国自旅第九〇号
平成一三年九月二七日

各地方運輸局長・沖縄総合事務局長あて

国土交通省自動車交通局長通達


一般乗合旅客自動車運送事業の運行計画の届出等の処理要領について


道路運送法及びタクシー業務適正化臨時措置法の一部を改正する法律(以下「改正法」という。)の施行に伴い、一般乗合旅客自動車運送事業者の運行系統、運行回数及び運行時刻が事業計画の記載事項から運行計画の記載事項となり、その設定及び変更が全ての場合において認可制から届出制へ移行されることとなった。
届出制への移行により輸送ニーズに対応して弾力的な運行回数・運行時刻の設定及び変更が可能となり、利用者利便の向上が図られることとなるが、一方で、競合路線内における時間帯等のクリームスキミングとなるような運行計画は、オフピーク時間帯の利用者利便の低下につながるおそれがあること等から、事業改善命令等により是正することが必要である。
また、運行ダイヤの頻繁な変更や無理な運行ダイヤの設定による走行妨害等の極端な路上競争等、利用者利便や安全の確保を無視した競争が行われた場合にもこれを是正することが必要である。
よって、前記の趣旨を踏まえ、一般乗合旅客自動車運送事業の運行計画の届出に関する手続、運行計画の変更に係る事業改善命令等の処理要領を左記のとおり定めたので、各地方運輸局及び沖縄総合事務局においては、その趣旨を十分理解の上、事務処理上遺漏のないよう取り計らわれたい。また、本件については、社団法人日本バス協会会長あて別添〔略〕のとおり通知したので申し添える。

1 地方運輸局長による時間帯等の指定について

(1) 道路運送法施行規則(以下「施行規則」という。)第一五条の一二第一項第二号及び第一五条の一四第一項第一号による時間帯の指定

1) 別紙一のとおり行い公示するものとする。
2) また、新設される運行系統の時間帯の指定については、運行系統ごとの指定をあらかじめ行うことが困難であるため、一定の地域ごと等で包括的に行い、当該運行系統の実情に応じこれを変更できるものとする。なお、当該運行系統について3(1)の競合系統がある場合においては、当該競合系統について指定された時間帯が指定されたものとみなすものとする。

(2) 施行規則第一五条の一二第一項第二号及び第一五条の一四第一項第三号による運行回数の指定

改正法施行前の施行規則第六条第一項第九号による運行回数の指定を踏まえて行うものとする。

(3) 施行規則第一五条の一四第一項第一号による運行回数の範囲の指定

改正法施行前の施行規則第一五条第一項第六号による運行回数の変更の範囲の指定を踏まえて別紙二のとおり行い公示するものとする。

(4) 指定するにあたっての留意点

1) 原則として、運行系統ごとの指定とし、現在までの実績等を勘案しながらそれぞれについて指定するものとするが、当該系統における地域の実情、利用者利便の確保等に留意しつつ、包括的に行っても差し支えない。
2) 休日、学校が夏休み等の場合の需要の減少、観光シーズンにおける需要の一時的な増加等を考慮しながら行うこととする。
3) (2)、(3)の運行回数等は、運行系統の一日当たりの総運行回数を指定するものとする。
4) 3(1)の競合系統がある系統については、(2)、(3)の指定は行わないこととする。

2 運行計画の届出に関する手続について

(1) 様式

施行規則第一五条の一三第一項、第二項により提出する運行計画の様式は、別紙三のとおりとし、変更の届出の場合は、変更に係る運行系統について当該様式の新旧対照表の形で提出するものとする。

(2) 運行計画設定(変更)届出書の提出

路線新設に伴う運行計画の届出については、施行規則第六条第三項又は第一五条の一五に基づき、事業の許可申請書又は事業計画変更認可申請書と同時に提出できることとなっていることから、許可申請又は事業計画変更認可申請に対する審査上の便宜を図るため、当該申請と同時に提出するよう申請者に対し指導を行うこと。
なお、この場合における届出書に記載する実施予定日は、「許可(認可)を受けて運行を開始する日」とすること。
また、施行規則第一五条の一三第二項により提出される運行系統図には、当該運行系統の延長キロ及び他事業者(届出を行う事業者の親会社、子会社、共同運行会社等を除く。以下同じ。)の運行系統と重複している場合には、当該他事業者名並びに当該重複部分の延長キロ及び運行区間を記載させること。

(3) 届出書の受付

陸運支局長(沖縄にあっては陸運事務所長。以下同じ。)は、運行計画設定(変更)届出書を受けた場合、施行規則第一五条の一二第一項及び第一五条の一三に掲げる記載事項が正しく記載されているかを確認して届出を受け付けること。

(4) 届出書の送付

陸運支局長は、運行計画設定(変更)届出書を受理した場合(施行規則第六条第三項の規定により届出がなされたとみなされる場合及び施行規則第一五条の一五の規定により申請書に運行計画が添付された場合を含む。)は、その旨適当な手段により利害関係人等が知りうる状態にするとともに、速やかに地方運輸局長あて写しを送付すること。

3 クリームスキミングの要件について

一般乗合旅客自動車運送事業の申請に対する処理方針(以下「処理方針」という。)及び本通達にいう「クリームスキミング的運行」とは、以下の(1)又は(2)の要件に該当するものをいう。
(1) 届出がなされた運行計画に定められた一日当たりの全てのピーク時間帯(ピークの期間及び曜日を含む。以下同じ。)の運行回数(A)と一日当たりの全てのオフピーク時間帯(オフピークの期間及び曜日を含む。以下同じ。)の運行回数(B)について、A/Bの数値(小数点第二位以下の端数切り上げ)が、競合系統(届出がなされた運行系統の系統キロの五〇%以上が重複する他事業者の運行系統で、複数ある場合は、運行回数がもっとも多いもの。以下同じ。)の当該数値の一・五倍の数値を上回る場合

この場合において、ピーク時間帯、オフピーク時間帯については、期間及び曜日等別に各運行系統ごとに判断するものとする。

(2) 以下の1)又は2)に該当する場合であって、2(4)により運行計画の届出について利害関係人等が知りうる状態になった日から一四日以内に、旅客の利便が損なわれるおそれがあることについて利害関係人等から合理的な説明を伴う申し出がなされ、当該申し出が適切なものと認められる場合

1) (1)のA/Bの数値が、競合系統の当該数値の一倍を上回り一・五倍以下の数値となる場合
2) 届出がなされた運行系統が他事業者の運行系統と近接するもの等であって、当該運行系統が他事業者の運行系統と実質的に競合関係にあることが認められ、かつ、(1)のA/Bの数値が、他事業者の運行系統の当該数値の一倍を上回る数値となる場合
なお、前記(1)又は(2)の要件に該当する場合であっても、以下の場合にあっては弾力的に取り扱うものとする。
・競合系統等のピークの時間帯における混雑率が極端に高い場合(長時間利用者が待つような極度の積み残しが発生している等)
・オフピーク時間帯における輸送効率が極端に低い場合(生活交通として利用する利用者が皆無に近い等)
・競合系統等が定期観光系統、高速バス系統等であって、その減便が旅客の利便を阻害しないものである場合等

4 クリームスキミング的運行に係る運行計画の変更命令等について

1) 事業の許可申請又は路線の新設に係る事業計画変更認可申請の内容でクリームスキミング的運行が行われることが明らかである場合は、許可又は事業計画変更認可の審査段階で、申請者に対しこれを是正させることとする。
2) 1)以外の場合において、届出がなされた運行計画の内容でクリームスキミング的運行が行われることが明らかである場合は、届出者に対しこれを是正するよう指導するとともに、指導に従わない場合には、法第三一条第一号に基づき事業改善命令を発動するものとする。
3) 3に規定する要件には該当しないものの、運行が行われた結果、競合系統等のオフピーク時間帯の利用者利便の低下が生じた場合には、前記に関わらず、当該運行を行う事業者に対しこれを是正するよう指導するとともに、指導に従わない場合には、法第三一条第一号に基づく事業改善命令を発動するものとする。なお、運行計画の変更を伴わない是正措置が必要な場合には、法第三〇条第四項に基づく事業の健全な発達を阻害する競争の停止命令を発動するものとする。
4) 事業改善命令及び事業の健全な発達を阻害する競争の停止命令の発動は、以下のとおり行うものとする。

・2)の命令は、原則として、実施予定日の七日前までに行うこととする。
・命令は、3の要件を参照し、その理由を具体的に示して行うこととする。
・既に運行を行っている者に対し命令を発する場合においては、命令を発した日から原則として三〇日以内の日を指定して変更すべきことを命ずるものとする。

5 頻繁なダイヤ変更等が行われた場合の事業の健全な発達を阻害する競争の停止命令について

1) 運行ダイヤの頻繁な変更や無理な運行ダイヤの設定による走行妨害等の極端な路上競争等、利用者利便や安全の確保を無視した競争が行われた場合、その原因となる運行ダイヤの設定等を最初に行った事業者に対しこれを是正するよう指導するとともに、指導に従わない場合には、道路運送法第三〇条第四項に基づく事業の健全な発達を阻害する競争の停止命令を発動するものとする。
2) 路上競争の結果、事故が発生した場合の行政処分は厳格に取り扱うものとする。

6 その他

平成元年一二月二五日付け地自第五一五号の記第二を次のように改める。

第二 削除


(別紙1)
<別添資料>



(別紙2)
<別添資料>



(別紙3―1)
<別添資料>



(別紙3―2)
<別添資料>


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