住指発第四四〇号
平成六年九月二日

建設省住宅局建築指導課長から都道府県建築主務部長あて

通知


建築構造用圧延鋼材の取扱いについて


建築構造用の鋼材について日本工業規格G三一三六―一九九四(建築構造用圧延鋼材)(以下「新JIS規格」という。)が平成六年六月一日に新たに制定されたことを踏まえ、平成六年九月二日建設省告示第一九〇六号、第一九〇七号及び第一九〇八号により昭和五五年建設省告示第一七九四号、昭和五六年建設省告示第一一〇三号及び昭和五八年建設省告示第一三一九号の一部を改正したところである。改正後の運用にあたっては、左記の事項を参考とし、遺憾のないよう取り扱われたい。
なお、昭和五六年五月一日付け建設省住指発第九六号別記二(3)の表二―一及び別記三〔付則〕の表三―四を別紙のとおり改正することとした。
おって、貴管下特定行政庁に対しても、この旨、周知徹底方取り計らわれたい。

1 改正の趣旨

平成三年に発生した溶接不良事故により、不純物の含有量、炭素当量、溶接割感受性、板厚方向の絞り値等の特性から、従来のJIS規格に基づく鋼材(以下「従来のJIS鋼材」という。)には、建築物への使用が不適切な場合のあることが判明したため、鉄骨造及び鉄骨鉄筋コンクリート造建築物(以下「鉄骨造建築物」という。)に使用される鋼材に必要な性能を勘案し、鋼材の品質を従来のJIS鋼材よりも向上させたものとして新JIS規格が平成六年六月一日に制定された。
部位の要求性能に応じた適切な品質の鋼材の使用は鉄骨造建築物等の品質の確保に有効と考えられるため、新JIS規格に基づく鋼材(以下「SN鋼材」という。)の適切な使用を促進すべく、本規格を昭和五五年建設省告示第一七九四号、昭和五六年建設省告示第一一〇三号及び昭和五八年建設省告示第一三一九号に位置付けることとしたものである。

2 主な改正点

(1) SN鋼材の基準強度について

新JIS規格に定めるSN四〇〇A、SN四〇〇B、SN四〇〇C、SN四九〇B及びSN四九〇C又はこれらと同等以上の品質を有する鋼材を昭和五五年建設省告示第一七九四号第一の表及び第二の表に追加し、これらの鋼材の許容応力度の基準強度及び溶接部の許容応力度の基準強度を定めた。

(2) SN鋼材を溶接する場合の作業方法について

昭和五六年建設省告示第一一〇三号第一号(1)において、高度の品質を確保するために、鋼材の種類に応じて必要な自動溶接装置その他の溶接機器及び自動ガス切断機その他の加工機器を備え、かつ、これらの機器及び溶接方法に関して十分な知識及び技量を有する者が溶接を行うべきものとして、新JIS規格に定めるSN四九〇B及びSN四九〇Cを追加した。

(3) 壁式鉄筋コンクリート造の接合部に使用する鋼材について

新JIS規格に定めるSN四〇〇A、SN四〇〇B、SN四〇〇C、SN四九〇B及びSN四九〇C又はこれらと同等以上の品質を有する鋼材を昭和五八年建設省告示第一三一九号第三に追加し、壁式鉄筋コンクリート造の接合部への使用が可能であることを明確化した。

3 運用方針

(1) 鋼材の品質の確保について

SN鋼材の使用に当たっては、施工状況報告書にその種類及び部位を明記させるほか、鋼材製造者の発行する品質証明書又は当該証明書の写しを提出させることにより、SN鋼材と従来のJIS鋼材との誤用及び異なる品質を有するSN鋼材との誤用を避けるよう指導すること。

(2) 建築確認を受けた後の鋼材の変更について

従来のJIS鋼材の使用を前提として建築確認を受けた鉄骨造建築物等において、SN鋼材又はこれと同等以上の品質を有する鋼材に変更する場合、これらを従来のJIS鋼材と同等以上の品質を有するものとして取り扱って差し支えない。


別紙 〔略〕


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