建設省住街発第六五号
平成一一年七月一二日

都道府県建築主務部長あて

住宅局市街地建築課長通知


ナトリウム・硫黄電池を設置する建築物に係る建築基準法第四八条第四項から第一〇項までの規定に関する許可の運用について

ナトリウム・硫黄電池は、内部に相当量のナトリウム及び硫黄を用いる電池であり、この電池を設置する建築物は、建築基準法の用途規制上、危険物の貯蔵又は処理に供する建築物に該当することから、工業地域及び工業専用地域以外においては、建築基準法第四八条の規定に基づき特定行政庁の許可が必要とされている。
今般、一定の要件に適合するナトリウム・硫黄電池については安全性能が確認されていることを踏まえ、左記に該当するナトリウム・硫黄電池を設置する建築物の建築については、各々の用途地域に応じて、住居の環境を害するおそれがない、商業等の利便等を害するおそれがない、又は、安全上若しくは防火上の危険の度が低いものとして、法第四八条第四項から第一〇項までの規定に関する許可制度の活用により認めることが適切である。
また、本通知は、ナトリウム・硫黄電池を設置する建築物に係る建築基準法第四八条第四項から第一〇項までの許可に関する一般的な考え方を示すものであるので、建築計画の内容等からこれによることが必ずしも適切でないと考えられる場合は、総合的な判断に基づいて弾力的に運用するとともに、建築基準法第四八条第一項から第三項までの許可を行わないものとする趣旨ではないことに留意されたい。
なお、ナトリウム・硫黄電池は、通常、ナトリウム又は硫黄の数量が指定数量以上となることから、危険物の規制に関する政令(昭和三四年政令第三〇六号)において、これを取り扱うものは、危険物の一般取扱所に該当するものとされているが、平成一一年六月二日付消防危発第五三号消防庁危険物規制課長通達「ナトリウム・硫黄電池を設置する危険物施設の技術上の基準等について」において、安全性能が確認されているものについて、地方公共団体が位置、構造及び設備の技術上の基準の特例を適用することとして差し支えない旨が通知されているところあり、今般の措置はこれを踏まえたものである。
貴管下関係機関に対しても、この旨周知徹底方お願いするとともに、許可の事務の執行に当たっては、その迅速な処理に務められたい。

(1) 許可の対象となる建築物は、ナトリウム及び硫黄を密閉した単電池を組み合わせて収納してモジュール電池とした構造のナトリウム・硫黄電池で、別添に掲げる安全性能を有するものを設置する建築物であること。なお、この安全性能については、危険物保安技術協会において試験確認等がなされているので参考にすること。
(2) 当該建築物の用途に必要な量のナトリウム・硫黄電池を設置するものであること。ただし、電気事業用の電気工作物として、周辺の建築物も含めた電力負荷平準化を目的として設置される場合にあっては、この限りではないこと。
(3) 建築物が耐火建築物、または、ナトリウム・硫黄電池を設置する室が耐火構造であって、当該室の開口部に防火戸その他の防火設備を有するものであること。なお、鋼板で覆われた配電盤に収納されたナトリウム・硫黄電池が建築物の外に設置される場合にあっては、当該配電盤の周囲に防火上有効な塀が設けられる、または、当該配電盤と敷地境界線との間に防火上十分な距離が確保されるものであること。

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