国自旅第一〇一号
平成一三年一〇月二六日

各地方運輸局長・沖縄総合事務局長あて

国土交通省自動車交通局長通達


一般乗用旅客自動車運送事業の運賃料金の認可の処理方針について

一般乗用旅客自動車運送事業の運賃料金については「一般乗用旅客自動車運送事業の運賃料金」(平成五年一〇月六日自旅第二一八号)によることとしてきたところであるが、今後は左記によることとされたい。

1 運賃適用地域

運賃改定(需要構造、原価水準等を勘案して運賃改定手続をまとめて取り扱うことが合理的であると認められる地域として地方運輸局長(沖縄総合事務局長を含む。以下同じ。)が定める地域(以下「運賃適用地域」という。)において普通車の最も高額の運賃よりも高い運賃を設定することをいう。(以下同じ。))申請については、運賃適用地域ごとに行う。

2 運賃改定手続の開始

運賃適用地域ごとに、原則として最初の申請があったときから三ケ月の期間の間に申請を受け付けることとし、申請があった法人事業者の車両数の合計が、当該運賃適用地域における法人事業者全体車両数の七割を超えた場合に、運賃改定手続を開始することとする。

3 運賃改定の要否の判定、原価及び収入の算定

(1) 運賃改定の要否の判定に当たっては、実績年度を基準とし別紙1により行うものとする。

実績年度の期間については、四月一日より翌年三月末日までとする。これと異なる決算期間を用いている場合は、事業期間を四月一日より翌年三月末日までに期間を修正するものとする。

(2) 原価及び収入の算定に当たっては、運賃改定の要否の判定において運賃改定を行う必要がないと判断される場合を除き、別紙2により原価及び収入の算定を行うこととする。

4 自動認可運賃の設定、公表及び申請の処理

地方運輸局長は、前記3(2)で算出した運賃額を上限とし、この上限運賃の初乗運賃額から別紙3により算出される初乗運賃額を下限とする範囲内の初乗運賃額及び当該初乗運賃額に対応した加算距離及び加算運賃額について、別紙3により設定される運賃を自動認可運賃として設定し、事前に公示するとともに、自動認可運賃については、速やかに認可を行うものとする。
自動認可運賃に該当しない運賃の認可申請で運賃改定申請以外のものの認可に当たっては、認可要件に沿って、不当な競争を引き起こすおそれがないかどうかや不当に差別的なものでないか等を個別に審査する。
その他自動認可運賃等の申請に対する処理手続等については別紙4による。

5 定額運賃、料金及び割引運賃の取扱いについて

定額運賃、料金及び割引運賃についてはその多様化を図ることに留意しつつ、以下のように取り扱うこととする。
(1) 定額運賃申請の処理

特定の空港、鉄道駅、大規模集客施設等と遠距離にある一定のゾーンとの間の輸送等に係る定額運賃の設定申請に関しては、混乱防止、運賃の適正収受のための措置が講じられているかを確認の上、距離制運賃との比較で不当に差別的なものとならないかを審査することとする。
なお、これらの申請に対しては運賃改定時以外においても随時申請を行えるものとする。その際には、申請に係る運賃適用地域において既に定着しているもの等については申請の公示を省略できることとするとともに、標準処理期間によらず弾力的に取り扱うものとする。

(2) 料金の申請の処理

料金の申請に関しては、料金水準がサービスの内容に対応したものであることを確認の上、認可要件に沿って、不当な差別的なものでないか又は旅客が利用することを困難にするおそれがないかを審査することとする。
なお、申請は運賃改定時以外においても随時申請を行えるものとする。その際には、申請に係る運賃適用地域において既に定着しているものについては申請の公示を省略できることとするとともに、標準処理期間によらず弾力的に取り扱うものとする。

(3) 割引運賃の申請の処理

原則五、〇〇〇円を超える部分について適用することができる遠距離割引その他の割引運賃の申請に関しては、運賃改定時以外においても随時申請が行えるものとし、認可要件に沿って不当な競争を引き起こすおそれがないかどうかや不当に差別的なものではないかを審査する。特に、申請に係る運賃適用地域において既に定着しているものについては申請の公示を省略できることとするとともに、標準処理期間によることなく迅速な処理を行うものとする。

6 運賃改定の手続・内容の透明性の確保等

運賃改定の手続・内容についての透明性を図るとともに、利用者等への情報提供による事業の一層の効率化を促進するため、運賃改定時はもとより、運賃改定時以外にも必要な情報を提供する等情報の公開を促進する必要がある。このため、別紙5のタクシー事業の情報提供ガイドラインにより情報提供を確実に実施することとする。

7 サービス改善等の指導

運賃改定の機会をとらえて、サービスの改善、安全運行の確保等について事業者に対し積極的に指導すること。


附 則

平成一四年二月一日以降次回の運賃改定までの間は以下のような取扱いとする。
(1) 1中「普通車の」とあるのは「車種別の」とする。
(2) 4中「前記3(2)で算出した運賃額を上限とし、この上限運賃の初乗運賃額から別紙3により算出される初乗運賃額を下限とする」とあるのは、「車種ごとに平成一四年一月三一日現在の課税事業者の初乗運賃額を上限とし、平成一四年一月三一日現在の免税事業者の初乗運賃額を下限とする」とする。この場合において、免税事業者の上限運賃の加算運賃及び加算距離は課税事業者の上限運賃の加算運賃及び加算距離と、課税事業者の下限運賃の加算運賃及び加算距離は免税事業者の下限運賃の加算運賃及び加算距離と同一とするものとする。



(別紙1)

一般乗用旅客自動車運送事業の運賃改定要否の判断基準

地方運輸局長において、地域の実情に応じ、以下の基準に従い運賃改定要否の検討を開始すること。
なお、道路運送法施行規則第一〇条の三第二項の規定により申請書に添付される原価計算書の原価計算期間の実績年度が、原則として現行運賃の算定を行った原価計算年度(平年度)以降である場合のみに、運賃改定要否の検討を行うこととする。
第1 標準能率事業者の選定基準

運賃適用地域内において、改定申請事業者の中から標準的経営を行っている事業者を標準能率事業者として選定する。
この場合の標準能率事業者とは、次の基準に該当する者を除いた者とする。
1 原価標準基準

(1) 一人一車制個人タクシー事業者及び小規模個人経営者(五両以下)
(2) 三年以上存続していない事業者
(3) 最近の事業年度(一年間)の期間中に事業の譲渡、譲受若しくは合併した事業者又は長期にわたって労働争議のあった事業者
(4) 決算期を変更したため、最近一年間の実績収支の確定のできない事業者
(5) 一般乗用旅客自動車運送事業以外の事業を経営する者にあっては、全事業営業収入に対する乗用部門の営業収入の割合が五〇%に満たない者
(6) 料金について標準的なものと大幅に異なるものを設定している事業者
(7) 災害、その他の事由によって異常な原価が発生し、当該地域の原価の標準を算定するために適当と認められない事業者

2 サービス標準基準

(1) 事業用自動車の平均車齢が、当該運賃適用地域の全事業者の平均値に比較して、特に高いと認められる事業者
(2) タクシーサービスの著しく不良な事業者
(3) 安全運行を怠り、事故を多発している事業者

3 効率性基準

(1) 運賃適用地域の事業者のうち、年間平均実働率の水準が、当該地域内の全事業者の上位から概ね八〇%の順位にある水準以下の事業者
(2) 運賃適用地域の事業者のうち、生産性(従業員一人当り営業収入)の水準が、当該地域内の全事業者の上位から概ね八〇%の順位にある水準以下の事業者
(3) 効率性基準は原価標準基準及びサービス標準基準を適用した後に適用し、効率性基準は(1)、(2)の順に適用する。

4 前各号の基準を適用した場合において抽出事業者の車両数の合計が当該地域の法人全事業者の車両数の合計の五〇%を下回る場合は五〇%に止めるものとする。

第2 運賃改定要否判定基準

標準能率事業者について、実績年度及び実績年度の翌年度の適正利潤を含む加重平均収支率がいずれも一〇〇%を超える場合には、運賃改定を行う必要がないものとする。



(別紙2)

一般乗用旅客自動車運送事業の運賃原価収入算定・処分基準

第1 原価計算対象事業者の選定

1 原価計算対象事業者は、運賃適用地域の事業者のうち運賃改定要否の判断基準により選定した標準能率事業者の中から、次により抽出することとする。

(1) 車両規模別にそれぞれ五〇%を抽出する。
(2) 前記(1)の抽出にあたっては、各運賃額別、車両数規模別に申請事業者全体に対する車両数比率を算出し、その比率をもって事業者を抽出する。
(3) 抽出事業者数の最低は一〇社とし、三〇社を超える場合は三〇社を限度とすることができるものとする。

2 原価計算事業者の抽出にあたっては、抽出事業者の実績加重平均収支率が標準能率事業者の実績加重平均収支率を下回らないように抽出するものとする。

第2 原価計算の方法

原価計算は、原価計算期間の原価対象部門にかかる運賃原価を原価要素の分類に従って算定する。
要素別原価は、税抜き方式によることとする。

第3 原価計算期間は、次の三年度とし、運賃率は平年度の原価に基づき算定する。

実績年度・・・最近の実績年度一年間
翌年度・・・実績年度の翌年度一年間
平年度・・・実績年度の翌々年度一年間

第4 関連する収益及び費用の配分基準

他の事業を兼営する事業者の関連収益及び費用は、別添1の基準によって配分するものとする。

第5 輸送力及び輸送効率等の算定

過去五年間の実績の推移及び将来における合理的な予測を基礎に算定する。
ただし、平年度に使用する実車率については次のとおり取扱うものとする。

1) 実績年度実車率が運賃適用地域の平成三年度〜平成七年度の五ケ年の加重平均実車率(以下「基準実車率」という。)を上回る場合には実績年度実車率をもって算定を行うものとする。
2) 実績年度実車率が基準実車率を下回る場合には実績年度実車率と基準実車率を和半した数値をもって算定を行うものとする。

ただし、激変緩和措置として、当分の間次式により算定することができるものとする。
〔(実績年度実車率+基準実車率)×1/2+実績年度実車率〕×1/2

第6 原価の算定

1 運賃原価の範囲

運賃原価は、一般乗用旅客自動車運送事業の営業費(人件費、燃料油脂費、車両修繕費、車両償却費、その他運送費及び一般管理費)、営業外費用及び適正利潤を合計した額とする。

2 要素別原価の算定

(1) 人件費

人件費は給与、退職金、厚生費の合計額とし、次式により算定する。

平均給与月額×支給延人員×(1+退職金支給率+厚生費支給率)

(算定基礎)
1) 平均給与月額

平均給与月額とは、基準賃金、基準外賃金及び賞与(一時金を含む)の年間総額を一二分の一した額とする。

翌年度………実績の平均給与月額に翌年度春闘実績による増加分を加えた額とする。
平年度………翌年度の平均給与月額にデフレーターを乗じて算定した額とする。

2) 支給延人員

輸送力増強を伴う場合の支給延べ人員は次式により算定したものとし、労働条件の改善(労働時間の短縮等)をする場合は、実施し又は実施することが確定している場合のみ運転者について人員増を認める。

最近年度実績支給延人員×(1+実働日車数の伸び率)

3) 退職金支給率

実績年度の給与総額に対する退職金の割合とする。

4) 厚生費支給率

実績年度の給与総額に対する厚生費の割合とする。

(2) 燃料油脂費

イ 燃料費

次式により算定する。

燃料別単位当り価格×(燃料別査定走行キロ÷燃料別単位当り総走行キロ)

(算定基礎)

1) 単位当り価格………最近の平均購入価格とする。ただし、燃料税の増徴が確定している場合は、増税分を加算した額とする。
2) 燃料別総走行キロ………最近事業年度の実績の比率による。
3) 単位当り走行キロ………最近事業年度の実績値による。

ロ 油脂費

次式により算定する。

車キロ当り経費×査定総走行キロ

(算定基礎)

車キロ当り経費………実績値×(1+CPI)

(3) 車両修繕費(タイヤ・チューブ費を含む。)

次式により算定する。

車キロ当り経費×査定総走行キロ

(算定基礎)

車キロ当り経費・・・実績値×(1+(CPI+WPI)/2)

(4) 車両償却費

次式により算定する。

車両価格×車両数×償却率

(算定基礎)
1) 車両価格………最近における現金購入価格による。
2) 車両数………期中平均車両数による。
3) 償却率………償却率は次式により算定する。

(1−0.1)÷実績平均使用期間

(5) その他諸経費

イ その他償却費

翌年度=実績額×期中平均車両数伸び率
平年度=翌年度額×期中平均車両数伸び率

ロ その他修繕費

翌年度=実績額×(1+CPI)×期中平均車両数伸び率
平年度=翌年度額×(1+CPI)×期中平均車両数伸び率

ハ 諸税

1) 自動車税及び自動車重量税

1両当り税額×期中平均車両数

2) その他

翌年度=実績額×期中平均車両数伸び率
平年度=翌年度額×期中平均車両数伸び率

ニ 保険料

1) 強制保険

1両当り保険料×期中平均車両数

2) その他

翌年度=実績額×期中平均車両数伸び率
平年度=翌年度額×期中平均車両数伸び率

ホ その他

1) 交際費

実績額とする。ただし、非課税限度額を限度とする。

2) 事故賠償費

翌年度=実績額×期中平均車両数伸び率
平年度=翌年度額×期中平均車両数伸び率

3) その他

翌年度=実績額×(1+CPI)×期中平均車両数伸び率
平年度=翌年度額×(1+CPI)×期中平均車両数伸び率

(6) 一般管理費

イ 人件費

運送費人件費の算定要領と同じ。ただし、役員給与月額の上昇率は運送費人件費の運転者の平均給与月額の上昇率の範囲内とし、また、輸送力増強に伴う人員増は原則として認めない。

ロ 諸税

1) 事業税

次式により算定する。

実績年度適正利潤×申請地区事業税々率

2) その他

翌年度=実績額×期中平均車両数伸び率
平年度=翌年度額×期中平均車両数伸び率

ハ その他経費

1) 交際費、寄付金

実績額とする。ただし、非課税限度額を限度とする。

2) 固定資産償却費

翌年度=実績額×期中平均車両数伸び率
平年度=翌年度額×期中平均車両数伸び率

3) その他

翌年度=実績額×(1+CPI)×期中平均車両数伸び率
平年度=翌年度額×(1+CPI)×期中平均車両数伸び率

(7) 営業外費用

イ 金融費用

次式により算定する。

実績額+(所要資金−自己資金)×平均利率

(算定基礎)

1) 所要資金

車両購入及び施設改善のために要する資金とする。

2) 自己資金

減価償却費及び増資予定額(確定している場合のみ)とする。

ロ 車両売却損

次式により算定する。

(1両平均残存価格×代替車両数)−(1両平均売却価格×代替車両数)

(算定基礎)

1) 一両平均残存価格・・・車両価格×0.1
2) 一両平均売却価格・・・最近の実績による売却価格(下取り価格)
3) 代替車両数・・・期中平均車両数÷実績平均使用期間

ハ その他

翌年度=実績額×期中平均車両数伸び率
平年度=翌年度額×期中平均車両数伸び率

(8) 適正利潤

次式により算定する。

乗用換算自己資金×資本利子率(0.1)÷(1−法人税等税率)

(算定基礎)
1) 乗用換算自己資金・・・自己資本に全事業の固定資産に占める乗用事業用固定資産の比率を乗じて算出する。ただし、自己資本が欠損となっている場合は、乗用換算自己資本を基礎に算定する。
2) 法人税等税率・・・法人税等税率は次式により算定する。

法人税々率+{法人税々率×(都道府県民税率+市町村税率)}

第7 運賃改定しない場合の収入算定

1 運送収入

次式により算定する。

車キロ当り収入×査定実車走行キロ

(算定基礎)

車キロ当り収入・・・実績年度車キロ当り収入

2 運送雑収

実績年度運送雑収とする。

3 営業外収益

実績年度営業外収益とする。

第8 所要増収率の算定

次式により算定する。

(運賃原価−(運送雑収+営業外収益))/運送収入−1

第9 運賃改定率の算定

運賃改定率は、原価計算の結果に基づく所要増収率と等しくなるよう算定する。なお、制度変更及び料金等の変更により増収効果が伴う場合には所要の修正を行うものとする。

第10 処分基準

前記第九項により算定した運賃改定率により、別添2の算出要領を用いて算出した運賃額をもって認可する。



(別紙3)

自動認可運賃の設定方法

1 距離制運賃

(1) 下限運賃

下限運賃の初乗運賃額は、次の算式により算出する。

下限初乗運賃額=上限初乗運賃額×(平成14年1月31日現在における小型・免税事業者の下限初乗運賃額/平成14年1月31日現在における中型・課税事業者の上限初乗運賃額)

(注) 運賃額の端数は、いずれも10円単位に切り上げした額とする。

加算運賃額は上限運賃額の加算運賃額と同額とし、その加算距離は次の算式により算出する。

加算距離=距離制上限加算距離÷(距離制下限初乗運賃額÷距離制上限初乗運賃額)

(注) 加算距離は、1m単位に四捨五入する。

(2) 自動認可運賃の範囲内の設定

上限運賃と下限運賃の範囲内において、一〇円単位で初乗運賃額を設定する。
各初乗運賃額に対応する加算運賃額は上限運賃の加算運賃額と同額とし、その加算距離は次の算式により算出する。

各加算距離=距離制上限加算距離÷(各距離制初乗運賃額÷距離制上限初乗運賃額)

2 時間制運賃

(1) 下限運賃

距離制の初乗運賃額を基礎として、次の算式により算出する。

初乗運賃額=時間制上限運賃の初乗運賃額×(距離制下限初乗運賃額÷距離制上限初乗運賃額)
加算運賃額=時間制上限運賃の加算運賃額×(距離制下限初乗運賃額÷距離制上限初乗運賃額)

(2) 自動認可運賃の範囲内の設定

距離制運賃の初乗運賃額を基礎として、次の算式により算出する。

各初乗運賃額=時間制上限運賃額×(各距離制初乗運賃額÷距離制上限初乗運賃額)

各初乗運賃額に対する加算運賃額は、次の算式により算出する。

各加算運賃額=時間制上限加算運賃額×(各距離制初乗運賃額÷距離制上限初乗運賃額)



(別紙4)

自動認可運賃等の申請に対する処理手続等

第1 自動認可運賃の設定

別紙2別添により算出した上限運賃を用いて、距離制運賃及び時間制運賃の自動認可運賃を設定するものとする。
自動認可運賃を設定した時は、速やかにこれを公示する。

第2 申請に対する処理手続

1 申請者の申請運賃の変更

自動認可運賃を公示した場合において運賃の認可申請を行っている者は、地方運輸局長が自動認可運賃を公示後二週間以内に、自動認可運賃に申請額を変更することができるものとする。
また、この場合において初乗距離を短縮する運賃を設定する申請を行っている者は、本来の初乗距離を超えた運賃額が自動認可運賃となるよう、再度申請を行うものとする。

2 運賃の認可

公示後二週間経過した後、地方運輸局長は自動認可運賃の申請については、速やかにこれを認可する。
なお、前記1による申請額の変更がない場合は、次により処分を行うこととする。
(1) 申請の初乗運賃額が上限運賃を上回っている場合

上限運賃額に修正して認可することとする。

(2) 申請の初乗運賃額が自動認可運賃を下回っている場合

当該申請について第3自動認可運賃に該当しない運賃申請の処理要領により個別に判断をすることとする。

(3) 申請の初乗運賃額が自動認可運賃の範囲内にあるが自動認可運賃に適合しない運賃の場合

距離制運賃については、初乗運賃額が申請初乗運賃額と同じ自動認可運賃(初乗運賃と加算運賃の比率が自動認可運賃と同等であって、加算距離を、加算運賃額が自動認可運賃の加算運賃額以下となるように設定したものを含む。)を認可することとする。
時間制運賃については、初乗運賃額が申請初乗運賃額にもっとも近い自動認可運賃を認可することとする。

第3 自動認可運賃に該当しない運賃申請の処理要領

申請運賃が当該運賃適用地域の自動認可運賃(第2 2(3)に掲げるものを含む。)に該当せず、かつ、運賃改定を伴わない運賃に係る申請については、以下のとおり処理する。
1 原価及び収入の算定

申請者において実績年度の原価及び収入をもとに、別紙2第二項から第八項(第六項中適正利潤は運賃原価から除外する。)により算定した(これによらない場合は、合理的な理由を付した上でこれに準じた形で算定した)書類を作成の上申請書に添付して提出することを求めることとする。
地方運輸局長においては、この添付書類をもとに、平年度における申請者の原価及び収入を査定することとする。ただし、人件費については、申請者の運転者一人当たり平均給与月額(福利厚生費を含む。以下同じ。)が原価計算対象事業者の運転者一人当たり平均給与月額の平均の額(以下「標準人件費」という。)の一〇%を超えて下回っているときは、
(1) 労使間で当該申請について了解がある場合、又は
(2) 過去二年間に労働基準法(昭和二二年法律第四九号)違反及び自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(平成元年労働省告示第七号)違反が認定されていない場合
は申請者の実績値を用い、その他の場合には標準人件費を一〇%下回る額で人件費を査定することとする。

2 運賃査定額の算定

前記1による査定を行った上で平年度における収支率が一〇〇%となる変更後の運賃額(以下「運賃査定額」という。)を査定することとする。ただし、運賃査定額が自動認可運賃となる場合にあっては申請額に最も近い自動認可運賃額をもって運賃査定額とすることとする。

3 申請に対する処分

(1) 申請額が運賃査定額以上である場合は申請額で認可することとする。また、申請額が運賃査定額に満たない場合は運賃査定額を申請者に通知し、通知後二週間以内に申請額を運賃査定額に変更することができることとすること。変更申請がない場合は、当該申請による運賃を設定することによる労働条件への影響等についても審査の上、その適否を判断することとする。
(2) 申請の認可に当たっては、初乗運賃と加算運賃の比率が当該運賃適用地域における上限運賃の比率と同等のものとなるような加算距離とすることとする。また、加算距離は、加算運賃額が自動認可運賃の加算運賃額以下となるように設定することとする。

第4 その他

初乗距離を短縮する運賃制度については、制度通達1(3)イ5)を満たすことが必要であるが、さらに、初乗距離に達した際、自動認可運賃となる場合には、原価計算を求めることなく認めることとする。
なお、初乗距離を短縮する申請にあっては、1)運賃内容が利用者に分かり易く表示され、また、周知されること、2)運転者の近距離旅客に対する敬遠防止について事業者の適切な指導・教育が十分行われること、について当該申請者を指導すること。



(別紙5)

タクシー事業の情報提供ガイドライン

第1 事業者団体における情報提供

次の項目により積極的に情報公開を行うこととする。なお、具体的内容等は情報公開の趣旨に沿うよう創意工夫のうえ実施するものとする。
(1) 利用者に対する基礎的な情報提供

1) 運賃ブロックごとの運賃料金のメニュー、金額の一覧
2) 運賃料金、サービス等に関する問い合わせ先の明示
3) サービス等の苦情に関する問い合わせ先の明示

(2) 運賃改定申請時及び実施時の情報提供

(運賃改定申請時)
1) 申請の内容(申請理由、申請の概要、運賃改定率、申請・現行運賃額比較表)
2) 収支の実績年度及び平年度の推定(平年度の需要見通しを含む。)
3) これまでの経営合理化の状況、今後の取組み
4) 運賃料金の多様化の内容(新たな制度、営業割引の内容)
(運賃改定実施時)
1) 運賃改定の内容(改定の概要、改定率、現行・改定運賃額比較表)
2) 新たに設定する運賃料金の内容
3) 主要区間の新旧運賃料金比較表
4) 今後の合理化計画の内容
5) 今後のサービス向上策の内容

(3) 運賃改定のフォローアップ(定期的に公表)

1) 合理化計画の実施状況
2) サービス向上策の実施状況

(4) その他

1) 民間公聴会(関係事業者団体が主催する消費者団体等の関係者との懇談会)の定期的開催
2) その他葉書、モニター等による利用者意見の把握

第2 国土交通省における情報提供

(1) 基礎的な情報提供

1) 運賃改定の審査基準、標準処理期間
2) 行政の苦情に関する問い合わせ先の明示

(2) 運賃改定申請時及び認可時の情報提供

(運賃改定申請時)
1) 申請の内容(申請日、申請者名、申請の概要)
2) その他特に必要な事項
(運賃改定認可時)
1) 認可の内容
2) 上限運賃改定に当たっては、原価計算対象事業者の平均原価
3) その他運賃改定認可に併せて事業者団体に要請した事項

(3) 運賃改定のフォローアップ(定期的に公表)

1) 運賃改定後の経営内容等

第3 情報提供の方法

(1) 事業者団体

リーフレット等の車内配布、広報誌及びテレビ・新聞等マスメディアを通じた公表、インターネットによる情報発信、利用者窓口



(別添1)

一般乗用旅客自動車運送事業に係る収益及び費用並びに固定資産の配分基準

一般乗用旅客自動車運送事業及びその他の事業に関連する収益及び費用並びに固定資産(無形固定資産及び投資等を除く。)は、その属する勘定項目ごとに、それぞれ次の基準によって各事業に配分する。また、運賃原価算定等において、一般乗用旅客自動車運送事業部門内部の配分を必要とする場合についても、この基準を準用する。ただし、鉄道事業又は軌道業を兼営するものにあっては、当分の間その事業について定める基準によるものとする。
なお、当該収益及び費用並びに固定資産が極めて少額である場合、又は主たる事業に比較して兼営する事業の割合が小さいため、配分基準の算定が困難である場合には、その金額を主たる事業に負担させるものとする。
I 収益

営業外収益 営業収益の比率

II 費用

1 営業費

(1) 運送費

イ 人件費 従業員の実働人日数の比率 ただし、技工の人件費については車両修繕費の比率
ロ 燃料油脂費 当該事業在籍車両の総走行キロの比率(注1)
ハ 修繕費

車両修繕費 総走行キロの比率 ただし、外注修繕費、部品等については、当該事業在籍車両の総走行キロの比率
その他修繕費 期末有形固定資産額(車両及び土地を除く。)の比率

ニ 固定資産償却費

車両償却費 当該事業在籍車両の総走行キロの比率
その他償却費 期末有形固定資産額(車両及び土地を除く。)の比率

ホ 保険料

自賠責保険料 当該事業在籍車両の総走行キロの比率
車両保険料 同右
その他保険料 期末有形固定資産額(車両及び土地を除く。)の比率

ヘ 施設使用料 実在延日車数の比率
ト 施設賦課税 期末有形固定資産額(車両を除く。)の比率

事業用車両に係るものは当該事業在籍車両の総走行キロの比率

チ その他経費

事故賠償費 ―
道路使用料 ―
その他経費 実働延日車数の比率

(2) 一般管理費 運送費(又は営業費から一般管理費を控除した金額)から減価償却費を控除した金額の比率

2 営業外費用

イ 金融費用 {営業費(減価償却費を除く。)の比率+期末有形固定資産額の比率}×1/2
ロ その他の費用 営業費(減価償却費を除く。)の比率

III 固定資産

1 全事業部門から旅客自動車運送事業部門への配分

(営業収益の比率+期末専属有形固定資産額の比率)×1/2

2 旅客自動車運送事業部門内の配分

イ 車両

事業用車両 当該事業在籍車両の総走行キロの比率
その他の車両 実働延日車数の比率

ロ 建物

営業所等現業関係の建物 実在延日車数の比率
その他の建物 従業員数の比率

ハ 構築物 実在延日車数の比率
ニ 機械装置 実働延日車数の比率
ホ 工具器具備品 実働延日車数の比率
ヘ 土地 実在延日車数の比率
ト 建物仮勘定 実在延日車数の比率

(注1)

「当該事業在籍車両の総走行キロの比率」とは、事業計画上当該事業に配置されている車両が、当該事業以外の他の事業のために使用された場合において、当該事業に配置されている全車両の総走行キロと、これから他事業に関わる部分の総走行キロを除いた、純当該事業に係わる総走行キロの比率をいう。

(注2)

金融収益又は金融費用の各事業への配分にあたっては、次に掲げる金額はあらかじめ控除して配分を行い、配分後に「その他事業」の金融収益または金融費用として計上すること。
1 不動産事業を経営している事業者が、商品土地・建物に係る借入金利息を金融費用として計上している場合の当該借入金利息の金額
2 イに掲げる事業者(経営する事業が一事業の者を含む。)は、ロに掲げる金額

イ 事業年度終了の日において、投融資額*が固定資産の部の合計額の一〇分の一をこえる事業者
ロ 金融収益………投融資額に係る受取配当金及び受取利息

金融費用………{(期首投融資額+期末投融資額)×1/2}×実績仮入金利率

* 投融資額は固定資産の投資等の合計額のうち、長期前払費用及び破産債権等並びに支払保険料、敷金その他の直接収入を生じないものは除き、流動資産である短期貸付金及び有価証券を含めたものとする。



(別添2)

改定運賃額の算出要領

改定運賃額の算出は、次のとおり行うこととする。
また、時間制加算運賃については、時間制初乗運賃に準じて行うこととする。
1 距離制運賃及び時間制運賃の初乗運賃の算出

(1) 上限運賃の算出

改定前の上限運賃額に所要増収率を乗じた額(端数は一〇円単位に四捨五入した額)を改定上限運賃値上額とする。

(2) 距離制運賃の初乗運賃増収率

初乗運賃値上率は次式により算出する。

初乗運賃値上率=改定上限運賃値上額÷改定前の上限運賃額

初乗運賃増収率は次式により算出する。

初乗運賃増収率=初乗運賃値上率×距離制運賃及び時間制運賃の実績年度収入に占める初乗運賃収入構成比

2 距離制運賃の上限加算運賃の算出

(1) 加算運賃の所要増収率は次式により算出する。

加算運賃所要増収率=(所要増収率−初乗運賃増収率)÷加算運賃の収入構成比

(2) 上限加算運賃距離の算出

加算距離の算定は改定後の加算運賃額を設定の上、次式により算出した距離を上限運賃とする。

加算距離=現行の加算運賃の距離÷(1+加算運賃所要増収率)×改定後の加算運賃額÷改定前の加算運賃額

附 則

平成一四年二月一日以降最初の運賃改定において現行の中型車及び小型車を普通車として同一に取り扱うことに伴う運賃の調整の方法については、別に定めるものとする。


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