国道政第三一号・国鉄施第九一号
平成一三年一〇月一日

北海道運輸局長あて

国土交通省道路局長、国土交通省鉄道局長通達


踏切道改良促進法の一部を改正する法律等の施行について


「踏切道改良促進法の一部を改正する法律」(平成一三年法律第五号)が、平成一三年三月三〇日に公布、同年四月一日に施行され、「踏切道の立体交差化、構造の改良及び保安設備の整備に関する省令」(平成一三年国土交通省令第八六号)が、平成一三年四月二〇日に制定公布・施行されたところであるが、改正後の踏切道改良促進法(昭和三六年法律第一九五号。以下「法」という。)等の施行に当たっては、左記の事項に留意の上、その運用に遺憾のないようにされたい。
なお、貴局管下鉄軌道事業者に対してもこの旨周知徹底方願いたい。

第一 「踏切道改良促進法の一部を改正する法律」について

一 趣旨

交通事故の防止及び交通の円滑化を図るため昭和三六年に制定された法に基づき、踏切道の立体交差化、構造改良あるいは踏切保安設備の整備を進めてきたところであるが、踏切事故件数は逐年減少傾向を示しているものの、平成一一年度においても依然として四六五件の踏切事故及び二九二名の死傷者を生じており、引き続き強力に踏切事故防止対策を講じる必要がある。また、交通遮断の著しく高い、いわゆるボトルネック踏切が全国に約一、〇〇〇箇所存在しており、その早期解決が緊急の課題となっている。
このような状況に鑑み、今般の法改正では、踏切道の改良措置を講ずる期間を平成一三年度以降さらに五箇年間延長するとともに、地域の実情を反映した踏切道の改良を進めるために、都道府県知事が関係者の意見を聴いた上で、国土交通大臣に対して本法に基づく踏切道の指定をすべき旨の申出を行える制度を創設したものである。
また、踏切道改良の円滑かつ確実な実施を促進するために、鉄道事業者と道路管理者が協議して立体交差化計画又は構造改良計画を作成するに際し、その協議が調わなかった場合の措置として、鉄道事業者又は道路管理者からの申請に基づいて、国土交通大臣が裁定する制度を創設したものである。

二 立体交差化又は構造の改良が必要な踏切道の指定について(第三条第一項関係)

法では、国土交通大臣が、平成一三年度からの五箇年間に立体交差化等により改良することが必要と認められる踏切道を指定することとなっているが、現状では、早急に改良する必要性が高いにもかかわらず、鉄道事業者と道路管理者との事前調整に時間を要するなどの理由により、必ずしも法の趣旨に沿った指定がなされていない。
しかしながら、今般の法改正により、都道府県知事の申出制度及び国土交通大臣による裁定制度が導入されたことを踏まえ、鉄道事業者と道路管理者との調整が必ずしも円滑に進んでいない場合であっても、国土交通大臣において、交通事故の防止及び交通の円滑化を図るために優先的に改良することが必要と認められる踏切道の指定については、これを速やかに行うものとする。

三 都道府県知事の申出制度について(第三条第二項及び第三項関係)

法に基づく指定に当たっては、従来より、省令で定める指定基準に該当する踏切道のうち、五箇年間に改良することが必要な踏切道について指定してきたところであるが、財政状況が逼迫しつつある中で、より整備効果が高く緊急性の高い踏切道を的確に把握するため、踏切道周辺の市街地の形成状況等の地域固有の事情について知見を有する都道府県知事が国土交通大臣に対して改良の必要な踏切道の指定の申出を行うことができることとするとともに、都道府県知事が申出をしようとするときには、あらかじめ、当該踏切道の改良を実施する鉄道事業者及び道路管理者並びに周辺地域の実情や地域住民の意向を把握している関係市町村長に意見を聴かなければならないものとしたものである。
都道府県知事が申出を行える期間は特に定められておらず、随時申出を行うことは可能であるが、法指定は国がスケジュール等を示しつつ、ある程度の間隔をおいてまとめて行う予定である。
また、都道府県知事が申出を行うに当たっては、踏切事故防止総合対策の推進等のため組織される都道府県踏切道改善促進協議会、鉄道事業者と道路管理者との調整・連絡を目的とした踏切道調整連絡会議等において、都道府県公安委員会の意見が聴取されるよう必要な措置を講ずるものとし、また、その他の関係者から幅広く意見が聴取されることが望ましい。
なお、鉄道事業者と道路管理者との事前調整が未了の踏切道であっても、都道府県知事において、地域にとって改良することが必要と認められるものについては、申出を行うことができるものとする。

四 国土交通大臣による裁定制度について(第四条第二項関係)

法に基づき、立体交差化又は構造の改良の指定がなされた踏切道については、鉄道事業者と道路管理者が協議して計画を作成することになっているが、立体交差化又は構造の改良の際の具体的な構造等の計画の内容について協議が難航し、これが原因で改良計画の作成に長期を要する場合がある。
また、今般創設された都道府県知事の申出制度の活用により、より整備効果が高く、改良の緊急性の高い踏切道の指定が可能となるが、改良を速やかに行うためには、改良計画が可能な限り短期間で作成される必要がある。
このため、鉄道事業者と道路管理者との協議が調わなかった場合の措置として、鉄道事業者又は道路管理者からの申請に基づいて、国土交通大臣が裁定することができるものとしたものである。
ただし、改良計画は、当事者間の協議により作成することが原則であり、十分協議を行った上で裁定の申請をすること。
なお、改良計画の指定された提出期日以前の裁定の申請については、原則として受理しないものとする。

第二 「踏切道の立体交差化、構造の改良及び保安設備の整備に関する省令」について

一 趣旨

省庁再編に伴い、「踏切道の保安設備の整備に関する省令」(昭和三六年運輸省令第六四号)と「踏切道の立体交差化及び構造改良に関する省令」(昭和三七年運輸省・建設省令第一号)を廃止した上で一本化し、新たに「踏切道の立体交差化、構造の改良及び保安設備の整備に関する省令」を制定することとしたものである。
また、新たに、踏切道における歩行者、自転車利用者等の安全確保の観点から、踏切道に歩道がない場合又は歩道があっても狭小な場合の歩道整備を促進するため、構造の改良が必要な踏切道の指定基準を改正するとともに、高速の列車が運転されるもののうち、踏切交通遮断量が大きい、又は事故が頻繁に発生している踏切道の一層の事故防止のため、二段型遮断装置、大型遮断装置、オーバーハング型警報装置又は踏切支障報知装置を設置すべきものとして、保安設備の整備が必要な踏切道の指定基準を改正することとしたものである。

二 構造の改良が必要な踏切道の指定基準の改正について(第三条関係)

(一) 構造の改良が必要な踏切道の指定基準の改正内容について

歩道がない、又は歩道が狭小な踏切道が多く存在している状況に鑑み、踏切道における歩道整備の促進を図るため、構造の改良が必要な踏切道の指定基準のうち、踏切道の幅員と踏切道に接続する道路(以下「接続道路」という。)の幅員差についての基準を、車道の幅員差と歩道の幅員差の基準に分け、以下のとおりとしたものである。
イ 踏切道における車道の幅員と接続道路の車道の幅員差が、一m以上のもの
ロ 踏切道における歩道の幅員が、接続道路の歩道の幅員未満のもの

(二) 接続道路に拡幅計画がある場合の取扱いについて

現に、接続道路に歩道がないものについては、第三条第一項第一号ロの対象とはならないが、歩道を設置する場合を含め、鉄道事業者と道路管理者との間において事前に連絡・調整のなされた接続道路の拡幅計画がある場合には、第三条第一項第二号の「構造の改良により事故の防止に著しく効果があると認められるもの」に該当するものとして指定の対象とするものとする。

(三) 踏切道の拡幅後の幅員について

指定基準における接続道路との幅員差の規定は、指定の対象となる踏切道の基準を示したものであり、拡幅後の幅員差の許容範囲を示したものではない。
交通事故の防止及び交通の円滑化の観点からは、踏切道の幅員と接続道路の幅員は同一であることが望ましいことから、指定を受けた踏切道の拡幅を行う場合の拡幅後の幅員については、接続道路の幅員と同一にすることを原則とする。

三 保安設備の整備が必要な踏切道の指定基準の改正について(第六条関係)

(一) 保安設備の整備が必要な踏切道の指定基準の改正内容について

既に踏切遮断機が設置されている踏切道において、当該踏切道を通過する列車の速度が一二〇キロメートル毎時を超えるもののうち、次のいずれかに該当する踏切道を二段型遮断装置、大型遮断装置、オーバーハング型警報装置又は踏切支障報知装置といったいわゆる高規格化保安設備の整備に係る指定の対象とすることとしたものである。
一) 一日当たりの踏切交通遮断量が二千台時以上のもの
二) 平成一三年四月一日以後の日を含む五年間において一回以上の事故が発生し、かつ、当該保安設備の設置によって事故の防止に効果があると認められるもの

(二) 二段型遮断装置、大型遮断装置、オーバーハング型警報装置及び踏切支障報知装置の構造について

二段型遮断装置、大型遮断装置及びオーバーハング型警報装置の構造については、「普通鉄道の施設に関する技術上の基準の細目を定める告示の一部を改正する告示」(平成一三年国土交通省告示第五一三号)により、以下のとおり規定することとした。
一) 二段型遮断装置

上側の遮断かんにあっては、下側の遮断かんの上方となるようにする。

二) 大型遮断装置

大型遮断装置の遮断かんにあっては、遮断時に踏切道における車道を遮断する部分の鉛直方向の長さは、〇・一メートル以上であること。

三) オーバーハング型警報装置

赤色せん光灯を踏切道における車道面上の有効高さが四・五メートル以上となるよう設置すること。

また、踏切支障報知装置については、「普通鉄道の施設に関する技術上の基準の細目を定める告示」(昭和六二年運輸省告示第一七七号)第二三条に規定するものとする。

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