自旅第一二一号
平成九年七月三一日

各地方運輸局自動車(第一)部長・沖縄総合事務局運輸部長あて

運輸省自動車交通局旅客課長通達


道路運送法における運輸協定に関する「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」の適用除外規定の改正に伴う対応方針について


「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外制度の整理等に関する法律(平成九年法律第九六号)」が施行されることに伴い、同法第一六条の規定による改正後の道路運送法(以下「新法」という。)第一八条に基づく独占禁止法適用除外に係る協定については、今後下記のとおり取り扱うこととするので、関係事業者に対し周知するとともに、遺漏なきよう取り扱われたい。
また、新法第一八条第一号及び第二号に該当しない協定については、今後、運輸大臣による適用除外認可の対象とならず、独占禁止法の適用を受けることとなるが、その独占禁止法上の取扱いにつき、公正取引委員会より別添1「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外制度の整理等に関する法律の施行に伴う運輸協定の締結に関する相談への対応について(通知)(平成九年七月一七日付け公経整第二二号)」を受理したので、各運輸局等においては、当該通知の周知徹底を図るとともに、本通知に基づき、公正取引委員会各地方事務所において相談等の対応を行っているので、その旨併せて関係事業者に対し周知されたい。
なお、本件については、別添2〔略〕のとおり社団法人日本バス協会会長あて通知したので申し添える。

1 新法第一八条に規定する協定の意義について

(1) 同条第一号及び第二号の共同経営とは、運行回数比等による清算を行う運賃プールを伴うものをいい、事業者に実際に旅客を運送した分の運送収入を分配する着券清算による共通乗車券の使用は、これに含まれない。また、施設の共用、連絡運輸等共同経営を伴わない協定も本規定による共同経営には該当しない。なお、同条第一号及び第二号に規定する協定は、同一路線において複数の既存事業者が新たに協定を締結する場合のものであって、新規路線開設にあわせて締結される協定はこれに該当しない。
(2) 同条第一号に規定する協定は、地域住民の生活のために必要な旅客輸送を確保するために行うものであり、都市間バスの共同経営に係る協定については、原則としてこれに該当しない。また、同号に規定する協定を締結するに当たっては、当該路線が赤字路線であり、かつ、利用が容易な他の公共交通機関がないことが必要である。
(3) 同条第二号に規定する協定は、運行間隔の均等化又は低需要時間帯の運行確保を図るために行われるものであることが必要である。また、運行時刻の調整に伴い、高需要時間帯における運行回数が極端に減少すること等により利用者利便が阻害されるものであってはならない。

2 認可基準等について

認可に当たっては、当該協定が、新法第一九条第二項の認可基準に適合していることが必要である。また、必要最低限の協定とする趣旨から、認可の期間については、原則三年とする。

3 新法第一九条の三第一項の公正取引委員会との協議について

(1) 認可の際の公正取引委員会との協議については、原則として公正取引委員会の地方事務所を窓口として行う(中国運輸局及び四国運輸局所管事案については公正取引委員会中国支所及び四国支所を、沖縄総合事務局運輸部所管事案については総務部公正取引室をそれぞれ窓口とする)。なお、新潟運輸局及び関東運輸局所管事案については、公正取引委員会事務総局を窓口とする。
(2) 協議は一ケ月程度で行う。
(3) 公正取引委員会との協議に当たっては、次の資料を提出するものとする。

1) 新法第一八条第一号及び第二号に規定する協議に共通して必要な資料事業、協定の概要を示す資料として、協定書の写し、事業者の概要、当該路線参入時期、路線図及び系統図(主要施設(駅、学校、病院、商業施設等)記載のもの)
2) 新法第一八条第一号に規定する協議に必要な資料

・輸送需要の減少を示す書類として、最近五年分の当該路線の輸送実績(輸送人員、運行回数)
・経営合理化努力を示す書類として、最近五年分の、実働日車及び従業員一人あたりの実車走行キロ、営業費用に占める一般管理費の割合、当該路線の運賃
・慢性的に不採算であることを示す書類として、最近五年分の当該路線営業収支(営業収入、営業費用)
・代替公共交通手段を示す書類として、周辺地域の公共交通機関運行図、また、代替輸送モードが存在する場合には、その種類、運賃・所要時間比較

3) 新法第一八条第二号に規定する協議に必要な資料

・新旧運行時刻表
・低需要時間帯における運行確保のための協定にあっては、当該路線における時間帯別乗客数

4 改正前の道路運送法(以下「旧法」という。)第一八条の認可を受けた協定の取扱いについて

(1) 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外制度の整理等に関する法律(以下「改正法」という。)附則第七条第一項の規定により、改正法施行後も一年間は、旧法に基づく認可は従前のとおりの効力を有する。
(2) 旧法に基づく認可を受けた協定であって、改正法施行後に新法第一八条第一号及び第二号に該当することとなるものについては、旧法に基づく認可の効力が失われる前に新たに新法に基づく認可を受ける必要があるため、協定を継続する場合には、速やかに新法に基づく認可申請を行うよう関係事業者に十分周知されたい。


(別添1)

○「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外制度の整理等に関する法律施行に伴う運輸協定の締結に関する相談への対応について(通知)」の送付について

(平成九年七月一七日)
(公経整第二三号)
(運輸省運輸政策局運輸産業課長あて公正取引委員会事務総局経済取引局調整課長通知)
公正取引委員会は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外制度の整理等に関する法律の施行に伴う事業者等からの運輸協定の締結に関する相談への対応について、別添のとおり「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外制度の整理等に関する法律施行に伴う運輸協定の締結に関する相談への対応について」を各地方事務所担当課長宛に通知したので送付する。



(別添)

○私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外制度の整理等に関する法律施行に伴う運輸協定の締結に関する相談への対応について(通知)

(平成九年七月一七日)
(公経整第二二号)
(地方事務所担当課長あて公正取引委員会事務総局経済取引局調整課長通知)
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外制度の整理等に関する法律(平成九年法律第九六号)の施行(平成九年七月二〇日)に伴い、(一)道路運送法第一八条第一号・第二号に規定する協定を除く一般旅客自動車運送事業者が他の運送事業者との間に締結する運輸協定、(二)一般貨物自動車運送事業者が他の運送事業者との間に締結する運輸協定、(三)航空法第一一〇条第一号・第二号に規定する協定を除く航空運送事業者が他の運送事業者との間に締結する運輸協定について、独占禁止法適用除外制度が廃止されることとなった。
これに伴い、従前は適用除外とされていた運輸協定について、事業者からの相談が寄せられることが予想されるが、このような相談に対しては引き続き道路運送法及び航空法に基づき適用除外とされる協定を除き、別紙の考え方により対応されたい。



(別紙)

一般乗合旅客自動車運送事業に係る相談について

第1 独占禁止法上問題となる協定の類型

運賃・料金、運行回数又は運行系統を制限する協定及び路線分割、市場分割を行う協定は、原則として独占禁止法上問題となる。
また、前記以外の協定であっても、事業者が協定に参加し又は脱退することを不当に制限する協定は独占禁止法上問題となる。

第2 原則として独占禁止法上問題とはならない協定の類型

一般に、運賃・料金、通行回数及び路線・運行系統等競争手段に関する制限を伴わない協定は、原則として独占禁止法上問題とはならない。
また、以下の1の類型に該当する協定及び2〜6の類型に該当し、かつ、第1の類型に該当しない協定については、原則として独占禁止法上問題とはならない。
1 一定の共同経営に関する協定

(1) 事業施設等の関係で初期投資に必要な費用を単独では負担し難いこと等(例えば、都市間を結び、停車する停留所を限定して運行する急行系統で、運行系統キロが概ね五〇キロメートル以上の乗合バスがこれに該当する)により、事業者が単独で参入しにくい場合において、新規路線を開設するために行われる共同経営に関する協定は、路線分割、市場分割を行う協定を除き、原則として独占禁止法上問題とはならない。
(2) 既存事業者が十分な経営合理化努力を行っているにもかかわらず、輸送需要の減少により事業の継続が困難と見込まれる路線において地域住民の生活に必要な旅客の輸送を確保するため、既存事業者が他の新規事業者と行う共同経営に関する協定は、路線分割、市場分割を行う協定を除き、原則として独占禁止法上問題とはならない。

2 旅客の利便の増進を目的とする運行時刻の調整に関する協定

旅客の利便の増進を目的とし、その目的達成に合理的に必要とされる運行時刻の調整に関する協定は、1)全体として競争手段を制限し、需要者の利益を不当に害さないものであり、2)当該協定が特定の事業者に対して不当に差別的でないものであって、3)事業者に協定の遵守を強制するものではない限り、原則として独占禁止法上問題とはならない。

3 定期乗車券の共通使用
4 共通乗車券(バス共通カード、共通回数券)
5 連絡運輸及びこれに付随して行われる運賃の計算・収受・配分に関する協定
6 バスターミナル等の設備の共用


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