建設省計民発第二九号・都計発第一二二号・住街発第七二号
昭和五六年一〇月六日

各都道府県知事・各指定市の長あて

計画局長・都市局長・住宅局長通達


都市計画法及び建築基準法の一部改正について


標記については、昭和五六年八月五日付け建設省都計発一〇九号をもって建設事務次官から通達されたが、さらに左記の事項に留意し、遺憾のないようにされたい。
なお、貴管下関係機関に対しても、この旨周知徹底方取り計らわれたい。

1 地区計画制度の活用について

地区計画制度は、それぞれの地区の特性に応じたきめ細かな街づくりの手段として有効に機能することを意図して創設された制度であるので、その積極的な活用に努めること。
地区計画制度活用の例としては、次のような場合が想定されるので、参考とされたい。
1) 相当規模の宅地開発事業、土地区画整理事業等によって基盤整備が行われる、若しくは行われた土地の区域又は基盤整備と併せて分譲住宅等の建設が行われた土地の区域について、建築物等の用途の制限、建築物の敷地面積の最低限度、壁面の位置の制限等を定め、事業の効果を維持・増進させるため必要がある場合
2) 土地区画整理事業、市街地再開発事業等の面的整備のための事業を行われる土地の区域の周辺の地域について、地区施設の配置及び規模等を定め、事業区域と併せた一体的かつ良好な市街地を形成するよう誘導する必要がある場合
3) 土地区画整理事業等によって形成された比較的大規模な宅地について、将来の道路の配置及び規模等を定める必要がある場合
4) 土地区画整理事業、市街地再開発事業等の面的整備のための事業が予定されている地域その他相当規模の建築物の建替え等が行われることが予想される地域について、当面、当該区域の整備、開発及び保全に関する方針を定め、当該区域の整備の目標等を明確化することにより事業の施行又は建築物の整備等についての住民の合意形成を図り、又は当該地区における事業の実施等についての指針とする必要がある場合
5) 居住環境が不良な住宅市街地で、建築物の建替えが相当程度行われるものについて、地区施設の配置及び規模、建築物の敷地面積の最低限度等を定め、居住環境の改善を図り、良好な住宅市街地を形成するよう誘導する必要がある場合
6) 専ら不良な木造共同住宅が密集している既成市街地内の土地の区域で、建築物の建替えが相当程度行われるものについて、地区施設の配置及び規模、建築物の建築面積の最低限度、壁面の位置の制限等を定め、共同建替え等による土地の合理的かつ健全な高度利用と居住環境の向上を図る必要がある場合
7) 商店街で建築物の建替えが相当程度行われるものについて、建築物等の用途の制限、建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合の最低限度、建築物の建築面積の最低限度、建築物等の高さの最低限度、建築物等の形態又は意匠の制限等を定め、当該地区の高度利用を促進するとともに、機能的で魅力ある商店街を形成するよう誘導する必要がある場合
8) 幹線的な街路の整備が行われる地域について、地区施設の配置及び規模、建築物等の用途の制限等を定めることにより、当該道路の整備と併せて、その沿道地域の特性にふさわしい良好な街区の形成を誘導する必要がある場合
9) 避難路、公共空地等の公共施設の整備と不良住宅の建替え等の事業が合せて行われる密集市街地において、地区施設の配置及び規模、壁面の位置の制限等を定め、これらの事業と併せた総合的な居住環境の整備改善が図られるよう誘導する必要がある場合
10) 中小工場と、その就業者のための共同住宅等が混在している地域で建築物の建替え等が相当程度行われるものについて、建築物等の用途の制限等を定め、職住近接を保ちながら工業の利便の維持・増進と居住環境の向上を図る必要がある場合
11) 現に市街化しつつあり、又は市街化することが確実と見込まれる土地の区域について、地区施設の配置及び規模、建築物の敷地面積の最低限度等を定め、不良な街区の形成を防止する必要がある場合
12) 現に良好な住宅市街地が形成されている地域について、建築物等の用途の制限、建築物の建築面積の敷地面積に対する割合の最高限度、建築物の敷地面積の最低限度、壁面の位置の制限、建築物等の高さの最高限度、かき又はさくの構造の制限等を定め、将来における建築物の建替え、敷地の細分化等による環境の悪化を防止する必要がある場合
13) 当該地域の歴史及び風土に根ざした特色のある街並みを形成している地区について、壁面の位置の制限、建築物等の高さの最高限度、建築物等の形態又は意匠の制限等を定め、当該地区の特性に応じた特色ある景観を保全する必要がある場合
14) 健全な住宅地等において、いけがきの設置を促進するため、かき又はさくの構造の制限を定め、コンクリートブロックべい等の建設を抑制し、良好な居住環境を形成し又は保持する必要がある場合

2 地区計画の策定に当たっての基本的な考え方について

地区計画は、主として当該地区内の居住者等にとっての良好な居住環境の形成又は保持のための地区施設及び建築物の整備並びに土地利用に関する一体的かつ総合的な計画であることにかんがみ、地区計画の策定に当たって、次の点に配慮すること。
(1) 当該地区における住民の社会的・経済的状況、地域的連帯感、地域社会の形成状況等からみた当該地区の特性に十分配慮すること。
(2) 当該地区における教育、文化、医療、買物、レクリエーション等を含めた住民の都市活動全般にわたる総合的な街づくりのための計画の一環として定めるよう努めること。
(3) 当該地区における住民等の意向が適正に反映されたものとなるよう努めること。

3 地区計画の区域について

(1) 地区計画は、次に掲げる土地の区域内において定めるものであること。

1) 市街化区域
2) 市街化区域及び市街化調整区域に関する都市計画が定められていない都市計画区域内の用途地域が定められている土地の区域

(2) 地区計画の区域は、その地域の自然的及び社会的条件、土地利用の動向等を勘案し、計画的な市街地の整備、無秩序に市街化の防止、良好な居住環境の保持等当該地区計画の策定の目的に応じて、かつ、当該地区計画において定められる内容をも考慮して、当該区域の整備又は保全を一体として行うべき土地の区域として適切なものとなるように定めること。
(3) 地区計画の区域の境界、都市計画法第一二条の四第六項の規定に基づき地区計画の区域の一部について地区整備計画を定めない場合における地区整備計画の区域の境界及び4(2)(ニ)1)に該当する場合における区域内の細区分の境界は、原則として道路その他の施設、河川その他の地形、地物等土地の範囲を明示するのに適当なものにより定めることとし、これにより難い場合には、土地所有の状況、土地利用の現状及び将来の見通し、用途地域の指定状況、地区計画において定めることとなる道路等の施設の配置等を勘案して、敷地境界線等によりできる限り整形となるように定めること。

4 地区計画策定の基準について

(1) 区域の整備、開発及び保全の方針

(イ) 地区計画の内容は、区域の整備、開発及び保全に関する方針(以下「地区計画の方針」という。)並びに地区整備計画から成るが、地区計画の方針は、当該地区の整備、開発及び保全に関する総合的な指針として定められ、さらに、地区整備計画がこの地区計画の方針に沿って定められるものであるので、当該区域の整備等をどのように行い、どのような形態の市街地を形成しようとするかなどについて、関係権利者、住民等が容易に理解できるように定めること。
(ロ) 地区計画の方針として定めるべき事項は次のとおりであること。

1) 地区計画の目標
2) 土地利用の方針
3) 地区施設の整備の方針
4) 建築物等の整備の方針
5) その他当該地区の整備、開発及び保全に関する方針

(ハ) 都市計画法第一二条の四第六項の規定により、特別の事情があるときは、地区計画の区域の全部又は一部について地区整備計画を定めることを要しないこととされているが、「特別の事情があるとき」とは、地区計画の区域が広い範囲にわたり、土地の所有者その他利害関係を有する者の意見調整に時間を要する等の場合であり、当該事情が解消した場合には、地区整備計画を定めること。

(2) 地区整備計画

(イ) 地区整備計画は、当該地区及びその周辺において定められている他の都市計画をも勘案して、当該地区計画に定められた地区計画の方針に沿って、当該地区計画の目標を達成するために必要と認められる一以上の事項を、適切かつ合理的な内容のものとして明確に定めること。
(ロ) 地区整備計画について(ハ)以下に示す基準は、沿道整備計画についても適用されるものであるので留意すること。
(ハ) 地区施設の配置及び規模を定めるに当たっては、次によること。

1) 道路の配置及び規模は、街区の規模及び形状、地区計画の区域内の建築物の建築その他の土地利用の現状及び将来の見通し等を考慮し、地区計画の区域及びその周辺において都市計画に定められている道路及びその他の道路と併せて一体的な道路網を形成するとともに、防災、安全、衛生等に関する機能が十分確保されるよう定めるものとし、その幅員は、特別の事情によりやむを得ないと認められる場合を除き、原則として六メートル以上とするよう努めること。

なお、都市計画法第一二条の四第三項第二号に該当する土地の区域にあっては、極力道路の配置及び規模を定めるよう努めること。

2) 公園、緑地、広場その他の公共空地の配置及び規模は、地区計画の区域の規模及び形状、当該区域内に予定されている建築物の用途、将来の人口等を勘案し、当該区域及びその周辺において都市計画に定められている公共空地及びその他の公園等と併せて生活環境の維持・向上が図られるよう定めること。

なお、建築基準法上、地区計画の道路の配置及び規模が定められている場合には、道路の位置の指定は、当該道路の配置に即して行われることとされているが、歩行者専用道路、緑道等でそれに即して道路の位置の指定が行われると地区計画の目的を達成するうえで支障が生ずると判断するものについては、地区計画においては公共空地として定めておくこと。

3) 地区施設の配置及び規模が定められると、これに即して道路の位置の指定又は開発許可が行われることとなるので、このことにふさわしい内容のものとなるよう配慮すること。
4) 地区施設には都市計画施設を含まないものとされているので、地区施設として定められている道路、公園等を都市施設として都市計画に定めようとするときは、併せて地区計画に関する都市計画を変更すること。

(ニ) 建築物等に関する事項を定めるに当たっては、次によること。

1) 一の地区計画の区域内において、当該区域内における適正かつ合理的な土地利用の実現を図る観点から必要がある場合には、一の計画事項を区域の一部について定め、又は区域を区分してそれぞれ異なる計画内容とすることができるものであること。
2) 地区計画の区域内における建築物についても、当該区域について定められている用途地域等の地域地区による規制が適用されるものであること。
3) 地区計画に定めようとする内容のうち、市町村の条例で制限として定められることが見込まれる計画事項については、条例による制限にふさわしい内容となるように定めること。
4) 面積、高さ等の算定方法については、特段の定めをしない限り建築基準法の算定方法に関する一般的な原則によることとなるので、それと異なった算定方法を用いる特別の必要がある場合には、地区計画に当該算定方法を明記すること。
5) 建築物等の用途の制限は、当該区域の用途構成の適正化、各街区ごとの住居の環境の保持、商業その他の業務の利便の増進等により良好な環境の街区が形成され、又は保持されるよう定めること。この場合において、「一階を店舗又は事務所とする。」、「三階以上を住宅とする。」等立体的に用途の制限を定めることができること。

なお、沿道整備計画にあっては、商業その他幹線道路の沿道としての区域の特性にふさわしい業務の利便に貢献し、かつ、道路交通騒音より生ずる騒音による障害の防止が図られるよう配慮すること。

6) 建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合の最高限度、建築物の建築面積の敷地面積に対する割合の最高限度及び建築物等の高さの最高限度は、当該区域の土地利用の適正な増進にも配慮しつつ、良好な環境の各街区が形成され、又は保持されるように定めること。
7) 建築物の敷地面積の最低限度は、建築物の敷地が細分化されることにより、又は建築物が密集することにより、住宅等の敷地内に必要とされる空地の確保又は建築物の安全、防火若しくは衛生の目的を達成することが困難となる区域について、当該区域の良好な住居等の環境を維持・増進するように定めること。
8) 壁面の位置の制限は、道路に面して又は他の建築物との間に有効な空地が確保されること、又は区域内における建築物の位置を整えることにより、良好な環境の各街区が形成され、又は保持されるように定めること。なお、壁面の位置の制限は地盤面からの高さにより異なる内容とする等、立体的に定めることができるものであること。
9) 建築物等の高さの最低限度、建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合の最低限度及び建築物の建築面積の最低限度は、商業その他の業務又は住居の用に供する中高層の建築物を集合して一体的に整備すべき区域その他の土地の合理的かつ健全な高度利用を図るべき区域について、当該区域の高度利用を促進するように定めること。
10) 建築物等の形態又は意匠の制限は、建築物等の屋根・外壁その他戸外から望見される部分の形状、材料、色彩等について、建築物等が当該地区の特性にふさわしい形態又は意匠を備えたものとなるように定めること。
11) かき又はさくの構造の制限は、かき又はさくの高さ、材料、形状、色彩等について、かき又はさくの構造が、当該地区の特性にふさわしいものとなるように定めること。

(ホ) 現に存する樹林地、草地等で良好な居住環境の確保に必要なものの保全を図るための制限に関する事項を定めるに当たっては、次によること。

樹林地、草地のほか、水辺地、湿地帯、街道の並木、樹木やいけがきの存する土地等(これらに隣接している土地でこれらの土地と一体となって良好な環境を形成しているものを含む。)で良好な居住環境を確保するため必要なものについて樹木等の全部又は特定の樹種・樹高等を限っての伐採の制限、池沼の埋立等土地の形質の変更の制限等を定めること。この場合において、当該地区計画の区域の全部又は一部が、現に樹木が多数植裁されている住宅地等であるときは、当該住宅地等の全部又は一部について、一体的に保全を図るための制限を行う区域として定めることを妨げないものであること。

(ヘ) 昭和五六年八月五日付建設省都計発第一〇九号建設事務次官通達「都市計画法及び建築基準法の一部改正について」記3(1)において「地区計画を都市計画に定めるに当たって用途地域に関する都市計画の決定又は変更が必要となるときは当該決定又は変更を併せて行うこと」とされているところであるが、この場合における用途地域の種類ごとの区域及び用途地域の区域内の制限内容により区分される区域の規模については、昭和四七年四月二八日付建設省都計発第四二号建設省都市局長通達「用途地域に関する都市計画の決定基準について」記(2)ただし書の規定が適用されるものであること。

5 地区計画の策定手続について

(1) 利害関係を有する者の意見の反映について

(イ) 意見を求めるべき利害関係を有する者の範囲は、都市計画法第一六条第二項及び都市計画法施行令第一〇条の三に定められているが、地区計画の区域内において現に商業その他の業務を行っている者や居住者等についても、その意見が十分反映されるよう配慮すること。
(ロ) 意見を求める手続については、地区計画の案の内容となるべき事項の提示方法及び意見の提出方法について市町村の条例で定めるところにより行うものとされており、条例の制定が地区計画の策定の前提条件となるので、できる限り、速やかに条例を制定すること。なお、事項の提示方法及び意見の提出方法を複数定め、個々の地区計画を定めるに当たって、そのうちのいずれかを適宜選択することとしてもさしつかえないこと。
(ハ) 前記(イ)及び(ロ)の留意事項は、沿道整備計画に係る利害関係を有する者の意見の反映に関しても同様であること。

(2) 都道府県知事の承認等について

(イ) 市町村が地区計画に関する都市計画を決定しようとする際に都道府県知事が承認を受けなければならない事項は、都市計画法施行令第一四条の二及び都市計画法施行規則第一一条の二に定める一定の道路の配置及び規模並びに都道府県知事が定める都市計画の内容に直接かかわりを有する事項とされているが、都市計画の一体性という観点から、地区計画の内容のすべてについて他の都市計画との調和がとられている必要があるので、市町村と都道府県知事との間で適宜必要な連絡調整が行い、都市計画の一体性を確保すること。
(ロ) 市町村が定める都市計画等について審議するため、原則として市町村に審議会を設置するよう、かねてより指導してきたところであるが、地区計画については、市町村の審議会の果たすべき役割が大きいので、未設置の市町村にあっては早急に審議会を設置し、また、審議会の適切な運営が図られるよう留意すること。
(ハ) 都市計画法第一六条第二項の条例を制定しようとするとき又は地区計画を定めようとするときは、当分の間、あらかじめ、都道府県を通じ建設省都市局と適宜必要な連絡調整を行うこととすること。沿道整備計画についても同様とすること。

(3) その他の留意事項

以上のほか、地区計画に関する都市計画を定めるの当たっては、次の諸点に留意すること。
(イ) 公団、公社等の公的主体の施行する宅地開発事業、住宅建設事業等が行われる土地の区域について地区計画を定めようとするときは、これらの事業主体と十分事前調整を行い、事業計画と地区計画とのそごをきたさないように留意すること。
(ロ) 市街地区域及び市街化調整区域に関する都市計画が定められていない都市計画区域内の用途地域が定められている地域で地区計画を定める場合において、当該地区計画の区域内に農用地が含まれるときは、都道府県の都市計画担当部局があらかじめ都道府県の農林担当部局と協議を行い、調整を了したうえで、都道府県知事は都市計画法第一九条第二項の承認を行うこと。この場合において、当該農用地が二ヘクタールを超えるもの(農林水産大臣の転用許可権限の対象となりうるようなまとまったもの)であるときは、都道府県知事があらかじめ地方農政局長(北海道にあっては農林水産省構造改善局長とし、沖縄県にあっては沖縄総合事務局農林水産部長とする。)とも協議すること。なお、これらの協議は、都市計画法第一二条の四第三項各号の要件に適合すると見込むに足る資料を添えて行うこと。

追って、この協議の整った地区計画に含まれる農地については、原則として農地転用の事前審査を要しないことで農林水産省との間で了解に達していること。

(ハ) 防衛施設(駐屯地、訓練場、演習場その他これらに類する施設)が存する地区については、地区計画として定めないものとすること。
(ニ) 工場立地法(昭和三四年法律第二四号)第六条第一項に規定する特定工場が立地している地区については、原則として地区計画の区域に含めないものとするが、当該地区を地区計画の区域に含める場合にあっては、同法第四条第一項の工場立地に関する準則との調和を保つよう十分配慮すること。
(ホ) 臨港地区及び港湾隣接地域については、港湾法(昭和二五年法律第二一八号)第二条第五項の港湾施設以外の施設が存する区域を地区計画の区域に含めることができること。この場合においては、次の点に留意して地区計画を定めること。

1) 港湾計画に反しないものにすること。
2) 港湾施設用地(港湾施設以外の施設が存する区域にあってそれらの施設と密接不可分な道路用地を除く。)は、原則として、当該地区計画の区域に含めないこと。

(ヘ) 地区計画の区域内の商工業者の経済力、店舗等の新設・改造計画及び消費者利便に配慮するとともに、当該区域内に商店街整備計画、店舗共同化計画等中小小売・サービス業振興のための諸施策が講じられ、又は講じられようとしている場合は、これらの諸施策との整合性を保ち、また、商業施設の適正な展開が妨げられることのないようにすること。
(ト) 高圧ガス取締法(昭和二六年法律第二〇四号)、火薬類取締法(昭和二五年法律第一四九号)、石油コンビナート等災害防止法(昭和五〇年法律第八四号)、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(昭和四二年法律第一四九号)又は鉱山保安法(昭和二四年法律第七〇号)の規制を受ける建築物等が存する場合にあっては、これらの法律による規制との整合性を保つようにすること。
(チ) 学校その他公益上必要な施設及びガソリンスタンド、LPGスタンド、軽油スタンド等のようにその配置、形状等が特殊なものについては、その建築等に支障をきたさないようにすること。
(リ) 地区計画の区域内に学校その他の文教施設が存する場合においては、その立地環境の維持向上についても勘案して定めること。
(ヌ) 工業用水道事業、電気事業、ガス事業、石油パイプライン事業及び熱供給事業については、その事業の適正な実施に配慮すること。
(ル) 市町村の都市計画担当部局は、計画策定に当たっては、あらかじめ商工業担当部局、農林水産担当部局、農林水産関連企業担当部局、港湾管理者その他関連部局と協議することとし、また、都道府県の都市計画担当部局は、承認に当たっては、あらかじめ環境担当部局、商工業担当部局、農林水産担当部局、農林水産関連企業担当部局その他関連部局と協議を行うこと。

6 届出・勧告制度について

(1) 開発許可を要する行為については届出を不要とし、開発許可基準の一として取り扱うこととされているので、開発許可担当部局と緊密な連絡調整を図ること。
(2) 届出が義務付けられる行為のうち、建築物の建築、工作物の建設又は建築物等の用途の変更については、都市計画法施行令第三八条の七第二号の規定に該当する場合のほかは、通常、届出と建築確認申請の双方の手続を要することとなるので、煩雑な手続とならないよう事務の簡素化及び迅速化に特に配慮すること。この場合、できるだけ建築確認申請に先立って届出を行うよう指導すること。

なお、地区整備計画に定められている建築物等に関する事項で当該建築物等の建築等に係るものがすべて条例に定められている場合にあっても、当該建築物等に係る敷地について、地区施設の配置及び規模又は現に存する樹林地、草地等で良好な居住環境の確保に必要なものの保全を図るための制限に関する事項が定められているときは、都市計画法施行令第三八条の七第二号に該当しないものであるので留意すること。

(3) 届出が義務付けられている行為は、土地の区画形質の変更、建築物の建築及び工作物の建設のほか、地区計画に定められた内容によって、建築物等の用途の変更、建築物等の形態若しくは意匠の変更又は木竹の伐採がその対象となるので、地区計画の案の作成段階からこの旨周知させること。

なお、店舗に取り付けられる看板等の設置は、工作物の建設にあたらないものであること。

(4) 勧告事務の運用に当たっては、地域の実情、建築物等の利用上の必要性等をも総合的に勘案し、過大な負担を課することとならないよう配慮するとともに、当該届出に係る行為が他の法令による許可、認可等を要するものである場合には、これらの手続の進行状況に留意し、適切な時期に適切な内容で行うこと。
(5) 都市計画法施行令第三八条の五第二号ハの「これらに類するもの」には、「工業用水道管」、「ガス導管」、「熱供給事業の用に供する導管」、「石油管」、「地中電線路」及び「高圧ガス管」が含まれること。
(6) 市町村長が都市計画法第五八条の二第三項の規定による勧告をした場合において、

1) 地区施設として定められた道路の位置の如何により通常利用が困難と認められる土地が生じた場合の当該土地の権利のあっせん。
2) 道路の位置の指定の前提としての道の区域内の土地の権利のあっせん。
3) 技術的指導及び助言
等地区計画の内容を実現するため必要な範囲内の措置について特に必要があると認めた場合においては、市町村長は、同条第四項の規定に基づき、これらの措置を講ずるよう努めること。

7 開発許可について

(1) 開発許可の申請に係る土地について地区計画が定められているときは、予定建築物等の用途又は開発行為の設計が地区計画に定められた内容に即して定められていることが開発許可の基準として加えられたが、ここで言う「即して定められている」とは、開発行為の設計等が地区計画の内容に正確に一致している場合のほか、正確には一致しないが、地区計画の内容にそって、地区計画の目的が達成できるよう定められている場合を含むものであること。
(2) 地区計画が定められている土地の区域内における開発許可制度の運用は、届出・勧告、建築確認、道路の位置の指定及び予定道路の指定の各制度の運用と密接な関連を有しており、特に、開発許可を受けた土地の区域内において建築物の建築又は工作物の建設を行う場合には、別途届出・勧告制度及び建築確認制度の適用があるので、(1)の「即して定められている」ことの運用については、これらの関係部局とあらかじめ十分意見調整を行い、制度の運用に矛盾が生じないよう配慮すること。

8 地区計画の区域内において市町村が定める条例による制限について

(1) 建築基準法第六八条の二第一項の規定に基づく条例(以下「条例」という。)による制限は、地区計画の内容のうち特に重要な事項について、建築基準法施行令第一三六条の二に規定する基準に従い、適正な都市機能と健全な都市環境を確保するため合理的に必要と認められる限度のものとするとともに、個別の建築物又はその計画が当該制限に適合するか否かが一義的に判断されるように明確なものとすること。なお、条例で制限として定めることができる事項は、地区計画の内容として定められた事項のうち建築物に関するものに限られるものであり、建築物以外の工作物に関する事項を条例で制限として定めることはできないものであること。ただし、同法第八八条第二項において同法第六八条の二第一項の規定が準用されているので、同法第八八条第二項に規定する工作物の用途に関する事項については、この限りでないこと。
(2) 条例による制限は、当該地区計画の目的を達成する上で特に重要な制限につき、当該地区計画の区域及びその周辺の地域における建築物の建築の状況、公園、広場、道路等の施設の整備の現状及び将来の見通しその他の土地利用の状況等からみて、当該地区計画の区域における良好な市街地の環境の形成又は維持を図るために合理的に必要な限度において行うものとすること。なお、条例による制限は、地区計画の内容として定められたもののうちから定められるものであるので、条例で制限として定められることが見込まれる計画事項については、その内容について都市計画担当部局と緊密な調整を図ること。
(3) 条例には、建築物に関する制限の内容のほか、当該制限の適用の除外に関する規定、罰則その他の必要な規定を併せて定めること。
(4) 条例を定めることにより、従来建築基準法の一般的な制限には含まれていなかった建築物の敷地面積の最低限度の制限、建築物の形態又は意匠の制限及びかき又はさくの構造の制限を建築基準法上の制限とすることができることとされたので、必要に応じ適正な活用を図ること。

(イ) 建築物の敷地面積の最低限度の制限は、既成市街地等において狭小な敷地の戸建て住宅が連たんして建築されることにより建築物の安全、防火又は衛生の目的を達成することが著しく困難となる場合、計画的な開発により形成された良好な住宅地等において敷地が細分化されることにより住宅等の敷地内に必要とされる空地を確保することが著しく困難となる場合等において行うこと。

なお、建築基準法第六八条の二第三項の規定に基づき、条例に当該制限の適用除外の規定を定めることとなる場合において、当該適用除外の規定の適正な運用を期するため市町村は当該条例の規定の施行又は適用に当たっては、現に建築物の敷地として使用されている土地及び現に存する所有権その他の権利に基づいて建築物の敷地として使用することとなる土地について、あらかじめ十分把握しておくこと。

(ロ) 建築物の形態又は意匠の制限及びかき又はさくの構造の制限は、周囲の環境と調和した優れた景観を有する街並みを形成又は保全する必要がある場合等において行うこと。建築物の形態又は意匠の制限の内容は、建築物の屋根又は外壁の形態又は意匠をその形状又は材料によって定めたものに限られており、例えば屋根の形状とは寄せ棟、材料とは瓦(又は日本瓦)がこれに該当するものであること。また、かき又はさくの構造の制限の内容は、建築物に附属する門又はへいの構造を、その高さ、形状又は材料によって定めたものに限られており、例えば形状とは格子状、材料とは金属がこれに該当するものであること。なお、かき又はさくの構造の制限の対象は建築物である門又はへいに限られることに留意すること。

(5) 条例の制限に関する面積、高さ等の算定方法については、建築基準法の算定方法に関する一般的な原則によることができる場合には、条例の制定に当たり、当該条例に延べ面積、建築物の高さに関し、それぞれ建築基準法施行令第二条第一項第四号ただし書並びに同項第六号イ及びロの規定の例にならった必要な規定を設けること。

また、地区計画に建築基準法の一般原則と異なる算定方法が定められている場合においては、当該算定方法に係る制限事項を条例による制限とする場合は、条例において当該算定方法と同一の算定方法を定めること。

(6) 条例の制定に当たっては、建築基準法施行令第一三六条の二第八項の規定に基づき条例に定める制限の適用の除外の規定を条例に定めるほか、地区計画において定められた当該制限の趣旨に反しない限りにおいて、当該制限の内容に応じ、かつ、当該制限を適用しようとする区域の状況等に応じて個別に必要性を判断した上で、当該条例に建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合、建築物の建築面積の敷地面積に対する割合、建築物の高さその他の事項に関する条例の制限に関し、建築基準法の規定の例にならった適用の除外の規定を定め、同法第五九条の二第一項の規定に基づき許可を受けた建築物又は同法第八六条の規定に基づく特例の適用を受けた建築物に関し、それぞれ同法の該当する条文の規定の例にならって条例の制限の適用の除外の規定を定めること。
(7) 建築基準法施行令第一三六条の二第七項の規定は、建築基準法第三条第二項の規定により条例による制限のうち一定のものの適用を受けない建築物を一定の範囲内で増築、改築、大規模の修繕又は大規模の模様替をする場合において、なおこれらの制限を適用しない旨の規定を当該条例に設けるべき旨規定しているものであり、同項中「法第八六条の二の規定の例により当該条例に定める制限の適用の除外に関する規定を定める」とは、建築物の用途の制限にあっては建築基準法施行令第一三七条の四各号、建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合の最高限度にあっては同施行令第一三七条の五各号、建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合の最低限度及び建築物の建築面積の最低限度にあっては同施行令第一三七条の六各号の規定に相当する範囲内において増築若しくは改築をする場合又は同施行令第一三七条の九の規定に相当する範囲内において大規模の修繕若しくは大規模の模様替をする場合(建築物の用途の制限に関する場合を除く。)におけるそれぞれの制限の適用の除外に関する規定を定めるべきものであること。この場合において、同施行令第一三七条の「基準時」に関する規定と同様の規定を条例に定めることとしそれぞれの「基準時」は、建築基準法第三条第二項の規定により条例で定めるそれぞれの制限の適用を受けない建築物について、同法第三条第二項の規定により引き続き当該規定(当該規定が改正された場合においては改正前の規定を含む。)の適用を受けない期間の始期をいうものであること。
(8) 学校、公民館、図書館、派出所、郵便局、日本電信電話公社又は国際電信電話株式会社が公衆電気通信事業の用に供する建築物、工業用水道事業法(昭和三三年法律第八四号)、電気事業法(昭和三九年法律第一七〇号)、ガス事業法(昭和二九年法律第五一号)、石油パイプライン事業法(昭和四七年法律第一〇五号)又は熱供給事業法(昭和四七年法律第八八号)によって規制されている施設、駅舎等の鉄道・軌道施設、自動車ターミナルビル、流通機構上重要と認められる営業倉庫、上屋等であって公益上必要な施設については、地区計画の趣旨をも考慮しつつ、それぞれの業務に支障を生ずることがないよう、条例の制定に当たって制限の適用の対象外とすることを含め十分な配慮を行うとともに、また、これらの施設のうち用途上又は構造上やむを得ないと認められるものについては、建築基準法施行令第一三六条の二第八項に規定する例外許可による適用除外を行うことにより対処すること。
(9) 地区計画の区域内において建築行為を行う場合には、都市計画法施行令第三八条の七第二号の規定に該当する場合を除き、建築確認申請と届出を行わなければならないのが一般であり、特に条例で制限を定める場合には同一の事項について双方の手続で適合性を審査することとなるので、担当者間において密接な連絡をとりつつ、適切かつ迅速な事務処理が図られるよう特に留意すること。
(10) 条例の制定は市町村が行い、その運用には建築主事及び特定行政庁も当たることとされていることにかんがみ、当該市町村において建築主事を設置するよう努めるものとし、これにより難い場合においては、当該市町村は条例の制定、運用等について当該市町村を管轄する都道府県の建築担当部局と緊密な連絡調整を図ることにより建築行政の一貫性が図られるよう配慮すること。
(11) 条例の制定又は改正をしようとするときは、当分の間、あらかじめ、建築基準法第四条第一項又は第二項によって建築主事を置いた市町村は直接、それ以外の市町村は都道府県を通じ、建設省住宅局と適宜連絡調整を行うこととすること。
(12) 沿道整備計画が道路交通騒音により生ずる障害の防止と適正かつ合理的な土地利用が図られるように定められることにかんがみ、沿道整備計画の区域内において条例で制限として定めることができる「特に重要な事項」には、主として、間口率の最低限度、建築物の高さの最低限度、建築物の構造に関する遮音上必要な制限及び建築物の構造に関する防音上必要な制限が該当するものであること。

9 道路の位置の指定に関する特例について

(1) 道路の位置の指定は、従来ともすれば個々の建築物の接道義務だけを考えて行わてきたきらいがあったが、今回の改正により、地区の特性に応じた合理的な道路網の形成が推進されることとなったので、都市計画部局との密接の連絡の下に本制度の適切な運用に努めること。
(2) 道の配置及び規模を定めた地区計画又は沿道整備計画(以下「地区計画等」という。)の区域内においては、道路の位置の指定は、地区計画等に定められた道の配置に即し、かつ、建築基準法第四二条第一項及び同法施行令第一四四条の四の規定に適合する場合について行うこと。
(3) 建築基準法第六八条の三本文で言う「道の配置に即して」とは、指定に係る道路が地区計画等で定められた道の配置に正確に一致している場合のほか、正確には一致しないが地区計画等で定められた道との接続の状況、位置関係等からみて地区計画等で定められた道の機能が確保されると認められる場合を含むものであること。また、同条本文の規定は、必ずしも地区計画等に定められた道の規模に即する必要はない旨の規定であること。
(4) 建築基準法第六八条の三ただし書の規定は、現に存する道路が建築物の敷地として利用しようとする土地に著しく近接しており計画に即して道路を築造する場合の負担が現に存する道路に至る道路を築造する場合に比して著しく大きくなるとき、地区計画等に定められた道の区域内に建築物が存する場合、計画に即して指定を行う場合にはその計画に定められた道を含む土地についてその権利を有する者が当該土地をその権利に基づいて利用することが著しく妨げられることとなるとき等同条本文の規定により難い場合において適用すること。

10 予定道路の指定について

(1) 予定道路の指定は、地区計画等で定められた道の実現を図るため特定行政庁が能動的に予定道路として指定するものであるので、指定に当たってはあらかじめ予定道路の指定に関する基本的な方針等について十分な検討を行った上、積極的に指定を行うこと。
(2) 予定道路の指定は、地区計画等の区域及びその周辺の地域における土地利用の動向、道路の整備の現状及び将来の見通し、建築物の敷地境界線、筆界等の土地に関する権利の状況等を考慮し、建築物の建築等を禁止することにより地区計画等で定められた道の予定地を確保することが必要な範囲において、その幅員、延長、道路境界等を明確にして行うこと。
(3) 建築基準法第六八条の四第一項第二号に該当する場合には、できるだけ細街路網を一体的に指定することにより、土地区画整理事業等により整備された区画道路と一体となった道路網の形成が効率的に図られるように努めること。
(4) 建築基準法第六八条の四第一項第三号の規定に基づく指定は、地区計画等で定められた道の相当部分が道路の位置の指定又は開発許可を通じて実現されている場合において、当該道路と既に整備された他の道路(地区計画等で定められた道に即して近い将来確実に整備されると見込まれる道路を含む。)との連続性を確保することが必要なとき等において積極的に行うこと。
(5) 建築基準法第六八条の四第一項第二号又は第三号に該当しない場合であっても、地区計画等で定められた道の予定地を確保することが必要であるときは、特定行政庁は、同項第一号の規定に基づき、利害関係を有する者の同意を得て指定を行うよう努めること。
(6) 予定道路の土地の区域内における建築物の建築者の制限が適切に行われるよう予定道路の指定に係る台帳の整備等の措置を講ずること。
(7) 予定道路が指定された場合には建築基準法第四四条の規定が適用され建築物の建築等が制限されるが、それ以外の道路に関する規定は適用されず、道路の位置の指定等により同法第四二条に基づく道路になってはじめて同法第四三条等の規定が適用されることとなることに留意すること。
(8) 建築基準法第六八条の四の規定中「即して」の意味については、道路の位置の指定に関する特例において述べたところと同様であるが、「計画に定められた道の配置及び規模に即して、指定を行うこと」とされているので、道路の幅員その他の規模についても計画に即していることが必要である点に留意すること。
(9) 建築基準法第六八条の四第一項ただし書の規定は戸建て住宅の敷地について予定道路が指定され、当該規定による制限が戸建て住宅の敷地につき通常必要とされる私道の負担と比較して著しく大きい場合、予定道路が個別の敷地を分断する場合(一筆の土地の面積が大きく予定道路の指定が当該土地の利用を増進すると認められる場合を除く。)等で、予定道路の指定により、敷地の残余の部分を利用しても、従前の敷地につき通常期待されていた利用形態と比較して著しく劣った利用しか実現できない場合等において適用されるものであること。

11 地区計画の区域内における市街地整備の推進について

(1) 各種事業手法の活用について

地区計画が定められた土地の区域内の市街地整備を推進するため、土地区画整理事業、市街地再開発事業、住宅地区改良事業、居住環境整備事業、住環境整備モデル事業、特定住宅市街地総合整備促進事業等の各種事業手法の積極的活用を図ること。

(2) 建築協定制度及び緑化協定制度の活用について

地区計画の区域内において、地区計画に定めることのできない事項又は地区計画に定める必要がない事項若しくは内容について、居住環境のより高度な維持・増進等を図るため、住民による自主的な規制が行われることが適当である場合には、建築協定制度又は緑化協定制度の積極的な活用について指導すること。

(3) 都市開発資金の貸付けについて

今回、都市開発資金の貸付けに関する法律施行令(昭和四一年政令第一二二号)第四条が改正され、都市開発資金の貸付けに関する法律(昭和四一年法律第二〇号)第一条第三号に該当する土地として新たに地区計画の区域(三ヘクタール以上のものに限る。)内にあり、都市の再開発を円滑に推進するために有効に利用できるものが加えられ、都市開発資金により買取ることができることとなったので、本制度を積極的に活用すること。
なお、同法第一条第三号は、都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律(昭和五五年法律第三三号)により設けられたものであり、既に高度利用地区の区域(三ヘクタール以上のものに限る。)内の土地については、都市開発資金による買取りの対象とされているので念のために申し添える。

(4) 住宅金融公庫等の融資について

地区計画制度の積極的な活用を図り、民間建築活動の誘導による良好な市街地環境の形成を促進するため昭和五六年度より住宅金融公庫、日本開発銀行及び北海道東北開発公庫において、再開発融資制度の対象事業として地区計画区域内建築物整備事業が追加されたので地区計画の目的達成のため積極的な活用を図ること。
住宅金融公庫融資の対象となる建築物は、地区計画の区域内の一定規模以上の中高層建築物のうち、当該地区計画に係る地区整備計画に、建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合の最低限度、建築物の建築面積の最低限度、建築物等の高さの最低限度の全てが定められているもの、あるいは市街地再開発事業における施設建築物又は総合設計建築物と同等のものであること。

(5) 地区計画等に関連する税制上の取扱いの特例について

(イ) 地区計画等に従って整備される公園、緑地、広場その他の公共空地で、現にその用に供されているものについては、公共の用に供されている道路と同様に、市町村において、当該土地に係る固定資産税の軽減措置(免除を含む。以下同じ。)を講じることにより、これらの公共空地の整備を促進することが望ましいこと。

なお、本件軽減措置を講ずることについては、自治省との間で了解済みであること。

(ロ) 地区計画等の区域内において建築基準法第六八条の二第一項の規定に基づく市町村の条例で定める制限の内容が高度利用地区又は特定街区の区域内の建築物の制限に準ずるものであり、かつ、当該土地の用途が当該条例を制定した市町村の議会の議決を経て定められた市町村の建設に関する基本構想に即するものである場合には、地方税法(昭和二五年法律第二二六号)第五八六条第二項第三〇号の規定に基づき、当該市町村の条例で、当該土地に係る特別土地保有税を非課税とし、当該地区計画の内容に従った地区の整備が図られるよう配慮すること。

なお、本件非課税措置を講ずることについては、自治省との間で了解済みであること。

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