住防発一三号
平成元年六月一三日

建設省住宅局長から都府県知事あて

通知


建築物の落下物対策のための改修に係る特別償却制度に関する認定事務の取扱いについて


標記制度の延長拡充等については、租税特別措置法の一部を改正する法律(平成元年法律第一二号)及び租税特別措置法施行令の一部を改正する政令(平成元年政令第九四号)によって行なわれ、既に、平成元年四月一日付け元国防震第二五号建設省住防発第九号をもって、都道府県知事あて通知したところであるが、今後、本制度の施行に当たって必要となる特定行政庁の認定事務については、新たに左記事項に留意して運用されたい。
また、貴管下関係特定行政庁に対しても、周知徹底方をお願いする。
なお、昭和六二年五月二三日付け建設省住防発第一二号による通知は廃止するもので念のため申し添える。

第1 租税特別措置法施行令(昭和三二年政令第四三号。以下「令」という。)第六条第四項及び第二八条の五第四項に規定する建設大臣の定める基準(昭和六二年三月三一日建設省告示第九〇〇号。以下「認定基準」という。)について

1 認定基準第一(対象工事の範囲)

(1) 「周囲の道路その他これに類する空地において被害を生ずるおそれのある部分」及び「当該避難経路において被害を生ずるおそれのある部分」とは、特定行政庁が建築物の所有者又は管理者に地震動により生ずる建築物の落下による被害を防止するための改修が必要である旨の文書による指導を行った建築物の部分をいうものであること。
(2) 「その他これに類する空地」とは、公園、広場等一般の通行の用に供する空地をいうものであること。
(3) 「被害を生ずるおそれのある部分」には、次に掲げる部分は含まれないものであること。

ア 建築物の形状から明らかに道路等へ落下のおそれがないと認められる当該建築物の部分
イ 道路等と建築物との間に一般の通行の用に供さない一定距離の空地がある当該建築物の部分

2 認定基準第二(対象工事の技術的基準)

(1) 認定基準第二第一号

ア 認定基準第二第一号イに規定する工事は、既存の外装材を補強する工事又は既存の外装材の全部を除去して新たに外装材を設ける工事で、「屋根ふき材、外装材及び屋外に面する帳壁の基準を定める件(昭和四六年一月二九日建設省告示第一〇九号。以下「告示」という。)」第二の規定に適合するものであること。
イ 認定基準第二第一号ロに規定する工事は、既存の外装材の屋外側に新たに帳壁を設けて当該外装材を覆う工事で、告示第三の規定に適合するものであること。

(2) 認定基準第二第二号

認定基準第二第二号に規定する工事は、既存の建築物の屋外に面する帳壁を補強する工事又は既存の屋外に面する帳壁の全部を除去して新たに帳壁を設ける工事で、告示第三の規定に適合するものであること。

(3) 認定基準第二第三号

ア 認定基準第二第三号イに規定する工事は、既存の建築物の外壁に設けられた窓その他の開口部に設ける戸、枠その他これらに類するものを改修する工事で、当該工事により開口部が、地震動により生ずる建築物の落下による被害を防止する上で有効なものとなるものであること。
イ 認定基準第二第三号ロに規定する工事は、既存の建築物の外壁に設けられた窓その他の開口部に設けるガラスその他これに類するものを網入りガラス、合わせガラス等に交換する工事で、当該工事により開口部が、地震動により生ずる建築物の落下による被害を防止する上で有効なものとなるものであること。
ウ 認定基準第二第三号ハに規定する工事は、既存の建築物の外壁に設けられた窓その他の開口部の屋外側に新たに帳壁を設けて当該窓その他の開口部を覆う工事であり、告示第三の規定に適合するものであること。

3 認定基準第三(その他)
「華美な装飾に係る工事」とは、商業宣伝のための電飾を設ける工事、広告板を設ける工事その他これらと同等以上に華美な装飾とみなされる工事をいうものであること。

第2 認定手続きについて

1 認定の申請

(1) 認定の申請は、工事を行う者が原則として工事完了後、別記様式第一(省略)による落下物対策工事認定申請書に、次に掲げる図書を添付して提出することにより行うものとすること。

ア 建築物の概要及び工事部分が明示されている図書
イ 仕様書

工事前及び工事後の状況並びに外壁等の仕様内容が明らかになるもの

ウ 建築物の登記簿謄本又はその写し、建築基準法(昭和二五年法律第二〇一号。以下「建基法」という。)第七条第三項に規定する検査済証又はその写し等建築物の所在地、建築年次及び建築物の階数が明らかになる図書
エ 写真

工事前、工事中及び工事後の状況が明らかになるもの

オ 特定行政庁の改修指導等の文書又はその写し
カ 工事一覧表

別記様式第2(省略)によるもの

キ 工事契約書の写し

契約当事者、工事名、工事期間及び工事費(当該工事に係るすべての費用をいい、租税特別措置法(昭和三二年法律第二六号。以下「法」という。)第一一条の二第一項又は第四四条第一項に規定する取得価格を意味するものではない。)が明示されているもの

ク アからキまでに掲げるもののほか特定行政庁が必要と認める図書

(2) 申請書の受理に当たっては、法第一一条の二第一項又は第四四条第一項に定める次に掲げる要件を満たすことを確認すること。

ア 対象地域又は区域

次の(ア)の1)から4)までのいずれかに該当し、かつ、(イ)の1)又は2)に該当する地域又は区域であること。

(ア)

1) 大規模地震対策特別措置法(昭和五三年法律第七三号)第二条第四号に規定する地震防災対策強化地域
2) 首都圏整備法(昭和三一年法律第八三号)第二条第三項に規定する既成市街地
3) 近畿圏整備法(昭和三八年法律第一二九号)第二条第三項に規定する既成都市区域
4) 首都圏、近畿圏及び中部圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律施行令(昭和四一年政令第三一八号)別表に掲げる区域

(イ)

1) 都市計画法(昭和四三年法律第一〇〇号)第四条第一項に規定する都市計画に定められた建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合の最高限度が一〇分の四〇以上である区域(以下「特定の区域」という。)

なお、「都市計画法第四条第一項に規定する都市計画に定められた建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合の最高限度が一〇分の四〇以上である区域」とは、建基法第五二条第一項第三号及び第四号に掲げる都市計画に定められた建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合が一〇分の四〇以上である区域をいうものであること。

2) 特定の区域以外の区域内に存する避難路に面する区域

なお、「特定の区域以外の区域内に存する避難路」とは、特定の区域以外の区域内に存する災害対策基本法(昭和三六年法律第二二三号)第二条第一〇号に規定する地域防災計画において定められた避難路をいうものであること。

イ 対象建築物

昭和五四年四月一日前に建築された地階を除く階数が三以上の建築物であること。
なお、「昭和五四年四月一日前に建築された建築物」とは、昭和五四年四月一日の時点で現に存する建築物又は現に建築、修繕若しくは模様替の工事中の建築物をいう。

ウ 対象となる建築物の部分

建築物の外壁及び当該外壁に設けられた窓その他の開口部であること。

2 認定の審査

認定の審査は、第2、1・(1)に規定する落下物対策工事認定申請書及び添付図書により行うものとする。また、必要に応じ、現地調査を行うこと。

3 認定済書の交付

認定を行った場合、別記様式第3(省略)による認定済書を交付するものとする。
なお、この認定済書は、租税特別措置法施行規則(昭和三二年大蔵省令第一五号)第五条の一三第二項及び第二〇条の八第二項に規定する「特定行政庁による同項に規定する認定に係る書類」として取り扱われるものである。

4 認定の単位

一の建築物の異なる部分について、時期を異にして実施する工事は、それぞれ認定の対象とすることができることとする。

5 認定の時期

認定は、工事が完了した後、行うものとする。
ただし、認定が可能な程度に工事が進ちょくしている場合は、工事完了前においても行うことができることとする。

6 事前協議

認定の審査手続は速やかに行う必要があるので、実情に応じて、工事完了前に事前協議を行う等により認定事務の円滑な実施を図られたい。

第3 その他

1 管下関係特定行政庁への指導

認定事務は令六条第四項及び第二八条の五第四項の規定に基づき、特定行政庁が行うこととなっているので、貴職におかれては、管下関係特定行政庁に対してこの旨連絡し、認定事務を円滑に行えるよう指導されたい。

2 不服申立て

認定の申請の却下又は認定の拒否については、申請者は行政不服審査法(昭和三七年法律第一六〇号)に基づき、都府県知事が特定行政庁である場合は建設大臣に、市町村長(特別区の長を含む。)が特定行政庁である場合は都府県知事に対して審査請求をすることができ、この場合において、処分庁は同法第五七条に規定する審査庁等の教示を行わなければならないこととなっているので、この旨十分に留意されたい。

3 建築物の落下物対策のための改修に係る特別償却制度に関する認定事務施行細則(案)

特定行政庁における事務処理の参考とするため、別添の「建築物の落下物対策のための改修に係る特別償却制度に関する認定事務施行細則(案)(省略)」を作成したので、これを参考にして、認定事務の円滑な実施を図られたい。

4 手数料

租税特別措置法施行令の一部を改正する政令(平成元年政令第九四号)附則第二九条により、地方公共団体手数料令(昭和三〇年政令第三三〇号)の一部が改正され、「建築物落下被害防止工事認定手数料」を徴収することができることとなったので、規則の制定等適正な運用に努められたい。

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