建築士法及び建築基準法の一部を改正する法律(昭和五八年法律第四四号)、建築士法施行令の一部を改正する政令(昭和五八年政令第二四〇号)、建築基準法施行令及び消防法施行令の一部を改正する政令(昭和五九年政令第一五号)、建築士法施行規則の一部を改正する省令(昭和五八年建設省令第二〇号)及び建築基準法施行規則の一部を改正する省令(昭和五九年建設省令第二号)によりそれぞれ改正された後の建築士法(以下「士法」という。)、建築基準法(以下「基法」という。)、建築士法施行令(以下「士令」という。)、建築基準法施行令(以下「基令」という。)、建築士法施行規則(以下「士規則」という。)及び建築基準法施行規則(以下「基規則」という。)については、昭和五九年三月三一日付け建設省住指発第一一五号をもって建設事務次官から通達されたところであるが、その細目は、左記のとおりであるので、これらの法令の執行に遺憾のないよう措置されたい。
第一 建築士法関係
一 木造建築士資格の設定(士法第三条の三、士規則第一三条の二等関係)
(一) 小規模の木造の建築物の設計及び工事監理の適正化を図るため、建築士資格を整備し、小規模の木造の建築物の設計、工事監理等を行う木造建築士の資格を設けた。すなわち、木造建築士は、階数が二以下で延べ面積が三〇〇平方メートル以内の木造の建築物の新築等の設計又は工事監理を行うことができるものとした。
(二) 木造建築士は、一級建築士及び二級建築士と等しく、業務執行の方法、建築士事務所の登録等の規制を受けることとした。また、木造建築士の行う設計及び工事監理以外のいわゆるその他業務については、木造の建築物に関する業務に限られることとした。
なお、木造建築士については、一級建築士及び二級建築士に関する場合と異なり、土地家屋調査士試験につき試験科目の一部免除が認められず、また、木造建築士事務所の業務として建築物につき鑑定するときは不動産の鑑定評価に関する法律にいう不動産の鑑定評価に含まれ、同法の規制を受けるものである。
(三) 木造建築士試験は、小規模の木造の建築物に関する設計及び工事監理に必要な知識及び技能について行うものであり、その基準を定めたところであるが、その受験資格は、二級建築士試験の受験資格と同等である。試験の実施に当たっては厳正を確保することに努められたい。また、試験期日は、二級建築士試験の試験期日と同一とすることが望ましい。
なお、都道府県建築士審査会の委員又は試験委員は、従来どおり一〇人以内又は五人以上一五人以内でなければならないが、その任命に当たっては木造建築士の資格が設けられたことを考慮に入れられたい。
(四) なお、建築士でなければできない設計又は工事監理の業務範囲の延べ面積による下限について別に定める条例の根拠規定が士法第三条の二第三項及び第三条の三第二項の規定となったことに留意されたく、また、木造建築士資格の設定に伴い、木造建築士の免許の申請、登録の訂正及び抹消、免許証の交付、再交付及び返納並びに住所等の届出に関して必要な手続並びに木造建築士試験の科目、受験手続その他木造建築士試験に関して必要な事項について、都道府県規則で定める必要があるので、念のため、申し添える。
二 指定試験機関制度の導入(士法第一五条の二等関係)
(一) 民間能力の活用による建築士試験事務の合理化を図るため、建築士試験に関し、指定試験機関制度を導入した。すなわち、建設大臣又は都道府県知事は、その指定する者に一級建築士試験の実施に関する事務又は二級建築士試験及び木造建築士試験の実施に関する事務を行わせることができることとした。
(二) 一級建築士試験に関しては、既に昭和五九年一月三〇日付けで、中央指定試験機関として財団法人建築技術教育普及センターを指定したところであるが、今後当分の間は一級建築士試験に関しその円滑な実施を図るため協力をお願いせざるを得ないと考えるので、よろしくお願いする。
(三) 二級建築士試験及び木造建築士試験に関しても、都道府県の状況に応じ、指定試験機関制度の活用を図られたい。都道府県指定試験機関の指定に当たっては、指定される者によって試験事務が適正かつ確実に実施されなければならず、また、そのためには当該者に経理的及び技術的な基礎が存しなければならないので、建設大臣によって既に中央指定試験機関として指定されている財団法人建築技術教育普及センターを都道府県指定試験機関として指定することが建築士試験事務の効率的かつ円滑な実施の上からも望ましいと考えられ、都道府県指定試験機関として財団法人建築技術教育普及センター以外の者を指定するに当たっては事前に当職の承認を求められたい。なお、二級建築士試験の実施に関する事務及び木造建築士試験の実施に関する事務を貴職の指定する者に行わせるときは、これらの事務を同時にかつ同一の者に行わせなければならないこととなっているので、留意されたい。
(四) なお、指定試験機関制度の導入に伴い、都道府県指定試験機関について、試験事務規程の記載事項、帳簿の記載事項等及び二級建築士等試験事務の引継ぎ等に関しては士規則で定めたところであるが、その指定の申請、名称等の変更の届出、役員の選任及び解任の認可の申請、試験委員の選任及び解任の届出、試験事務規程の認可の申請、事業計画等の認可の申請、二級建築士等試験事務の実施結果の報告、二級建築士等試験事務の休廃止の認可並びに公示について、都道府県規則で定める必要があるので、念のため、申し添える。
三 建築士の適正な業務執行の確保
(一) 相対的欠格事由の拡充(士法第八条第三号関係)
建築士の適正な業務の執行を確保するため、建築士の相対的欠格事由として、新たに、建築士の免許を取り消されてから二年を経過し五年を経過しない者を加えた。
貴職におかれては、建築士の免許の審査に当たっては厳正を保持し、不適当な建築士が登録されることのないようにされたい。
(二) 懲戒事由の拡充(士法第一〇条第一項関係)
建築士の適正な業務の執行を確保するため、士法若しくは建築物の建築に関する他の法律又はこれらに基づく命令若しくは条例の規定に違反したときには、刑罰に処せられたか否かを問わず、懲戒することができることとした。
懲戒の基準等については、別途通知することとするが、特定行政庁、消防長等から貴職が免許を与えた建築士について建築物の建築に関する法律又はこれに基づく命令若しくは条例の規定に違反した旨の連絡・通知があったときは、迅速かつ適確な措置を講ずることとされたい。
(三) 工事監理の結果の報告の方法の明確化(士法第二〇条第二項、士規則第一七条の一四及び第四号の二書式関係)
工事監理については、従来、必ずしも十分に行われていない場合もあったことを踏まえ、工事監理の確実な実施等その適正化を図り、もって、建築物の新築等の工事が設計図書のとおりに実施されることを確保するため、建築士が工事監理を終了したときは、建築主に対し、一定の書式の工事監理報告書を提出しなければならないこととした。
(四) 建築設備に関し意見を聴いた旨の明示(士法第二〇条第三項関係)
近年の建築設備の多様化、大型化、更に高度化に対応し、建築士が建築設備に係る設計又は工事監理を行う場合において、必要に応じ、建築設備に関する知識及び技能を有する者の意見を聴くことが望ましく、建設大臣においては、当該知識及び技能につき資格を定めることとし、また、当該資格を有する者の意見を聴いたときは、設計図書又は工事監理報告書にその旨を明らかにしなければならないこととした。なお、建築士が当該資格を有する者の意見を聴いたときは、そのことが建築士事務所の帳簿(士法第二四条の二第一項、士規則第二一条第一項第六号)、確認申請書(基規則別記第一号様式)及び工事完了届(基規則別記第六号様式)においても明らかになることとした。
建設大臣が定める資格については、近く告示される予定であり、告示され次第別途通知することとする。
(五) 知識及び技能の維持向上(士法第二二条関係)
建築士においては、設計及び工事監理に必要な知識及び技能の維持向上に努めなければならないこととし、また、建設大臣及び都道府県知事においても、必要に応じ、講習の実施、資料の提供その他の措置を講ずることとした。
貴職におかれても、設計及び工事監理に必要な知識及び技能の維持向上を図るため、必要があると認められる講習の実施、資料の提供、いわゆる指定講習の指定等の措置をとられたい。
四 建築士事務所の適正な業務執行の確保
建築士事務所の適正な業務の執行を確保するため、今回の改正法律等によって講じられた措置については、次のとおりである。
(一) 登録事項の拡充(士法第二三条の三、士規則第二〇条の二関係)
一般の閲覧に供される建築士事務所登録簿の登録事項として、新たに、建築士事務所の開設者の監督処分歴を加えた。なお、建築士事務所登録簿の閲覧の体制を整備されたい。
(二) 相対的拒否事由の拡充(士法第二三条の四第二項第三号関係)
相対的拒否事由として、新たに、建築士事務所の登録を取り消されてから二年を経過し五年を経過しない者(法人である場合においては、取消しの日において役員であった者でその取消しの日から二年を経過し五年を経過しない者を含む。)を加えた。
貴職におかれては、建築士事務所の登録の審査に当たっては厳正を保持し、不適当な建築士事務所が開設されることのないようにされたい。
(三) 管理建築士の権限の明確化(士法第二四条第二項関係)
管理建築士の権限の明確化することとし、管理建築士は、建築士事務所の業務に係る技術的事項を総括し、建築士事務所の開設者に対し、技術的観点からその業務が円滑かつ適正に行われるよう必要な意見を述べることとした。なお、管理建築士の当該意見は、建築士事務所の業務に関する帳簿に記載されなければならないものである。
(四) 帳簿の備付け等及び工事監理報告書の保存の義務付け(士法第二四条の二、士規則第二一条関係)
建築士事務所の開設者は、契約の年月日、契約の相手方の氏名又は名称、業務の種類及びその概要、業務の終了の年月日、報酬の額等を記載した帳簿を備え、各事業年度の末日をもって閉鎖し、閉鎖後五年間これを保存しなければならないこととするとともに、建築士事務所の業務として作成された工事監理報告書をその作成の日から五年間保存しなければならないこととした。
今後、建築士事務所に対する立入検査を行う際は、これらの図書についても検査させることができるものである。
(五) 監督処分及びその事由の拡充(士法第二六条第二項関係)
監督処分として、新たに、建築士事務所の開設者に対する戒告処分を加えるとともに、監督処分事由として管理建築士が戒告処分を受けたときを加える等相対的監督処分事由を拡充した。戒告処分については、聴聞手続等は必要でなく、建築士事務所に対する監督処分のきめ細い発動を図るものである。
監督処分の基準については、別途通知することとするが、貴職におかれては、監督処分事由に該当する事実がある場合においては、今後一層、迅速かつ適確な措置を講ずることとされたい。
五 その他
(一) 罰則の強化(士法第三五条等関係)
建築士及び建築士事務所の適正な業務の執行を確保し、違反建築物等の発生を防止するため、量刑を重くしたので、建築士、建築士事務所の開設者等に罰則に該当する行為のあったときは、速やかに告発等の適切な措置をとられたい。
(二) 建築士事務所登録の有効期間の延長(士法第二三条第二項関係)
建築行政の簡素合理化を図るため、建築士事務所の登録の有効期間を三年間から五年間に延長した。今回の改正法律の施行期日において登録を受けている建築士事務所についても、この措置は適用されるものである。
(三) 建築士試験の受験手数料等の改定(士法第三条及び第四条の二関係)
一級建築士試験の受験手数料を九、〇〇〇円に、二級建築士試験及び木造建築士試験の受験手数料を九、〇〇〇円以内で都道府県知事が定める額に、一級建築士事務所の登録手続料を九、〇〇〇円に、二級建築士事務所及び木造建築士事務所の登録手数料を六、〇〇〇円に定めた。
都道府県知事は、二級建築士試験及び木造建築士試験の受験手数料については、実費を勘案し適切な額に定められたい。