鉄保第一七四号
平成一二年一二月二〇日

各地方運輸局鉄道部長あて

鉄道局保安車両課長通知


車両の確認等における鉄道事業法施行規則の解釈等について

鉄道事業法施行規則等の一部を改正する省令(平成一二年運輸省令第七号)が公布・施行され関係通達の整理を行ったが、車両の確認等における鉄道事業法施行規則の解釈等の取扱いについては、左記のとおりとしたので、遺漏なきよう取り計らわれたい。

一 「車両」とは、線路上を移動することを目的として製作された機械(レールから容易に取り外すことができるトロ、ハンドカー及び軌道自転車を除く。)をいう。
二 「鉄道事業の用に供しようとする」とは、本線(線路閉鎖をした場合を除く。)を走行(本線を一時的に通過することを含む。)させようとすることをいう。
三 確認の有効期間は、当該確認により確認された事項を満足する車両が、当該確認を受けた鉄道事業者により鉄道事業に使用され、かつ、その安全が維持管理されている期間とする。
四 「既に確認を受けた車両」とは、その鉄道事業者が既に確認を受け事業の用に供し又は供しようとする同一の構造及び装置(鉄道事業法施行規則(昭和六二年運輸省令第六号 以下「規則」という。)第二〇条第一項で定める別表第三に掲げる構造及び装置をいう。以下同じ。)を有する全ての車両をいう。また、「車両の構造又は装置の変更」とは、既に確認を受けた車両と構造又は装置の一部が異なる車両を事業の用に供しようとする場合をいい、製造、改造及び購入等の事業の用に供するための手段は問わないものとする。
五 規則第二〇条第一項の規定により取扱う車両確認は、以下のいずれかに該当する場合とする。

(一) 新たに設計をした車両を鉄道事業の用に供しようとする場合
(二) 現に確認を受けていない車両(既に確認を受けている車両と車種(規則第四条に掲げる鉄道の種類の別、車体及び台車の基本構造が異なる場合の機関車、旅客車、貨物車、特殊車の別又は動力の種類の別に限る。)を異にする車両を含む。)を鉄道事業の用に供しようとする場合

六 「車種」は、鉄道の種類(普通鉄道、普通鉄道(新幹線鉄道)、懸垂式鉄道、跨座式鉄道、案内軌条式鉄道、無軌条電車、鋼索鉄道、浮上式鉄道等の別)及び機関車、旅客車(旅客及び貨物を運送する車両は旅客車とする。)、貨物車、特殊車とする。更に、機関車にあっては、直流電気機関車、交流電気機関車、交直流電気機関車、内燃機関車、蒸気機関車等、旅客車にあっては、電車(直流電車、交流電車、交直流電車の別)内燃動車、客車、貨物車にあっては、貨物電車、貨物内燃動車、貨車、荷物車等に分類する。なお、電車にあっては、制御電動車、電動車、制御車、付随車、集電装置を有する車両にあっては、使用可能な電車線の周波数(交流及び交直流用車両の場合に限る。)及び電圧、内燃動車にあっては、制御内燃車、内燃車、制御車、付随車、客車にあっては、座席車、寝台車等、貨車にあっては、有がい車、無がい車、コンテナ車、タンク車、ホッパ車等、特殊車にあっては、軌道検測車、ラッセル車等に分類する。
七 「記号番号」は車種及び次に掲げる構造又は装置等のいずれかが異なる毎に定めるものとする。

(一) 一般

1) 最大積載量
2) 車両最高設計速度

(二) 台車

1) 台車の材質及び構造(塗油器、排障器、踏面清掃装置その他の走行を補助する装置に係る部分が異なるものを除く。)
2) 車輪及び車軸の材質及び構造
3) 案内操向装置(案内軌条式鉄道に係るものに限る。)の材質及び構造
4) かじ取装置(無軌条電車に係るものに限る。)の材質及び構造
5) 浮上装置の車上設備及び案内装置の車上設備の種類、制御方式、材質及び構造並びに浮上特性及び案内力特性(浮上式鉄道に係るものに限る。)

(三) 動力発生装置及び動力伝達装置

1) 動力発生装置の種類(リニアモーター式普通鉄道及び浮上式鉄道にあっては、動力発生装置の車上設備の種類、材質及び構造)
2) 制御方式

(四) ブレーキ装置

1) ブレーキ装置の種類及び構造
2) ブレーキ装置(空気ブレーキ装置及び油圧ブレーキ装置に係るものに限る。)の機器、空気管及び油圧管の位置(ブレーキ力の供給源となる最終の内圧容器(空気タンクの場合は元空気タンク寄りの逆止弁を含む。)からブレーキシリンダに至る部分の機器及び圧力配管に限る。)

(五) 電気装置(暖房装置、送風装置その他の運転の保安に関しないものを除く。)

次に掲げる電気装置に係わるもの以外の電気回路
a 集電装置
b 発電機
c 蓄電池
d 自動戸閉め装置
e 合図装置及び通話装置
f 非常通報装置
g 車内放送装置
h 灯火

(六) 運転保安設備

自動列車停止装置、自動列車制御装置及び自動列車運転装置の車上設備の種類及び作用

八 「車両最高設計速度」とは、車両を設計するうえで車両の構造及び装置を勘案して設定する速度であって、平坦な直線上において当該車両を編成車両として組み込んだ場合に安定して走行できる最高の速度とする。

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