の用途規制について
一 工作物の用途規制は、地域の良好な環境を害するおそれのあるもので、独立の工作物としての立地形態が考えられ、かつ、現実に立地例が存在するものを指定したものであるが、次の諸点に留意されたい。(令第一三八条第三項)
1 対象工作物の範囲
(1) 法別表第二(ほ)項第三号(一三)又は(一三の二)の用途に供する工作物及び同表(へ)項第一号(二一)の用途に供する工作物
具体的にはクラッシャープラント、コンクリートプラント、アスファルトプラント等のプラント類及びこれらに附属する施設であって土地に定着するものである。
また、建築物(工場)の敷地と同一敷地内にあるものは建築物の用途規制に服していると考えられるので、工作物としての規制の対象には含まれないので留意すること。
(2) 自動車車庫の用途に供する工作物
建築物に該当しない機械式駐車装置及び建築基準法の屋根に該当しない覆いをした駐車場をいい、コンクリート敷にする等地盤を単に工作したにすぎない駐車場等は規制することを考えていないので注意されたい。
築造面積については、その算定方法が別途告示される予定であるので、それによられたい。
(3) 高さが八メートルを超えるサイロその他これに類する工作物のうち飼料、肥料、セメントその他これらに類するものを貯蔵するもの
「その他これに類する工作物」とは、サイロとして通常考えられる円筒形のものに限定されるものではない。また、「その他これらに類するもの」には、悪臭、粉塵によって周囲の環境を害するおそれのあるものを規制する趣旨から例示されている貯蔵物のほか、穀物その他の物も含まれる。
(4) 前項各号に掲げる工作物
令第一三八条第二項各号に掲げる構造規制の対象となる工作物と同一のものである。
(5) 汚物処理場、ごみ焼却場その他の処理施設の用途に供する工作物
「その他の処理施設」については、「産業廃棄物の処理施設等の取り扱いについて」(昭和四七年一二月八日付け建設省住街発第九〇号)において定められる施設に該当する工作物を対象とするものである。
また、建築物の敷地と同一敷地内にあるものは、建築物の用途規制に服していると考えられるので、工作物としての規制の対象には含まれないことに注意されたい。
2 用途地域等における対象工作物の限定
一で述べた工作物は、いずれも一定の地域内にあるものが指定されている。
法第八八条第二項において準用される法第四八条・別表第二と対比すれば、前記(1)から(5)に掲げられている工作物については実質上築造することが認められないこととなり、また、前記(5)の工作物については、第一種住居専用地域において築造が制限されることとなるので留意されたい。
なお、前記(5)の工作物について都市計画区域内にあるものに限定されているのは、法第八八条第二項において法第五一条が準用されるからである。
3 既存不適格建築物の敷地と同一の敷地内における工作物の取扱い
前記(1)及び(5)の工作物については、既に述べたとおり、建築物の敷地と同一敷地内にあるものは規制から除外されているが、当該敷地を基準時の敷地に限定することとした。
これは、用途上の既存不適格建築物(例えば砕石工場)の敷地を拡張してこれに工作物(クラッシャープラント)を築造する場合についてみると、前のような限定を設けないと、当該工作物は工作物としての用途規制の対象とならず、また、建築物部分についての建築行為が行われているわけでもないので建築物についての規制も働かないため、このような工作物の築造が無制限に認められる結果になってしまうからである。いいかえれば、このような結果が生じないように、基準時における敷地以外の敷地の部分において築造される工作物は、特にこれを用途規制の対象としたものである。
4 「土木事業その他の事業に一時的に使用するためにその事業中臨時にあるもの」
令第一三〇条の九において準用する令第一一六条第二項と同様の趣旨で、臨時に築造される工作物は用途規制の性格から規制対象とするのは妥当でないので除外することとしたものである。
二 既存不適格工作物の緩和措置について
前記1(1)から(4)に掲げる工作物については、令第一三七条中法第四八条第一項から第八項までに関する部分、令第一三七条の四及び令第一三七条の一〇第二項(第三号を除く。)が、また、前記(5)に掲げる工作物については令第一三〇条の二が準用され、いわゆる既存不適格工作物の増改築等が緩和されることになっているので、このような工作物の存否につき、その把握に十分配慮すること。(令第一四四条の二第一項)
三 その他の運用について
法第八八条第二項において準用する法第四八条及び第四九条の規定は、港湾法第三九条の規定により指定された分区については、適用がなく、したがって同分区内においては、法による工作物の用途規制は行われないので留意すること。
四 確認申請について(法第八八条第二項、規則第三条)
(1) 前記1(2)で述べたとおり、指定工作物のほとんどは実質的に築造が禁止されることになるので、確認申請がなされるケースは少ないと思われる。したがって用途規制に係る確認申請については、建築物と同時申請の場合及び構造及び用途の双方の規制を受ける場合についての調整をあえて行わないこととしたので、このような場合にあっては、各別の申請を行うことになるので留意されたい。なお、法第八八条第一項の工作物についての確認申請件数は各別に扱うものとされているが、同条第二項の工作物についての申請件数は工作物の敷地単位に算定されたい。
(2) 令第一三八条第二項各号又は第三項第一号に掲げる工作物を都市計画区域内で築造する場合においては、原則として、その計画が都市計画法第二九条、第三七条、第四二条、第四三条又は附則第四項の規定に適合していることを証する書面を申請書に添付することとしたので、その運用については、都市計画法による開発許可担当部局と十分な連けいを保ち、適切な措置を採るよう十分配慮されたい。
第3 第四石油類関係について
消防法第九条の三に規定する「指定数量」を定めた同法別表第四類の項に掲げられている第四石油類については、従来から、令第一一六条第一項の表の第三石油類に含まれるか疑義があったので、今回の改正で規定の整備を図り、この点を明らかにしたので、了知されたい。
なお、地下貯蔵槽により貯蔵される第四石油類は、法別表第二にいう危険物として取り扱われないので、念のため申し添える。(令第一一六条第一項、令第一三〇条の九第一項)
第4 建築物の確認申請書の添付図書について
従来、建築物の確認申請の際、その計画が都市計画法の開発許可等の規定に適合している旨の証明書を原則として申請書に添付することとされているが、今回の都市計画法の改正により許可対象区域が拡大されたことに伴い、市街化区域及び市街化調整区域に関する都市計画が定められていない都市計画区域内で行われる建築物の建築に係る確認申請についても同様の措置を採ることとした。本改正後においても従来と同様都市計画・開発許可担当部局と十分な連けいを保ち、適切な措置が採られるよう配慮されたい。(規則第一条第五項)
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