建設省住指発第二三一号
昭和五五年九月一八日

各都道府県知事あて

住宅局長通知


建築基準法施行令の一部改正について


建築基準法施行令の一部を改正する政令は、昭和五五年七月一四日政令第一九六号として公布され、建築基準法施行令第一〇条の改正規定は昭和五五年一〇月一日から、その他の改正規定は昭和五六年六月一日から、それぞれ施行されることとなつた。
今回の改正は、これまでの建築物の地震による被害の実情等に照らして、構造強度に関する基準を整備し、あわせて建築設備の安全性の向上等のための所要の改正を行つたものである。
改正の概要及び今後の運用方針は、左記のとおりであるが、貴職におかれては関係市町村に対してもこの趣旨を徹底させ、施行に遺憾なきを期されたい。

I 改正の概要

一 建築物の耐震基準の強化等

1 構造計算

(一) 近年の地震において壁等の配置に著しい偏りがある建築物等構造上のつりあいに問題があるものについて被害が増加していることにかんがみ、地震時における構造耐力上の安定さを検討するため、従来の許容応力度計算のほか、木造建築物等以外の建築物について建築物の高さ等に応じて各階の構造上のつりあい、保有水平耐力等を検討する計算を行うこととした。

このことは、構造上のつりあい、保有水平耐力等の新たな検討の指標を設けたものであつて、地震に対する安全性の水準そのものを引き上げるものではない。

(二) 地震時における建築物の振動解析の成果に基づき、構造計算に当たつて用いる地震力の算定方法を合理的なものとする等外力に関する規定を整備した。
(三) 近年の技術の進歩に対応し得るよう建築材料の許容応力度に関する規定を整備するほか、新たに保有水平耐力計算のために材料強度に関する規定を設けた。

2 構造方法

(一) 木造については、主として地震に対する安全性の向上のため、軸組の強度及び必要量の合理化等を行つた。
(二) 木造以外の構造方法については、安全性の向上のため、へいの高さの規制の強化(組積造・補強コンクリートブロツク造)、耐力壁の規制(鉄筋コンクリート造)等を行うとともに、近年の技術の進歩に対応するため高力ボルト接合の規制(鉄骨造)、柱の構造の規制の合理化(鉄筋コンクリート造)等を行つた。

二 建築設備についての安全対策の強化等

1 配管設備等

給水、排水等の配管設備は、地震等に対して安全上支障のない構造とするほか、未燃焼ガスの流出に伴う事故を防ぐため、三階以上の階を共同住宅の用途に供する建築物においてガスの配管設備は建設大臣が安全を確保するために必要があると認めて定める基準によるものとする等所要の規定を整備した。

2 昇降機

エレベーター及びエスカレーターにおけるかんづめ事故、はさまれ事故等の防止並びにエレベーターの地震時の安全確保のための技術的基準を定めた。

三 一般構造の規定の整備

1 屎尿浄化槽

屎尿浄化槽の技術の進歩に対応して小規模の屎尿浄化槽(処理対象人員五一人以上一〇〇人以下のもの)の性能の規制を強化した。

2 居室の採光

設計の合理化を図るとともに耐震性の向上に資するため、採光・照明上支障のない範囲において学校等の居室の開口部の面積を低減できるようにした。

四 手数料

建築確認申請手数料を床面積の合計が三〇平方メートル以内の建築物については、一、五〇〇円から三、〇〇〇円に、床面積の合計が三〇平方メートルを超え、一〇〇平方メートル以内の建築物については、三、〇〇〇円から五、〇〇〇円に、それぞれ引き上げるものとした。
これは、小規模の建築物にかかる確認申請手数料が、確認事務に要する経費の実態にあわなくなつたので、その是正を図るため今回これを改訂したものである。

II 今後の運用方針

一 本改正により構造計算に関する事務の高度化・複雑化が予想されるので、建築主事をはじめ関係職員の養成、訓練及び適正配置並びに建築士に対する講習の実施等円滑な事務執行のための措置について格段の配慮をされたい。
二 既存建築物については、別途耐震診断及び耐震改修に関する手法が開発・整備されているところであるので、必要に応じ、壁の少ない又は壁等の配置に著しい偏りのある既存建築物の所有者等に対してこれらの手法の周知措置を講ずることにより、建築物の耐震性の向上に資するようにされたい。

また、学校等の居室の開口部に関する規制の緩和(I三参照)は、建築物の耐震性の向上に寄与するものであるので、これらの建築物で既存のものの増築等に当たつては、開口部の改修を併せて行う等規制の緩和の措置が活用されるようその周知に努められたい。

三 確認申請手数料の改訂については、あらかじめ住民への周知措置を講ずるようにされたい。
四 改正政令の施行の細目については、追つて通知する予定である。

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