

国鉄都第四八号・国鉄業第三九号・国鉄技第一〇八号・国鉄施第一三五号
平成一三年一一月三〇日
鉄道局長通知
鉄道事業及び軌道業の情報公開の促進について
鉄道事業及び軌道業の情報公開については、これまでも旅客運賃に関して運賃改定時を中心に進めてきたところであるが、需給調整規制の廃止をはじめとする規制緩和が進む中で、規制緩和の実効性を確保し、利用しやすく高質な鉄道ネットワークシステムの構築を可能とするために、より一層の情報公開を通じて、利用者の自由かつ的確なサービス選択の確保、公正で透明な競争環境の形成及び透明性の高い鉄道行政運営の確保を図ることが必要である。
このため、今般「鉄軌道業の情報提供ガイドライン」を別紙のとおり定めたところであり、本ガイドラインに基づきより一層の情報提供を推進するよう、貴局において対処するとともに管下関係事業者においても本ガイドラインに基づき、適切な媒体を通じて情報提供を行う等実状に応じて創意工夫を行いながら、積極的に情報公開を行うよう指導されたい。また、各年度末において管下関係事業者の情報公開の実施状況について事業者に対して報告するよう指導するとともに、本省と相談のうえ公表されたい。
なお、平成八年一二月一一日付け鉄業第八五号「鉄道事業及び軌道業の旅客運賃に関する情報公開の促進について(鉄道局長通達)」は廃止する。
鉄軌道業の情報提供ガイドライン
I 事業者の財務等に関する情報提供
鉄軌道事業者は、次の項目により、定期的又は随時に情報公開を行うこととし、公開資料の構成及び具体的内容は上記目的の趣旨に鑑み、各事業者毎に創意工夫して行うものとする。
1) 事業計画の概要
2) 決算の内容
3) 前年度決算との比較・分析
4) 設備投資実績・計画(前年度までの実績、当年度計画)
5) 経営合理化の状況
6) 環境、技術開発への取組状況
II 運賃に係る情報提供
一 目的
鉄道運賃に対する国民の関心が高まる中、運賃改定における透明性の向上や利用者等の監視による効率化の促進を図るため、運賃改定時はもとより、運賃改定時以外にも必要な情報を提供する等、運賃に係る情報の公開を促進する。
二 鉄軌道事業者において情報提供するもの
次の項目により情報公開を行うこととし、公開資料の構成及び具体的内容は上記目的の趣旨に鑑み、各事業者毎に創意工夫して行うものとする。
(一) 運賃改定時に情報提供するもの
1) 申請の内容(申請理由、申請の概要、改定率・増収率一覧、申請・現行運賃比較表)
2) 鉄軌道部門収支の実績及び推定(実績年度及び平年度の鉄軌道部門収支)
3) 運賃・料金収入内訳
4) 需要見通し(平年度の需要見通し)
5) 設備投資実績・計画
・設備投資実績と計画(過去三ケ年度〜平年度)
・主要プロジェクトの内容(目的、効果、施行区間、工事費、完成予定)
6) これまでの経営合理化の状況及び今後の取り組み
7) 運賃・料金の多様化の内容(新たな制度の創設、営業割引の内容等(既設分の紹介を含む))
8) 利用者サービスの向上策(前記5)7)の項目との重複も可)
9) 情報へのアクセスについての情報(運賃・料金に関する問合せ先)
(二) 随時に情報提供するもの
運賃・料金の多様化の内容(運賃・料金のメニュー一覧、新設の営業割引の状況(既設分を含む)等)
三 国土交通省において情報提供するもの
(一) 運賃改定時に情報提供するもの
1) 運賃認可の内容に沿って事業者の情報内容を補完するもの(改定の経緯、査定概要、鉄軌道部門査定収支、改定率・増収率一覧、定期運賃割引率、申請・現行・改定運賃比較表、経営合理化目標の内容、利用者サービス向上策、答申の概要)
2) 収入原価算定要領
(二) 定期的に情報提供するもの
新ヤードスティック方式に係る基準単価算出のための回帰式、基礎データ、基準単価、施設量、基準コスト合計額、実績コスト合計額
III 安全、サービスに関する情報提供
一 目的
需給調整規制の廃止をはじめとする規制緩和が進む中で、規制緩和の実効性を確保し、利用しやすく高質な鉄道ネットワークシステムの構築を可能とするために、利用者の自由かつ的確なサービス選択の確保に資する情報を提供する等情報の公開を促進する。
二 鉄軌道事業者において情報提供するもの
次の項目により情報公開を行うこととし、公開資料の構成及び具体的内容は上記目的の趣旨に鑑み、各事業者毎に創意工夫して行うものとする。
(一) 随時情報提供するもの
1) サービスに関する基本的な情報(ダイヤ、遅延等の情報、空席情報、運送約款)
2) サービスの水準
・輸送頻度、混雑率、所要時間
・乗継ぎ利便性(相互直通運転、共通乗車券等に関すること)
・駅施設に関する情報(構内地理案内、乗換に要する時間、駐車場・駐輪場の有無、トイレの有無、バリアフリー化施設の整備状況等)
・車両設備に関する情報(車両の種別、主要な設備の状況、バリアフリー化設備の整備状況等)
3) 安全に関する情報(個別の事故対策等)
4) その他利用者サービスの向上策(前記II(二)の項目との重複も可)
5) 情報へのアクセスについての情報(運賃・料金、列車時刻等に関する問合せ先)
(二) 定期的に情報提供するもの
1) 安全への取組状況(安全対策、事故件数等)
2) 利用者意見及びその対応(利用者から寄せられた質問、要望及びそれに対する回答、改善内容の紹介)
三 国土交通省において情報提供するもの
以下の項目について定期的に又は随時に情報提供する。
1) 輸送実績(輸送人員、輸送人キロ、旅客収入等)
2) サービスの水準
・信頼性比較(事故発生率比較、主要路線別の混雑率比較等)
・駅のバリアフリー化施設の整備状況比較(段差の解消状況、エレベーター・エスカレーター整備状況、視覚障害者誘導用ブロック敷設状況、身体障害者対応型トイレ導入状況等の主な事業者別の駅数比較)
・車両のバリアフリー化設備の整備状況比較(車いすスペース、車いす対応型トイレ、車両間転落防止設備導入状況等の主な事業者別の編成数比較)
・情報公開の実施状況
3) 安全に関する情報(種類別運転事故件数の推移、個別の事故の安全対策等)
IV 情報提供の方法
より多くの利用者がニーズに合致した情報を享受できるよう、各情報提供手段の特徴に留意しつつ、情報の内容に応じた適切な媒体を通じて積極的な情報提供を行う。
また、複数の鉄軌道事業者に係る情報については、関係する鉄軌道事業者の相互の連携により提供の方法の共通化を図り、適切な情報提供を行うよう配慮する。
(一) 鉄道事業者
パンフレット・駅構内掲示・車内吊り・広報誌による情報提供、テレビ・新聞等マスメディアでの発表、インターネットによる情報発信、利用者窓口の設置、事業者団体の広報活動を通じた情報提供
(二) 国土交通省
国土交通省及び地方運輸局における閲覧、テレビ・新聞等マスメディアでの発表、インターネットによる情報発信
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