建設省住街発第七一号
平成七年七月一七日

特定行政庁あて

建設省住宅局長通知


総合設計許可準則の一部改正について


建築基準法第五九条の二に基づくいわゆる総合設計制度については、昭和四六年の制度創設以来これまで、市街地におけるオープンスペースの創出、大都市地域を中心とした住宅の供給促進等により市街地環境の整備改善に寄与してきたところである。
しかしながら近年、大都市地域を中心として職住の遠隔化による通勤時間の長時間化、人口の空洞化による地域のコミュニティの衰退などを背景として、都心地域における住宅市街地の創造と再生が求められており、このような都心居住に対する社会的要請にも対応した制度の充実、改善が求められているところである。
このため、安全で快適な環境を確保しつつ土地の有効高度利用を図った住宅の供給を促進し、良好な住宅市街地の形成を図ることが現下の緊急課題であるとの認識のもと、三大都市圏の都心の地域等において住宅供給を強力に促進するための誘導方策として「都心居住型総合設計制度」を創設することとした。
また、併せてより質の高い市街地形成を推進するため、道路に沿って連続した快適な通りを創出する公開空地や中庭等のコミュニティ空間を構成する有効な空地に対する評価方法の見直し及びモータリゼーションの一層の進展等に対応した共同住宅附属の自動車車庫についての容積率割増しの導入を行うこととした。
このような趣旨から、今般、「総合設計許可準則」(昭和六一年一二月二七日付け建設省住街発第九三号住宅局長通達の別添)を別添のとおり改めるとともに、別途通知するところにより許可準則に関する技術基準を改正することとしたので通達する。今後の総合設計制度の運用に当たっては、左記の点に留意し、その積極的かつ的確な活用を図るよう努められたい。

1 都心居住型総合設計制度の創設

(1) 本制度は、三大都市圏の都心の地域等で、居住に関する機能の低下を来しており、居住機能の回復が強く求められている地域において、住宅の比率の特に高い建築計画に限って良好な市街地環境を確保しつつ容積率の割増し等を行うとともに、併せて日常生活を支える施設の整備を誘導することにより、住宅の量的な供給を促進することに加え、安全で快適な生活空間を有する質の高い住宅市街地の形成を図るものであること。
(2) 住宅供給を強力に促進する観点から、建築物の延べ面積の四分の三以上を住宅とすることを、本制度の適用の要件としたこと。

また、日常生活を支える福祉施設や店舗等を住宅の供給と併せて整備することにより、生活空間としての質を高めるために、これらの施設を、住宅比率の算定の際に住宅とみなすこととしたこと。

(3) 建築物の前面の空間は、通風、採光、開放性等の環境確保及び防災性の確保の観点から、都心地域において特に重要なオープンスペースであることにかんがみ、本制度を適用する建築物については、八メートル以上の幅員の前面道路に接し、かつ道路に沿った公開空地を確保することを要件としたこと。
(4) 容積率の割増しについては、これらの要件等のもと、都心地域の特性にも配慮し、容積率割増しの算定の際の公開空地の評価を高めるとともに、容積率割増しの限度については、基準容積率の二倍以内かつ四〇〇%増以内としたこと。
(5) 本制度の適用については、住宅マスタープラン等における住宅政策の基本的方向及び住宅市街地の開発整備の方針における位置付けを踏まえる等住宅政策担当部局及び都市計画担当部局と密接な連携を図るとともに、個別の建築計画が良質な住宅市街地の形成に資するものとなるよう十分に指導を行うこと。

なお、本制度を適用することとした地域においては、本制度創設の趣旨にかんがみ、非住宅系のプロジェクトに関する総合設計制度の適用による容積率の割増しは、原則として行わないこと。

2 公開空地の評価の見直し

(1) 総合設計制度における公開空地は、公共空間の不足している既成市街地等において良好なオープンスペースを確保することにより、市街地における環境改善に一定の効果を挙げてきたところであるが、より多様な建築形式の出現への対応、良好な街並み形成等の観点から、別途通知する許可準則に関する技術基準の改正において、容積率割増しに当たっての公開空地の評価の見直しを以下の考え方に沿って行うこととしたこと。

1) 歩道状公開空地については、通風、採光、開放性等の環境確保及び防災性の確保の観点で公開空地のなかでもとりわけ有効であり、既に他の公開空地に比して高く評価しているところであるが、個別の建築活動に併せてこのような歩道状公開空地の整備を一層促進し、安全でかつ快適な歩行者空間が形成されるよう、歩道との一体性のある十分な幅員を有した質の高い歩道状公開空地については、公開空地としての評価を更に高める。
2) 道路に面しない中庭や屋上等当該建築物の居住者等の利用に専ら供され、歩行者の日常自由な利用に供することが困難な空地については、これまで公開空地として取り扱わなかったが、今後、良好な市街地景観の形成に寄与する等一定の要件に該当するものについては、その一定部分を公開空地に準ずる有効な空地として取り扱う。

(2) 公開空地については、これらの趣旨にかんがみ、以下の点に留意し、より質の高い市街地の形成が図られるよう努めること。

1) 空地の位置、規模等については、建築物の配置、用途等を考慮し歩行者等の円滑な利用が図られ、市街地の環境の整備改善に資するものとなるよう十分に指導を行うこと。
2) 中庭や屋上等の空地の緑化等及び高齢者・身体障害者等の円滑な利用を確保するための公開空地等のバリアフリー化について、十分に指導を行うこと。

3 共同住宅附属の自動車車庫についての容積率割増しの導入

共同住宅に附属する自動車車庫のうち地下に設けられるものについては、地上に設けられるものに比して誘導路等に大きな床面積を必要とする場合もあること、また、都市部を中心とした共同住宅については、敷地内の空地を居住者のコミュニティの場として活用される等により質の高いものとすることが住宅市街地形成の観点から特に重要であることにかんがみ、地下に設ける共同住宅に付属する自動車車庫については、延べ面積の五分の一を超える場合に特別の容積率割増しを行うこととしたこと。


(別添)略


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