国自旅第一〇〇号
平成一三年一〇月二六日

各地方運輸局長・沖縄総合事務局長あて

国土交通省自動車交通局長通達


一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金に関する制度について


一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金(ハイヤー及び民間患者等輸送に係る別建運賃及び料金を除く。)に関する制度は、以下のとおりとする。
1 運賃

(1) 運賃の種類

運賃の種類は、次のとおりとする。
イ 距離制運賃(時間距離併用制運賃を含む。以下同じ。)

初乗運賃と加算運賃を定め、旅客の乗車地点から降車地点までの実車走行距離に応じた運賃。

ロ 時間制運賃

初乗運賃と加算運賃を定め、旅客の指定した場所に到着した時から旅客の運送を終了するまでの実拘束時間に応じた運賃。

ハ 定額運賃

1) 特定の空港、鉄道駅、大規模集客施設等と一定のゾーンとの間の運送において、事前に定額を定めて運送の引受けを行う運賃。
2) 大規模イベント時の定額運賃は、大規模なイベントの開催期間中、駅、空港等特定の場所から大規模イベントの開催場所に移動する旅客に対して、事前に定額を定めて運送の引受けを行う場合の運賃。
3) 観光地における主要施設(最寄駅、主要宿泊施設等)を拠点とした名所旧跡等を巡るルートに沿った運送を行う場合において、事前に定額を定めた運賃(以下「観光ルート別運賃」という。)。

(2) 運賃の適用順位

運賃の適用順位は、原則として距離制運賃を適用し、これにより難い場合は、あらかじめの特約により時間制運賃を適用する。また、(5)に定めるところにより定額運賃を設定している場合は、定額運賃を適用することができる。

(3) 距離制運賃

イ 距離制運賃の適用方法

1) 初乗距離は各営業区域ごとに地方運輸局長(沖縄総合事務局長を含む。以下同じ。)が定める距離により設定するものとする。
2) 加算運賃は、一メートル単位とし、一メートル未満の端数は四捨五入する。
3) 時間距離併用制運賃は、一定速度(限界速度といい、一〇km/Hを超えないものとする。)以下の走行速度になった場合の運送に要した時間を加算距離に換算し、距離制メーターに併算する。
4) 時間距離併用制運賃の加算距離相当時間に端数が生じた場合は、五秒単位に切り上げるものとする。
5) 初乗距離を短縮する場合は、初乗距離の短縮が現行の当該営業区域において適用している初乗距離の半分程度で地方運輸局長が定めた距離により設定する場合に限るものとする。

ロ 距離制運賃の割増

1) 大型車及び特定大型車の割増率については、地域の実情にあわせて定めることができる。
2) 深夜早朝割増は、原則午後一〇時以降午前五時までの間における運送に適用し、割増率は二割とする。
3) 冬期割増は、地方運輸局長が指定する期間及び指定する地域の営業所に配置されている車両、又は当該地域を走行する車両に限り適用し、割増率は二割以内で当該地域の状況に応じて地方運輸局長が定める。
4) 寝台割増は、寝台専用の固定した設備を有する車両に限り適用し、割増率は二割とする。
5) 適用方法

(ア) 大型車割増及び特定大型車割増以外の割増は、距離短縮方式とする。
(イ) 大型車割増及び特定大型車割増は、普通車の運賃額に割増相当額を加算する方式によることとし、当該合算額をメーターに表示することとする。
(ウ) 大型車割増及び特定大型車割増以外の割増については、二以上の割増条件に該当する場合はいずれか高い率を適用し、割増の重複はできないものとする。

ハ 距離制運賃の割引

1) 公共的割引

(ア) 身体障害者割引は、身体障害者福祉法による身体障害者手帳を所持している者に適用するものとし、割引率は一割とする。
(イ) 知的障害者割引は、都道府県知事(政令指定都市にあっては、市長)の発行する知的障害者の療育手帳を所持している者に適用するものとし、割引率は一割とする。
(ウ) (ア)、(イ)以外の法令等で対象が限定される者に対する福祉的な割引については、対象者の種類ごとに個別に認可するものとし、割引率は一割とする。

2) 遠距離割引は、五、〇〇〇円(地域の実情に応じてこれより低い金額を地方運輸局長が定めることができる。)以上の一定のメーター表示額(基準額という。)に相当する距離を超える遠距離旅客に対し適用するものとし、割引は基準額を超える部分の額に一定割合を乗じた額を割り引く方法で行うものとする。

割引の方法については、利用者への分かりやすさを担保するため、原則として、基準額及び割引率を逓増させる場合の区切りの額については一、〇〇〇円単位とし、割引率は一割単位とするものとする。

3) タクシークーポン券、プリペイドカード等割引は、タクシークーポン券等の購入者に対して適用するものとし、割引率は五%程度とする。
4) 営業的割引

1)〜3)以外の営業的割引で需要喚起のため行う割引の設定は、不当な差別的取扱いとはならない合理的理由のある場合に行えるものとする。

5) 適用方法

(ア) 1)、2)の割引は、メーター表示額から割引相当額を減じる方法による。
(イ) 4)の割引については、割引の形態に応じた方法で割り引きを行うものとする。
(ウ) 1)〜4)の各区分の割引は重複して適用するものとするが、1)〜4)の同一区分内において複数の割引条件に該当する場合は、いずれか高い率を適用し、割引の重複はできないものとする。

(4) 時間制運賃

イ 時間制運賃の適用方法

1) 時間制運賃は、観光地の周遊、冠婚葬祭にかかる運送等距離制運賃により難い運送であって、営業所等において時間制運賃による特約がある場合に適用する。
2) 時間制運賃は、初乗一時間、以後三〇分単位とし、三〇分未満の端数が生じた場合は切り上げるものとする。
3) 時間制運賃は、五〇円単位とし、五〇円未満の端数は切り捨てるものとする。
4) 当分の間、既に時間制運賃が導入されている運賃ブロックにおいては、「営業所等を出発し、旅客の運送を終了するまでの実拘束時間に応じた」かつ「三〇分単位の」運賃を設定することとしてよい。
5) 時間制運賃による契約の場合は、タクシーメーター器にカバーをし、前面に「貸切」の表示をするものとする。

ロ 時間制運賃の割増

1) 時間制運賃には、運賃の割増(大型車及び特定大型車を除く。)及び料金(待料金及び迎車回送料金に限る。)は適用しないものとする。
2) 大型車及び特定大型車の割増率については、地域の実情にあわせて定めることができる。
3) 割増は、普通車の運賃額に割増相当額を加算する方式によるものとする。

ハ 時間制運賃の割引

1) 公共的割引

(ア) 身体障害者割引は、身体障害者福祉法による身体障害者手帳を所持している者に適用するものとし、割引率は一割とする。
(イ) 知的障害者割引は、都道府県知事(政令指定都市にあっては、市長)の発行する知的障害者の療育手帳を所持している者に適用するものとし、割引率は一割とする。
(ウ) (ア)、(イ)以外の法令等で対象が限定される者に対する福祉的な割引については、対象者の種類ごとに個別に認可するものとし、割引率は一割とする。

2) タクシークーポン券、プリペイドカード等割引は、タクシークーポン券等の購入者に対して適用するものとし、割引率は五%程度とする。
3) 営業的割引

1)、2)以外の営業的割引で需要喚起のため行う割引の設定は、不当な差別的取扱いとはならない合理的理由のある場合に行えるものとする。

4) 適用方法

(ア) 1)の割引は、イにより算出された時間制運賃額から割引相当額を減じる方法による。
(イ) 3)の割引については、割引の形態に応じた方法で割り引きを行うものとする。
(ウ) 1)〜3)の各区分の割引は重複して適用するものとするが、1)〜3)の同一区分内において複数の割引条件に該当する場合は、いずれか高い率を適用し、割引の重複はできないものとする。

(5) 定額運賃

イ 特定の空港、鉄道駅、大規模集客施設等と一定のゾーンとの間の運送における場合。

1) 対象となる運送は当該定額運賃を定めるゾーン内への最短経路による運送に適用される通常の距離制運賃(時間距離併用制運賃において時間加算を行わない距離制運賃をいい、遠距離割引を含むものとする。以下同じ。)の額(一〇〇円未満切り上げ)が五、〇〇〇円(地域の実情に応じてこれより低い金額を地方運輸局長が定めることができる。)に相当する距離を超えるものとする。
2) 運賃の額は、当該定額運賃を定めるゾーン内への最短経路による運送に適用される通常の距離制運賃の一〇〇円未満を切り上げた額又は切り捨てた額とし、五〇〇円(設定しようとする定額運賃の額が一〇、〇〇〇円以上の場合は一、〇〇〇円)単位未満の端数については、切り捨てにより調整することができるものとする。ただし、地域の輸送実態その他の事情により地方運輸局長が別に定めるところによることができるものとする。
3) 定額運賃の適用施設等は、空港、大規模な新幹線の駅及びこれに準ずる大規模集客施設とし、輸送実績等を勘案して地方運輸局長(沖縄総合事務局長を含む。以下同じ。)が定めるものとする。
4) 適用ゾーンは、営業区域の単位として地方運輸局長が定めた区域の範囲を超えない範囲内において営業区域、行政区画、道路、河川、その他の明確な区分により設定するものとする。当該適用ゾーンは申請に基づき設定することとするが、地域の輸送実態その他の事情により地方運輸局長が別に定めるところによることができるものとする。
5) 利用者が負担すべき有料道路料金は、どの経路で、どの程度の額かをあらかじめ明示するものとする。
6) 乗り場を定める、乗車券方式による、予約方式による等運賃の適正収受が図られる方策を講じるものとする。
7) 深夜早朝割増、冬期割増、大型車割増、特定大型車割増及び公共的割引については、これに対応した定額運賃を設定するものとする。

ロ 大規模なイベントの開催期間中、駅、空港等特定の場所と大規模イベントの開催場所との運送における場合。

1) 運賃の額は、イベント開催時において予想される運行経路(初乗距離を超える運送距離であること。)に基づき計測した距離に対応した通常の距離制運賃額とする。なお、一〇〇円未満の端数(当該運賃額が五、〇〇〇円を超える場合は五〇〇円、一〇、〇〇〇円を超える場合は一、〇〇〇円の端数とすることができる。)については切捨てにより処理することとする。
2) 実施に当たり、イベント主催者等との連携、旅客への案内等の対応について、十分な方策を講じるものとする。
3) 利用者が負担すべき有料道路料金は、どの経路で、どの程度の額かをあらかじめ明示するものとする。
4) 乗り場を定める、予約乗車券による、予約方式による等運賃の適正収受が図られる方策を講ずることとする。
5) 深夜早朝割増、冬期割増、大型車割増、特定大型車割増及び公共的割引については、これに対応した定額運賃を設定するものとする。

ハ 観光ルート別運賃における場合。

1) 観光ルート別運賃は、観光ルートごとに設定する。
2) 運賃の額は、観光ルートごとに走行距離、所要時間を実測し、この実測に基づいた距離制又は時間制の運賃に基づく運賃額を設定するものとする。

(6) 運賃の収受方法

距離制運賃の収受にあたっては、旅客の降車地点に停車後直ちにメーター器を「支払」の位置に操作し、その表示額による。

2 料金

(1) 料金の種類

料金の種類は、待料金、迎車回送料金、サービス指定予約料金及びその他の料金とする。

(2) 料金の適用方法

イ 待料金

1) 待料金は、旅客の都合により車両を待機させた場合に適用する。
2) 待料金の額は、加算運賃額とする。

ロ 迎車回送料金

迎車回送料金は、旅客の要請により乗車地点まで車両を回送する場合に、一車両一回ごとの定額(一定距離まで無料とするものを含む。)を適用するものとする。

ハ サービス指定予約料金

1) サービス指定予約料金は、時間指定配車料金及び車両指定配車料金とする。
2) 時間指定配車料金は、予約による旅客の指定した時間に車両を配車する場合に適用する。
3) 車両指定配車料金は、予約による旅客のワゴン車等の配車依頼に応じてワゴン車等を配車する場合に適用する。
4) サービス指定予約料金の額は、一車両一回ごとの定額とする。

ただし、「時間指定配車」かつ「車両指定配車」のいずれにも該当する場合は、2)又は3)により適用しうるいずれかの料金のうち高額の料金のみを収受するものとする。

ニ その他の料金

その他の料金は、不当な差別的取扱いをするものではなく、かつ、旅客が利用することを困難にするおそれがないものである場合に設定できるものとする。なお、介護料金等旅客の運送に直接伴うものではない料金は、当然のことながらこれに含まないものであり、認可も届出も不要である。

3 車種区分

車種は、特定大型車、大型車及び普通車の三区分とし、区分の基準は別表のとおりとする。ただし、特定大型車、大型車の区分は平成一四年一月三一日現在当該区分を設けていない区域については設定しないことができるものとする。



附 則
(1) 改正後の規定は、平成一四年二月一日以降に申請のあったものから適用するものとする。
(2) 1(3)ロ、2(2)イ・ロ、3については、次の運賃改定(需要構造、原価水準等を勘案して運賃改定手続をまとめて取り扱うことが合理的であると認められる地域として地方運輸局長が定める地域において普通車の最も高額の運賃よりも高い運賃を設定することをいう。以下同じ。)の時から適用し、それより前は従前の例による。ただし、地域の実情に応じ次の運賃改定の時より前から適用できるものとする。



(別表)

車種区分
自動車の大きさ等
普通車

道路運送車両法施行規則第二条に定める普通自動車のうち排気量二リットル(ディーゼル機関を除く。)以下のもので乗車定員六名以下のもの及び同条に定める小型自動車で乗車定員六名以下のもの。

 

同条に定める普通自動車及び同条に定める小型自動車のうち身体障害者輸送車(患者輸送車、車椅子移動車)であって乗車定員六名以下のもの。

 

同条に定める軽自動車でリフト又はスロープにより車椅子で乗降でき、かつ、運行時に車椅子を固定することのできる設備を有する特種用途自動車。

大型車

道路運送車両法施行規則第二条に定める普通自動車のうち排気量二リットル(ディーゼル機関を除く。)を超えるもので乗車定員六名以下のもの。

 

身体障害者輸送車(患者輸送車、車椅子移動車)であって乗車定員七名以上のもの。

特定大型車

道路運送車両法施行規則第二条に定める普通自動車又は小型自動車のうち乗車定員七名以上のもの。
ただし、身体障害者輸送車(患者輸送車、車椅子移動車)を除く。

備考

ディーゼル機関を搭載した自動車については、同一仕様(外寸、内装等)のガソリン車の車種区分を適用する。


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