国都街第一五五号・国道政第七四号・国鉄技第一七八号
平成一五年三月二〇日

都道府県知事・政令指定市長あて

都市・地域整備局長・道路局長・鉄道局長通知


道路と鉄道との交差に関する協議等について

道路と鉄道との交差に関する協議等(以下「協議等」という。)について、今般、「道路と鉄道との交差に関する協議等に係る要綱」(以下「要綱」という。)を別紙一のとおり、「道路と鉄道との交差に関する協議等に係る細目要綱」(以下「細目要綱」という。)を別紙二のとおり定めたので通知する。
法定受託事務である道路法(昭和二七年法律第一八〇号)第九七条第一項各号に掲げる指定区間外の国道等に係る事務については、本要綱及び細目要綱によることとされたい。
また、都道府県道及び市町村道においても、本要綱及び細目要綱を参考とした運用に努められるよう十分な配慮を願いたい。
これに伴い、「道路と鉄道とが相互に交差する場合等における道路側と鉄道側との協議事項について」(昭和六三年六月一日建設省都街発第一七号、建設省都街発第一七号の二、建設省道政発第六二号、建設省道政発第六二号の二)及び「道路と鉄道との交差に関する運輸省・建設省協定等の締結について」(昭和六三年五月三一日官鉄施第五二号の三)は廃止する。
なお、地方運輸局長、地方整備局長等あてに別添のとおり通知しているので申し添える。
また、都道府県においては、貴管内市町村等(政令指定市を除く)に対しても、この旨周知徹底方お取り計らい願いたい。



別紙1

道路と鉄道との交差に関する協議等に係る要綱

(目的)

第一条 この要綱は、道路と鉄道とが相互に交差する場合等における道路側と鉄道側との協議事項等について、その基準を定め、もって交通の安全及び発達に寄与することを目的とする。

(定義)

第二条 この要綱における用語の意義は、次に定めるところによる。

一 道路とは、道路法(昭和二七年法律第一八〇号)による道路及び都市計画法(昭和四三年法律第一〇〇号)により都市計画決定された道路をいう。
二 鉄道とは、鉄道事業法(昭和六一年法律第九二号)第二条第二項による第一種鉄道事業又は第四項による第三種鉄道事業に係る鉄道をいう。
三 道路側とは、道路法等の規定に基づき道路を管理する者及び都市計画法の規定に基づき都市計画事業を施行する者をいう。
四 鉄道側とは、鉄道を経営する者をいう。
五 管理とは、所有又は支配し、並びに改築、取替、修繕及び維持することをいう。
(相互の協力)

第三条 道路側及び鉄道側は、道路と鉄道とが交差する場合における工事等の円滑な実施を図るため、相互に協力する。

(新たに交差を設置する場合の費用負担)

第四条 道路の新設若しくは改築又は鉄道の新設若しくは改良に関する工事により新たに道路と鉄道との交差を設置する場合においては、当該工事の計画者が交差に要する工事費の全額を負担する。

(交差の増改築等の場合の費用負担)

第五条 前条の規定は、道路の拡幅、鉄道線路の増設等に関する工事(以下「増設工事」という。)により、既設の交差を増改築する場合における当該増改築に要する工事費の負担について準用する。
2 前条の規定は、既設の平面交差と立体交差とするとともに増設工事を行う場合における当該増設工事に係る工事費の負担について準用する。

(立体交差化又は付替により踏切道を除却する場合の費用負担)

第六条 道路を高架化若しくは地下化することにより既設の踏切道を除却する場合又は道路を鉄道と交差しないように改築することにより既設の踏切道を除却する場合における工事費については、鉄道側は応分の費用を負担し、道路側は残余の費用を負担する。
2 前項の場合において、既設の踏切道に係る部分の道路が廃止されないときは、鉄道側は前項の工事費を負担しない。ただし、踏切道の種別の変更その他の理由により鉄道側に受益がある場合においては、鉄道側は応分の費用を負担する。
3 鉄道を高架化若しくは地下化することにより既設の踏切道を除却する場合又は鉄道を道路と交差しないように改良することにより既設の踏切道を除却する場合における工事費の負担については、道路側と鉄道側とが協議して定める。

(重複工事の費用負担)

第七条 道路の新設又は改築及び鉄道の新設又は改良の計画が確定しており、当該計画が同時に実施される場合において、当該計画に係る交差の設計が重複するときは、その重複する部分に係る工事については、第四条又は第五条の規定にかかわらず、道路側及び鉄道側はそれぞれこれに要する費用の二分の一を負担する。

(増加工事の費用負担)

第八条 道路と鉄道との交差等に関する工事に伴い次条に規定する技術的基準を超える施設の整備又は既設施設の著しい改築若しくは改良に関する工事(以下「増加工事」という。)を行うことを要求したときは、当該増加工事に係る工事費は要求者においてその全額を負担する。

(技術的基準)

第九条 道路と鉄道との交差等に関する技術的基準は、道路構造令(昭和四五年政令第三二〇号)、鉄道に関する技術上の基準を定める省令(平成一三年国土交通省令第一五一号)及びこれらに準ずる諸基準による。この場合において、当該工事完成後の道路又は鉄道はそれぞれ従前の機能を阻害しない範囲内のものとする。

(工事費)

第一〇条 道路と鉄道との交差等に関する工事費は、前条に規定する技術的基準に適合する構造を有する道路、鉄道等を設けるのに必要な費用とし、その範囲は、こ線橋費、こ道橋費、付替道路費、付替線路費、取付道路費、取付線路変更費、付帯工事費、測量及び試験費、用地費、物件移転費、補償費並びに雑費等とする。
2 前項に規定する費用の額は、道路側と鉄道側とが協議して定める。

(工事の実施等)

第一一条 道路と鉄道との交差等に要する工事は、当該工事に係る費用負担の額が多い側が実施する。ただし、鉄道側の運転保安上若しくは施設の維持管理上又は道路側の施設の維持管理上これによらないことが必要であることを双方が協議のうえ当該工事に係る費用負担の額が多い側が決定した部分については、この限りではない。
2 前項の工事の設計は、原則として当該工事の完成後当該施設を管理する側が行い、細部についてはその都度協議する。

(こ線橋及びこ道橋の管理)

第一二条 こ線橋は原則として道路側が管理する。ただし、こ線橋の架線防護装置等は鉄道側が管理する。
2 こ道橋は原則として鉄道側が管理する。ただし、こ道橋下の道路の舗装、排水設備、こ道橋に設置している道路の照明設備等は道路側が管理する。
3 前二項に規定する管理に要する費用は、原則として、その管理を行う者が負担する。

(踏切道の管理)

第一三条 踏切道は、鉄道側が管理するものとし、その費用は、鉄道側が負担する。

(土地の処理)

第一四条 道路側又は鉄道側が、道路と鉄道とが交差する場合に、相手方の所有する土地を必要とする場合においては、これを有償で譲り受ける。ただし、当該土地を道路の敷地として存置する必要があるとき又は当該土地が鉄道用地として鉄道事業上必要なものであるときは、施設の存続中無償で使用することができる。
2 前項の規定により、道路側と鉄道側とが相互に相手方からその所有する土地を譲り受ける場合は、それぞれ交換により処理することができる。
3 既設の平面交差を立体交差とすることにより又は道路若しくは鉄道を付け替えることにより不要となる道路の敷地又は鉄道用地はそれぞれ管理していた側に帰属することを原則とする。
4 前各項に規定する処理方法の細部については道路側と鉄道側とが協議して定める。

(撤廃物等の処理)

第一五条 道路と鉄道との交差等に関する工事において発生する撤廃物は、そのものにつき管理していた側のものとする。
2 工事の実施上購入し、又は設備した物件で、工事完成後残存するものは、その評価額を工事費の負担割合により精算する。

(細目要綱への委任)

第一六条 この要綱に定めるもののほか、この要綱を実施するために必要な事項は、細目要綱で定める。

附 則

この要綱は、平成一五年三月二〇日から適用する。ただし、この協定の適用の日前に道路と鉄道との交差に関する運輸省・建設省協定(昭和六三年五月三一日成立)等に基づき締結した個々の工事施行協定は、なお有効とする。



別紙2

道路と鉄道との交差に関する協議等に係る細目要綱

(趣旨)

第一条 道路と鉄道との交差に関する協議等に係る要綱(平成一五年三月二〇日制定。以下「要綱」という。)を実施するための細目については、別に定めのある場合を除き、この細目要綱による。

(定義)

第二条 細目要綱における用語の意義は次のとおりとする。

(一) 道路の幅員 道路の路端から路端までの幅(のり面の幅を除く。)をいう。

ただし、歩道と車道との区別のあるこ線橋(下路橋)においては、歩道の外側にある地履の内側間の幅をいい、副道を有する道路にあっては、副道と主道路との間ののり敷等を含め、一方の副道の外方の路端から他の副道の外方の路端までの幅をいう。

(二) 踏切道の幅員 踏切道の敷板又は敷石の縁端から縁端までの幅をいう。なお、踏切道の幅員は、道路方向に対し、直角に計るものとする。
(三) 鉄道の敷幅 施工基面の幅をいう。ただし、施工基面が二以上ある場合は、外側の施工基面の外方の縁端から他の外側の施工基面の外方の縁端までの幅をいう。
(四) 副道 鉄道と立体交差となる道路の側面に接して、当該道路と異なった縦断こう配又は路面の高さをもって設けられる幅員三メートルを超える道路をいう。
(交差工事等の推進等)

第三条 道路側及び鉄道側は、交差工事等についてそれぞれ協議の申し入れがあった場合には、できる限り速やかに協議に応じるとともに当該工事の円滑な実施が図られるよう協力しなければならない。

(平面交差とすることのできる場合)

第四条 新たに道路と鉄道との交差を設置する場合において、当該交差を平面交差とすることができる場合は、道路側と鉄道側とが協議して定める。
2 前項の規定は、道路の拡幅又は線路の増設等のため、既設の踏切道を増改築(舗装、重軌条更換、電化による絶縁装置の取替等に伴う増改築を除く。)する必要を生じた場合に、当該踏切道を立体交差としないことができる場合について準用する。

(増設部分等の工事費の算定方法)

第五条 要綱第五条第二項に規定する増設工事(鉄道の電化に対応する部分を除く。)の工事費の算定方法は次式による。

増設部分の工事費=増設工事の対象となる工事費×(A/(A+B))
増設工事の対象となる工事費:道路の拡幅の場合には取付道を含む工事費、鉄道線路の増設の場合には取付道を含まない工事費
A:道路の拡幅幅員又は鉄道の増設敷幅
B:道路の既設幅員又は鉄道の既設敷幅

2 要綱第五条第二項に規定する増設工事のうち、鉄道の電化に対応する部分(以下「電化部分」という。)の工事費は、電化しない場合の仮想工事費と、電化する場合の工事費との差とする。ただし、取付道路の構造が盛土構造の場合の電化部分の工事費の算定方法は次式による。

電化部分の工事費=電化工事の対象となる工事費×((A−B)/A)
電化工事の対象となる工事費:取付道を含む全体の工事費から電化に伴う増設工事に直接関係のない費用(こ線橋上部構造工、道路路面工、道路路盤工、線路工、電気通信線その他支障物の移転等による費用)を除いたもの
A:電化する場合の基準レール面上からけた下までの高さ
B:電化しない場合の基準レール面上からけた下までの高さ

(鉄道側の負担額)

第六条 要綱第六条第一項に規定する応分の費用の額は、当分の間、要綱第一〇条第二項の規定により定めた額を上限として次表により算定する。ただし、駅構内、支線等の交差箇所で、次表により応分の費用の額を算定することが不適当な場合には、道路側と鉄道側とが協議して定める。
2 要綱第六条第二項に規定する応分の費用の額は、当分の間、要綱第一〇条第二項の規定により定めた額を上限として既設踏切道と残存踏切道のそれぞれについて次表により算定した額の差とする。
3 前二項に規定するもののほか、鉄道側の所有する土地等に著しい受益が生じる場合には協議によりその額を鉄道側の負担額に加算することができる。
(単位:百万円)
踏切種別
道路
鉄道
二車線以下
三車線又は四車線
二車線増すごとに
一種有人
複線
三三六
三三八
 
複々線
三四三
三四六
 
一線増すごとに
 
一種自動
単線
一〇
一三
 
複線
一二
一六
 
複々線
一九
二四
 
一線増すごとに
 
三種
単線
 
複線
一一
 
複々線
一六
一九
 
一線増すごとに
 
四種
単線
 
複線
 
複々線
 
一線増すごとに
 

(注)

一 本表は、昭和六三年における踏切道に係る経費等を基本に作成したものである。
二 価額補正に用いる指数は、道路側と鉄道側とで協議する。

(平面交差を立体交差とすることに伴い二箇所以上の踏切道が除却される場合等の鉄道側の負担額)

第七条 平面交差を立体交差とする場合において、二箇所以上の踏切道が除却される場合又は主体の道路の踏切道が除却され他の平面交差が踏切道の種別の変更その他の理由により鉄道側に受益がある場合は、立体交差されるべき主体の道路及び他の廃止される道路又は踏切道の種別の変更等のある道路の平面交差についても前条の規定を準用する。

(重複工事の取扱い)

第八条 要綱第七条に規定する「道路の新設又は改築及び鉄道の新設又は改良の計画が確定しており、当該計画が同時に実施される場合」とは、当該交差部分について協議の結果、相互に新設、改築又は改良の予算措置を講じうるときとする。
2 重複工事部分に要する費用は次の各号による。

(一) 相互に新設することにより、立体交差とする場合

交差部分及び取付部分に要する工事費から、当該交差がないものと仮定した場合の当該交差部分及び取付部分に対応する部分に要する工事費(交差部分の用地費、物件移転費及び補償費を除く。)を減じた額とする。

(二) 既設の道路の改築及び又は鉄道の改良及び道路又は鉄道の新設により立体交差とする場合

道路の改築又は鉄道の改良による増設部分と道路又は鉄道の新設部分との重複する部分を細目要綱第五条に規定する算定式により算定した額とする。

(踏切道の撤去等)

第九条 要綱第六条第一項に規定する工事に伴う踏切道の撤去については鉄道側が実施するものとし、その費用は鉄道側が負担する。
2 前項に規定する場合以外における踏切道の撤去等については、道路側と鉄道側とが協議して定める。

(工事中の損失の補填)

第一〇条 要綱第六条(鉄道側に受益がない場合を除く。)及び第七条に規定する工事にあっては、直接工事に伴い工事中に生じる損失の補填については、道路側及び鉄道側はそれぞれ要求しない。ただし、それ以外の工事にあってはこの限りではない。

(工事費の範囲)

第一一条 要綱第一〇条第一項に規定する工事費には、直接工事費のほか、次の各号に掲げる費用を含む。ただし、間接経費(間接費割掛、これに相当する事務雑費並びに調査、設計及び監督に直接従事する職員(一般職員と同様の事務を取り扱う者を含む。)の旅費以外の人件費をいう。以下同じ。)は、含まない。

(一) 道路側又は鉄道側がおのおのの当該工事に直接労務を提供する工事費支弁の職員の人件費及び旅費(一般職員と同様の事務を取り扱う者を含まない。)
(二) 調査、設計及び監督に直接従事する職員(一般職員と同様の事務を取り扱う者を含む。)の測量又は監督の旅費
(三) 試すいその他調査に要する費用(この場合の費用には、前号の旅費は含まない。)
(四) 工事用車両使用料及び鉄道運賃
(五) 工事用機械の購入費、修繕費及び使用料
(六) 工事用材料品の一時使用料
(七) 工事係員詰所等の費用
(八) 不可抗力の原因によって生じた工事の費用
(九) 公務災害補償、労働者災害補償保険料、健康保険料等法令によって規定された諸経費
(事務費の取扱い)

第一二条 道路と鉄道との交差等に関する工事の受委託に係る事務費の取扱いについては、次の各号による。

(一) 道路側又は鉄道側は、要綱第六条(鉄道側に受益がない場合を除く。)及び第七条に規定する工事については、直接経費(間接経費以外の経費をいう。)に限って要求できる。
(二) 前号に規定する工事以外の工事に係る事務費の負担方法については、道路側と鉄道側とが協議して定める。
(踏切道の拡幅等)

第一三条 要綱第一三条の規定にかかわらず、踏切道の幅員が当該踏切道に接続する道路の幅員に満たない場合において、当該踏切道の幅員を当該道路の幅員まで拡幅するときの、その工事に要する費用は、当該踏切道の幅員を当該道路の幅員に満たないことに至らしめたことについて責を有する者が負担し、その者が不明の場合においては、道路側と鉄道側とがそれぞれ二分の一を負担する。
2 要綱第一三条の規定にかかわらず、踏切道を拡幅又は新設する場合には、当該部分の舗装修繕に要する費用については、協議により鉄道側は道路側に負担を求めることができる。

(踏切道の消融雪設備の設置に要する費用負担)

第一四条 要綱第一三条の規定にかかわらず、踏切道の消融雪設備の設置に要する費用の道路側と鉄道側との負担の割合は、次のとおりとする。

(一) 構造改良済みの踏切道に消融雪設備を設ける場合

道路側負担
鉄道側負担
一/二
一/二

(二) 道路改築と同時に消融雪設備を設ける場合

 
道路側負担
鉄道側負担
現道部
一/二
一/二
改良部
二/二

(三) 線増と同時に消融雪設備を設ける場合

 
道路側負担
鉄道側負担
現道部
一/二
一/二
線増部
二/二

(四) 踏切道の構造改良と同時に消融雪設備を設ける場合

 
道路側負担
鉄道側負担
現道部
二/三
一/三
 
(一/二)
(一/二)
拡幅部
三/三

(注) ( )内は、人口五〇万人以下の市町村の市町村道の踏切道に係る負担分とする。
(添架)

第一五条 道路側又は鉄道側は、道路の交通上又は鉄道の事業上必要とする施設を相手方の管理するこ線橋又はこ道橋に無償添架することができるものとし、その実施に当たっては、その都度協議する。

(用地の使用)

第一六条 道路と鉄道との交差等に関する工事のため、道路側又は鉄道側が相手方の所有する土地をやむを得ず使用する必要が生じた場合は、協議により無償使用することができる。

附 則

一 この細目要綱は平成一五年三月二〇日から適用する。
二 この細目要綱に規定していない事項は、道路側と鉄道側とで協議する。


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