昭和五五年七月一四日建設省告示第一二九二号(以下「旧告示」という。)の一部が別添のとおり昭和六三年三月八日建設省告示第三四二号により改正され、昭和六三年四月一日から施行されることとなつた。
本改正は、水質保全に対する社会的要請の高まりに的確にこたえるため、汚水処理技術の発展の成果を踏まえ、近年急速に普及しつつある処理対象人員が五〇人以上で屎尿と雑排水とを併せて処理する方法による構造の屎尿浄化槽(以下「小規模合併処理浄化槽」という。)について、新たに構造基準を定めることとしたものである。
改正後の告示(以下「改正告示」という。)の概要及び今後の運用方針は、左記のとおりであるので、貴職におかれては関係市町村に対してもこの趣旨を徹底させ、施行に遺憾なきよう取り計らわれたい。
I 改正告示の概要
一 今回の告示改正は、小規模合併処理浄化槽として現在実用化が進んでおり、今後も普及の見込まれるものの処理方式について、共通的かつ基本的な性能を得るための要件を集約し、これにより構成した構造基準を改正告示の中に位置付けたものである。なお、今回追加された処理方式の性能は、通常の使用状態において、BODの除去率が九〇パーセント以上及び屎尿浄化槽からの放流水のBODが二〇PPM以下の処理能力を有するものである。
二 運用上留意すべき事項は、次のとおりであるので、遺憾のないよう設計者、設置者等を指導、監督されたい。
(一) 第一第四号及び同第五号関係
改正告示第一第四号(一)(ト)(二)及び同第五号(一)(チ)(二)に規定する「日平均汚水量に見合う容量とする」とは、日平均汚水量を踏まえたポンプの容量の設定に当たり、短時間に過大な水量を送ることにより、沈殿分離槽中の沈殿汚泥を撹乱することのないよう配慮することをも意味する。
(二) その他
1) 旧告示の中で使用されている用語の整理を行つた。
a 「浮上物」は、「スカム」を包含することとする。
b 「返送」は、活性汚泥による処理を行う場合の構造基準に用いられることとする。
2) 改正告示第一第一号の規定は、旧告示第一第一号と同様の内容であるが、改正告示第一第四号との区別を明確にするため、見出しに「(単独処理)」を加えることとした。
II 今後の運用方針
一 旧告示第八の規定により認定した小規模合併処理浄化槽については、改正告示の施行後も、認定の効力を失うものではないので、改正告示第八の規定に基づく認定を再度受ける必要はない。
二 小規模合併処理浄化槽で改正告示の規定に適合するものであつても、当該浄化槽を工場において製造しようとする者は、浄化槽法(昭和五八年法律第四三号)第一三条第一項の規定に基づき、製造しようとする浄化槽の型式について、建設大臣の認定を受けなければならない。なお、工場生産による屎尿浄化槽の型式については、その処理方式、槽の容量及び寸法、性能、認定の表示その他の事項を取りまとめた性能認定シートが財団法人日本建築センターから送付されることとなつているので、建築基準法上の確認等及び浄化槽法上の通知等に当たつては、積極的に活用されたい。
三 本改正が水質保全に対する社会的要請の高まりに対応したものであることにかんがみ、住宅等から排出される雑排水に対して行政上の対策が必要とされる地域にあつては、屎尿と併せて雑排水を処理することができる改正告示第一第四号又は第五号に規定する処理方式の小規模合併処理浄化槽の普及促進を図られたい。
四 改正告示第一から第七までに定めるもの以外の構造の屎尿浄化槽その他の特殊な構造の浄化槽については改正告示第八の規定に基づく建設大臣の認定の取得が必要であることを念のため申し添える。
五 改正告示の施行に関連し、「建築物の用途別による屎尿浄化槽の処理対象人員算定基準(JIS A三三〇二)」について、合併処理方式の屎尿浄化槽にも対応できるよう改定を行い、昭和六三年四月一日付けで公示する予定である。