建設省住指発第四一〇号
平成一〇年七月二二日

各都道府県知事あて

建設省住宅局長通達


建築士法の一部を改正する法律等の施行について


建築士法の一部を改正する法律(平成九年法律第九五号)及び建築士法施行規則の一部を改正する省令(平成一〇年建設省令第九号)が、平成一〇年六月一九日から施行されたところである。
今回の改正法律等は、現在、設計等を委託する建築主の利益の保護を図る要請が高まっていること、また、先の阪神・淡路大震災の経験から、建築物の安全性の確保と質の向上が社会全体の要請となっていることにかんがみ、建築士事務所の業務の適正な運営等を図るため、建築士の説明義務、建築士事務所の開設者の書類の閲覧義務及び書面の交付義務を新たに規定するとともに、建設大臣が、建築士事務所の業務の適正な運営及び設計等を委託する建築主の利益の保護を図ることを目的として設立された公益法人であって、建築士事務所の開設者に対する指導及び研修、建築主等からの苦情の処理等の業務を適切かつ確実に行うことができると認められるものを、申請により、当該業務を行う者として指定することができること等の改正を行ったものである。
改正法等の概要は、次に述べるとおりであるが、貴職におかれては、改正法等の施行に遺憾のないようにするとともに、関係団体への周知徹底を図られたい。
第1 建築士事務所の開設者の書類の閲覧義務等に係る改正

1 建築士の説明義務(建築士法(以下「法」という。)第一八条第三項関係)

建築主と建築士との間の設計の内容に関する紛争を防止するため、建築士は、設計を行う場合においては、設計の委託者に対し、設計の内容に関して適切な説明を行うように努めなければならないこととした。

2 建築士事務所の登録の規定の改正(法第二三条第一項関係)

従前、法第二三条第一項後段に規定されていた建築士を使用して設計等を業とする場合を、同項前段の建築士が自ら設計等を業とする場合と並べて規定することとした。なお、建築士事務所の登録の枠組みには何ら変更がないので、念のため申し添える。

3 建築士事務所の開設者の書類の閲覧義務等

(1) 書類の閲覧(法第二四条の四及び第三八条、建築士法施行規則(以下「規則」という。)第二二条の二関係)

設計等を委託しようとする建築主が、適切に建築士事務所を選択できるようにするため、建築士事務所の開設者は、建築士事務所の業務の実績等を記載した書類を備え置き、建築主の求めに応じ、閲覧させなければならないこととした。
この場合において、建築士事務所の開設者は、当該書類を、規則第七号の二書式により、事業年度ごとに当該事業年度経過後三月以内に作成し、遅滞なく建築士事務所ごとに備え置き、備え置いた日から起算して三年を経過する日までの間、閲覧させるものとした。
また、書類の閲覧義務の違反行為について所要の罰則を規定することとした。
なお、法第二六条の二第一項の規定に基づき建築士事務所に対する立入検査を行う際は、今後、当該書類についても検査させることができるものである。

(2) 書面の交付(法第二四条の五、規則第二二条の三関係)

設計又は工事監理に係る委託内容を明らかにし、後の紛争を防止するため、建築士事務所の開設者は、建築主から設計又は工事監理の委託を受けたときは、設計又は工事監理の種類及びその内容、設計又は工事監理の実施の期間及び方法等を記載した書面を作成し、記名押印又は署名をした上で、当該建築主に交付しなければならないこととした。
この場合の書面は、法第二四条の五第一号から第五号までに規定する事項が記載されており、かつ、建築士事務所の開設者の記名押印又は署名がなされていれば足りるものである。したがって、設計又は工事監理に係る契約書や工事請負契約書が交付された場合において、当該契約書に、こうした内容がすべて含まれている場合には、当該契約書の交付をもって、同条の規定による書面の交付義務を果たしたこととなるものである。

第2 建築士事務所の業務の適正な運営等を図ることを目的とする団体の指定(法第五章の二及び第三六条の三、規則第二四条関係)

1 建設大臣は、建築士事務所の業務の適正な運営及び設計等を委託する建築主の利益の保護を図ることを目的として設立された公益法人であって、次に掲げる業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、申請により、その業務を行う者(以下「指定法人」という。)として指定することができることとした。

(1) 建築士事務所の業務に関し、契約の内容の適正化その他設計等を委託する建築主の利益の保護を図るため必要な建築士事務所の開設者に対する指導、勧告その他の業務
(2) 建築士事務所の業務に対する設計等を委託する建築主等からの苦情の処理
(3) 建築士事務所の開設者に対する研修
(4) その他指定法人の目的を達成するために必要な業務

2 改善命令、指定法人の指定の取消しその他の建設大臣による監督に必要な規定を設けることとした。
3 指定法人の役員及び職員の違反行為について所要の罰則を規定することとした。
第3 その他

1 指定試験機関が備え保存しなければならない帳簿(法第一五条の一〇、第一五条の一七第五項)並びに建築士事務所の開設者が備え保存しなければならない帳簿(法第二四条の二)及び閲覧させなければならない書類(法第二四条の四)に記載しなければならない事項が、電子計算機(入出力装置を含む。)に備えられたファイル又は磁気ディスクに記録され、必要に応じ電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示されるときは、当該記録をもって帳簿又は書類への記載に代えることができることとした(規則第一七条の九、第二一条、第二二条の二関係)。
2 書面の交付の規定は、建築士法の一部を改正する法律(平成九年法律第九五号)の施行前に建築士事務所の開設者が受けた設計又は工事監理の委託については、適用しないこととした。
3 その他、所要の規定の整備を行うこととした。


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