建設省住街発第七四号
平成六年六月二九日

各都道府県知事あて

建設省住宅局長通達


建築基準法の一部を改正する法律等の施行について


建築基準法の一部を改正する法律(平成六年法律第六二号)、建築基準法施行令及び地方公共団体手数料令の一部を改正する政令(平成六年政令第一九三号)等については平成六年六月二九日付け建設省住街発第七三号をもって建設事務次官から通達されたところであるが、その細目は左記のとおりであるので、関係市町村に対してもこの趣旨を十分周知されるとともに、今後の運用に遺憾のないよう措置されたい。

第一 住宅の地階に係る容積率制限の不算入措置について
1 対象となる住宅の範囲について

建築基準法(以下「法」という。)第五二条第二項の規定により建築物の地階で住宅の用途に供する部分を当該建築物の住宅の用途に供する部分の床面積の合計の三分の一を限度として延べ面積に不算入とする措置(以下「住宅の地階に係る容積率の不算入措置」という。)の対象となる住宅とは、一戸建ての住宅のほか、長屋及び共同住宅を含むものであること。

2 住宅の用途に供する部分について

法第五二条第二項の住宅の用途に供する部分とは、住宅の居室のほか、物置、浴室、便所、廊下、階段等の部分なども含むものであるが、特に、共同住宅の場合には以下の考え方を参考とされたい。なお、住宅の用途に供する部分の判定に当たっては、建築確認、完了検査等の際に、その構造、設備等が住宅の用途に供される目的で建築されていることが明らかであることについて、特に慎重に判断すること。また、必要に応じ、壁、床等により住宅部分とそれ以外の部分とが構造上明確に区分されるよう指導すること。
(1) 共同住宅の住戸の用に供されている専用部分は、住宅部分として取り扱うこと。したがって、各戸専用の物置はこれに該当するものとして取り扱うこと。
(2) 共用部分のうち、住戸の利用のために専ら供されている部分は、住宅部分として取り扱うこと。したがって、一定の階の専用部分の全てが住宅の用途に供されている場合の当該階の廊下や階段等の部分、冷暖房設備や給排水設備で同一建築物内の住宅の用に供するために設けられるものや管理人室など通常共同住宅の一部を構成する施設部分もこれに該当するものとして取り扱うこと。

3 対象となる地階の部分について

住宅の地階に係る容積率の不算入措置の対象となる地階の部分の判定に当たっては、以下のとおり取り扱うものである。
(1) 地階の部分は、令第一条第二号に規定する地階のうち、その天井が地盤面からの高さ一メートル以下にあるものとした。
(2) 地盤面は、建築物が周囲の地盤面と接する位置の平均の高さにおける水平面とし、その接する位置の高低差が三メートルを超える場合は、その高低差三メートル以内ごとの平均の高さにおける水平面をいうものであること。したがって、一敷地内に複数の異なる高さの地盤面がある場合には、それぞれの地盤面ごとに住宅の地階に係る容積率の不算入措置を適用する地階の判定を行うこととした。
(3) 天井の高さは、室の床面から測り、一室で天井高さが異なる部分がある場合においては、その平均の高さによるものとし、これにより定まる高さが(1)及び(2)に適合する場合に当該室を地階として取り扱うこと。

4 他の容積率の特例制度等との関係について

既存の容積率に関する特例制度等と住宅の地階に係る容積率の不算入措置との関係については、以下のとおり取り扱うものとすること。
(1) 住宅に店舗等が併設されている建築物については、当該建築物の住宅の部分の床面積の合計の三分の一を限度として、住宅の地階に係る容積率の不算入措置が認められるものであること。
(2) 建築基準法施行令(以下「令」という。)第二条第一項に規定する専ら自動車又は自転車の停留又は駐車のための施設(以下「自動車車庫等」という。)は住宅の用途に供する部分には含まれないこと。従って、住宅に自動車車庫等が附属している場合は、住宅の地階に係る容積率の不算入措置と令第二条第一項の規定が併せて適用されること。
(3) 法第五九条第一項に規定する高度利用地区、法第五九条の二第一項に規定する総合設計制度、法第六〇条に規定する特定街区、法第六八条の三に規定する地区計画、法第六八条の四第一項に規定する住宅地高度利用地区計画、法第六八条の五第一項に規定する再開発地区計画、法第六八条の九に規定する都市計画区域以外の区域内及び法第八六条第九項に規定する一団地の住宅施設に関する都市計画において容積率の最高限度が適用される場合、住宅の地階に係る容積率の不算入措置を適用した上でそれぞれ規定に基づく制限を適用すること。
(4) 今回の住宅の地階に係る容積率の不算入措置は、容積率の最高限度が定められた場合に適用するものであること。このため、高度利用地区、地区整備計画の区域、住宅地高度利用地区整備計画の区域及び再開発地区整備計画の区域内で容積率の最低限度が適用される場合には住宅の地階に係る容積率の不算入措置は適用されないこと。
(5) 用途別容積型地区計画の区域内においては、当該地区計画において定められた容積率の最高限度を法第五二条第一項第三号又は第四号に掲げる数値とみなして、同条の規定を適用するが、この場合、住宅の地階の容積率を含めて算定した容積率が同条第一項第三号又は第四号に掲げる数値の一・五倍以下でなければならないものとしたこと。

5 住宅部分に係る用途転用防止策等について

住宅の地階に係る容積率の不算入措置については、住宅から住宅以外への用途変更による容積率制限に関する違反建築物の出現を防止するため、次の点に留意すること。
(1) 建築基準法施行規則を改正し、建築確認申請書の記載事項に、住宅の用途に供する部分の床面積の合計と地階のうち住宅の用途に供する部分の床面積の合計が追加されたところであるので、建築確認の審査においては慎重かつ適正に判断すること。また、当該住宅の用途に供する部分の床面積の合計の算定方法が2で述べた方法によるものであるかどうかについても併せて審査すること。
(2) 住宅の地階に係る容積率の不算入措置の適用を受ける建築物については、台帳の整備等により建築後も引続きその用途の現況等の状況の把握に努めるとともに、違反が発見された場合には、その是正のため、迅速かつ適切に措置命令、使用禁止等の必要な措置をとるものとすること。

第二 防火壁に関する制限の合理

防火壁の設置を要しない畜舎について、申請の手続きの簡素化を図るため、特定行政庁の認定を廃止し、建設大臣が定める一定の基準に適合すれば足りるものとすること。
当該基準については、告示後別途通知することとする。

All Rights Reserved, Copyright (C) 2003, Ministry of Land, Infrastructure and Transport