自旅第二八〇号
昭和五三年八月二四日

各陸運局長・沖縄総合事務局長あて

運輸省自動車局長通達


タクシーサービスの改善について


標記については、かねてよりその推進方配慮を煩わしてきたところであり、特に六大都市については、昨年の運賃改定に際し、四月二六日付け自旅第一三四号をもって通達したところであるが、その現状は、接客態度の不良、不当運賃の請求、乗車拒否等の指摘が絶えず、国民が期待する水準からなお遠いものがある。
ついては、地域の実情を十分考慮しつつ、左記のような対策を検討し、サービス改善のための具体的措置の実施について、管下事業者及び事業者団体等の指導に努められたい。

1 タクシー近代化センター及び事業者団体のサービス改善指導体制の強化を図りつつ、次の対策の実施について指導する。このため、近代化センター及び事業者団体に対し、具体的なサービス改善計画(実施時期の目標を含む。)及び実施方法の提出を求めるとともに、定期的に実施状況を報告させるものとする。

(1) 利用者からの苦情通報体制の強化等

ア 苦情受付窓口の整備

タクシー利用者のための窓口(苦情・忘れ物一一〇番)を整備し、苦情、意見及び要望の受付けにあたるとともに、車内での忘れ物の問合せに応ずる。

イ タクシーカードの備付け及び領収書の発行

六大都市についてタクシーカードの備付けの徹底を図るとともに、備付け実施区域を拡大する。
また、領収書を備付けて、乗客の求めに応じ、発行する。

ウ 運転者名等の車内への掲示の徹底

自動車運送事業等運輸規則に基づく運転者名、自動車登録番号及び事業者名の車内への掲示を徹底する。

エ 地図の備付けの徹底

自動車運送事業等運輸規則に基づく地図の備付けを徹底する。

オ 利用者モニター制の導入

可能な限り多数の利用者にモニターを委嘱し、タクシーサービス改善についての指摘、提言を受け、タクシーサービス改善対策に反映させる。

(2) 教育、指導の強化

ア 事業者研修及び運転者教育の改善

事業者研修(指導主任者等の研修を含む。)及び運転者教育を定期的に実施するとともに、内容の充実を図る。

イ 街頭指導の強化

街頭指導車及び街頭指導員を増強し、タクシーの誘導及び利用者の案内を強化する。

ウ サービス改善運動の実施

従来のサービス改善運動の見直しを行い、接客態度等の総点検、利用者へのPR、モニターの活用等により効果的な運動の実施を図るとともに、事後に評価を行う。また、あわせて、利用者に対し、適正なタクシー利用の方法についてのPRを行う。

(3) 利便度の向上

ア 無線タクシーの利用の促進

無線タクシーの利用を促進するため、無線車両を増強するとともに、ユーザー登録制(あらかじめ利用者の氏名、住所等の登録を行っておき、呼び出しに応じ、迅速に配車するシステム)の普及等により、配車を迅速化する。

イ タクシー乗場の増設等

盛り場にタクシー乗場を整備するとともに、必要に応じ計画配車を行う。

(4) 乗合タクシーの推進

乗合タクシーを導入するための所要の条件を満たしている地域については、乗合タクシーの導入を推進する。このため、事業者団体において候補地の実態調査を積極的に行う。

(5) タクシーサービス改善検討委員会等の設置

以上の対策の実施にあたっては、事業者団体に、学識経験者、利用者、事業者及び運転者の代表からなるタクシーサービス改善検討委員会等を設置し、検討の結果をタクシーサービス改善対策に反映させるよう努める。

2 陸運局等においては、信賞必罰等の観点から、次の対策の積極的推進を図る。

(1) 優良運転者等の表彰

優良運転者、優良指導主任者等を称揚するための表彰を積極的に行う。

(2) 監査の強化

事業者の経営管理を改善するため、特別監査を強化する。

(3) 行政処分の強化

旅客サービスに関する違反行為については、一般的に処分内容を加重するとともに、悪質な累犯については、特に厳重な処分を行う。

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