自企第八六号
平成一二年六月二九日

各都道府県担当部長あて

運輸省自動車交通局企画課長通知


地域住民の生活交通の確保に関する地域協議会の枠組みに関する運輸省としての考え方について


今般、道路運送法の改正により、乗合バス事業の需給調整規制の廃止が決定されたところであり、本法の成立に当たり、衆・参議院の付帯決議がなされ、地域協議会については、本法案の成立後早期に開催されるよう、速やかに具体的なあり方を示す等環境整備を図ることとされているところである。
これを受け、運輸省として、この趣旨を尊重し、別添のとおり「地域住民の生活交通の確保に関する地域協議会の枠組みに関する運輸省としての考え方について」を作成したので、各都道府県においても、この趣旨を踏まえ、地域の実情に応じて、地方運輸局及び市町村と連携を図りつつ、地域協議会の場を活用して生活交通の確保に遺漏なきを期されるようよろしく取り計らわれたい。



(別添)

地域住民の生活交通の確保に関する協議会の枠組みに関する運輸省としての考え方について

標記協議会については、その議を経ることを生活交通としての自動車交通に係る新たな補助制度の要件として定める方向で検討中であるが、その枠組みに関する運輸省としての考え方は以下のとおりである。
標記協議会については、地域の関係者の自主的な判断に基づき設置されるものであることから、この考え方は、あくまでその設置に当たっての参考までに運輸省としてのモデル的な考え方を示すものであり、実際の設置に当たっては、地域の関係者の話し合いによって具体的な設置要綱等が作成されるものである。
1 協議事項

(1) 生活交通の確保に関する地域における枠組みづくりその他の生活交通のあり方一般に関する審議
(2) 具体的な路線に係る生活交通の確保に関する計画(一定の期間ごとの見直しを前提)の策定についての調整及び決定

・輸送サービスの範囲及び形態(路線バス、乗合タクシー、これらが困難な場合の市町村バス・スクールバス・福祉バスの活用等)
・輸送サービスの水準(運行ルート・運行回数・運行時刻)
・輸送サービスの提供主体(運行の委託を行う場合は受託主体を含む。)
・輸送サービスの提供に公的支援が必要な場合には、その額及び分担方法

2 構成員

協議会は、原則として、以下の者又はその指名する職員(都道府県担当部長、市町村助役、陸運支局長等)により構成し、必要があると認めるときは、その他の者を構成員に加えることができる。

・関係都道府県知事
・関係市町村長
・関係地方運輸局長
・関係事業者

3 協議会の設置単位

以下に例示する方式等により、各地域の実情に応じて開催することとする。また、協議会の円滑な運営のために、必要に応じて、幹事会を置くことができる。
(1) 都道府県に一つ協議会を設置
(2) 都道府県に一つ協議会を設置、分科会を地域ごとに設置・開催
(3) 地域ごとに協議会を設置
※ 複数の都道府県にまたがる県境路線については、必要に応じ複数県にまたがるものを設置する、協議会の合同会議を開催する等の方式もあり得る。
※ 分科会の決定を協議会の決定とすることができる。

4 協議会の運営等

協議会は以下により運営を行う。
(1) 庶務は、関係都道府県において処理する。
(2) 原則として、議長は、都道府県知事又はその指名する職員、副議長は、地方運輸局長又はその指名する職員とする。
(3) 退出しようとする一般乗合旅客自動車運送事業者は、休廃止の予定日の六月前までの届出に先立って休廃止の予定日の一年程度前を目途に地域協議会において退出の意向を申し出ることとし、地域協議会で生活交通の確保のために十分な検討が可能となるよう配慮するものとする。
(4) 議長は、関係事業者から、退出の意向の申し出、事業者単独での事業の継続が困難である旨の申し出、又は関係事業者等から協議会の決定に基づき実施している輸送サービスの内容を変更する旨の申し出(以下単に「申し出」という。)があった場合には、すみやかに協議会の会議を招集しなければならない。
(5) 協議会は、生活交通の確保に関する施策を円滑に実施するため、あらかじめ、定例の会議を開催する時期を定め、当該時期に合わせて申し出が行われるようにするとともに、あらかじめ定められた期限を目途に調整を終え、生活交通の具体的な確保策が実行に移されるように努めるものとする。
(6) 生活交通の確保に関する調整を円滑かつ適切に進める上で必要があると判断される場合は、利用者団体の代表、沿線の経済団体その他の者の意見を聴くものとする。
(7) 原則として、公開又は議事の概要を書面でとりまとめ公表することにより、協議会の運営の透明性を担保するものとする。
(8) 関係事業者(代替運行希望事業者を含む。)は、協議会の定めるところにより、以下に例示するものその他必要と認められる情報を開示し、説明するものとする。

イ 既存運行事業者の現況

・輸送量(過去数年間の実績)
・経営状況(過去数年間の損益の状況、原価の概要等)

ロ 協議対象路線の現況

・輸送量(過去数年間の路線密度、乗車密度、乗降人数等)
・運行状況(運行回数、運行時刻の概要等)
・収支状況(過去数年間の営業収支実績等)
・既存運行事業者が当該路線についてこれまで講じてきた経営努力の内容

(9) 輸送サービスの提供主体の決定については、関係事業者からの申し出について公示等により周知し、申し出を行った事業者以外の者から運行希望の表明等があった場合には、その意見を聴くこととするとともに、決定の理由を明らかにする等、その決定に当たっての競争のインセンティブと透明性が担保されるような方法で行うものとする。

5 協議会の結論の取扱い等

協議会における協議会が調った事項については、関係者は結果を尊重し、当該事項を実施するものとする。
なお、協議会において路線又は事業の休廃止の届出から六月以内に協議が調わない場合には、届出どおりに事業者が路線又は事業の休廃止を行うことを妨げるものではない。


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