建設省住街発第三五号
昭和五九年四月一九日

特定行政庁あて

住宅局長通達


第一種住居専用地域内における三階建住宅の高さ制限の緩和について


建築基準法(以下「法」という。)第五五条第二項第三号の規定に基づく認定の運用については、既に昭和五二年一〇月二八日付け建設省住指発第七七一号「建築基準法の一部を改正する法律等の施行について」において示したところであるが、近年、三世代住宅の普及等に伴い、良好な環境を備えた良質な三階建住宅の建築を推進する必要性が高まってきている。これに対処するため、今般、第一種住居専用地域内における建築物の高さ制限に関する緩和規定を活用して、オープンスペースの確保による良好な市街地環境の形成を図るとともに、良質な三階建住宅の普及を進めることとし、法第五五条第二項第三号の規定の運用に関する認定準則を別添のとおり定めたので通達する。
各特定行政庁におかれては、左記の点に留意しつつ、本認定準則の趣旨に従い、その積極的活用を図るよう努められたい。

1 三階建住宅に関する法第五五条第二項第三号の運用に当たっては、原則として本認定準則に従って行うこととするが、敷地の周囲の状況等により本認定準則を適用することが必ずしも適切でないと認められる場合にあっては、本認定準則の趣旨に従い、総合的な判断に基づいて運用すること。
2 法第五五条第二項第三号の規定の適用対象となる敷地規模の下限については、建築基準法施行令第一三〇条の一〇第二項の規定により、特定行政庁の規則により引き下げることができることとされているので、必要に応じ引下げを行うこと。
3 集団的かつ総合的に計画された一団地の建築物については、一の建築物の敷地としては敷地規模の下限に満たない場合であっても、法第八六条第一項の規定を活用することにより、法第五五条第二項第三号の規定を適用することができることとされている。本認定準則においては、このような場合についても併せて規定したので、その積極的な運用に努めること。なお、この場合には、地区計画、建築協定等の活用により良好な市街地環境が形成されるよう十分に指導を行うこと。
4 本認定を受けて建築される住宅が、良質な住宅ストックの形成に資するよう十分に指導を行うこと。
5 本認定準則の適用に当たっては、隣接地のプライバシーの保護等に留意し、開口部の位置等建築計画上の配慮や植樹等による対応について十分に指導を行うこと。
6 本認定の事務の執行に当たっては、その迅速化に努めること。


(別添)

第一種住居専用地域内における三階建住宅に係る建築基準法第五五条第二項第三号の認定準則

第1 対象建築物

本認定準則は、軒の高さが一〇メートル以下で、地階を除く階数が三以下の住宅(住宅で事務所、店舗その他これらに類する用途を兼ねるものを含む。)及び共同住宅を対象とするものとする。

第2 認定基準

1 外壁の後退距離

建築物の外壁又はこれに代わる柱の面から敷地境界線(多角形でない敷地及び複雑な形状の多角形の敷地については、それを単純な多角形に近似した場合の各辺をいう。以下同じ。)までの距離(以下「外壁の後退距離」という。)は、当該敷地境界線の長さに応じて、左表に掲げる数値以上とする。

敷地境界線の長さ
外壁の後退距離
三〇メートル以下の場合
一・五メートル
三〇メートルを超え、六〇メートル以下の場合
二・〇メートル
六〇メートルを超え、一二〇メートル以下の場合
二・五メートル
一二〇メートルを超える場合
三・〇メートル

2 北側隣地への配慮

三階部分の外壁については、北側隣地における圧迫感等に配慮し、所要の後退距離を確保する等の適切な措置を講じたものとする。

3 建築物の敷地が第一種住居専用地域及びその他の地域にわたる場合の措置

建築物の敷地が第一種住居専用地域及びその他の地域にわたる場合は、第一種住居専用地域内にある敷地の部分について一及び二の規定を適用する。

4 総合的設計による一団地の場合の特則

一団地内に二以上の構えをなす建築物について建築基準法第八六条第一項の規定が適用される場合にあっては、当該一団地を一の敷地とみなして一及び二の規定を適用するとともに、これらの建築物相互間においても一及び二の規定に準じた建築計画上の配慮がなされているものであることとする。


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