特定行政庁建築主務部長あて
記
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別添 建設省経民発第三一号
昭和六二年八月一八日
都道府県知事
指定都市の長あて
建設省建設経済局長
再開発型開発行為に関する開発許可制度の運用の適正化について
開発許可制度は、無秩序な市街化の防止と都市の秩序ある整備に大きく寄与してきたところであるが、近年活発となってきた市街地におけるビル建設を目的とする開発行為や土地区画整理事業等の計画的な開発が行われた区域における二次的な開発行為(以下「再開発型開発行為」と総称する。)については、開発行為と建築行為が時間的にも計画的にもきわめて密接な関連を有して行われること、開発行為が行われる区域の周辺において一定の水準の公共施設が整備されている場合も多いこと等、都市近郊において新市街地の形成を図る開発行為とは異なった要素を有している。
このため、今般、再開発型開発行為に関する開発許可制度の運用の適正化について左記の方針を定めたので、これに即して開発許可の事務の執行に遺憾のないようにされるとともに、この旨貴管下の都市計画法(以下「法」という。)第八六条第一項の規定に基づき都道府県知事の委任を受けた市及び事業者にも周知徹底方取り計らわれたい。
記
1 単なる形成的な区画の分割又は統合によって建築物等を建築する行為の取扱いについて
(1) 法第四条第一二項に規定する開発行為の定義について、建築物の建築に際し、切土、盛土等の造成工事を伴わず、かつ、従来の敷地の境界の変更について、既存の建築物の除却や、へい、かき、さく等の除却、設置が行われるにとどまるもので公共施設の整備の必要がないと認められるものについては、建築行為と不可分一体のものであり、開発行為に該当しないものとして取り扱うこと。
(2) (1)の基準に基づいて運用を行うに際しては、開発行為に該当するか否かについて開発許可権者が判断する必要があることから、市街化区域において一〇〇〇m2(都市計画法施行令(以下「令」という。)第一九条ただし書きの規定により都道府県知事が別に規模を定めたときはその規模)以上の敷地で建築物等の建築を行うものについては、建築確認担当部局の審査に先だち、開発許可担当部局が開発行為に該当するか否かの判断を速やかに行うこととし、当該建築を行おうとする者の求めに応じ都市計画法施行規則第六〇条に規定する書面を交付するものとするほか、建築確認担当部局と十分連絡調整を図るとともに、この旨を事業者にも周知徹底を図る必要があること。
2 再開発型開発行為に関する公園、緑地、広場(以下「公園等」という。)の基準の運用について
(1) 開発区域内において法第三三条に定める基準を充たす公園等と同等の機能を有すると認められる総合設計等に基づく公開空地等の確保が担保される場合には、公園等のための空地を公園管理者に移管せずに建築物の敷地として一体的に開発行為者に管理させても、実質的に良好な都市環境が確保されることから、建築基準法に基づく総合設計制度又は法に基づく特定街区制度により、開発区域内に公開空地等が確保され、引続き空地としての管理がなされることが確実な開発行為については、公園管理担当部局と協議のうえ令第二五条第六号ただし書を適用し、形式的に公園等の確保を求めなくてもよいこととすること。
(2) 土地区画整理事業、新住宅市街地開発事業又は開発許可により面的な整備事業が施行された区域内の土地等、公園等が周辺において既に適正に確保された土地の二次的な開発については、同号ただし書に該当するものとして、二次的な開発に際して公園等を更に求める必要がないものであること。
(3) 総合設計制度又は特定街区制度により確保された公開空地等が、法第三六条第三項の工事完了公告の後においても、駐車場等に転用されず、法に基づく公園等の機能を実質的に保つことを担保するため、開発許可に際しての条件の付与等の措置を事案に応じて講ずるとともに、公開空地等の確保に関して、十分な担保措置がなされるよう建築確認担当部局又は都市計画担当部局と調整を図ること。
(4) 総合設計の許可の事前審査と開発許可の事前協議手続は、建築確認担当部局と開発許可担当部局との十分な連絡調整を図りつつ並行して実施することとし、総合設計の許可が確実と見込まれる段階で開発許可を行うこと。
3 再開発型開発行為に関する道路の基準の運用について
(1) 昨今、大都市圏域の都心部周辺において、住宅や店舗等から事務所ビルへの転換が進み、街区全体にわたって土地利用の再編が進行しつつあるが、幹線街路に面していない開発であって、前面道路の幅員が九メートル未満のものについては、幹線街路に至るまでの道路の拡幅を求めている場合もあるが、幹線街路に面して既に中高層の建築物が存する場合等道路拡幅用地の確保が事実上不可能と考えられる場合もあり、これを強制することは、結果として、開発行為の規制を避けるための小規模な開発を生じせしめることとなり、かえって都市の秩序ある整備に支障を及ぼすおそれがあると考えられる。
ついては、今後、予定建築物の用途が住宅以外のものであっても次の要件のすべてに該当する開発行為については、都市計画法施行規則第二〇条の規定にかかわらず、令第二五条第二号括弧書きを適用し、小区間で進行上支障がない場合として取り扱って差し支えないこと。
1) 予定建築物が建築基準法に基づく総合設計制度又は法に基づく特定街区制度の適用を受けて行われるもので当該建築に際して総合設計の許可又は特定街区の都市計画決定に基づき、歩道状の公開空地等が主要な前面道路に沿い、当該前面道路に接する敷地全長にわたって適切に確保されていること。
2) 幹線道路への接続距離が短いこと。
3) 開発区域の二面以上が幅員六メートル以上の道路に接していること。
(2) 総合設計等により確保された公開空地等の担保措置については、記2(3)と同様に取り扱うこと。
(3) 総合設計担当部局との所要の連絡調整等については、記2(4)と同様に取り扱うこと。
4 開発許可担当部局と建築確認担当部局及び都市計画担当部局との連絡調整の徹底
再開発型開発行為については、開発行為と建築行為が時間的にも計画的にも極めて密接な関連を有して行われること、また、開発許可の基準の運用の適正化を図る場合の要件に総合設計の許可又は特定街区の都市計画決定が含まれていることから、建築確認担当部局、都市計画担当部局との緊密な事前調整が必要となる。
ついては、再開発型開発行為について、建築確認又は都市計画の事務と開発許可事務との調整を円滑化するため、再開発型開発行為に関する所要の連絡調整を実施する場を設ける等、迅速な手続処理を行うこと。
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