北海道住宅都市部長あて
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(別紙) 第1 臨港地区の範囲及び指定の考え方
1 臨港地区は、港湾を管理運営するため定める地区であり、港湾の機能を十分に確保し、その利用の増進を図る観点から、港湾施設を整備し、適正に維持管理するために必要な一体的な区域及び港湾の開発、利用並びに保全に著しく支障を与える行為を規制する必要のある区域が指定されなければならないこと。
その際、臨港地区内の行為については港湾法に基づき届出義務を課す等土地所有者等に権利制限を課すことになることから、その区域は当該港湾の管理運営上必要不可欠な範囲としなければならないこと。
2 具体的には、臨港地区は、港湾法(昭和二五年法律第二一八号)第三条の三第一項に規定する港湾計画において港湾を有効かつ適切に利用することができるよう土地利用の区分が定められた場合には、これを踏まえて港湾の適切な管理運営が図られるよう定められるべきものであることに留意する必要があること。この場合、港湾計画において定められた土地利用の区分のうち、ふ頭用地、港湾関連用地、危険物取扱施設用地、緑地(港湾の環境の整備のための施設の用地に限る。)、廃棄物処理施設用地、交通機能用地(臨港交通施設の用地に限る。)、工業用地(原料又は製品の一部の輸送を海上運送又は港湾運送に依存する製造事業又はその関連事業を営む工場等の用地に限る。)とされている区域を中心として臨港地区の範囲を検討し、交流拠点用地、レクリエーション施設用地とされている区域は必要な範囲、都市機能用地等の前記以外の用地は特に必要な最小限の範囲が、臨港地区に含まれるよう検討することが考えられること。
3 また、臨港地区は、都市計画法(昭和四三年法律第一〇〇号)第一三条第一項に規定するところにより、土地の自然的条件や土地利用の動向を勘案して港湾の利便が増進されるとともに他の都市機能の利便の増進等が図られるよう、他の都市計画と一体的かつ総合的に定められる地域地区であることにも留意する必要があること。
4 臨港地区については、土地利用の現況及び動向、立地施設についての情報の的確な把握等に努めるとともに、「都市計画区域内における港湾地区の指定、変更等の推進について」(平成四年六月二九日付け港管第一九三三号、建設省都計発第一〇七号運輸省港湾局管理課長、建設省都市局都市計画課長通達。以下「四年通達」という。)記2(2)に示す臨港地区の指定又は変更に係る都市計画決定権者からの申出、臨港地区内の地区計画等の都市計画の決定又は変更に係る港湾管理者からの申出を的確に運用し、土地利用の動向を踏まえた的確な指定又は変更を行うよう留意すること。
また、臨港地区は、港湾の管理運営のための観点にとどまらず、まちづくりの観点にも十分に配慮し決定される必要があることから、別途、港湾管理者に対し、別添の「港湾管理者が臨港地区の案を作成するに際しての関係地方公共団体との協議について」(平成九年三月三一日付け港管第九四六号運輸省港湾局管理課長通達)が通達されているところであるので、この点十分留意すること。
なお、この手続が行われることは、港湾管理者の申し出た臨港地区の案について、都市計画決定権者の判断、都市計画地方審議会の付議等の手続を通じて変更されることを妨げるものではないこと。
第2 土地利用の区分(レベル)に応じた臨港地区の指定・変更の考え方
四年通達別表に示された0レベル、Iレベル、IIレベル及びIIIレベルの運用については、次のように取り扱うものとすること。港湾管理者及び都市計画決定権者は、これを踏まえ、十分に調整を図りながら土地利用の区分(レベル)を明らかにし、臨港地区制度の的確な運用を図ること。
(1) 0レベル
1) 臨港地区以外の一般的な市街地と同様な土地利用が行われる区域は、原則として0レベルとすること。
特に、住宅が立地する等一般市民の生活が営まれている区域については、0レベルとすることが適当であること。
2) 次のような施設であって都市全体の機能分担の観点から立地を判断すべきものが立地する場合には、港湾行政と都市行政の円滑な調整に配慮しながら、港湾を一体的に管理運営する必要性から臨港地区に含める必要がある場合はIレベルとし、その他の場合は0レベルとすること。
1) 一般市民の利用に供される商業施設、宿泊施設、娯楽施設、教養施設、運動施設等
2) 交通・物流関連以外の業種の業務施設
3) 0レベルに該当する区域で現に臨港地区が指定されている場合には、臨港地区を解除すること。
(2) Iレベル
1) 都市計画区域内における臨港地区及び分区の指定、変更等に関する港湾行政と都市行政の円滑な推進を図るために、Iレベルを積極的に活用すること。
2) Iレベルは、港湾を一体的に管理運営する必要性から臨港地区に含める必要があるが相当程度の一般的都市機能を有する区域であり、その適用に当たっては、以下の点についても十分留意すること。
1) 港湾管理者等が埋め立て又は造成した土地で、港湾管理者が維持管理する道路、緑地等の港湾施設に囲まれた相当程度の一般的都市機能を有する土地利用が行われる区域は、その規模及び形状を勘案して、これらの港湾施設の適正な維持管理を行うため必要な場合には、一体的にIレベルとする。
2) 臨港交通施設、係留施設等の港湾施設に隣接する区域であって、港湾施設の維持管理に影響を及ぼすおそれの強い相当程度の一般的都市機能を有する土地利用が行われる区域(例えば、臨港交通施設に隣接して大規模の国際会議場、ホテル等が立地し、この施設利用車両が臨港道路の利用に影響を及ぼす場合)は、港湾施設の適正な維持管理を行うために必要な場合には、一体的にIレベルとする。
3) Iレベルに該当する区域については、港湾行政と都市行政の円滑な調整に配慮しながら、分区が定められている場合は分区を解除し、臨港地区が指定されていない場合は臨港地区に指定すること。
(3) IIレベル
1) 港湾の管理運営上必要な区域で0レベル及びIレベルに該当しないもののうち、一部に一般的都市機能が含まれている土地の区域については、IIレベルとすること。
2) IIレベルに該当する区域は、一部の一般的都市機能を有する土地利用が行われる区域を含めて、一体的に臨港地区を指定するとともに分区を定めること。
3) IIレベルに該当する区域においては、一部に一般的都市機能が含まれることから、地域の実情に応じて的確な分区条例(港湾法第四〇条第一項の規定により港湾管理者としての地方公共団体が定める条例をいう。以下同じ。)が制定される必要があること。
なお、IIレベルを想定した分区条例は、将来の土地利用の計画を踏まえ、不適切な施設が集積することのないよう定めることが望ましく、現に相当程度の一般的都市機能を有する土地利用が行われるようになった場合にはレベルの区分を見直すことが必要になることに留意すること。
(4) IIIレベル
1) 0レベル、Iレベル及びIIレベルのいずれにも該当しない区域は、IIIレベルとすること。
2) IIIレベルに該当する区域は、臨港地区を指定するとともに分区を定めること。
第3 分区条例について
臨港地区内の分区における構築物の制限については分区条例に基づき行っているところであるが、分区条例の制定等に当たっては次の事項に留意すること。
(1) 分区条例の制定に当たっての基本的な考え方
分区条例において定める構築物の用途に関する制限は、国民の財産権に係る重大な制限であり、その内容に関しては国民の誤解を招かないよう客観的かつ合理的な表現とすることが重要であること。
この際、港湾の管理運営上支障の生じる新たな用途の構築物が立地することのないよう分区ごとに立地が許容される構築物を限定的に列挙する方式が望ましく、また、将来の運用に当たって疑義が生じることのないよう、許容される構築物は、詳細かつ明確に示される必要があること。このため、分区条例の制定に当たっては関係部局の間で十分に連絡調整を図るべきこと。
なお、分区条例に特定の地区の許容構築物を列挙する方法は、一分区内に異なった分区を設けることになり好ましくないこと。
(2) 各分区において立地を許容する構築物
IIIレベルに該当するものとして臨港地区が指定された区域を想定して、分区の目的に照らして許容される構築物には別表中IからIXまでに掲げるものが考えられること。
分区条例を定める地方公共団体は、次の事項に留意しつつ別表を参考にして、また、指定されている分区が二以上の混合的性格を有することもありうることから当該分区の性格や当該港湾の事情を考慮して、実情に応じた条例が定められるよう配慮すること。
1) 別表中に「市長が指定する」という字句を使用しているが、この運用は港湾法第三九条第一項に規定する各分区の目的に照らして適正な範囲内で行われる必要があること。また、条例を定めるに当たっては、別表に例示されている事業、施設以外のものについても明示することを妨げるものではなく、むしろ具体的に明示することが望ましいこと。さらに、市長の指定に委任した場合にもできるだけ具体的に個々の事業、官公署等を明示する必要があること。(この場合の「市長」とは、港湾管理者の長(港務局にあっては委員会の長)のうちから市長を例にとったものである。以下同じ。)
2) 別表中に掲げる構築物の中には、各分区の目的を実現する上で直接的な役割を果たすものと間接的な役割を果たすものが含まれているが、間接的な役割を果たす施設で都市に一般的に立地する用途を許容する内容の分区条例を定めた場合に、これらの施設が集積した場合には、レベルの区分が速やかに見直されるべきであること。このため、分区条例案を作成する地方公共団体の港湾担当部局は、立地を許容する構築物の範囲等についてあらかじめ都市計画担当部局と十分に調整を行うこと。
3) 条例の制定に当たっては「ただし、市長が公益上やむを得ないと認めて許可したものを除く。」旨の規定を設けることを妨げるものではないこと。
(3) 分区条例の改正に当たっての留意事項
既に条例が定められている分区について、条例を改正する際には次のような点に留意すること。
1) 従来の分区条例を基本とした場合、時間の経過に伴って追加すべき施設、削除すべき施設、より詳細に要件を示すべき施設の見直しを行うこと。
2) 港湾法第三九条第一項に規定する各分区の目的を実現し、港湾の利便の増進を図るために必要な施設等で広く都市内に立地するものを掲げる場合には、港湾機能の構築物に特定するために必要な限定を付すことが考えられること。
(4) 建築確認等との関係
建築基準法に基づく確認の際、制限構築物の範囲について疑義を生じさせないよう、分区条例案を作成する地方公共団体の港湾担当部局は建築担当部局と十分に調整を行うとともに、条例の施行後にも密接な連携を図ること。また、建築主事の置かれている地方公共団体と港湾管理者である地方公共団体とが同一でない場合にも、事務に支障の起きないよう関係者間の連携を密にすること。
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別表 I 商港区を対象とした条例において許容される構築物
1 港湾法第二条第五項第二号から第一〇号の二まで及び第一二号に掲げる港湾施設(危険物置場、貯油施設及びセメントサイロを除く。)
2 海上運送事業、港湾運送事業、倉庫業、道路運送事業、貨物運送取扱事業、貿易関連業その他市長が指定する事業を行う者の事務所
3 港湾の旅客又は貨物に関連する事業者の利便の用に供するための銀行の支店、保険業の店舗
4 荷さばき施設又は保管施設に付属する卸売展示施設及び流通加工施設並びにこれらの附帯施設
5 港湾その他の海事に関する理解の増進を図るための会議場施設、展示施設、研修施設その他の共同利用施設
6 港湾の利用の高度化を図るための情報処理施設、電気通信施設その他市長の指定するこれらに類する施設
7 港湾の流通機能の高度化を図るためのトラックターミナル、卸売市場その他の流通業務施設
8 空港施設
9 港湾関係者のための休泊所、診療所その他市長が指定する福利厚生施設
10 税関、地方運輸局、港湾建設局、海上保安官署、警察署、入国管理事務所、検疫所、消防署その他市長が指定する官公署の事務所
11 港湾の旅客又は貨物に関連する事業者の利便の用に供するための旅館、ホテル、日用品の販売を主たる目的とする店舗、船用品販売店、飲食店その他市長が指定する便益施設
12 港湾の旅客又は貨物に関連する事業者の利便の用に供するガソリンスタンド
II 工業港区を対象とした条例において許容される構築物
1 港湾法第二条第五項第二号から第六号まで、第八号から第一〇号の二まで及び第一二号に掲げる港湾施設
2 原料又は製品の一部の輸送を海上運送又は港湾運送に依存する製造事業又はその関連事業を営む工場並びにこれらの事業の用に供する情報処理施設及び電気通信施設並びにこれらの附帯施設
3 前号の工場に附属する研究施設及びその附帯施設
4 前二号の施設に従事する者のための休泊所、診療所その他市長が指定する福利厚生施設
5 税関、地方運輸局、港湾建設局、海上保安官署、警察署、消防署その他市長が指定する官公署の事務所
6 第二号及び第三号の施設に従事する者の利便の用に供するための日用品の販売を主たる目的とする店舗、飲食店その他市長が指定する便益施設
III 特殊物資港区を対象とした条例において許容される構築物
1 港湾法第二条第五項第二号から第一〇号の二まで及び第一二号に掲げる港湾施設(上屋及び食糧サイロを除く。)
2 海上運送事業、港湾運送事業、倉庫業、道路運送事業、貨物運送取扱事業その他市長が指定する事業を行う者の事務所
3 地方運輸局、港湾建設局、海上保安官署、警察署、消防署その他市長が指定する官公署の事務所
IV 鉄道連絡港区を対象とした条例において許容される構築物
1 港湾法第二条第五項第二号、第四号、第五号及び第八号の二から第一〇号の二までに掲げる港湾施設
2 鉄道連絡船のためのけい留施設
3 前各号に指定するものを除き、鉄道業務に必要な建築物その他の構築物
V 漁港区を対象とした条例において許容される構築物
1 港湾法第二条第五項第二号、第四号、第五号及び第九号から第一〇号の二までに掲げる港湾施設
2 漁船のためのけい留施設、燃料補給施設、給水施設及び給氷施設
3 漁船の修理施設、造船施設及びその附帯施設
4 魚舎、魚干場その他水産物の処理に必要な施設
5 冷蔵倉庫、冷凍倉庫その他水産物の保管のための施設
6 製氷工場及び冷凍工場その他の水産物加工工場並びにこれらの附帯施設
7 網干場、網倉庫その他漁具の補修又は保管に必要な施設
8 漁業関係者のための休泊所、診療所その他市長が指定する福利厚生施設
9 漁業会社、漁業組合その他市長が指定する団体及び業者の事務所
10 警察署、消防署その他市長が指定する官公署の事務所
11 漁業関係者の利便の用に供するための日用品の販売を主たる目的とする店舗、飲食店その他市長が指定する便益施設
VI バンカー港区を対象とした条例において許容される構築物
1 港湾法第二条第五項第二号から第五号まで及び第八号の二から第一〇号の二までに掲げる港湾施設
2 貯炭場、貯油施設その他の燃料保管施設
3 給炭業者、給油業者その他の燃料供給業者の事務所
4 税関、地方運輸局、港湾建設局、警察署、消防署その他市長が指定する官公署の事務所
VII 保安港区を対象とした条例において許容される構築物
1 港湾法第二条第五項第二号から第六号まで及び第八号の二から第一〇号の二までに掲げる港湾施設
2 危険物置場、危険物倉庫及び貯油施設
3 消火施設その他の危険防止施設
4 給油業者及び危険物を取り扱う業者の事務所
5 警察署、消防署その他市長が指定する官公署の事務所
VIII マリーナ港区を対象とした条例において許容される構築物
1 港湾法第二条第五項第二号から第五号まで及び第七号から第一〇号の二までに掲げる港湾施設
2 スポーツ又はレクリエーションの用に供するヨット、モーターボート、釣り船、遊覧船等(以下「レクリエーション用船舶」という。)のための用具倉庫及び船舶上架施設
3 レクリエーション用船舶の利用者のための集会所、クラブ事務所、スポーツ・レクリエーション施設その他市長が指定する福利厚生施設
4 海上保安官署、警察署、消防署その他市長が指定する官公署の事務所
5 レクリエーション用船舶の利用者の利便の用に供するための旅館、ホテル、店舗、飲食店その他市長が指定する便益施設
IX 修景厚生港区を対象とした条例において許容される構築物
1 港湾法第二条第五項第二号から第五号まで及び第八号の二から第一〇号の二までに掲げる港湾施設
2 港湾その他の海事に関する理解の増進を図るための図書館、博物館、水族館、展示施設、公会堂、展望施設その他市長が指定するこれらに類する施設
3 港湾関係者のためのスポーツ・レクリエーション施設その他市長が指定する福利厚生施設
4 海上保安官署、警察署、消防署その他市長が指定する官公署の事務所
5 港湾関係者のための休泊所、店舗、飲食店その他市長が指定する便益施設
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