本年八月一日、道路法(昭和二七年法律第一八〇号)第三〇条第一項及び第二項の規定に基き、道路構造令(昭和三三年政令第二四四号)が公布され、即日施行されたが、鉄道又は新設軌道の工事で道路と関係のあるものに関する本令の適用についての解釈及び運用並びにこれらの工事に関する費用の負担についての区分は、左記のとおりであるから、管下関係事業者を適切に指導するとともに、今後、管下の地方鉄道又は新設軌道に関する工事のうち、特に左記一の4又は5による協議の対象となる工事については、常にその実情を十分に把握しておかれたい。
一 本令の適用に関する解釈及び運用について
1 本令は、道路を新設し、又は改築する場合における道路の構造の一般的技術的基準を定めているものであつて、鉄道又は新設軌道(以下「鉄道等」という。)の工事に対しては、それが同時に道路の新設又は改築に該当する場合にのみ適用されるものである。
2 左記(イ)、(ロ)に掲げる工事は、道路の改築とは考えられないから、本令の規定は適用されない。
(イ) 架道橋等道路を占用している鉄道等の施設(地方鉄道法第四条の許可を受けて、路面上に敷設された施設を除く。)に関する工事
(ロ) 踏切道に関する工事のうち、鉄道等の軌間の整正、軌条、枕木又は道床の交換等鉄道等の施設のみに係る工事
3 土留擁壁等道路と相互にその効用を兼ねている鉄道等の施設(踏切道を除く。)に関する工事を施行する場合は、本令第三五条の規定による特例に該当するものとして本令の規定による基準を適用しない。
4 踏切道の新設又は改築に関する工事を施行する場合においては、当該踏切道において鉄道等と交差する道路(以下単に「交差道路」という。)の道路管理者と当該鉄道等の事業者との間において、当該交差道路に関する本令第三〇条の適用に関し、次の各事項についてあらかじめ協議することとし、右による協議が整わない場合においては、当該道路管理者又は当該鉄道等の事業者の申請により、建設省道路局長と運輸省鉄道監督局長とが、当該事項について協議することとする。
(イ) 当該工事が、本令第三五条の「道路に関する工事以外の工事によつて必要を生じた道路に関する工事」に該当する場合においては、当該交差道路の構造について、本令第三〇条の規定による基準をそのまま適用することとするかどうか(すなわち、当該工事について、本令第三五条の規定による特例を適用することとするかどうか。)。
(ロ) 当該交差道路が、本令第三〇条第二号ただし書に係る「自動車交通量がきわめて少ない箇所又は地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ない箇所」に該当するかどうか。
(ハ) 当該交差道路が、本令第三〇条第三号ただし書に係る「自動車交通量及び鉄道等の運転回数がきわめて少ない箇所」に該当するかどうか。
5 3及び4に規定するもののほか、一般に鉄道等の工事によつて必要を生じた道路に関する工事を施行する場合においては、当該道路の構造について本令第三五条の規定による特例を適用すべきか否かについて、4と同様の協議を行うこととする。
二 費用の負担について
1 鉄道等の工事(例えば線増等による鉄道用地の拡幅等)によつて踏切道の改築が必要となつた場合においては、その費用は鉄道等の事業者が負担するが、当該踏切道について同時に鉄道等の工事によつて直接必要を生じた工事以外の工事(例えば道路の拡幅等)を施行する場合は、その工事に要する費用は、鉄道等の事業者は、これを負担しない。
2 踏切道の両側の区間の改築については、鉄道等の事業者は、その費用を負担しない。ただし、当該改築が鉄道等の工事に起因する踏切道の改築によつて必要となつたものである場合においては、当該交差道路の踏切道の両側の区間の直線部分若しくは見とおし区間の長さ又は勾配を改築以前の状態に維持するために必要な工事に要する費用(改築以前における当該交差道路の踏切道の両側の区間の直線部分若しくは見とおし区間の長さ又は勾配が、本令第三〇条第二号又は第三号の基準に適合しているときは、これらをそれぞれの基準に適合する状態に維持するために必要な工事に要する費用)を限度として、当該改築に要する費用の全部又は一部を負担する。
3 鉄道等の工事によって道路の移設(こう上、盤下等を含む。)が必要となった場合においては、当該移設に要する費用は鉄道等の事業者が負担するが、その移設とともに、当該鉄道等の工事によって直接必要を生じた工事以外の工事(例えば道路の拡幅等)を施行する場合は、その工事に要する費用は、鉄道等の事業者は、これを負担しない。