建設省住指発第三八一号
平成六年九月二八日

建設省住宅局建築指導課長から各都道府県建築主務部長あて

通達


高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律の施行に伴う建築基準法の運用等について


高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(平成六年法律第四四号。以下「法」という。)については、平成六年九月二八日付け建設省住指発第三七七号をもって住宅局長から通達されたところであるが、同法中建築基準法(昭和二五年法律第二〇一号)に係る規定(法第一二条を除く。)の細目及び運用の方針は下記のとおりであるので、貴管下特定行政庁に対してもこの趣旨を十分に周知徹底されるとともに、今後の建築基準法の施行に遺憾のないよう措置されたい。

1 建築確認手続の簡素化について

法第五条第四項から第八項までの規定は、計画の認定申請が建築確認申請とほぼ同時期に行われ、認定申請の内容も建築物の敷地、構造、建築設備等に係るもので建築確認申請の内容と密接に係わり、一方の変更が他方の変更をもたらす可能性が高く、同一主体により同一時期に審査され、計画の修正を行う方が効率的であることから設けられたものであり、当該規定の運用に当たっては以下の事項について留意されたい。
(1) 法第五条第四項の規定による申出(以下「確認の特例の申出」という。)があった場合には、同条第一項の申請を受理する際に法施行規則(平成六年建設省令第二六号)第三条の認定申請書の第二面の確認の特例の欄により確認の特例の申出をすることを確認するとともに、建築主事に通知する前に、提出された建築基準法第六条第一項の規定による確認の申請者が建築基準法に照らして適法なものであるか否かについて審査を行うこと。
(2) 法第五条第五項の規定により、確認の特例の申出に係る特定建築物の建築の計画が建築主事に通知された場合には、建築主事は同条第六項の規定により建築基準法第六条第三項の期間内に審査を行うものとし、建築基準法に照らして適法とならない部分があると見込まれる場合には、速やかに都道府県等の担当部局と協議すること。
(3) 適合通知は、建築主事から都道府県知事等に対して発出されるものであり、確認の特例の申出をした者には建築基準法第六条第三項の規定による確認の通知がなされないことから、建築基準法第七条第一項の規定による工事を完了した旨の届出、同法第八九条の規定による工事現場における確認の表示等確認の後に必要となる措置が適法になされるよう、法第五条第七項の規定により適合通知を受けて計画の認定をする場合には、法施行規則第三号様式による認定通知書に確認番号、確認年月日、建築主事の氏名を記載すること。
(4) 建築主事は、適合通知をする場合においては法第五条第八項の規定により消防長等の同意等の手続を踏むこと。また、当該建築主事を指揮監督する特定行政庁は、当該特定建築物に係る建築基準法第九三条の二に規定する図書を備え、閲覧の請求があった場合には、これを閲覧させること。
(5) 法第五条第四項から第八項までの規定は、建築基準法第六条第一項に規定する確認の特例であり、確認以外の事項である建築基準法第七条第一項の規定による工事を完了した旨の届出の受理、同条第三項の規定による検査済証の交付等を行う者は、当該特定建築物の敷地を含む区域を所管する建築主事であること。

2 既存の特定建築物に設ける昇降機についての建築基準法の特例について

(1) 法第一一条の対象となる昇降機について

イ 法の施行日(平成六年九月二八日)において現に存する特定建築物又は建築の工事中の特定建築物に設けられる昇降機であること。
ロ 法第一一条の基準に適合するものであり、かつ、特定行政庁が防火上及び避難上支障がないと認めるものであること。
ハ かご及び昇降路の出入口の幅は八〇センチメートル以上とし、かごは車いす使用者が転回可能な形状とするなど、車いす使用者が円滑に利用できるものであること。

(2) 適用が除外される条項について

適用が除外される建築基準法の規定は、第二七条第一項、第六一条及び第六二条第一項であり、第三六条に基づき同法施行令に定める防火壁、防火区画等の規定は除外されておらず、例えば同法施行令第一一二条第九項に規定するいわゆる竪穴区画等の規定の適用があることに留意すること。

(3) 法第一一条第一項第一号に基づき定める安全上の基準について

特例が適用される昇降機(以下「特例対象昇降機」という。)の昇降路部分の地震時の層間変位は通常の場合に比べ大きくなることが予想され、地震時に特定建築物及び昇降機関連機器に損傷又は機能上の障害が生じないよう措置する必要があることから、当該昇降機の設置に係る特定建築物の壁、柱、床及びはりについては次のイからハまでに掲げる措置を講じること。
イ 建築物の既存部分と昇降路との連結部はエキスパンションジョイントを設ける等、地震時に有害又は不測の応力を制御できる構造とすること。
ロ 特定建築物の壁、柱及びはりのうち昇降路の壁又は囲いに該当する部分は、仕上げ材の剥離等有害な損傷が生ずるおそれのない構造とすること。
ハ 特定建築物の壁、柱、床及びはりのうち昇降路に該当する部分にはレール用の支持金物等を耐震上有効な方法により取付け、地震時の震動の影響により昇降機の運行に支障を生じないよう措置をすること。

(4) 法第一一条第一項第一号に基づき定める防火上の基準について

特例対象昇降機の昇降路部分について火災時に一定の防火性能を確保する必要があることから、当該昇降路の戸は自動的に閉鎖する構造のものとし、特定建築物の壁、柱、床及びはりのうち昇降路に該当する部分は不燃材料で造ること。

(5) 法第一一条第一項第二号に基づき定める昇降機の制御方法に関する安全上の基準について

特例対象昇降機の制御装置は、車いす使用者が円滑に利用できるよう、当該昇降機のかご内及び乗降ロビーに車いす使用者が利用しやすい位置に設けること。
また、非常時に車いす使用者を迅速に救出し得るよう、特定建築物を管理する者が当該昇降機を監視できる状況においてのみ運行できることとし、監視できない場合には、施錠装置を有する覆いの設置や制御装置の機能を停止させる装置の設置等により、制御装置の利用を停止できる構造とすること。

(6) 法第一一条第一項第二号に基づき定める昇降機の作動状態の監視方法に関する安全上の基準について

特例対象昇降機は、非常時に車いす使用者を迅速に救出し得るよう、当該昇降機のかご及び昇降路のすべての出入口の戸に窓を設ける等の方法により、乗降ロビーからかご内の車いす使用者を容易に覚知できる構造とすること。ただし、常時特定建築物を管理する者が勤務する場所からかご内を監視できるモニターを設ける場合等においては、この限りでない。
また、異常の発生を発見しやすくするため、かご内の車いす使用者と特定建築物を管理する者とが相互に連絡をとることができる構造とし、連絡のための装置は車いす使用者用の制御装置と一体とする等車いす使用者が利用しやすいよう措置すること。

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