地自第二四〇号
平成元年六月二九日

各地方運輸局自動車(第一)部長・沖縄総合事務局運輸部長あて

運輸省地域交通局自動車業務課長通達


タクシー事業者が行う救援事業等について

1 近年、タクシー事業の無線化が普及したことにより、その機動性に着目し、ホームセキュリティ等の「緊急救援システム」又は、他人に対する役務提供等を行う「タクシー便利屋」等といわれる新しいサービス(以下「救援事業等」という。)の実施を希望するタクシー事業者がでてきている。
2 これら救援事業等は、タクシー事業の合間等に本来業務の遂行を妨げない範囲内において、タクシー車両等を使用して行われるものと理解できるので、特にこれを排除しなければならない社会的理由は乏しいと思われる。
3 したがって、一定の条件の下において、タクシー事業者が行う「ホームセキュリティ等緊急救援システムに参画し又は自ら行うこれらの業務(以下「救援事業」という。)」は、たとえタクシー車両等のタクシー事業用の施設を使用して行われるものであっても、道路運送法第一九条の業務の確保義務を損ねる行為とならないものと理解し、今後、当面左記のとおり取り扱うこととされたい。

なお、タクシー顧客等からの緊急の要請を受けて行う病院の順番とり、忘れ物の代理取得、切符などの予約や購入など、単に役務を提供する行為及び役務提供に連動して生ずる非定型的な物品輸送であって社会通念上貨物運送行為とみなされないものを行う場合についても、実情に応じてこれに準じた取り扱いを行うこととされたい。


1 タクシー事業者がタクシーの事業用施設(車両、無線装置等)を使用して、救援事業を行うことについては、次の条件の下にこれを認めることとする。

(1) 本来のタクシー事業の遂行を妨げるものでないこと。
(2) 救援事業は、タクシー事業ではないが、タクシーの事業用施設を使用して行うものであるので、これらの救援事業に使用するタクシー車両、事業運営方法等を記載した計画書を陸運支局長あて提出すること。
(3) 救援事業の業務遂行のために走行する場合はタクシーメーターを使用しないものとし、「救援」の表示をすること。
(4) 救援事業の営業区域は、タクシー事業区域を越えるものでないこと。
(5) 救援事業遂行中の走行キロは、タクシー事業の走行キロに含めてはならないこと(区分して記録すること。)。なお、救援事業に関連して旅客輸送の申込みがあり、これに応じて旅客輸送を行った場合には、通常のタクシー事業における実車として取り扱うものとすること。
(6) 救援事業の会計処理はタクシー事業とは明確な区分経理を行うこと。

1) 救援事業の収入は、タクシー事業の運賃・料金収入等とは明確に区分して処理すること。
2) 救援事業に関連する人件費、車両運行費、減価償却費等の共通経費は、原則として所要時間比率で配分すること。

この場合の所要時間比率の算定のため、救援事業遂行中の時間をタクシー事業遂行中の時間と区別して記録しておくものとすること。

3) 資産・負債等についても同様とすること。

(7) 当該事業の営業実績を記載した報告書等を定期的に陸運支局長あて提出すること。
(8) 救援事業の料金は、タクシー運賃・料金とは無関係とすること。
(9) タクシー利用者の利便に影響を及ぼす程救援事業のウエイトが大きくなってきた場合は、当該事業専用の施設を設備すること。

2 救援事業の業務遂行のために走行する場合に掲出する「救援」の表示板は、各運輸局におけるハイヤー・タクシー車両の表示等に関する取扱い通達等において、車内の表示事項に「救援」の項目を追加すること等により措置すること。

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