鉄業第八〇号
平成八年一二月一一日

各地方運輸局長あて

鉄道局長通達


新しい旅客鉄道運賃制度の制定及び適用について

近年、公共料金に対する国民の関心が高まる中、平成六年一一月の閣議了解「今後の公共料金の取扱いについて」において、公共料金全般について、今後、経営の徹底した合理化・効率化、透明性の確保、情報公開の推進、民間企業の自主性の尊重等の基本方針が示されるとともに、平成七年三月に閣議決定された規制緩和推進計画において運輸産業の運賃・料金について、各事業の特性に応じ、経営効率化インセンティブの付与、利用者の利益保護の観点から設定方式の在り方等について検討を行うこととされた。
これらの方針に基づき、旅客鉄道運賃制度について検討を進めた結果、今般、利用者利益の増進、経営の効率化の促進、事業者の自主性の確保、透明性の向上及び規制コストの軽減の観点から、左記のとおり「新しい旅客鉄道運賃制度」を制定したので、本制度の適用に当たっては、遺漏なきよう取り計らうとともに、管下関係事業者に周知徹底せられたい。
なお、本制度の施行は、平成九年一月一日以降申請の運賃改定事案から適用するものとする。

一 事業者の自主性を拡大し、規制コストの縮小を図るため、総括原価方式の下での上限価格制を導入し、認可された上限運賃の範囲内で運賃の設定又は変更を行おうとするときは、届出により行うことができるものとする。
二 経営効率化を一層促進し、規制コストの縮小を図り、運賃改定における透明性を向上させるため、ヤードスティック方式を強化するとともに、毎年度の事業者の基準単価及び基準コストを算定し、公表する。
三 経営の効率化インセンティブをより高めるとともに、規制コストの縮小を図り、経営の安定性を確保するため、原価計算期間を複数平年度に長期化すること及び事業報酬の算定方式を改める。
四 規制コストの縮小を図るため、総括原価方式の下での上限価格制や新しいヤードスティック方式の導入のほか、現行の運賃・料金の認可及び届出等の諸手続の見直しを行い、手続きの簡素化・合理化を図る。
五 運賃改定をはじめとする運賃についての透明性の向上及び利用者の監視による経営効率化の促進を図るため、情報提供ガイドラインの策定及び新しいヤードスティック方式による基準コストの公表等により情報公開を促進する。

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