鉄業第一五号
平成一二年三月一日

各運輸局長あて

鉄道局長通知


運賃及び料金の変更命令に係る取扱要領

鉄道事業法(以下「法」という。)第一六条第五項の規定に基づく運賃及び料金の変更命令に係る取扱いについては、左記のとおりとする。

一 変更命令の発出までの手順

(一) 法第一六条第三項又は第四項により鉄道運送事業者が届け出た運賃又は料金(以下「届け出た運賃等」という。)について、法第一六条第五項に規定する要件(以下「変更命令の要件」という。)のいずれかに該当するおそれがあると判断した場合及び該当するおそれがあるか否か判断不可能な場合には、変更命令の発出に係る手続きに入るか否かについての調査を実施するとともに、その旨を対外的に公表する。
(二) 上記(一)の調査の結果を踏まえ、届け出た運賃等が変更命令の要件のいずれかに該当すると認められる場合には、変更命令の発出に係る手続きに入るものとする。

二 変更命令の発出に係る考え方

届け出た運賃等の変更命令の発出に係る取扱いについては、以下のとおりとする。
(一) 「特定の旅客又は荷主に対し不当な差別的取扱いをするものであるとき」(法第一六条第五項第一号)

届け出た運賃等が、合理的かつ正当な理由無く、特定の旅客又は荷主を優遇又は冷遇するものであるとき等が該当する。
なお、合理的かつ正当な理由については、個別具体的な事例ごとに判断されるものであるが、基本的には運賃又は料金体系全体における整合性、社会政策上の観点、社会通念等を勘案し、総合的に判断する。
例えば、以下のような事例については、合理的かつ正当な理由に基づかない不当な差別的取扱いをしているおそれがあると認められる場合がある。
・ 鉄道運送事業者が旅客又は荷主の信条、宗教等によって異なる運賃等を適用する場合。

(二) 「他の鉄道運送事業者との間に不当な競争を引き起こすおそれがあるものであるとき」(法第一六条第五項第二号)

・ 届け出た運賃等が、鉄道運送事業者間の公正な競争を阻害するおそれのあるものであるとき等が該当する。

なお、公正な競争を阻害するか否かについては、個別具体的な事例ごとに判断されるものであるが、基本的には路線の特性、届け出た運賃等の設定又は変更(以下「設定等」という。)の意図、継続性及び届け出た運賃等が他の鉄道運送事業者に与える影響等を勘案し、総合的に判断する。
例えば、以下のような事例については、合理的かつ正当な理由に基づかない不当な競争を引き起こすおそれがあると認められる場合がある。

・ 旅客鉄道運送事業者が路線別又は区間別に異なる運賃(原則として、加算運賃、乗継運賃を除く。)の設定等を行い、かつ、その最低額が最高額を概ね二割以上下回る場合。

(附 則)
本要領は、平成一二年三月一日から適用する。

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