特定行政庁建築主務部長あて
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(別添1) 「国と地方の関係等に関する答申」
はじめに (略)
I (略)
II 国・地方の機能分担等の見通しと国・地方間の調整等
[考え方] (略)
[改革方策]
1 国・地方の機能分担等の見直し
(1)〜(4) (略)
(5) 政府は、上記(1)から(4)に従い、改革方策の着実な実施を図ることとし、VIII「改革と推進体制等」の改革推進要綱に基づき、別紙1及び2に掲げる事項を実施するとともに、その他関係省庁により見直し等を推進する。
(以下略)
(別紙1) (略)
(別紙2) (抜すい)
個別の国の関与・必置規制の廃止・緩和等
以下について、その具体化を図り、早期に実施する。
[建設省]
○ 地方公共団体指定の文化財に対する建築基準法の運用に当たり、当該文化財の利用形態及び当該文化財が所在する周辺地域の状況等に応じ、建築物としての安全性を確保しつつ、個別に建設大臣の特例認定を受けて当該文化財にふさわしく修理、改築等を行い得るよう所要の措置を講ずる。
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(別添2) 「国と地方の関係等に関する改革推進要綱」
第1 (略)
第2 各分野における制度・運用の改革の推進等
1 国・地方の機能分担等の見通しと国・地方間の調整等
(1) 国・地方の機能分担等の見直し
ア (略)
イ 権限委譲、国の関与、必置規制の廃止・緩和等の推進
地域経済の振興、地域づくりや住民生活に密接に関連する行政分野等において、答申の指摘に沿って、国から地方への権限委譲等及び国の関与・必置規制の廃止・緩和等を推進するとともに、都道府県の処理する事務についても、答申の指摘に沿って、政令指定都市を初め市町村に対し、その規模、行財政能力等に応じ委譲範囲の拡大を進める。当面、別紙1及び2に掲げる事項について、その具体化を図り、早期に実施する。
(以下略)
(別紙1) (略)
(別紙2) (抜すい)
個別の国の関与・必置規制の廃止・緩和等
以下について、その具体化を図り、早期に実施する。
[建設省]
○ 地方公共団体指定の文化財に対する建築基準法の運用に当たり、当該文化財の利用形態及び当該文化財が所在する周辺地域の状況等に応じ、建築物としての安全性を確保しつつ、個別に建設大臣の特例認定を受けて当該文化財にふさわしく修理、改築等を行い得るよう所要の措置を講ずる。
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(別添3) 地方公共団体が文化財として指定した伝統建築物に対する防火及び構造安全性評価指針
(1) 基本方針
現在、地方公共団体が文化財として指定した伝統建築物(以下「伝統建築物」という。)には老朽化が著しく、保存、修理の時期にあるものも多い。しかしながら、大規模な改修等を行う場合においては、建築基準法を適用するに当たって、その文化的・歴史的価値をいかに保存するかが問題となってきている。現行の建築基準法(以下「法」という。)の規定のうち、特に問題となるものとして、
・ 屋根の不燃化及び外壁等の防火構造化
・ 防火区画等の設置
・ 内装の不燃化
・ 避難経路の確保
・ 基礎の形式
・ 耐力壁量の確保
・ 構造計算の方法
等が挙げられる。しかしながら、伝統建築物についても法が要求している安全性を確保する必要があり、そのための基本方針としては、伝統建築物が防火、構造安全上有利な条件(敷地の規模が大きい、敷地の周囲が公園等で延焼のおそれが少ないこと等)がある場合においては、それを適切に評価した上、建築的対応、消火設備の設置及び維持管理体制を総合的に評価し、必要な安全性が確保されていることを確認することとする。
このような考え方に基づいて、(3)に示す評価指針に従って評価し、その安全性が確認されたものについては、法第38条の規定に基づく大臣認定を行うこととする。
(2) 適用の範囲
本指針の適用の範囲は、伝統建築物のうち、改修等により次に掲げる規定に抵触することとなるものとする。
・ 法第21条〜第26条の規定
・ 法第35条の2の規定
・ 建築基準法施行令第3章の規定
(3) 伝統建築物の評価指針
1) 出火防止
伝統建築物の敷地内及び伝統建築物内では、原則として、裸火の使用を禁止し、必要に応じて禁煙等の措置をとるものとする。ただし、伝統建築物の保存の目的の中に、裸火を用いる行事等の伝統文化の継承が含まれる場合、伝統建築物の所有者等の居住が継続している場合及び一般に公開する部分がある場合においては、消防機関とも十分調整をとり、火気の使用場所を限定する、火気使用室に一定の防火性を確保する、維持管理体制を整備する等出火防止措置が講じられていることを確認する。具体的対応として次のようなものが考えられる。
ア 伝統文化の継承のための裸火を用いる行事等がある場合
裸火を用いる行事等がある場合は、裸火を監視する警備スタッフを配置する。
イ 伝統建築物の所有者等の居住が継続している場合
台所等の常時火気を用いる室を限定し、その室の防火性(内装の不燃化、消火設備の設置等)を確保する。
ウ 一般に公開する部分がある場合
チケット販売や案内人等の待機スペース(詰所)、伝統建築物の内部の一角に設けられた店舗等で、暖房器具等を使用する場合、その場所の防火性を確保する。
また、夜間における放火を防止するため、不審者が伝統建築物に近づき、又は侵入しないように、センサー等による機械警備又は人的な警備体制を整備する。
なお、以上のような措置によっても出火の蓋然性を否定することはできないと考えられるので、火災の拡大防止のための適切な消火設備を設置する。
2) 避難安全の確保
伝統建築物はその多くが木造であり、比較的開放性が高いため、避難上有利なものも多いが、出火後の火災の拡大が急速となる場合もあるため、伝統建築物の所有者等の居住が継続している場合以外は、原則として、就寝の用に供さないものとする。また、一般に公開されるものについては、特に、避難安全を確保するものとする。したがって、就寝用途の有無、一般への公開の有無、伝統建築物の規模等に応じて、消防機関とも調整をとり、次のような措置が講じられていることを確認する。
ア 迅速に、避難できるよう2方向以上の避難経路を確保する。
イ 伝統建築物内部の見学のための順路を設定する場合は、その順路から緊急時に避難できる経路を適切に設定すること。
ウ 避難経路となりうる経路に設ける戸については、避難方向に向かってかぎを用いることなく解錠できるものとすること。
エ 敷地内通路は、2方向以上確保し、道路、公園、広場等に到着するものであること。
オ 一般への公開を行う際には、避難階以外の階に多数の見学者がいると、緊急の場合の避難に支障を生じ、非常に危険であるので、行楽シーズン中等、多数の見学者が予想される場合には、警備スタッフを配置し、一定数以上の見学者が避難階以外の階に入らないように入場の制限を行う。
3) 近隣への延焼防止
仮に、伝統建築物が火災になったとしても、近隣建築物へ延焼することは最低限防止しなければならない。そのためには、伝統建築物が火災になった場合、敷地境界から隣地側へ3m入った位置での輻射受熱が、木材の着火する限界である10Kw/m2以下になることを確認する。延焼防止性能を高める措置としては次のような方法が考えられる。
ア 敷地境界から延焼防止上必要な距離をセットバックする。
イ 塀、植栽等の遮蔽物で輻射熱を低減させる。
ウ 外壁等の、伝統建築物の外周部の防火性能を高める。
エ 伝統建築物内に適切な消火設備を設置し、一定規模以上の火災とならないようにする。
オ 隣接建築物が非常に近接している場合等で、ア〜エの対策によっても、又はア〜エの対策の実施が困難であり、輻射受熱が10Kw/m2以下とすることが相当に困難な場合には、屋外用(屋根、壁、窓、入口)のドレンチャー設備を設ける。
裸木造が隣地境界から3m未満の位置にある場合は、その位置で輻射受熱が10Kw/m2以下となることを確認すること。
また、高さが13m又は軒の高さが9mを超える伝統建築物や延べ面積が3,000m2を超える伝統建築物については、火災による倒壊によって周辺へ与える影響が非常に大きいため、次のいずれかの措置が講じられていることを確認する。
ア 柱、梁等のもえしろを考慮し、倒壊しない性能を確保すること。
イ 倒壊しても隣接建築物に届かないよう適切な措置をとる。
ウ 適切な消火設備を設置し、有効に消火することにより、一定規模以上の火災とならないようにする。
4) 消防活動の確保
路地等前面道路幅員が狭小な場合や伝統建築物の周囲に充分な空地がない場合等消防活動上支障がある場合は、伝統建築物のある街区全体の状況等を踏まえ、消防機関とも十分調整をとり、消防自動車の接近方法、駐車位置、ホースの延長等を考慮し、適正な消防水利の確保を図るとともに、ホース・ノズル等を収納した屋外消火栓等を必要に応じて設置する等、有効な消防活動が確保されることを確認する。
5) 構造安全性
伝統建築物の構造安全性の検討に当たっては、基本的には、当該建築物の構造的特性を十分に把握し、その構法、利用形態、維持管理条件、周辺環境等に応じて適切な外力レベルや安全性の判断基準を設定し、構造計算又は実験によって構造耐力上支障がないことを確認する。
その際の荷重・外力の規模及び安全性の判断基準としては、建築基準法施行令第3章第8節の規定を参考にして、原則として、次のような性能が求められる。
ア 耐震性については、中規模地震に対して構造の骨組が弾性的な挙動を示す範囲内におさまり、また、人命に危害の及ぶような内外装材の破損・脱落がないとともに、大規模地震に対しても、伝統建築物全体が倒壊しないこと。
イ 耐風性については、少なくとも50年再現期待値以上の風圧力に対して構造の骨組が弾性的な挙動を示す範囲内におさまり、また、人命に危害の及ぶような屋根ふき材、外装材の飛散、脱落がないこと。
ウ 常時の鉛直力に対する性能については、実況に応じて算定した鉛直力に対して骨組各部に生じる応力が長期許容応力度相当の応力の範囲内におさまること。
なお、貫構造木造建築物など、現行の法令の構造規定で直接想定していないような特殊な構造の場合で、これまでに大規模な地震や台風に耐えて倒壊することなく現存しているものについては、その構造的特性をそれらの実績に基づいて評価するなどの方法を採用してもよい。
また、ほとんど人間の入ることのないような伝統建築物や、周辺への立入りが禁止されているような伝統建築物については、適切な維持管理がなされるということを条件に、上記のような荷重、外力によって、その建築物の利用者の安全確保を損なうような構造的欠陥が生じないことを確認すればよい。
以上のような要求性能を満たすとともに、伝統建築物の保存、修理の具体的な構造設計に当たっては、次のような点に配慮する。
ア 構造全体の一様性
建築物全体が、荷重、外力に対して一体として安全に耐えること。
イ 水平耐力要素の配置
地震力、風圧力等の水平力に対してバランスよく抵抗できるように構造部材が配置されていること。
ウ 構造部材の剛性と靭性
建築物の利用上支障となる変形、振動が生じないような剛性及び瞬間的破壊が生じないような靭性を確保すること。
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