建設省住街発第九四号
昭和六一年一二月二七日

特定行政庁建築主務部長あて

建設省住宅局市街地建築課長通達


総合設計許可準則に関する技術基準について


標記については、昭和六一年一二月二七日付け建設省住街発第九三号建設省住宅局長通達「総合設計に係る許可準則の改正について」において、総合設計許可準則に関する新たな技術基準を別途通達することとしたところであるが、今般、別添のとおり定めたので通達する。
本技術基準の運用に当たっては、左記の点に十分留意するとともに、既に相当期間設計上の指導を行っている建築計画については、設計期間等を考慮し、適切な運用を行われたい。
なお、本技術基準の制定に伴い、「総合設計許可準則に関する技術基準の改正について」(昭和五八年二月七日付け建設省住街発第一四号建設省住宅局市街地建築課長通達)及び「市街地住宅総合設計許可準則に関する技術基準について」(昭和五八年二月七日付け建設省住街発第一三号建設省住宅局市街地建築課長通達)は廃止する。

(1) 総合設計に係る許可は、敷地周辺の土地の状況、地域の特性等を勘案し総合的判断に基づいて運用することとされているが、市街地住宅総合設計を準工業地域において適用する場合には、敷地周辺の土地利用の現況及び土地利用の今後の方向を十分に把握して行い、また、再開発方針等適合型総合設計を適用する場合には、再開発方針に示された再開発の方向、地区計画等との整合等について十分検討すること。

なお、準工業地域の土地利用の今後の方向、再開発方針に示された再開発の方向等について、都市計画担当部局と意見の連絡調整を図ること。

(2) 総合設計技術基準第1の2の(3)の3)の規定を適用する場合にあっては、当該地区に係る都市計画等との整合、敷地周辺への影響等を十分考慮するとともに、事前に建設省と協議すること。
(3) 市街地住宅の供給を図る必要のある地域において市街地住宅総合設計制度が積極的に活用され良質な住宅の供給が促進されるよう、住宅行政担当部局との緊密な連携を図り、住宅建設事業者等に本制度の趣旨及び内容を周知させるよう取り計らうこと。
(4) 総合設計制度により確保される敷地内空地においては、建築物と調和した植樹等を行う緑地面積を十分に確保するよう指導に努めること。(空地面積の概ね三〇%以上を確保することが望ましい。)
(5) 総合設計制度により確保された公開空地及び建築物が適正に維持管理されるよう指導すること。
(6) 総合設計制度により設けられた公開空地の用に供されている土地に係る固定資産税については、公開空地の創出を促進するため、市町村の実情に応じ、適宜、減免措置を講ずることが望ましいこと。


(別添)

総合設計許可準則に関する技術基準

第1 容積率の割増し

1 道路

建築基準法(以下「法」という。)第五九条の二第一項の許可(以下「許可」という。)で第五二条第一項から第六項までの規定による容積率(以下「基準容積率」という。)に係るものを受けることができる建築物の敷地は、次に掲げる区分に従い、幅員が1)、2)又は3)に掲げる数値以上である道路に接しているものとする。ただし、建築物の敷地が接する道路(法第四二条第二項の規定により同条第二項の道路とみなされる道を除く。)が計画道路(法第四二条第一項第四号に該当するものを除くものとし、以下「計画道路」という。)若しくは法第六八条の七第一項の規定により指定された予定道路(以下「予定道路」という。)の区域内にあり、又は、敷地周辺の道路の状況等を勘案し、交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認められる場合は、この限りでない。
1) 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域又は準工業地域 六メートル
2) 近隣商業地域、商業地域、工業地域又は工業専用地域 八メートル
3) 用途地域の指定のない地域 六メートル

2 公開空地等

(1) 公開空地の定義

公開空地とは、次の1)から5)までのすべてに該当する空地又は空地の部分(空地又は空地の部分の環境の向上に寄与する植え込み、芝、池等及び空地の利便の向上に寄与する公衆便所等の小規模な施設に係る土地を含む。)をいう。
なお、総合設計建築物の整備と一体的に計画配置される公園、広場等の空地で次の1)から5)までのすべてに該当するもののうち、事業者の無償譲渡又は無償貸付けに係るものであって、都市計画決定され、又は地方公共団体により管理されるもの(以下「公共空地」という。)については、これを公開空地とみなす。
1) 歩行者が日常自由に通行し、又は利用できるもの(非常時以外において自動車が出入りする敷地内の道路を除く。)であること。ただし、屋内に設けられるもの等で特定行政庁が認めたものにあっては、深夜等において閉鎖することができる。
2) 最小幅が四メートル以上のものであること。ただし、道路に沿って敷地全長(最小限必要な車路のみにより分断されているものは、敷地全長にわたって設けられているものとみなす。)にわたって設けられ、かつ、道路と一体として利用可能な公開空地及び敷地を貫通して道路、公園等を相互に有効に連絡する公開空地(以下「歩道状公開空地」という。)にあっては、最小幅が二メートル以上のものであること。
3) 一の公開空地の面積は、当該公開空地が歩道状公開空地である場合を除き、次に掲げる区分に従い、イからニまでに掲げる数値以上であること。

イ 第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域 三〇〇平方メートル
ロ 第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、準工業地域、工業地域又は工業専用地域 二〇〇平方メートル
ハ 近隣商業地域又は商業地域 一〇〇平方メートル
ニ 用途地域の指定のない地域 二〇〇平方メートル
ただし、敷地面積の規模が建築基準法施行令第一三六条第三項の表(ろ)欄に掲げる規模に満たないときは、一の公開空地の面積は、当該公開空地が歩道状公開空地である場合を除き、敷地面積の一〇分の一以上かつ一〇〇平方メートル以上であること。

4) 全周の八分の一以上が道路に接しているものであること。ただし、動線上無理のない通り抜け道路を設けたもので、歩行者の出入りに支障がない場合は、この限りでない。
5) 道路との高低差が、六メートル以内のものであること。ただし、駅舎のコンコース、横断歩道橋等に連絡する場合等歩行者の利便に供する場合はこの限りでない。

(2) 公開空地に準ずる有効な空地

敷地内の建築物の居住者や利用者の日常自由な利用又は通行に専ら供される空地及び空地の部分(空地又は空地の部分の環境の向上に寄与する植込み、芝、池等及び空地の利便の向上に寄与する公衆便所等の小規模な施設に係る部分を含み、非常時以外において自動車が出入りする通路を除く。)で、次の1)又は2)に該当するものについては、公開空地に準ずる有効な空地として、(3)に規定する公開空地の有効面積に算入できるものとする。
1) 中庭等その周囲の大部分を建築物に囲まれ、道路に接していない空地(以下「中庭等」という。)にあっては、建築物の居住者等のコミュニティ形成の場として活用される等適切な利用ができ、修景上良好に設計され、適切な規模(少なくとも三〇〇平方メートル以上であること。)を有すること。
2) 屋上にあっては、道路に面して設けられており、当該道路からの高さが、一二メートル以下かつ当該道路の幅員以下のものであって、緑化を図るなど修景上良好に設計されているものであること。また、その面積については(1)の3)に規定する規模以上であること。

(3) 公開空地等の有効面積の算定

1) 公開空地及び公開空地に準ずる有効な空地(以下「公開空地等」という。)の有効面積(以下「有効公開空地面積」という。)は、次に掲げる区分に従い、当該公開空地等又は公開空地等の部分の面積にイからヘまでに掲げる係数を乗じて算定するものとする。

イ 歩道状公開空地(幅が四メートルを超えるものにあっては、幅が四メートル以内の部分に限る。) 一・五

ただし、歩道との段差がなく、歩道と合わせた幅員が六メートル以上であり、かつ、隣地との間に塀等の空地の連続性を妨げる計画のないものについては、最大二・五の範囲でこれより高い係数とすることができるものとする。

ロ 面積が五〇〇平方メートル以上で幅員六メートル以上の道路に接する公開空地又は公開空地の部分(イに該当するものを除く。) 一・二
ハ 面積が三〇〇平方メートル以上五〇〇平方メートル未満で幅員六メートル以上の道路に接する公開空地又は公開空地の部分(イに該当するものを除く。) 一・一
ニ イ、ロ及びハ以外の公開空地又は公開空地の部分 一・〇
ホ 中庭等(公開空地に準ずる有効な空地) 〇・五
ヘ 屋上(公開空地に準ずる有効な空地) 〇・三

2) 次に掲げるものの有効公開空地面積は、当該公開空地等又は公開空地等の部分の面積に1)に規定する係数を乗じて得たものに、次に掲げる区分に従い、イからニまでに掲げる係数を乗じて算定するものとする。

イ 公開空地の道路からの見通しが、隣地又は計画建築物によって妨げられるもの(道路の自動車交通量が著しく多い場合等公開空地が道路に接しないことが当該公開空地の環境上好ましい場合で、動線上無理のない通り抜け歩路を設けたものを除く。) 〇・五
ロ 公開空地の地盤(公開空地が建築物の屋上である場合には、その屋上面)の高さが、当該公開空地に接している道路の路面の高さと比べて一・五メートル以上高いもの又は三メートル以上低いもの(地形上、道路から連続して高さが変化するもの及び駅舎のコンコース、横断歩道橋等に連絡するもの等歩行者の利便に供するものを除く。) 〇・六
ハ ピロティ、アーケード、アトリウム等の建築物又は建築物の部分(以下「ピロティ等」という。)によって覆われている公開空地(はり下(はりがない場合には床版下。以下同じ。)一〇メートル以上のもの又は気候条件等のためピロティ等に覆われていることが公開空地の環境を向上させるものを除く。)

(イ) はり下五メートル以上 〇・八
(ロ) はり下二・五メートル以上五メートル未満 〇・六

ニ 公開空地等の位置、意匠、形態等や公開空地等に面する建築物又は建築物の部分の意匠、形態等が当該公開空地等の効用を増大させ、市街地環境の整備改善に特に寄与すると認められるもの 一・二

3) 隣接する敷地において一体的に計画された公開空地等については、全体を一の公開空地等とみなして、1)及び2)の規定を適用することができるものとする。この場合において、1)及び2)の規定中「当該公開空地等又は公開空地等の部分の面積」とあるのは「当該敷地内の当該公開空地等又は公開空地等の部分の面積」とする。

(4) 容積率の割増し

1) 許可による容積率の割増しに当たって、計画建築物の延べ面積は基準容積率に従い、次に掲げる方式によって得られる面積以下とすること。

V=A×v×{1+(S/A−0.1)×Ki×KA)}
A:敷地面積(公共空地がある場合はその面積を含むものとし、以下2)、4)及び5)について同様とする。)
S:有効公開空地面積の合計
V:割増し後の延べ面積
v:基準容積率
Ki、KA:左表による割増係数

基準容積率(v)
割増係数(Ki)
10/10未満
2/3
10/10以上 90/10未満
1/3+(9−v)×1/8×1/3
90/10以上
1/3

この場合において、市街地住宅総合設計及び再開発方針等適合型総合設計にあってはそれぞれ次に掲げる係数を右表による割増係数に乗じて得たものをKiとする。

市街地住宅総合設計
a×3/4+1
再開発方針等適合型総合設計
1.2

a:建築物における住宅の用に供する部分の延べ面積に対する割合(2/3を超える時は2/3とし、以下2)において同様とする。)

用途地域
敷地面積(A)
割増係数(KA)
第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域
5000m2以上
2
 
5000m2未満
1+(A−Amin)/(5000−Amin)
上記以外の地域又は区域
 
1

Amin:建築基準法施行令第136条第3項の表の(い)欄に掲げる区分に応じて、同表(ろ)欄に掲げる敷地面積の規模(ただし、特定行政庁が規則でその規模を別に定めた場合には、当該敷地面積の規模)

2) 1)に規定する容積率の割増しを行うに当たっては、基準容積率に一・五を乗じたものに敷地面積を乗じて得られる延べ面積と当該容積率に一〇分の二〇を加えたものに敷地面積を乗じて得られる延べ面積のいずれか小さいものを限度とする。ただし、市街地住宅総合設計及び再開発方針等適合型総合設計にあっては、左表に掲げるものを限度とする。

市街地住宅総合設計
A×v×(a×3/8+3/2)とA×{v+(a×15+20)/10}のうちいずれか小さいもの
再開発方針等適合型総合設計
A×v×1.5とA×(v+25/10)のうちいずれか小さいもの

3) 特別に高度利用を図る必要があると位置付けられた区域における再開発方針等適合型総合設計については、1)に規定する割増係数及び2)に規定する限度について、当該再開発方針等の内容に即して特別な運用を行うことができるものとする。
4) 有効公開空地面積の合計の敷地面積に対する割合(以下「有効公開空地率」という。)が、基準建ぺい率(法第五三条の規定による建ぺい率をいう。以下同じ。)に従い、左表に掲げる値に満たない場合には、1)の規定にかかわらず、原則として、容積率の割増しを認めないものとする。なお、4)における有効公開空地面積の合計には、(2)に規定する公開空地に準ずる有効な空地について、有効公開空地面積の合計の二分の一を超える部分を算入しないものとする。

基準建ぺい率(C)
有効公開空地率(S/A)の下限
5.5/10未満
0.5
5.5/10以上
0.2+(1−C)×10/4.5×0.3

C:基準建ぺい率

5) 公開空地が計画建築物の敷地のうち計画道路又は予定道路に係る部分の全部又は一部にあり、かつ、1)に掲げる式によって得られる割増し後の延べ面積(V)を計画道路又は予定道路に係る部分の面積を除いた敷地面積で除した数値が、法第五二条第一項に掲げる数値(建築物の敷地が当該数値の異なる地域又は区域の二以上にわたる場合においては、当該地域又は区域の当該数値に、その敷地の当該地域又は区域内にある各部分の敷地面積に対する割合を乗じて得たものの合計をいい、以下「指定容積率」という。)を超える場合においては、当該計画建築物の延べ面積は、1)に掲げる式によって得られる面積以下であり、かつ、1)の規定中「敷地面積」とあるのは「敷地面積から計画道路又は予定道路に係る部分の面積を除いた面積」と、「有効公開空地面積」とあるのは「有効公開空地面積から計画道路又は予定道路に係る部分の有効公開空地面積を除いた面積」と、「基準容積率」とあるのは「指定容積率」とそれぞれ読み替えて準用する1)に掲げる式によって得られる面積以下とすること。この場合においては、4)の規定中「有効公開空地面積」とあるのは「有効公開空地面積から計画道路又は予定道路に係る部分の有効公開空地面積を除いた面積」と「敷地面積」とあるのは「敷地面積から計画道路又は予定通路に係る部分の面積を除いた面積」とそれぞれ読み替えて当該規定を準用する。

3 都心居住型総合設計

都心居住型総合設計に基づく許可については第1の1及び2によらず以下によること。
(1) 道路

許可で基準容積率に係るものを受けることができる建築物の敷地は、幅員が八メートル以上の道路に接しているものであり、かつ、当該道路に沿って設けられた歩道状公開空地と当該道路とを合わせた幅員が一二メートル以上であるものであること。ただし、建築物の敷地が接する道路(法第四二条第二項の規定により同条第二項の道路とみなされる道を除く。)が計画道路若しくは予定道路の区域内にあり、又は敷地周辺の道路の状況等を勘案し、交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認められる場合は、この限りでない。

(2) 敷地面積

建築基準法施行令(以下「令」という。)第一三六条第三項の規定により特定行政庁が規則で定めた敷地面積の規模が一、〇〇〇平方メートル未満である場合は、建築物の敷地面積が一、〇〇〇平方メートル以上であること。ただし、隣接する敷地と協調的な利用により合理的な建築計画が実現し、良好な街並みの形成が図られると認められる場合は、この限りでない。

(3) 住宅とみなす日常生活を支える施設

デイサービスセンター、保育所等の福祉施設及び近隣住民の日常生活のために必要な店舗、飲食店等について、特定行政庁が地域の状況に応じて「住宅とみなす日常生活を支える施設」として認めるものについては、総合設計制度許可準則第2の1の(3)の2)における対象建築物の住宅の用に供する面積の算定の際、住宅とみなすものとする。

(4) 居住水準

住宅マスタープラン等を勘案して、住宅一戸あたりの専用床面積の最低限度など居住水準を確保するために必要な事項を許可の条件とすることができる。

(5) 公開空地等

1) 公開空地の定義

第1の2の(1)によること

2) 公開空地に準ずる有効な空地

第1の2の(2)によること

3) 公開空地等の有効面積の算定

第1の2の(3)によること

4) 容積率の割増し

イ 許可による容積率の割増しに当たって、計画建築物の延べ面積は基準容積率に従い、次に掲げる方式によって得られる面積以下とすること。

V=A×v×{1+(S/A−0.1)×Ki×3×KA}

A:敷地面積(公共空地がある場合は、その面積を含むものとし、以下(ロ)について同様とする。)
S:有効公開空地面積の合計
V:割増し後の延べ面積
v:基準容積率
Ki、KA:左表による割増係数

基準容積率(v)
割増係数(Ki)
10/10未満
2/3
10/10以上 90/10未満
1/3+(9−v)×1/8×1/3
90/10以上
1/3
敷地面積(A)
割増係数(KA)
5000m2以上
2
5000m2未満
1+(A−Amin)/(5000−Amin)

Amin:建築基準法施行令第136条第3項の表の(い)欄に掲げる区分に応じて、同表(ろ)欄に掲げる敷地面積の規模(ただし、特定行政庁が規則でその規模を別に定めた場合には、当該敷地面積の規模)

ロ イに規定する容積率の割増しを行うに当たっては、基準容積率に二・〇を乗じたものに敷地面積を乗じて得られる延べ面積と当該容積率に一〇分の四〇を加えたものに敷地面積を乗じて得られる延べ面積のいずれか小さいものを限度とする。
ハ 割増し後の容積率が一〇分の六〇を超える容積率の割増しについては、当該計画建築物の敷地が、幅員が一二メートル以上の道路に接し、かつ当該道路に沿って設けられた歩道状公開空地と当該道路とを合わせた幅員が一六メートル以上のものであること。
ニ そのほか、第1の2の(4)の4)及び5)によること。

4 保育所等

次のイ、ロ又はハに該当する建築物については、2の(4)1)、2)、3)及び5)若しくは3の(5)4)に規定する容積率の割増しと併せて、保育所その他の生活支援施設(以下「保育所等」という。)の部分(3(3)に規定する「住宅とみなす日常生活を支える施設」の部分を除く。)の床面積の合計に相当する特別の容積率の割増しを行うことができるものとする。
イ 駅又は駅近傍の建築物であって保育所等が設けられるもの
ロ 大規模な共同住宅であって保育所等が設けられるもの
ハ 大規模な複合的再開発により整備される建築物であって保育所等が設けられるもの
ただし、この割増しは、保育所等の数が不足している又は不足するおそれがあることから、保育所等の確保が必要であると認められる場合に実施するものとし、その判断に当たっては、当該建築物の周辺における住宅及び業務施設の集積状況等の土地利用の状況、保育所等の整備状況等を勘案して行うものとする。

5 自動車車庫

(1) 商業地域若しくは近隣商業地域又はこれらの周辺の地域のうち、特定行政庁が自動車の路上駐車により交通上の支障が生じていることから、駐車施設の確保が必要であると認めて指定した区域内の建築物(当該建築物に設置する自動車車庫のうち、一五台以上の自動車を収容できる部分を時間貸し等により一般公共の用に供しているものを含む建築物に限る。)については、2の(4)1)、2)、3)及び5)に規定する容積率の割増しと併せて、自動車車庫の部分(令第二条第一項第四号及び第三項の規定により容積率制限に関して延べ面積に算入しないこととされる部分を除く。以下同じ。)の床面積の合計に相当する特別の容積率の割増しを行うことができるものとする。

ただし、本特例による容積率の割増しは、公開空地による容積率の割増しに二分の一を乗じたものを限度とする。
なお、特定行政庁による区域の指定に際しては、当該区域内における業務施設の集積状況等の土地利用の状況、公共施設の整備状況、駐車施設の整備状況、路上駐車の発生状況、道路交通の状況等を勘案して駐車施設の確保の必要性に関する判断を行うものとする。

(2) 次の1)及び2)に該当する共同住宅の附属自動車車庫については、2の(4)1)、2)、3)及び5)若しくは3の(5)4)に規定する容積率の割増しと併せて、自動車車庫の部分の床面積の合計に相当する特別の容積率の割増しを行うことができるものとする。

ただし、本特例による容積率の割増しは、共同住宅に附属する自動車車庫のうち、住宅戸数に相当する自動車を収容する部分について行うものとする。
1) 当該共同住宅に附属する自動車車庫の収容台数の合計が、当該共同住宅の住宅戸数以上であること。
2) 地下に設ける自動車車庫であること。ただし、半地下大自動車車庫等であっても敷地内の空地の利用に支障がなく、かつ市街地景観に配慮していると認められるものについては、この限りでない。

6 標示

(1) 公開空地等である旨等の標示

公開空地寺内の適当な場所に、当該公開空地等が法に基づいて設けられたものである旨及び特定行政庁により深夜等の閉鎖が認められた公開空地についてはその公開空地を標示するものとする。

(2) 市街地住宅総合設計又は都心居住型総合設計による建築物である旨の標示

建築物の玄関部分等適当な場所に、住宅の用に供する部分を明らかにした各階平面図を付して、当該建築物が法に基づく市街地住宅総合設計制度又は都心居住型総合設計制度によるものである旨を標示するものとする。

(3) 第1の4による特例を受けた保育所等又はその敷地内の適当な場所に、当該保育所等が当該特例の適用を受けたものである旨を標示するものとする。
(4) 第1の5の(1)による特例を受けた自動車車庫又はその敷地内の適当な場所に、当該自動車車庫が当該特例の適用を受けた一般公共の用に供されるものである旨を標示するものとする。

第2 絶対高さ制限に関する緩和

法第五五条第一項の規定に係る許可を受けることができる建築物は、敷地の各辺(単純な形状の多角形の敷地にあっては敷地境界線、多角形でない敷地又は複雑な形状の多角形の敷地にあっては、当該敷地を単純な多角形に近似した場合の各辺をいう。以下同じ。)において、Si’がSi以下であるものとする。この場合において、Si’とは、Oi(各辺についてその中点から一六メートルの距離だけ外側にある点をいう。)を通る鉛直線上の各点を視点として建築物の各部分を各辺上の鉛直面に水平方向に投影した図形の面積(以下「立面投影面積」という。)とし、Siとは各辺の長さに一〇メートル又は一二メートルのうち当該地域に関する都市計画において定められた建築物の高さの限度を乗じて得た値とする。

第3 道路斜線制限等に関する緩和

1 道路斜線制限及び隣地斜線制限関係

(1) 道路斜線制限(法第五六条第一項第一号)又は隣地斜線制限(同項第二号)に係る許可を受けることができる建築物は、敷地の各辺においてSi’がSi以下であるものとする。この場合において、Si’とは、Oi(各辺についてその中点から次に掲げる区分に従い、1)、2)又は3)に掲げる距離だけ外側にある点をいう。)を通る鉛直線上の各点を視点とした立面投影面積とし、Siとは、各辺において法第五六条第一項第一・A第二号及び第二項の規定によって許容される最大の立面投影面積とする。

1) 第一種低層住居専用地域及び第二種低層住居専用地域

道路に接する各辺について当該道路の幅員に法第五六条第二項の規定による当該建築物の後退距離(以下「後退距離」という。)に相当する距離を加えた距離

2) 第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域及び準住居地域

道路に接する各辺について当該道路の幅員に後退距離に相当する距離を加えた距離、その他の各辺については一六メートルに高さが二〇メートルを超える部分を有する建築物にあっては、その部分から隣地境界線までの水平距離のうち最小のものに相当する距離を加えた距離

3) 近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域、工業専用地域又は用途地域の指定のない区域(以下「非住居系地域」という。)

道路に接する各辺について当該道路の幅員に後退距離に相当する距離を加えた距離、その他の各辺については一二メートルに高さが三一メートルを超える部分を有する建築物にあっては、その部分から隣地境界線までの水平距離のうち最小のものに相当する距離を加えた距離

(2) 高さが一〇〇メートルを超える建築物に対する(1)の規定の適用については、次のイ、ロ及びハを加えたものをもって(1)のSi’とする。

イ 建築物の高さ一〇〇メートル以下の部分の立面投影面積
ロ 建築物の高さ一〇〇メートルを超え一五〇メートル以下の部分の立面投影面積に二分の一を乗じて得たもの
ハ 建築物の高さ一五〇メートルを超える部分の立面投影面積に三分の一を乗じて得たもの

(3) 前面道路の反対側の境界線からの水平距離に後退距離に相当する距離を加えたものが法第五六条第一項別表第三(は)欄に掲げる距離を超える建築物の部分の立面投影面積は、道路に接する各辺のSi’に含めないものとする。

2 北側斜線制限関係

(1) 第一種低層住居専用地域及び第二種低層住居専用地域においては、北側斜線制限(法第五六条第一項第三号)は原則として緩和しないものとする。ただし、階段室、昇降機塔等の建築物の屋上部分で隣地に対する日照条件を十分考慮したものについては、この限りでない。
(2) 第一種中高層住居専用地域及び第二種中高層住居専用地域においては、北側斜線制限は原則として緩和しないものとする。ただし、塔状建築物等で隣地に対する日照条件を十分考慮したものについては、この限りでない。

第4 建築物の敷地が斜線制限等の高さの制限の異なる地域又は区域の内外にわたる場合の措置

1 敷地が法第五五条第一項又は法第五六条第一項第一号、第二号若しくは第三号の規定による建築物の高さの制限が異なる地域又は区域の内外にわたる建築物に対する第3の1の規定の適用については、敷地の各辺の中点から次の1)又は2)に掲げる距離だけ外側にある点をもって第3の1の(1)のOiとし、各辺において法第五五条第一項又は法第五六条第一項第一号、第二号若しくは第三号の規定によって許容される最大の立面投影面積をもって第3の1の(1)及び(2)のSiとする。

1) 道路に接する各辺について当該道路の幅員に後退距離に相当する距離を加えた距離
2) その他の各辺については左記の式による数値

(16×L1+A2×L2+A3×L3)/L

A2 :16メートルに高さが20メートルを超える部分を有する建築物にあっては、その部分から隣地境界線までの水平距離のうち最小のものに相当する距離を加えた距離の数値
A3 :12メートルに高さが31メートルを超える部分を有する建築物にあっては、その部分から隣地境界線までの水平距離のうち最小のものに相当する距離を加えた距離の数値
L1 :各辺のうち第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域に存する部分の長さ
L2 :各辺のうち第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域又は準住居地域に存する部分の長さ
L3 :各辺のうち非住居系地域に存する部分の長さ
L :各辺の長さ(L=L1+L2+L3)

なお、絶対高さ制限(法第五五条第一項)及び北側斜線制限(法第五六条第一項第三号)の適用される地域又は区域の内外にわたる場合で、当該地域又は区域に存する部分において北側斜線制限が敷地境界線から連続して適用される範囲の部分について、法第五五条第一項の規定に係る許可を受ける場合には、第2を準用し、また、法第五六条第一項の規定については、第3の2を準用する。

2 前記1の判定方式のみでは斜線制限等の高さの制限の部分適用方式(建築物の各部分の高さが当該部分の存する地域又は区域の制限の適用を受ける方式をいう。)が十分に反映されないことになり、敷地周辺の環境にとって不適当である場合には、適切な措置を講ずるものとする。

例えば、法第五六条第一項第一号、第二号又は第三号の規定に係る許可を受ける建築物が高さの制限の異なる区域の内外にわたる場合には、建築物の敷地を第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域内に存する部分、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域又は準住居地域内に存する部分及び非住居系地域内に存する部分に区分し、それぞれの部分について第3の(イ)を準用する。この場合において、「各辺」とあるのは、それぞれ「各辺のうち第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域内に存する部分」「各辺のうち第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域又は準住居地域内に存する部分」又はそれぞれ「各辺のうち第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域内に存する部分」「各辺のうち第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域又は準住居地域内に存する部分」と読み替え、また、Siとは、当該部分について法第五六条第一項第一号、第二号及び第三号の規定によって許容される立面投影面積とする。



参考図
<別添資料>


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