住街発第一一四号
昭和六〇年一二月二一日

特定行政庁あて

住宅局長通達


中水道施設等を設置する建築物に係る建築基準法第五二条第四項第一号の規定の運用について


建築基準(以下「法」という。)第五二条第一〇項第一号の規定により、機械室等の部分の床面積の建築物の延べ面積に対する割合が著しく大きい建築物について、容積率制限の特例を認めることができることとされているが、今般、同号の規定に係る同項の許可の準則を別添のとおり定めたので通知する。
近年、省資源、省エネルギー等の観点から中水道施設、地域冷暖房施設等の設置を促進する必要性が高まっているところであるが、大都市の既成市街地等においては、建築物の一部を利用してこれらの施設を設置する例が多く、このような場合に、同許可制度を活用することにより、その設置に伴う負担の軽減を図り、その設置を促進することが可能と考えられる。
本許可準則の適用に当たっては、左記の点に十分留意し、その積極的な活用に努められたい。

1 本許可準則は法第五二条第一〇項第一号に係る同項の許可に関する一般的な考え方を示すものであるので、建築計画の内容、敷地の位置、敷地の周囲の土地利用の状況、都市施設の整備の状況等からこれによることが必ずしも適切でないと考えられる場合は、総合的な判断に基づいて弾力的に運用すること。
2 本許可準則による法第五二条第一〇項の許可が、中水道施設等特定の用途に供される建築物の部分の床面積に着目して行われることにかんがみ、当該部分が他の用途に転用されることのないよう、長期的観点から当該中水道施設等の必要性に関し十分検討すること。また、本規定を適用した建築物については、台帳の整備等により建築後も引き続きその状態の把握に努めるとともに、当該建築物の所有者、管理者等にもこの旨周知を図ること。
3 本許可準則により建築される建築物は、ペンシルビル等周辺の市街地環境を害するおそれのあるものにならないよう指導すること。
4 本許可準則により建築物に設けられる中水道施設等については、周囲の環境に対し、悪影響を及ぼすことのないよう、設置位置等に関し、十分指導すること。
5 中水道施設に関する詳細な技術基準を現在検討中であるが、これが定められるまでの間は、「排水再利用水の配管設備の取り扱いについて」(昭和五六年四月二七日付け建設省住指発第九一号)により、適切な施設となるよう指導に努めること。
6 本許可準則に係る事務の執行に当たっては、その迅速な処理に努めること。
7 総合設計制度又は市街地住宅総合設計制度の許可を受ける建築物に本許可準則第1に定める施設を設置する場合においては、法第五九条の二の規定による容積率の緩和の許可と併せて、法第五二条第一〇項の規定による容積率の緩和の許可を行うことができるものであること。この場合において、当該建築物の容積率の緩和の限度は、総合設計許可準則(昭和六一年一二月二七日付け建設省住街発第九三号建設省住宅局長通達別添)第2の1(2)及び(3)に定められた容積率の緩和の限度に、本許可準則第2に定められた容積率の緩和の限度を加えたものとする。


(別添)

建築基準法第五二条第一〇項第一号の許可準則

第1 適用範囲

本許可準則は、次に掲げる施設その他これらに類する施設を設置する建築物に関する建築基準法(以下「法」という。)第五二条第一〇項第一号の規定に係る同項の許可について適用する。
(1) 中水道施設
(2) 地域冷暖房施設
(3) 防災用備蓄倉庫
(4) 消防用水利施設
(5) 電気事業の用に供する開閉所及び変電所
(6) ガス事業の用に供するバルブステーション、ガバナーステーション及び特定ガス発生設備
(7) 水道事業又は公共下水道の用に供するポンプ施設
(8) 第一種電気通信事業の用に供する電気通信交換施設
(9) 都市高速鉄道の用に供する停車場、開閉所及び変電所
(10) 発電室
(11) 大型受水槽室
(12) 汚水貯留施設
(13) コージェネーション施設

第2 容積率の緩和

容積率の緩和は、第一に掲げる施設の用に供する建築物の部分のうち、次の各号の要件を満たす部分の床面積相当分について行うものとし、その限度は、基準容積率(法第五二条第一項から第五項までの規定による容積率をいう。)の一・二五倍とする。
(1) 当該施設の本来の用に供する部分(当該施設の管理用事務室等人が常駐する部分及びこれに付属する部分を除く。)であること。
(2) 壁等によって建築物の他の部分から独立した区画をなす部分であること。


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