建設省住指発第二四二号
平成二年五月三一日

特定行政庁建築主務部長あて

建設省住宅局建築指導課長通達


丸太組構法の技術基準の運用について


標記については、昭和六一年五月二八日付け建設省住指発第一三八号(以下「通達第一三八号」という。)をもって貴職あて通知したところであるが、今般、昭和六一年三月二九日建設省告示第八五九号(以下「告示」という。)の一部が、別添のとおり平成二年五月三一日建設省告示第一一二六号により改正された。本改正は、告示の施行後、丸太組構法による建築物の実績が蓄積されてきたことにかんがみ、これまでに安全性が確認された範囲内で、告示が適用される建築物の規模を拡大し、併せて技術基準の内容の合理化を図ったものである。本告示は、平成二年六月一五日から施行されるが、その運用に当たっては、左記の事項を参考とし、遺憾のないよう取り扱われたい。
また、(財)日本建築センターから追って発行される「丸太組構法技術基準・同解説一九九〇年版」(以下「解説」という。)は、告示の解説書として有用なものであると考えられるので、今後の指導上の参考資料として活用されたい。

一 主な改正点等

(1) 告示が適用される建築物の範囲の拡大について

1) 告示第一ロにおいて、延べ面積については、従来は一五〇平方メートル以下としていたが、これを三〇〇平方メートル以下まで拡大した。
2) 告示第一ハにおいて、高さについては、従来は七メートル以下としていたが、これを八・五メートル以下まで拡大した。

(2) 耐力壁についての規定の改正について

1) 告示第四第三号において、耐力壁を構成する丸太材等の断面積については、従来は一二〇平方センチメートル以上七〇〇平方センチメートル以下としていたが、これを一二〇平方センチメートル以上一、四〇〇平方センチメートル以下まで拡大した。
2) 告示第四第四号において、耐力壁の高さは、従来は三・二メートル以下としていたが、これを四メートル以下まで拡大した。また、耐力壁の幅に対する高さの比を一定以下に抑えるために、耐力壁の幅は、従来は一メートル以上としていたが、これを高さに〇・三を乗じて得た数値以上とすることとした。
3) 告示第四第五号において構造計算又は実験により構造耐力上安全であることが確かめられた場合には、耐力壁線相互の距離については八メートル以下まで、耐力壁線により囲まれた部分の面積については四〇平方メートル以下まで拡大した。
4) 告示第四第七号において、従来外壁の耐力壁線の交さ部において必ず通しボルトを設けることとしていたが、構造計算又は実験により構造耐力上安全であることが確かめられたものについては、通しボルトを設けなくてもよいこととした。
5) 告示第四第一一号において、従来は同号の規定によるだぼを構造耐力上有効に設けることとしていたが、構造計算又は実験により構造耐力上安全であることが確かめられた場合については、この規定によらなくてもよいこととした。
6) 日本工業規格G三一一二(鉄筋コンクリート用棒鋼)が昭和六〇年に改正されて、SD二四が削除されたことから、告示第四第一一号イにおいて、耐力壁内に設けるだぼの材料からSD二四を削除した。
7) 告示第四第一一号ハにおいて、従来は、張り間方向及びけた行方向に配置するだぼの本数をだぼの小径や丸太材等の見付高さにかかわらず規定していたが、だぼの小径や丸太材等の見付高さに応じてだぼの本数を決められるようにだぼの本数の算出方法を改めた。

二 運用方針

(1) 通達第一三八号の取扱いについて

本改正に係る部分以外の部分の取扱いについては従来どおりであるので、今後とも通達第一三八号を参考とされたい。

(2) 階数等について

告示第一の規定に適合しないものについても、建築基準法第三八条の規定に基づく建設大臣の認定(以下「認定」という。)を得ることにより建築は可能であるので、念のため申し添える。
なお、既に認定を取得した丸太組構法による建築物については、当該認定によって構造耐力上の安全性が確認されているので、告示の規定に適合するか否かにかかわらず、建築確認を行って差し支えない。

(3) 構造耐力上の安全性の確認について

告示第四第五号ただし書、同第七号ただし書及び同第一一号本文ただし書における構造計算又は実験により構造耐力上安全であることを確かめる方法については、解説を参考とされたい。

(4) 必要だぼ本数について

1) 告示第四第一一号において、必要だぼ本数については、地震力及び風圧力を考慮した計算によって算出することとされたが、具体的な計算方法については解説を参考とされたい。
2) 従前の規定による必要だぼ本数の算出方法については、構造耐力上安全であることが確かめられたものであるので、告示第四第一一号本文ただし書に該当するものとして取り扱って差し支えない。
3) 告示第四第一一号の規定により算出されただぼの本数が、従前の規定により算出されただぼの本数よりも少なくなることにより、丸太材等の各段ごとのだぼ相互の間隔が非常に大きくなる場合が考えられるが、そのような場合には水平力を受けると丸太材等間のずれが過大となるおそれがあるので、丸太材等の各段ごとのだぼ相互の間隔が過大にならないように留意するとともに、確実にだぼが設けられるような施工管理をするよう施工者等を指導されたい。

(5) その他

丸太組構法による建築物の建築確認申請に当たっては、建築基準法施行規則第一条に規定する図書のほか、次の書類を確認申請書に添付するよう、建築主等を指導されたい。ただし、必要だぼ本数を従前の規定により算出する場合には、別記様式二に代えて、通達第一三八号の別記様式二を添付するよう、建築主等を指導されたい。
イ 構造概要一覧表(別記様式一)
ロ 必要だぼ本数計算表(別記様式二)


別記様式 〔略〕


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