鉄技第六六号・建設省道政発第七三号
平成八年九月二日

各都道府県知事あて

運輸省鉄道局長・建設省道路局長通達


車掌を省略する車両の構造、運転取扱い等について


軌道運転規則(昭和二九年運輸省令第二二号)第九〇条但し書きの「特に車掌を省略することができる設備をした車両」の構造、運転取扱い等について左記のとおりとしたので、貴管下軌道経営者を指導されたい。
なお、「車掌を省略する車両の構造、運転取扱い等について」(昭和四二年九月二日付け鉄運第一一三号、建設省道軌発第九号)は、廃止する。

一 車両の構造等について

(一) 車両の構造について

1) 最前部となる車両の運転室には、運転士が運転操作を継続することができない状態となった場合に、自動的に車両を急速に停止させる装置を設けること。
2) パンタグラフは、最前部となる車両の運転室において下降させることができる構造であること。
3) 旅客用乗降口扉には、自動戸閉め装置を設けること。
4) 自動戸閉め装置は、扉を閉じた後でなければ発車することができない構造であること。
5) 最前部となる車両の運転室には、旅客用乗降口扉の戸閉め確認装置及び自動戸閉め装置の操作装置を設けることとし、運転士が定位置で容易に確認又は操作できるものであること。ただし、戸閉め確認装置については、運転士が定位置において容易に扉の開閉を直視で確認できるものにあっては、この限りでない。
6) 最前部となる車両の運転室には、運転士が定位置で容易に車内に放送できる装置を設けること。
7) 使用しない運転室及び車掌室の主要機器は、旅客が操作できない構造であること。
8) 旅客用乗降口扉の付近には、非常の際、旅客が手動により旅客用乗降口扉を開くことができる操作装置を設けること。
9) 客室内には、運行形態に応じて相当数の降車合図装置を設けること。
10) 客室内には、非常通報装置又は非常停止装置を設けること。ただし、運転士の乗務する車両であって、旅客が運転士に容易に通報できる構造を有している車両にあっては、この限りでない。
11) 8)及び10)の装置の設置位置及び取扱方法を、旅客の見やすいように表示すること。
12) 11)の表示は、主たる電源の供給が断たれた状態においても確認できるものであること。
13) 1)、3)、6)及び10)の装置は、主たる電源の供給が断たれた状態においても機能すること。
14) 旅客用乗降口扉の開閉時に、旅客の乗降状況を運転士が定位置において車両の全ての扉にわたって明瞭に確認できる鏡等の設備を車両又は停留場に設けること。
15) 連結する車両には、貫通口及び貫通路を設けること。

(二) 経過措置

非常停止装置を備えた既存のワンマン運転車両であって(一)1)の装置が設置されていないものについては、本通達後最初に行うブレーキ方式、制御方法等の変更を伴う工事が完成するまでの間は、当該装置の設置については適用しない。

二 運転取扱い等について

(一) 運転取扱い

1) 車両の混雑率が高く、車掌が乗務しなければ旅客に適切な措置がとれないような区間又は時間帯は運行しないこと。
2) 道路の交通量が極めて多く、かつ、停留場に安全島が設けられていないことにより、車掌の取扱いがなければ旅客を安全に乗降させることができないような区間がないこと。
3) 通票等を授受する場合は、運転士が下車しないで行えること。
4) 車両の故障の場合又は退行運転の場合で、後位の運転室で操縦するときは、車両の最前部に前途を注視する係員を配置すること。

(二) その他

1) ワンマン運転の実施に際しては、関係する係員に対して相当な期間にわたって必要な教育及び訓練を行うこと。
2) ワンマン運転の実施に際しては、利用客に対して相当な期間にわたって周知徹底を図ること。
3) ワンマン運転の取扱いをする場合は、区間、車両及び運転取扱いを軌道運転規則第四条の細則に規定すること。

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