特定行政庁建築主務部長あて
記
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(別添) 「許認可等行政事務手続の簡素・平明化等に関する調査結果報告書」
(建設省) 建築確認
1 確認申請書の様式の改善
建築主は、都市計画区域内において建築物を建築しようとする場合等においては、建築基準法(昭和二五年法律第二〇一号)第六条の規定に基づき、当該工事に着手する前に、その計画が当該建築物の敷地、構造及び建築設備に関する法令の規定に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受けなければならないこととされている。確認の申請は、建築基準法施行規則(昭和二五年建設省令第四〇号。以下「施行規則」という。)第一条の規定に基づき、建築物の概要等を記載した正本及び副本(様式は施行規則の別記第一号様式として定められている。)に、同条の表に掲げる図書等を添付して行うこととされている。
確認申請書は、正本及び副本の二通提出することとされ、副本は、建築主事が、申請に係る建築物の計画が当該建築物の敷地等に関する法律等に適合することを確認したとき、当該確認の通知書として使用することとされている。
施行規則の別記第一号様式として定められている申請書様式をみると、申請書の正本では「申請者の記名及び捺印」欄となっている部分が、申請書の副本では「確認通知」欄となっている。このため、これらの欄を除けばすべて記載内容は同じであるにもかかわらず、申請書の正本の写しを申請書の副本とすることができず、申請者は、正本と副本を別個に作成しており、手数のかかるものとなっている。
したがって、建設省は、現行副本の「確認通知」欄を様式最下欄に設ける等により、申請書の正本と副本を別個に作成する必要のないよう改善を図る必要がある。
2 確認申請書記載事項の簡素化
確認申請書の様式には、建築基準法施行令(昭和二五年政令第三三八号)第二二条において、最下階の居室の床が木造である場合における床の高さ及び防湿方法が定められていることから、建築物別の概要として「カ 居室の床の高さ」欄が設けられている。
今回調査したC県では、施行規則の別記第一号様式として定められている申請書様式の注書き欄において、最下階の居室の床が木造以外である場合には、「居室の床の高さ」について記載を要しない旨明記されていないため、最下階の居室の床がコンクリート等木造以外の場合においても、申請書に「居室の床の高さ」を記載させている状況がみられた。
したがって、建設省は、施行規則を改正し、申請書の記載事項である「居室の床の高さ」については、最下階の居室の床が木造である場合のみ記載することを明確にするとともに、申請者に対しその旨を周知徹底する必要がある。
3 添付書類の記載方法の改善
施行規則第一条の規定に基づき確認申請書に添付する書類のうち、建築基準法第九三条の二の規定により閲覧の用に供することとされている建築計画概要書(第一号の二様式)の裏面には、附近見取図及び配置図を記載することとされている。
今回、五特定行政庁における当該配置図の記載方法を調査した結果、1)原則手書き又は建築計画概要書に直接コピーさせている、2)別途申請書に添付する図書「配置図」の縮小コピーを貼付することを認めている、3)「配置図」のコピーを別に添付することを認めているなど、特定行政庁によってその取扱いが区々となっている状況がみられた。
B五版である建築計画概要書に附近見取図及び配置図を記載しなければならないことから、大規模な建築物の配置図を記載する場合などは、手書きでは正確な縮図を作成することが困難であり、また、縮小を繰り返した「配置図」のコピーでは判読できない場合が多く、閲覧用としても不十分な図面となるものと考えられる。
したがって、建設省は、建築計画概要書裏面に記載する配置図について、別途申請書に添付する図書「配置図」のコピーを建築計画概要書に添付することにより、裏面への記載を省略することを認めるよう、特定行政庁を指導する必要がある。
4 変更手続の統一及び明確化
建築主事の確認を受けた建築物の計画を変更しようとする場合の手続については、法令に定めはなく、特定行政庁が建築基準法施行細則等により定めている。
今回、五特定行政庁における変更手続を調査した結果、次表のとおり、施行細則に変更手続を定めていないところがあるなど、特定行政庁によってその取扱いが区々となっている状況がみられた。
特定行政庁における変更手続の状況
したがって、建設省は、確認を受けた建築物の計画を変更しようとする場合の手続を施行細則により定めるよう特定行政庁を指導する必要がある。
5 建築確認の対象となる法令の範囲の改善
建築確認の対象となる法令については、「建築確認対象法令について」(昭和六一年三月二八日付け住指発第八〇号)により、消防法、都市計画法等一七法律とされ、それ以外の法令については、必要に応じ、関係部局と連絡調整を図るとともに、申請者に対し必要な助言を行うこととされている。
今回、特定行政庁における建築確認対象法令の取扱いを調査した結果、F県では、河川保全区域における工作物の新築等について、河川法の許可を受けた上で建築確認を受けさせているが、その他の特定行政庁では、このような取扱いを行っていない。
河川法は建築確認対象法令とされていないことから、申請案件が河川法の対象となる場合であっても、河川法の許可を受けるよう必要な助言を行えばよいものである。
したがって、建設省は、建築確認の対象となる法令については、既定のものに限るよう、特定行政庁に対し前記通達の趣旨を徹底する必要がある。
6 申請前の手続の簡素化
今回調査したE市では、独自に「中高層建築物の建築に関する指導要綱」を作成し、これにより、中高層の建築物の計画について、建築確認の申請を行う前に、建築計画届出書、建築物の平面図等とともに「関係機関協議書」を提出させている。この「関係機関協議書」は、建築計画についての関係課(最高一二課室)の意見を取りまとめて作成するものであることから、同市においては、申請者に各関係課と個別に協議して作成させており、申請者にとっては過度の負担となっている。
なお、E市と同様に指導要綱を作成しているA市では、「関係機関協議書」を提出させることとはしていない。
したがって、建設省は、建築確認の申請前に「関係機関協議書」の提出を求める必要がある場合においても、行政機関内部において関係課の合同会議を開催するなどにより処理することとし、申請者に過度の負担を求めることのないよう、特定行政庁を指導する必要がある。
(建設省) 特殊建築物等の定期調査結果の報告
○ 添付書類の簡素化及び明確化
建築基準法第一二条第一項において、劇場、病院等の特殊建築物等で特定行政庁が指定するものの所有者等は、当該建築物の敷地、構造及び建築設備について、定期に、その状況を一級建築士等に調査させて、その結果を特定行政庁に報告しなければならないこととされている。また、建築基準法施行規則第五条において、1)この定期調査結果報告の報告時期は、建築物の用途、構造、延べ面積等に応じて、おおむね六月から三年までの間隔をおいて特定行政庁が定める時期とされるとともに、2)報告すべき事項は、建築物の敷地、構造及び建築設備の安全、衛生、防火及び避難に関する事項で特定行政庁が定めることとされている。また、定期調査結果報告書の添付書類については、法令に定めがなく、特定行政庁が建築基準法施行細則により定めている。
今回、五特定行政庁における添付書類を調査した結果、次表のとおり、特定行政庁によって、添付を要する書類の範囲が区々となっている状況がみられた。
定期調査結果報告書の添付書類の状況
(注一)改善すべき事項がある場合は該当箇所を記載
(注二)改善すべき事項がある場合にのみ添付(該当箇所を記載)
(注三)損傷程度を示す必要がある場合にのみ添付
これらの添付書類のうち、1)附近見取図については、B市及びE市では、定期調査結果報告書に建築物の所在地を記載させているほかに、建築物を特定するためとして添付させているが、他の三特定行政庁では添付させていない。2)配置図については、建築物と道路の位置を確認するためとして四特定行政庁が添付させているが、A市では前回の報告時と建築物の配置に変更がなければ省略することは可能であるとしており、変更がなければ既に特定行政庁が保有している図面により対応できるものである。3)各階平面図については、改善すべき箇所を把握するためとして、四特定行政庁が改善すべき箇所を記載した上でこれを添付させている。このうち、A市、E市及びD県では、改善すべき事項の有無にかかわらず常に各階平面図を添付させているが、B市では改善すべき事項がある場合にのみこれを添付させており、このことによる支障もみられないことから、改善すべき事項がない場合については、これを添付させる必要性に乏しい。また、4)写真については、B市では損傷の程度を把握するためとして添付させているが、他の特定行政庁では添付させていない。なお、C県では、建築物棟別の定期調査結果報告書により建築物の敷地、構造及び建築設備は把握できるとして、添付書類を徴していない。
したがって、建設省は、添付書類について、必要最小限のものとするよう特定行政庁を指導する必要がある。
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