特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律(平成八年法律第八五号。以下「法」という。)については、平成八年六月一四日に公布され、即日施行されたところであるが、法第七条が規定する建築基準法による応急仮設住宅の存続期間の特例に関する措置(以下「特例措置」という。)については、左記の趣旨等を踏まえ、その適確かつ円滑な施行に特段の配慮を払われるとともに、貴管下特定行政庁に対してもこの旨を十分周知されるようお願いする。
第1 特例措置の趣旨
災害時に建築される応急仮設建築物については、建築基準法第八五条第一項乃至第三項により、特定行政庁の許可を受けて、建築工事の完了後最長二年三ヶ月の間、同法の全て又は一部の規定が適用されないことにより適法な建築物として存続が認められているところ、特例措置は、著しく異常かつ激甚な非常災害であって政令により特定非常災害として指定されたものに係る応急仮設住宅について、同条第三項の許可の期間を特定行政庁が延長できることとするものである。
第2 特例措置の概要
1 特定非常災害の指定(法第二条)
著しく異常かつ激甚な非常災害であって、当該非常災害に係る応急仮設住宅の入居者の居住の安定に資するための措置を講ずることが特に必要と認められるものが発生した場合には、当該非常災害を特定非常災害として政令で指定するとともに、当該特定非常災害に対して適用すべき措置として建築基準法による応急仮設住宅の存続期間の特例に関する措置(法第七条)を指定することとした。
2 建築基準法による応急仮設住宅の存続期間の特例に関する措置(法第七条)
特定行政庁は、特定非常災害の指定が行われた場合、当該特定非常災害に係る被災者の居住の用に供されている応急仮設住宅について、被災者の住宅の需要に応ずるに足りる適当な住宅が不足するため、建築基準法第八五条第三項の許可の期間を超えて存続させる必要があり、かつ、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるときは、同項後段の規定にかかわらず、更に一年を超えない範囲内において同項の許可の期間を延長することができることとするとともに、当該延長に係る期間が満了した場合においても、この要件を満たすと認められる場合は同様に延長することができることとした。
第3 特例措置の運用方針
被災者の生活再建のためには、生活の基礎たる住宅が安定して確保されることが不可欠であり、被災者のための恒久住宅の確保が基本であるところ、建築基準法上、応急仮設住宅は、被災者の当面の居住の安定を確保する応急の必要性と建築物の安全性等の確保の要請との調整を図る観点からあくまで時限的、暫定的に存続を認められているものであり、特例措置によって徒に応急仮設住宅の存続期間が延長されることのないよう留意すること。