建設省住指発第二二四号
平成五年六月二五日

各都道府県知事あて

建設省住宅局長通知


都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律等の施行について


都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律(平成四年法律第八二号)、都市計画法施行令及び建築基準法施行令の一部を改正する政令(平成五年政令第一七〇号)等については、平成五年六月二五日付け建設省都計発第九〇号をもって建設事務次官から通達されたところであるが、その細目は左記のとおりであるので、関係市町村に対してもこの趣旨を十分周知されるとともに、今後の運用に遺憾のないよう措置されたい。

第一 木造建築物等に係る建築規制の見直しについて

一 準耐火構造(建築基準法(以下「法」という。)第二条第七号の二関係)

耐火構造以外の構造で耐火構造に準ずる耐火性能を有するものを準耐火構造として位置付けることとした。
(一) 準耐火構造の耐火性能及び準耐火構造の指定(建築基準法施行令(以下「令」という。)第一〇七条の二関係)

壁、柱、床、はり、屋根及び階段の準耐火構造の有する耐火性能は、通常の火災時の加熱に一定時間以上耐える性能とし、建設大臣は、耐火構造以外の構造で、当該性能を有すると認められるものを準耐火構造として指定することとした。

二 準耐火建築物(法第二条第九号の三関係)

耐火建築物以外の建築物で、主要構造部を準耐火構造若しくは準耐火構造及び耐火構造とした建築物又は主要構造部の防火の措置その地の事項について一定の技術的基準に適合する建築物に該当し、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に一定の構造の防火戸その他の防火設備を有するものを、準耐火建築物として位置付けることとした。
(一) 準耐火建築物の層間変形角(令第一〇九条の二関係)

原則として、主要構造部を準耐火構造等とした建築物の地上部分の層間変形角は、一五〇分の一以内でなければならないこととした。

(二) 主要構造部を準耐火構造等とした建築物と同等の耐火性能を有する建築物の技術的基準(令第一〇九条の三関係)

主要構造部を準耐火構造等とした建築物と同等の耐火性能を有する建築物の技術的基準としては、改正前の法第二条第九号の三イ又はロに該当する簡易耐火建築物に相当する構造を定めることとした。

(三) 自動車車庫等の用途に供してはならない準耐火建築物(令第一一五条の四関係)

自動車車庫等の用途に供してはならない準耐火建築物は、(二)1)に掲げる技術的基準に適合するもの((二)2)に掲げる技術的基準に適合するものを除く。)とすることとした。

(四) 高さ制限の合理化(令第一二九条の二第一号関係)

高さが一三メートル又は軒の高さが九メートルを超えて建築することができる木造建築物として、地階を除く階数が三以下で、三(一)1)及び4)の技術的基準に適合しているものを追加することとした。

(五) その他(令第一〇九条、第一一二条、第一一四条、第一二〇条から第一二二条まで、第一二三条の二、第一二六条の二、第一二八条の二、第一二八条の三、第一二八条の四、第一二九条、第一二九条の二の二、第一三七条の七、第一三七条の八及び第一四四条の三関係)

その他準耐火構造及び準耐火建築物について、その性能に応じた所要の改正を行うこととした。

三 木造三階建共同住宅等(法第二七条第一項ただし書関係)

防火地域及び準防火地域以外の区域内にある木造三階建共同住宅等については、主要構造部の耐火性能その他の事項について一定の技術的基準に適合する準耐火建築物とすることができることとした。
(一) 木造三階建共同住宅等の技術的基準(令第一一五条の二の二第一項関係)

1) 主要構造部である壁、柱、床及びはりが、耐火構造又は建設大臣が、通常の火災時の加熱に一定時間以上耐える性能を有すると認めて指定する準耐火構造であること。
2) 原則として、下宿の各宿泊室、共同住宅の各住戸又は寄宿舎の各寝室(以下「各宿泊室等」という。)に避難上有効なバルコニーその他これに類するものが設けられていること。
3) 原則として、三階の各宿泊室等の外壁面に、一定の構造の窓その他の開口部が道又は道に通ずる幅員四メートル以上の通路その他の空地に面して設けられていること。
4) 原則として、建築物の周囲に幅員が三メートル以上の通路(敷地の接する道まで達するものに限る。)が設けられていること。

(二) その他(令第一一五条の二の二第二項関係)

木造三階建共同住宅等については、非常用の進入口に関する規定は適用しないこととした。

第二 伝統的建築物に係る建築規制の見直しについて(法第三条第一項関係)

法並びにこれに基づく命令及び条例の規定は、文化財保護法第九八条第二項の条例その他の条例の定めるところにより現状変更の規制及び保存のための措置が講じられている建築物(以下「保存建築物」という。)であって特定行政庁が建築審査会の同意を得て指定したもの及び保存建築物であったものの原形を再現する建築物で特定行政庁が建築審査会の同意を得てその原形の再現がやむを得ないと認めたものについては、適用しないこととした。

第三 道路の幅員に関する特例について(法第四二条関係)

従来、法においては、道路法による道路等一定の条件に適合する道であって、かつ、原則として幅員が四メートル以上のものを道路として取扱っており、加えて、法第四三条第二項の規定に基づき、特殊建築物や大規模な建築物等については、その敷地が接するべき道路の幅員に係る基準等について、地方公共団体の条例により強化することができることとしていたところである。しかしながら、建築物の用途や規模の特殊性に着目したこうした規制の強化のみではなく、地域の特殊性や土地利用の状況に応じても道路の幅員基準を強化する必要性があること等にかんがみ、今回、特定行政庁が、その地方の気候若しくは風土の特殊性又は土地の状況により必要と認めて都市計画地方審議会の議を経て指定する区域内においては、原則として、幅員六メートル以上のものに限り法上の道路として取り扱うことができることとしたところであるので、本制度の適切な活用を図られたい。

第四 用途地域について

一 用途規制について(法第四八条及び別表第二並びに令第一三〇条から第一三〇条の九の五まで関係)

改正後の用途地域内での用途規制については、経済社会条件の変化、新たな用途の建築物の出現、工場等に係る技術革新の進展等に的確に対応したきめ細かな用途規制を行うことにより、良好な市街地環境の形成を図るとともに、近年の多様な市街地形態に対応した合理的な土地利用を図るためにおおむね以下の改正を行ったところであるので、適切な運用を図られたい。なお、個別の用途規制の詳細については別途通知することとしているので参照されたい。
(一) カラオケボックス関係

第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域及び第一種住居地域内で、新たにカラオケボックスの建築を禁止することとした。

(二) 自動車車庫関係

第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域及び第二種住居地域内で、建築可能な独立の自動車車庫の床面積の上限を五〇平方メートルから三〇〇平方メートルに引き上げるとともに、準住居地域において自動車車庫の制限を撤廃することとした。

(三) 自動車修理工場関係

準住居地域内で、建築可能な自動車修理工場の床面積の上限を五〇平方メートルから一五〇平方メートルに引き上げることとした。

(四) 小規模の劇場等関係

準住居地域及び近隣商業地域内で、客席の部分の床面積の合計が二〇〇平方メートル未満の劇場、映画館等の建築を許容することとした。

(五) 工場関係

個別の規制対象事業について騒音、粉塵、火災の危険性等の著しい事業を追加する等の見直しを行うほか、令により規制対象事業の追加及び適用除外を行うことができることとした。

(六) 危険物の貯蔵又は処理施設関係

消防法の危険物規制との整合を図る等の見直しを行うこととした。

(七) 社会福祉施設関係

第一種低層住居専用地域でも有料老人ホームの建築が可能であることを明確化することとした。

二 産業廃棄物の処理施設の取扱いについて(法第五一条及び令第一三〇条の二関係)

従来、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第一五条に規定する産業廃棄物処理施設の新築、増築又は用途変更については、それらの規模にかかわらずすべて都市計画決定又は特定行政庁の許可を要していたところであるが、今回、その技術基準の詳細化等による安全性の向上等にかんがみ、工業地域及び工業専用地域内において令第一三〇条の二第一項第三号に規定する範囲内で新築、増築又は用途変更をする場合並びに法第五一条ただし書の許可を受けたもの及び法第三条第二項の規定の適用により既存不適格扱いとされるものについて、令第一三〇条の二第一項第六号に規定する範囲内で増築又は用途変更を行う場合については都市計画決定等を要しないこととしたので、本制度の適切な活用を図られたい。
なお、昭和四七年一二月八日付け建設省住街発第九〇号建設省住宅局市街地建築課長通達「産業廃棄物の処理施設等の取り扱いについて」は、引き続き有効であるので留意されたい。

三 法第四八条に規定する特定行政庁の特例許可について(法第四八条及び令第一三〇条関係)

法第四八条各項ただし書(第一三項及び第一四項を除く。)に規定する特定行政庁による特例許可の規定は、同法の公正かつ円滑な施行の確保を図るために設けられたものであり、その運用に当たっては、許可対象建築物について都市全体から見た場合の立地の妥当性及び周辺の市街地環境又は利便性への影響等を総合的に検討した上で、各用途地域の趣旨、目的にふさわしい市街地環境の確保が図られるよう、許可基準を整備すること。
また、特例許可を受けた建築物について増築、改築又は移転を行う場合で令第一三〇条の基準に適合する場合については、公開による聴聞及び建築審査会の同意を不要としたところであるので、本規定に適合する場合には、その活用により迅速な事務処理を行うよう配慮されたい。

第五 用途地域の指定のない区域の形態制限の合理化について(法第五二条、第五三条及び第五六条の二関係)

都市計画区域内で用途地域の指定のない区域(以下「白地地域」という。)は、従来、農地や山林等である場合が多く市街化の程度が低いものであったが、近年の地価高騰等を反映して、新規住宅地開発や大規模なマンション等が建築される区域もみられるようになってきているところである。
このような大規模な建築行為に伴い発生する、当該大規模マンション等と周辺の低層建築物との間の日照阻害等相隣関係上の問題、交通の局所的な混乱の問題等を防止し、白地地域における良好な環境の確保を図る必要があることにかんがみ、今回、白地地域の容積率及び建ぺい率の規制の合理化並びに日影規制の適用を可能とする措置を講じたところであるので、本制度の適切な活用を図られたい。

第六 敷地面積の最低限度規制について(法第五四条の二関係)

敷地面積の最低限度の規制は、敷地内にまとまった空地を確保することにより建ぺい率制限、日影規制等と併せ、これら規制による日照、採光、通風等の市街地環境の確保の効果を十分なものとするとともに、敷地内の間口、奥行等の距離を確保することにより斜線制限等の適用と併せ整形な建築形態を誘導すること等を図る上で重要な建築規制の一つであり、従来からも、地区計画等又は建築協定によりその実施が図られ、実績を挙げてきたところである。
しかしながら、市街地外延部のスプロールが進行している区域等について、適切な時期にミニ開発の進行による劣悪な環境の市街地の形成を防止することが求められている場合には、これら区域における敷地面積の規制を、地区計画等によるのみではなく、ベースとなる用途地域内の規制として充実強化する必要があることから、今回、第一種低層住居専用地域及び第二種低層住居専用地域内の用途地域に係る都市計画による規制として、敷地面積の最低限度の規制を設けることとしたところであるので、本制度の適切な活用を図られたい。

第七 予定道路による容積率制限等の特例(法第六八条の七第五項並びに令第一三一条の二第二項、第一三五条の三第一項第三号及び第一三五条の四第一項第三号関係)

今回、建築物の敷地が予定道路に接する場合又は敷地内に予定道路がある場合において、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可した建築物については、予定道路を前面道路とみなして容積率制限を適用することが可能となり、また、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めた建築物については、予定道路を前面道路とみなして道路斜線制限及び北側斜線制限を適用することが可能となったところであるので、既成市街地等の整備改善を行う場合には本制度の活用を図られたい。

第八 都市計画区域以外の区域内の建築制限について(法第六八条の九及び令第一三六条の二の六関係)

近年、都市計画区域以外の区域において、無秩序な建築活動が行われ、又は住宅地開発が行われる区域がみられるところであるが、このような区域における適正な市街地環境を確保するため、地方公共団体の条例により建築物又はその敷地と道路との関係、容積率、建築物の高さ等について必要な制限を定めることができることとしたところであるので、都市計画区域外における建築活動により市街地環境上の問題が生じている区域については、積極的に本制度の活用を図られたい。

第九 簡易な構造の建築物に係る建築規制の見直しについて(法第八四条の二関係)

壁を有しない自動車車庫、屋根を帆布としたスポーツの練習場その他の簡易な構造の建築物又は建築物の部分で、一定の基準に適合するものについて、建築規制を緩和することとした。
一 簡易な構造の建築物又は建築物の部分(令第一三六条の九関係)

(一) 簡易な構造の建築物又は建築物の部分は、次の1)又は2)に掲げるものとすることとした。

1) 壁を有しない建築物その他の建設大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造の建築物又は建築物の部分(間仕切壁を有しないものに限る。)であって、次のイからニまでのいずれかに該当し、かつ、階数が一で床面積が一五〇〇平方メートル以内であるもの(以下二において「開放的簡易建築物」という。)

イ 自動車車庫の用途に供するもの
ロ スケート場、水泳場、スポーツの練習場その他これらに類する運動施設
ハ 不燃性の物品の保管その他これと同等以上に火災の発生のおそれの少ない用途に供するもの
ニ 畜舎、堆肥舎並びに水産物の増殖場及び養殖場

2) 屋根及び外壁が帆布その他これに類する材料で造られている建築物又は建築物の部分(間仕切壁を有しないものに限る。)で、1)ロからニまでのいずれかに該当し、かつ、階数が一で床面積が一〇〇〇平方メートル以内であるもの

二 簡易な構造の建築物又は建築物の部分の基準(令第一三六条の一〇関係)

簡易な構造の建築物又は建築物の部分に関する基準は、次に掲げるものとすることとした。
(一) 主要構造部である柱及びはりが、地域、規模に応じて、耐火構造若しくは準耐火構造であるか、又は不燃材料で造られていること。
(二) 外壁及び屋根が、地域、規模に応じて、耐火構造若しくは準耐火構造であるか、不燃材料で造られているか、又は建設大臣の定める防火上支障がない構造であること。
(三) 自動車車庫の用途に供する開放的簡易建築物(防火・準防火・屋根不燃地域以外の区域内にあるもので床面積が一五〇平方メートル未満のものを除く。)にあっては、(一)及び(二)の規定にかかわらず、次に掲げる基準に適合していること。

1) 地域、規模に応じて、主要構造部である柱及びはりが、耐火構造若しくは準耐火構造であるか、又は不燃材料で造られており、かつ、外壁及び屋根が、耐火構造若しくは準耐火構造であるか、不燃材料で造られているか、又は建設大臣の定める防火上支障がない構造であること。
2) 外壁の開口部及び屋上の周囲で隣地境界線等からの水平距離がそれぞれ一メートル以下の部分に、塀その他これに類する構造のもので建設大臣の定める基準に適合するものが設けられていること。
3) 屋上を自動車車庫の用途に供し、かつ、床面積が一〇〇〇平方メートルを超える場合にあっては、屋根が、建設大臣の定める基準に適合しているとともに、屋上から地上に通ずる二以上の直通階段が設けられていること。

三 その他(令第一三六条の一一関係)

一に規定する建築物又は建築物の部分で、二に掲げる基準に適合するものについては、令第一一二条、第一一四条及び第五章の二の規定は適用しないこととした。

第一〇 一団地の総合的設計について(法第八六条関係)

これまで、一団地の総合的設計制度については、一団地内の建築物を原則として同時期に建築することを前提としているため、既成市街地の段階的な建替え等に本制度を活用するには困難な面があった。また、建ぺい率制限については、本制度が郊外の住宅団地開発等を念頭においていたため、適用地域も限定されていたところである。
しかし、近年、木造賃貸住宅の密集した既成市街地等において段階的な建替え等が大きな課題となっていること等にかんがみ、今回、地区内に空地が適切に確保されるよう地区計画において地区施設等が定められていること等を条件として、一団地内に二以上の構えを成す建築物の建築を工区を分けて行うことができる制度を創設するとともに、建ぺい率制限についてはすべての用途地域及び用途地域の指定のない区域において適用が可能としたものであるので、その積極的な活用を図られたい。
なお、ここでいう工区とは、一団地の総合的設計制度を活用して既成市街地の段階的な建替え等を行う場合に同時期に建築を行う建築物の存する土地をいう。
また、本制度に関する特定行政庁の認定に係る準則を定め、追って通知することとしているので、本準則を踏まえて積極的な活用を図られたい。

第一一 経過措置について(法附則第四条並びに令附則第三条、第五条及び第一三条関係)

一 新用途地域に関する改正法の規定は、改正法の施行の日から三年を経過する日(その日前に新用途地域の都市計画の決定の告示がなされたときは、その日)までの間は適用されず、改正前の規定が適用されることとなるが、特に以下の点に留意されたい。

(一) 近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域及び工業専用地域に関する規定についても、改正法の施行の日から三年を経過する日(その日前に新用途地域の都市計画の決定の告示がなされたときは、その日)までの間は適用されないこと。
(二) 用途地域の指定のない区域における容積率制限、建ぺい率制限及び日影規制に係る改正法の規定については、改正法の施行の日から適用されること。
(三) 改正前の用途規制により法第三条第二項の規定の適用を受けるいわゆる既存不適格建築物のうち改正後の用途規制によっても用途不適合となる建築物については、令附則第五条により初めて既存不適格となった時点を基準時とすること。

二 地方公共団体手数料令の一部を関連改正したので、これに基づく規則の改正を行われたい。

なお、用途地域に関連する許可申請手数料は、改正法の施行の日から三年を経過する日(その日前に新用途地域の都市計画の決定の告示がなされたときは、その日)までの間は適用されず、改正前の地方公共団体手数料令に基づくことに留意すること。

第一二 その他

一 建築物の定義の明確化について(法第二条第一号関係)

建築物の定義を改め、土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱又は壁を有するものについて、これに類する構造のものを含むこととした。

二 許可条件について(法第九条及び第九二条の二関係)

現行の法における特定行政庁の許可は、裁量に基づく行政行為であることから、条件を付すことは可能であると解されるが、従来、法には許可条件についての根拠規定が置かれていないほか、建築物等が許可に付された条件に違反した場合の是正措置についても規定が置かれていなかったため、許可条件違反を理由に直ちに法第九条に基づく違反是正命令を行うことができなかったところである。
このため、今回、法第九二条の二を新設し、法の許可について条件を付することができることを明確化するとともに、法第九条を改正し、許可条件に違反した建築物等について直ちに違反是正命令を行うことができることしたところであるので、本制度の積極的な活用を図られたい。
なお、許可条件を付する場合にあっては、法第五九条の二の総合設計の許可に当たり、負担金の供出を条件とする等不当な義務を課することがないよう留意されたい。

三 用途違反の是正措置の徹底について(法第一二条第五項関係)

新用途地域の指定の効果を十分に発揮するために、各特定行政庁においては、監視体制の強化に努めるとともに、用途違反建築物を発見した場合には使用制限等の厳格な是正措置を講じることとされたい。
また、こうした措置と併せて、法第一二条第五項の規定により、必要に応じ、建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する台帳の整備その他の措置をとることとされたい。

四 建築物の建築面積の算定方法の特例について(令第二条第一項第二号関係)

建築物の建築面積の算定方法については、令第二条第一項第二号により規定されているところであるが、今回、建設大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造の建築物又はその部分については、その端から一メートル以内の部分の水平投影面積は建築面積に算入しないこととしたところである。建設大臣が指定する構造については、平成五年建設省告示第一四三七号を参照されたい。

五 建築物の構造に関する規制の見直しについて(令第六八条、第九〇条及び第九六条関係)

(一) 高力ボルト孔の径は高力ボルトの径より二ミリメートル以内であれば足りることとし、また、高力ボルトの径が二七ミリメートル以上であり、かつ、構造耐力上支障がない場合においては、高力ボルト孔の径を高力ボルトの径より三ミリメートルまで大きくすることができることとした。
(二) 異形鉄筋をせん断補強に用いる場合の鉄筋の引張りの短期の許容応力度及び材料強度の最大値の制限を緩和することとした。

六 貯蔵又は処理に係る危険物の品目及び数量の限度についての見直しについて(令第一一六条関係)

耐火建築物又は準耐火建築物としなくてもよい特殊建築物の貯蔵又は処理に係る危険物の品目及び数量の限度について、消防法に規定する危険物との整合を図ることとした。

七 基礎工事用機械等の転倒による危害の防止について(令第一三六条の四関係)

建築工事等において基礎工事用機械又は移動式クレーンを使用する場合においては、原則として、敷板、敷角等の使用によりその転倒による工事現場の周辺への危害を防止するための措置を講じなければならないこととした。

All Rights Reserved, Copyright (C) 2003, Ministry of Land, Infrastructure and Transport