国自旅第二五号
平成一四年五月一七日

各地方運輸局自動車(第一)部長・沖縄総合事務局運輸部長あて

国土交通省自動車交通局旅客課長通達


自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律等に係る運用上の留意事項等について


自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律(平成一三年法律第五七号。以下「法」という。)及びそれに基づく自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律施行令(平成一四年政令第二六号)、国土交通省関係自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律施行規則(平成一四年国土交通省令第六二号。以下「規則」という。)その他の法令(以下「法等」という。)については、本年六月一日から施行されることとなっているところであるが、法等の運用に際しての留意事項等について左記のとおりまとめ、本年六月一日より施行することとしたので、事務処理に遺漏なきを期されたい。
また、法等に係る警察庁所管事項の留意事項等については、別添1〔略〕の通り警察庁交通局長から都道府県警察の長等に対して「自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律等の施行に伴う交通警察の運営について」(平成一四年五月一七日警察庁丙交企発第八四号、丙交指発第二七号)及び「自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律等の解釈及び運用について」(平成一四年五月一七日警察庁丙交企発第八五号、丙交指発第二八号。以下「警察庁通達」という。)が発出されているので、本通達とあわせて業務実施の際の参考とされたい。
なお、本件については、社団法人全国運転代行協会会長あてに別添2〔略〕のとおり通知しているので申し添える。

1 法の目的(法第一条関係)

警察庁通達を参照されたい。

2 自動車運転代行業の範囲(法第二条関係)

(1) 自家用自動車管理業等自動車運転代行業と類似した事業等についての留意点は警察庁通達を参照されたい。
(2) 道路運送法(昭和二六年法律第一八三号)上の旅客自動車運送事業との関係は、以下のように整理されるものである。

1) 自動車運転代行業は、利用者を当該利用者の自動車により乗車させて利用者の目的地まで運送を行う形態であって、当該自動車を使用管理する権原が利用者にあることから、自動車運転代行業者が主体的な立場において当該自動車を運行の用に供することにより旅客運送を行っているとは認められない。すなわち、このような形態による利用者の運送行為は道路運送法第二条第三項の「自動車を使用して」事業を行う場合に該当しないため、旅客自動車運送事業には該当しない。
2) 利用者の運送が自動車運転代行業者又はその従業員等の自動車により行われている場合は、当該自動車運転代行業者は本来の代行運転役務の提供とは別に、主体的な立場において当該自動車を運行の用に供することにより旅客運送を行っているものであるため、このような形態による利用者の運送行為を反復継続の目的をもって有償で行っている自動車運転代行業者は、道路運送法第三条の一般旅客自動車運送事業を経営する者に該当し、必要な道路運送法第四条の許可を受けていない場合には道路運送法第四条第一項違反となる。この場合、当該運送行為の有償性については、当該運送行為の対価が代行運転役務の提供に対する対価とは別に定められていることを要しないが、有償であるか否かの判断に当たっては、社会通念に照らし、具体的事案に即して十分実態を調査の上判断することが必要である。
3) なお、通常は1)の形態により利用者の運送を行っている自動車運転代行業者が、反復継続の目的を有さずたまたま2)の形態により利用者の運送を行った場合であって、当該運送に対する対価を徴収している場合には、道路運送法第八〇条第一項違反となる。

3 公安委員会からの処分の協議に対する同意等

(1) 認定の協議に対する同意(法第五条第四項)

1) 原則として法第三条第六号(損害賠償措置)の要件に該当するか否かについてチェックし、該当する場合(すなわち規則第三条の要件に適合しない場合)には同意を行わないこととし、該当しない場合は、すみやかに同意を行うものとする。
2) 旅客自動車運送事業の用に供する自動車を随伴用自動車とする旨の申請があった場合にあっては、タクシー事業者が行う救援事業等と同様本来業務の遂行を妨げない範囲内で自動車運転代行業を行うべきものであることは当然であるので、「タクシー事業者が行う救援事業等について」(平成元年六月二九日地自第二四〇号)における取扱いに準じて取り扱うこととされたい。

(2) 認定の拒否処分の協議に対する同意(法第五条第四項)

法第三条各号に掲げる要件のうち、第六号(損害賠償措置)以外の要件に該当することを理由に協議があった場合は、すみやかに同意を行うこととし、第六号の要件に該当することを理由に協議があった場合は、該当性についてチェックの上、該当する場合には同意を行うものとする。

(3) 認定の取消しの協議に対する同意(法第七条第二項)

1) 法第三条第六号(損害賠償措置)に係る法第七条第一項第一号(虚偽申請等)の要件に該当することを理由に協議があった場合は、事実関係を精査の上、該当する場合は同意を行うものとし、それ以外の理由で協議があった場合(法第三条各号のうち第六号以外に係る法第七条第一項第一号に該当することを理由とする協議及び法第七条第一項第二号、第三号又は第四号に該当することを理由とする協議)は、すみやかに同意を行うものとする。
2) 法第七条第一項第三号又は第四号に該当することを理由に協議があった場合において、営業の開始等の実態又は事業者の所在を把握している場合には、事実関係について精査を行い、都道府県公安委員会又は方面公安委員会(以下単に「公安委員会」という。)と緊密に連絡調整を図りつつ適切な処理を行うこと。

(4) 指示をした旨の通知(法第二二条第二項)

1) 違反について当該指示の対象となる法の条項は、12(1)を参照されたい。
2) 通知は、別記様式1〔略〕の通知書により行うものとし、指示に係る違反の内容、違反事項の根拠条項、弁明等の状況等の関係資料を添付すること。

(5) 営業の停止命令をすべき旨の要請(法第二三条第二項)

1) 違反について当該要請の対象となる条項は、12(1)に掲げる条項と同一である。
2) 要請は、別記様式2〔略〕の要請書により行うものとし、要請に係る違反の内容、違反事項の根拠条項等の関係資料を添付すること。
3) 法第一二条(損害賠償措置義務)に係る違反事実があった場合、そもそも申請の段階で虚偽の内容の申請があった場合には、認定の取消事由となりうるので、要請を行う前の段階で、事実関係について精査を行い、公安委員会と緊密に運絡調整を図りつつ適切な処理を行うこと。
4) 要請については行政手続法(平成五年法律第八八号)上の不利益処分には該当しないので、行政手続法上の弁明の機会の付与は必要ではないが、適宜、対象事業者に対して弁明に準じた措置を講じる等により、その後の手続に混乱が生じないように留意すること。

(6) 営業の停止命令の協議に対する同意(法第二三条第三項)

原則として、別途警察庁で定める営業停止命令等の基準に従い実施される営業の停止命令である場合であれば、同意を行うものとする。
なお、当該営業の停止命令に係る直近の違反の行われる前に行われた違反の事実を把握している場合には、公安委員会と緊密に連絡調整を図りつつ適切な処理を行うこと。

(7) 営業の廃止命令の協議に対する同意(法第二四条第二項)

協議に対しては、原則として同意することとされたい。

(8) 包括的な同意の実施

事務の簡素化の観点から、複数件の処分について包括的な同意の協議のあった場合には、同意についても包括的に行うこととする。

(9) その他

(1)から(8)までに定めるもののほか、法による公安委員会からの処分の協議に対する同意等の実施に関する公安委員会との間の手続等の細目については、必要に応じ、公安委員会と調整の上定めることとされたい。

4 料金の掲示(法第一一条関係)

(1) 掲示する料金表においては、具体的に距離等に応じた確定額の料金が定められていることが必要であり、確定額ではなく時価とされているものや、利用者との交渉に委ねられているもの等は法が料金の掲示を義務づけている趣旨に反することとなるので認められない。
(2) 料金表の内容は、代行運転役務の提供の条件の説明の際に提示する書面における内容と同様のものでなければならないことは当然である。

5 損害賠償措置(法第一二条関係)

(1) 損害賠償責任保険契約の締結に当たっては、規則第三条第一号に掲げられた要件に該当するものであることが必要であるが、留意すべき点は以下のとおりである。なお、当該契約の内容を確認するための書類については、規則第二条に規定しているとおりであるが、具体的には保険証券の写し、保険約款等であって規則第三条第一号に掲げる要件の内容が記載されているものということになる。

1) 規則第三条第一号の「保険業法に基づき損害賠償責任保険を営むことができる者」とは、運転代行に係る損害保険の認可を受けた以下の者である。

イ 損害保険会社(保険業法第二条第四項)
ロ 外国損害保険会社等(保険業法第二条第九項)
ハ 特定法人のうち特定損害保険業免許を受けた法人の社員(保険業法第二一九条第六項)

2) 規則第三条第一号イの要件は、代行運転自動車の運行により生じた対人損害及び対物損害の賠償により賠償者に生じた損失について、対人損害賠償が一人につき八、〇〇〇万円以上、対物損害賠償が一事故につき二〇〇万円以上てん補できることが必要であるということであり、随伴用自動車の運行により生じた損害について措置が講じられていてもこの要件に該当するものとは認められない。
3) 規則第三条第一号ロの要件は、例えば代行運転自動車の運転者のスピード違反、酒酔い運転、無免許運転(第二種免許義務づけ後の第二種免許を有さずに行った運転を含む。)等による事故について、保険金の支払いがなされないこととなっているようなものを認めないという趣旨である。
4) 規則第三条第一号ハの要件は、例えば保険期間中には事故一回に限り保険金を支払うこととなっているようなものを認めないという趣旨である。
5) 規則第三条第一号ニの要件は、現在商品認可を受けている運転代行に係る保険商品は、随伴用自動車を対象として、当該随伴用自動車が随伴していた代行運転自動車の事故についての保険を行うという形態になっており、このような場合にはすべての随伴用自動車について保険契約を締結することが必要である、という趣旨である。したがって、保険の対象となっている随伴用自動車が法第五条第一項第六号の規定に基づいて提出される随伴用自動車の自動車登録番号等と一致していることを確認することが必要である。
6) 規則第三条第一号ホの要件は、現在は告示が制定されていないため、勘案する必要はない。

(2) 損害賠償責任共済契約の締結に係る留意点は(1)と同様であるが、それに加え、損害賠償責任共済の運営は法律に基づくことが必要であることに留意する必要がある。これは、法の附帯決議において、「利用者保護の観点から、事故損害賠償保険引受機関である共済の適正な運営を図るための措置を講ずること」とされたことを受けたものであるが、基本的に中小企業等協同組合法(昭和二四年法律第一八一号)に基づく中小企業等協同組合を想定している。なお、中小企業等協同組合の設立には事業所管大臣(又は事業所管大臣及び都道府県知事)の認可が必要とされているところである(中小企業等協同組合法第二七条の二、第一一一条)ことから、国土交通省及び警察庁(又は地方運輸局及び都道府県)共同で認可を行う必要があるが、当該認可に当たっての考え方等については別途通達する。
(3) なお、代行運転自動車に係る車両保険については、現時点では義務づけていない。これは、現時点において規則第三条第一号ロに掲げる要件に適合するような車両保険が存在しないことを踏まえた措置であり、基本的に代行運転自動車に係る車両保険に加入することが望ましいことは言うまでもない。したがって、できる限り自動車運転代行業者には、規則第三条第一号に掲げる要件のうちロに掲げるもの(自動車運転代行業者の法令違反が原因の事故について補償が免責となっていないこと)以外の要件に該当する車両保険に加入するよう指導するとともに、管内自動車運転代行業者の車両保険の加入状況について、認定申請書の記載欄等を通じて適宜把握することとされたい。なお、規則第三条第一号各号に掲げる要件に適合する代行運転自動車の車両保険の創設については、関係者間で今後検討していく予定である。

6 自動車運転代行業約款(法第一三条関係)

(1) 自動車運転代行業約款(以下「約款」という。)が法第一三条第二項に適合している場合であって、法第二二条第二項の変更の指示の対象となるのは、当該約款において、標準自動車運転代行業約款(以下「標準約款」という。)の内容よりも利用者に不利な条項が盛り込まれている場合が想定される。
(2) 標準約款と異なる約款の届出がなされた場合には、標準約款と異なっている趣旨を聴取の上、当該届け出た約款によるべき必要性に乏しいと判断される場合には、可能な限り標準約款によるよう指導すること。特に標準約款の内容より利用者に不利な条項が盛り込まれている場合には、特段の理由のない限り、原則として変更の指示の対象となり得る旨を明確に当該届出を行った者に伝えること。

7 代行運転役務の提供の条件の説明(法第一五条関係)

(1) 規則第六条第一項に掲げる事項は、第三号を除いて原則として書面に記載して利用者に交付するとともに、口頭でも説明することが必要である。第三号の「利用者が自動車運転代行業者に支払うこととなるべき料金の概算額」については、事前に決定できないものであることから、口頭による説明でよいこととしたものである。なお、書面は利用者の了解のある場合以外には交付しなければならないものであることから、利用者から代行運転役務の提供の申込みを受ける時点で必ず携帯していなければならない。
(2) この説明は、利用者が目的地を明確に運転代行業務従事者に伝えることによって初めて可能となるものであり、また、利用者が説明の内容を了解することで初めて完了するものである。したがって、泥酔した利用者が料金について理解せずトラブルが発生した場合には、説明義務違反となることがあり得ることに留意すること(このため、泥酔等により利用者が目的地を明瞭に伝えられないときについて、代行運転役務の提供を拒否する場合がある旨を標準約款に規定することとしている)。
(3) 規則第六条第一項第二号の「法第一一条の規定により掲示した料金」としては、料金表を利用者に交付することが考えられる。なお、料金について説明する際には、料金表を利用者に示し、目的地に照らした料金の概算を口頭により明確に利用者に伝えるとともに、規則第六条第一項第四号の「自動車運転代行業約款の概要」の一つとして、料金の算出方法(料金の算出の基礎となる距離について、随伴用自動車の料金メーターによるか代行運転自動車の距離計によるか等)及び収受方法について説明すること。
(4) (3)で述べたもののほか、規則第六条第一項第四号の「自動車運転代行業約款の概要」については、約款の全文又はその抜粋(少なくとも規則第四条第一号から第五号に掲げる事項について含まれているものとする。)であることが望ましく、あわせてそのポイントを口頭で説明することが必要である。

8 随伴用自動車の表示等(法第一七条関係)

(1) 法第一七条第一項においては、自動車運転代行業者は、随伴用自動車に、国土交通省令で定める表示事項又は装置を表示し、又は装着しなければならないこととされており、国土交通省令で定める表示事項を規則第七条第一項で、国土交通省令で定める装置を規則第七条第二項で定めているが、装置によることができるのは、規則第七条第二項で規定しているとおり、「もっぱら自動車運転代行業の用に供する随伴用自動車以外の自動車を随伴用自動車として用いる場合」である。具体的には、持ち込み車両及びタクシー車両を随伴用自動車として用いる場合が該当する。なお、タクシー車両を随伴用自動車として用いる場合として想定されるのは、利用者の顧客車に乗車したいというニーズに対応してタクシー車両を随伴用自動車として活用することにより、法の対象となる形態の事業を行うといった例外的な場合であると考えられる(いわゆるタクシー代行の場合は該当しないことは、警察庁通達でも述べられているとおりである。)。
(2) 規則第七条第三項第一号の「その他旅客自動車運送事業の用に供する自動車であると誤認させるおそれのある事項」としては、「TAXI」、「ハイヤー」等の表示を行うことが想定される。
(3) 規則第七条第三項第三号の「表示板」はタクシーが掲出する回送板等と同様、タクシーのフロントガラスの部分に掲出するものを想定しているが、法においては運転者の遵守事項ではなく、自動車運転代行業者の遵守事項として規定されていることに留意すること。

9 利用者の利益の保護に関する指導(法第一八条関係)

(1) この指導とは、単に形式的に冊子等を配布したり、一通りの説明をするのみでは足りず、運転代行業務従事者がその内容を理解しているか否かの確認までを行う必要があるものである。したがって、規則第八条第一項で義務づけられた指導内容に関する利用者とのトラブルがあり、これが運転代行業務従事者の理解不足に起因する場合には、指導義務違反となる場合があることに留意すること。
(2) 規則第八条第一項各号に掲げる事項に係る留意点は、以下のとおりである。

1) 第一号の「料金の収受方法」については、少なくとも、当該自動車運転代行業者の営業所に掲示した料金表及び料金の具体的な算出方法、当該料金表によるもの以外の料金の収受はできないことを指導すること。
2) 第二号の「自動車運転代行業約款の内容」については、具体的な約款の規定に沿ってその趣旨を理解させること。特に代行運転自動車の運転者が理解すべき代行運転役務の提供の拒否事由についてはその理解を徹底させること。
3) 第三号の「代行運転役務の提供の条件の説明方法」については、以下の事項を指導すること。

ア 規則第六条第一項各号に掲げる内容を原則として口頭及び書面の交付により行うこと。
イ 書面は必ず常備しておくこと。

4) 第四号の「随伴用自動車の表示等に関する事項」については、特に規則第七条第二項の装置を装着する場合にその装着を必ず履行することを指導すること。規則第七条第一項の表示事項を車体に直接表示している随伴用自動車のみを使用する場合は省略して差し支えない。
5) 第五号の「自動車運転代行業が旅客自動車運送事業と異なることその他道路運送法第四条、第四三条及び第八〇条第一項の遵守に関する事項」については、利用者を目的地まで輸送することは代行運転自動車により行うことを徹底すること。

(3) 指導の頻度については、運転代行業務従事者の雇入れ時に行うのはもちろんのこと、利用者とのトラブルが発生したとき等にも行う等適切なものとすること。

10 帳簿等の備付け(法第二〇条関係)

(1) 規則第九条第一項第一号の苦情処理簿については、以下の点に留意すること。なお、苦情処理については、迅速かつ適切に行う必要があることから、自動車運転代行業者において苦情処理を担当する職員をあらかじめ定めておくことが望ましいので、可能な限りその旨指導することとされたい。

1) イの「苦情を申し出た者の氏名及び連絡先並びに苦情の内容」としては、苦情申出者の氏名、苦情処理の状況が連絡できる連絡先及び苦情の具体的内容や申出経緯を記録するほか、苦情の発生年月日、発生場所又は区間、運転者の氏名等についても記録すること。
2) ロの「原因究明の結果」としては、事実関係を調査した上で明らかになった苦情が発生した原因のみならず、類似の苦情が以前に発生していないかどうかについても調査を行い、その調査結果を記録すること。
3) ハの「苦情に対する弁明の内容」とは、苦情を申し出た者に対して自動車運転代行業者が弁明した具体的内容のことをいうが、原因究明の結果を反映させることは必要ではなく、弁明時点での内容を記録すること。
4) ニの「改善措置」とは、原因究明の結果明らかになった事実関係に基づいて当該苦情に対する具体的措置及び再発防止のために行った措置のことをいう。
5) ホの「苦情処理を担当した者」とは、苦情の申出を実際に受け付けた者その他苦情の申出を行った者に対する対応を行った者のことをいう。
6) イからニまでに掲げる各項目については、当該苦情の全容が分かるよう、できる限り詳細な記述とすること。

(2) 規則第九条第一項第三号の乗務記録簿については、以下の点に留意すること。

1) 乗務記録簿は、運転代行業務従事者に記載させること。
2) 第三号イ、ロ(1)、(3)、(4)に掲げる事項については、国家公安委員会関係自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律施行規則(平成一四年国家公安委員会規則第一一号。以下「公安委員会規則」という。)第一三条第一項第三号の乗務記録における項目と重複しているが、当該項目について二重記載や複数の帳簿作成は必要ない。当該部分については、原則として公安委員会において処分を行うが、料金収受に関するトラブル等が発生した際に乗務記録により乗務距離と収受料金のバランスがおかしいことが判明した場合のように、陸運支局で指示・処分の要請を行う場合もあり得ることに留意すること。

(3) 規則第九条第一項第四号の運転代行業務従事者名簿の記載事項となっている氏名については、公安委員会規則第一三条第一項第一号イにおける項目と重複しているが、二重記載や複数の帳簿作成の必要がないのは(2)2)と同様である。

11 報告及び立入検査(法第二一条関係)

(1) 公安委員会が自動車運転代行業者から求めることとなる報告事項については、陸運支局においても公安委員会との密接な連携により把握を行うこと。
(2) 立入検査を実施する場合には、公安委員会と緊密な連絡を図り、原則として共同で実施すること。なお、実施に当たっては、苦情や事故が多い、報告又は資料の提出に応じない等の場合に重点化する等効率化を図ること。

12 指示(法第二二条関係)

(1) 違反について当該指示の対象となる行為は、法第二二条第二項に掲げてあるように、以下のとおりである(11)に掲げる行為については、運転代行業務に関し違反が行われたものに限る。)が、4)に掲げる行為に係る指示については、点数付与の対象とはならない(ただし、当該指示に違反して約款を適切な内容に是正しなかったときについては、法の指示違反となるので、点数付与の対象となる。)ので、留意すること。

1) 法第一一条(料金掲示義務違反)
2) 法第一二条(保険契約等締結義務違反)
3) 法第一三条第一項(約款掲示義務違反)
4) 法第一三条第二項(約款基準不適合)
5) 法第一三条第三項(約款届出義務違反)
6) 法第一五条(条件説明義務違反)
7) 法第一七条(随伴用自動車表示義務違反)
8) 法第一八条(運転代行業務従事者指導義務違反)
9) 法第二〇条第二項(帳簿等備置義務違反)
10) 法第二一条第二項(報告義務違反、立入検査忌避)
11) 道路運送法第四条、第四三条又は第八〇条第一項(タクシー類似行為)

(2) 指示は、別記様式3〔略〕の指示書により行うものとし、指示をする際には公安委員会と密接な運携を図ることとされたい。
(3) 指示の内容は、違反状態の解消のための措置、履行されなかった義務に替わる措置、将来の違反防止のための措置等を具体的に示すものでなければならず、例えば「今後は法第〇条の規定を確実に遵守すること」というような指示は行わないこと。
(4) 指示については行政手続法上の不利益処分に該当するので、行政手続法上の弁明の機会の付与等必要な手続を行うことについて留意すること。
(5) 指示をした旨の公安委員会への通知については、3(4)を参照されたい。

13 その他

自動車運転代行業者が主たる営業所の所在地がある都道府県以外の都道府県においてトラブル等を起こしたことにより、指示等の行政処分等を行う必要があるときについては、当該トラブル等が発生した都道府県を管轄する陸運支局ではなく、主たる営業所の所在地を管轄する睦運支局が処分権者となっていることから、このような場合には、事実関係の把握や迅速な事案処理等について、当該トラブル等が発生した都道府県を所管する陸運支局及び公安委員会と密接に連絡をとりつつ、事務処理に当たること。

14 既存通達の廃止

この通達の施行に伴い、「運転代行会等による道路運送法違反の取締り等について」(昭和五一年一〇月一二日自旅第二三一号)は廃止する。

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