建設省住指発第七九号
昭和六一年三月二八日

特定行政庁あて

住宅局長通知


建築確認事務の迅速化について


建築行政の適切な運用については、かねてより御尽力いただいているところでありますが、今般、臨時行政改革推進審議会から「行政改革の推進方策に関する答申」が出され(昨年七月二二日)、建築確認手続の迅速化についても別添1のとおり指摘されたところであります。政府としても、この答申を受け、「当面の行政改革の具体化方策について」の閣議決定(同年九月二四日。別添2)を行うとともに、「内需拡大に関する対策」についての経済対策閣僚会議決定(同年一〇月一五日。別添3)においても同趣旨の措置を構ずることとしたところであります。
ついては、貴職におかれても左記の事項に留意され、建築確認事務の迅速化について一層の御努力をお願いします。

1 不適合通知等の活用

建築確認申請書の記載内容に不適合部分が存在する場合、当該申請書が書類不備である場合等においては、建築基準法(昭和二五年法律第二〇一号)第六条第四項に規定する不適合通知又は中断通知を活用することにより建築確認事務の合理化を図ること。

2 建築確認対象法令の明確化

建築基準法第六条第一項に規定する建築物の敷地、構造及び建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例(建築確認対象法令)の範囲の明確化については別途通知するが、当該通知を参考に建築確認対象法令を限定して建築確認事務の迅速化、合理化を図るとともに、他の法令については、関係部局と連携を図り、確認申請者に対し必要な助言を行う等により建築行政の的確な運用に努めること。


(別添1)

「行政改革の推進方策に関する答申」抜粋

第三部 民間活力の発揮・推進方策
I 規制行政の在り方
(1〜2略)

3 個別分野の規制緩和
((1)〜(3)略)

(4) 都市整備

我が国の都市においては、高度経済成長の過程での急速な都市化の進展に対して都市基盤の整備等が立ち遅れたこと、計画、規制の運用がこれらの情勢に十分対応しきれなかった面があること等のため、居住環境が劣っていたり、都市機能が円滑に発揮できない不健全な市街地が形成された。
最近に至り、市街地の拡大状況は穏やかなものとなったが、今後の都市整備については、良好な都市環境の形成、居住水準の向上等を図っていくため、地価の安定にも配慮しつつ、民間の活力をいかし、既成市街地の中心部等においては、敷地の共同化を図りつつ土地の計画的な高度利用を推進し、郊外においては、良好な住環境を備えた計画的な開発を促進していく必要がある。
都市整備分野での規制については、このような都市整備の目標へ向けて、適切な都市計画の下で、住宅・宅地供給、都市開発等を適切に誘導・活性化していくよう、規制の見直しを行う必要がある。
ア 手続、負担の適正化

(ア) 略
(イ) 手続の簡素化・迅速化
( ア)〜 エ)略)

オ) 建築確認手続の迅速化等

1) 近年の建築物の大規模化・複雑化、周辺住民との紛争の発生等に伴い、建築確認審査期間は法定期間をかなり上回っているが、書類不備等の不適合通知の活用、確認時の審査対象法令・事項の明確化など、審査手続の効率化、迅速化の措置を講じ、法定期間を遵守するよう努める。また、総合設計等建築基準法上の特例許可についても、手続迅速化のための措置を講ずる。

(以下、略)



(別添2)

「当面の行政改革の具体化方策について」抜粋

5 規制行政

(2) 個別事項の規制緩和

答申において指摘された個別分野の規制緩和に係る事項については、次期通常国会に所要の法律案を提出するほか、政省令等の改正により措置すべき事項についてもできるかぎり速やかに所要措置を講ずる等、答申の趣旨に沿って措置することとし、その具体的内容は、別紙の通りとする。



別紙 個別事項の規制緩和

分野別・事項別
措置内容
改正区分
措置予定時期
4 都市整備

(1) 手続、負担の適正化

ア 略
イ 手続の簡素化・迅速化((ア)〜(ウ)略)

 
 
 

(エ) 建築確認手続の迅速化等

○ 建築確認審査については、法定期間を遵守するため、書類不備等の不適合通知の活用、確認時の審査対象法令・事項の明確化など、審査手続の効率化、迅速化の措置を講ずる。(以下、略)
通達
六〇年度

((オ)略)

 
 
 
(以下、略)
 
 
 



(別添3)

「内需拡大に関する対策」抜粋

1 当面早急に実施する対策(略)
2 今後推進する対策

内需拡大のため当面早急に実施する対策に加え、民間活力を十全に発揮させるため、今後引続き、以下の対策を実施する。
また、民間部門の活力を発揮させるとの観点から、民間活力活用プロジェクトに関する環境整備、住宅建設、設備投資等に関する施策について、今後の予算編成、税制改正作業の過程の中で所要の手続を経つつ検討を進める。

((1)略)

(2) 規制緩和

規制緩和については、「当面の行政改革の具体化方策について」(昭和六〇年九月二四日閣議決定)において措置方針を定め、「許可、認可等民間活動に係る規制の整備及び合理化に関する法律案」(仮称)を臨時国会に提出するなど着実に具体化を図ることとしているが、民間経済活動に対する諸規制の緩和が事業機会の増加による内需拡大に役立つことにかんがみ、別紙1に掲げた諸施策を着実に実施する。



別紙1

検討項目
具体的措置内容
実施スケジュール
○ 建築確認審査については、法定期間を遵守するため、書類不備等の不適合通知の活用、確認時の審査対象法令・事項の明確化など、審査手続の効率化、迅速化の措置を講ずる。また、総合設計等建築基準法上の特例許可についても、手続迅速化のための措置を講ずる。

建築確認申請書の記載に不備を発見した場合等において、引き続き建築基準法第六条第四項に基づく不適合通知を活用することにより事務処理の効率化を図る。
また、消防法等の建築基準法以外の法令も建築確認審査の対象となるが、事務処理の迅速化・効率化を図るため、審査対象法令及び事項の明確化について、検討を続けているところであり、早急に検討結果を取りまとめ、特定行政庁を指導する。
総合設計等の特例許可の手続きについては、今後とも手続きの迅速化を図るよう指導する。
昭和六〇年度中に、通達をもって指導する予定。


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