自管第一五三号
昭和五五年九月二五日

各陸運局長・沖縄総合事務局長あて

自動車局長通達


登録の嘱託が重複してなされた場合の取扱い及び自動車登録フアイルに登録された自動車の差押え登録の嘱託手続等について

民事執行法(昭和五四年法律第四号)及び民事執行規則(昭和五四年最高裁判所規則第五号)並びに滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律の一部を改正する法律(昭和五五年法律第五〇号)及び滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する政令の一部を改正する政令(昭和五五年政令第二三九号)が昭和五五年一〇月一日から施行されることに伴い、標記のうち、登録の嘱託が重複してなされた場合については、別紙一により取扱うこととし、自動車登録フアイルに登録された自動車の差押え登録の嘱託手続等については、別紙二により改正することとしたので、了知されたい。
なお、登録の嘱託が重複してなされた場合の取扱について(依命通達)(昭和四〇年五月二四日自管第六二号)は、昭和五五年一〇月一日以降、これを廃止する。



別紙一

登録の嘱託が重複してなされた場合の取扱いについて

標記については、次のとおりとする。
第一 強制競売又は担保権の実行としての競売(以下「競売」という。)に係る差押えの登録の嘱託が重複してなされた場合

受理することとする。

(これまで二重開始決定は、民事訴訟法第六四五条により禁止されていたところであるが、先行する強制競売又は競売の手続が取り消された場合における取扱い等について様々な解釈上の問題が生じていたため、民事執行法では、二重開始決定を認めることによりこれを解決することとした。したがつて、既に強制競売又は競売に係る差押えの登録がなされている自動車(「自動車」とは、自動車抵当法第二条に規定する自動車をいう。以下同じ。)について重複して強制競売又は競売に係る差押えの登録の嘱託があつた場合においてもこれを受理することとする。)
第二 滞納処分(滞納処分の例による処分を含む。以下同じ。)による差押えの登録の嘱託が重複してなされた場合

他の滞納処分による差押えがなされている自動車については、国税徴収法第八六条により参加差押えができることとなつているので、その処理については、「自動車登録フアイルに登録された自動車の差押登録の嘱託手続等について」(昭和四七年一月二一日/自管第二一二号/自車第九二七号/)によることとする。

第三 滞納処分による差押えの登録の嘱託と強制競売又は競売に係る差押えの登録の嘱託が重複してなされた場合

一 滞納処分による差押えの登録の嘱託後、強制競売又は競売に係る差押えの登録の嘱託がなされた場合

受理することとする。

(滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律(昭和三二年法律第九四号。以下「調整法」という。)は、これまで自動車についての調整規定を欠いていたが、判例(昭和三三年一〇月一〇日最高裁判所判決)の趣旨等を踏まえて、後の嘱託をも受理することとして不動産等に準じた取扱いをしてきたところである。今回の調整法の改正により、強制競売又は競売に係る差押えは、滞納処分による差押えのなされている自動車に対しても行い得ることが明らかにされた(調整法第二〇条の二参照)ことでもあり、今後ともこれまで通り受理することとする。)

また、都道府県知事は、滞納処分による差押後に強制競売又は競売に係る差押えのなされた自動車について、公売処分による権利移転の登録をしたときは、強制競売又は競売に係る差押えの登録を職権にて抹消することとする(滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する政令(昭和三二年政令第二四八号。以下「調整令」という。)第一二条の三による調整法第一六条の自動車への準用)。

二 強制競売又は競売に係る差押えの登録の嘱託後、滞納処分による差押えの登録の嘱託がなされた場合

受理することとする。

(これまでは、国税徴収法第八二条により滞納者の財産につき強制換価手続が行われた場合には、税務署長には交付要求をすることが義務付けられていたため、後の嘱託は受理しないこととしてきたところであるが、今回の調整法の改正により、滞納処分による差押えは、強制競売又は競売のなされている自動車に対しても行い得ることが明らかにされた(調整法第三六条の二参照)ので、今後は受理することとする。)

なお、都道府県知事は、自動車に対する滞納処分による差押えの登録の嘱託があつた場合において、当該自動車について既に強制競売又は競売に係る差押えの登録があるときは、その旨を徴収職員等に通知しなければならないこととなつたので、当該事案にあつては、別記様式の例により書面にて嘱託機関あて通知することとする(調整令第二七条による調整令第一八条の自動車への準用)。
また、都道府県知事は、強制競売又は競売に係る差押え後に滞納処分による差押えのなされた自動車について、強制競売又は競売による権利移転の登録をしたときは、滞納処分による差押え及び参加差押えの登録を職権で抹消することとする(調整令第二七条による調整法第三二条の自動車への準用)。

第四 滞納処分による差押えの登録の嘱託と仮差押え(民事訴訟法第六編及び民事執行法第三章に規定する仮差押えをいう。以下同じ。)の登録の嘱託が重複してなされた場合

受理することとする。

(今回の調整法の改正により、仮差押えは、滞納処分による差押えのなされている自動車に対しても行い得ることが明らかにされた(調整法第二〇条の二参照)ことでもあり、国税徴収法第一四〇条とあいまつて、今後ともこれまで通り受理することとする。)

なお、都道府県知事は、自動車に対して滞納処分による差押えの登録の嘱託があつた場合において、当該自動車について既に仮差押えの登録があるときは、その旨を徴収職員等に通知しなければならないこととなつたので、当該事案にあつては、別記様式の例により書面にて嘱託機関あて通知することとする(調整令第二八条による調整令第一八条の自動車への準用)。

第五 滞納処分による差押えの登録の嘱託と保全処分(第四に掲げる仮差押えを除く。以下同じ。)の登録の嘱託が重複してなされた場合

受理することとする。

(調整法には、滞納処分と仮差押えとの調整に関する規定があるものの仮差押え以外の保全処分(民事訴訟法第六編及び民事執行法第三章に規定する仮処分、破産法第一五五条に規定する破産宣告前の保全処分、和議法第二〇条に規定する和議開始決定前の保全処分、会社更生法第三九条に規定する更生手続開始決定前の保全処分、商法第三八六条第一項第一号に規定する会社整理開始命令後の保全処分、商法第四五四条第一項第一号に規定する会社の特別清算開始命令後の保全処分等の保全処分をいう。)との調整に関する規定はないが、国税徴収法第一四〇条の趣旨にかんがみ、今後ともこれまで通り受理することとする。)



別記様式
<別添資料>



別紙二

自動車登録フアイルに登録された自動車の差押登録の嘱託手続等について(昭和四七年一月二一日/自管第二一二号/自車第九二七号/)の一部改正について

標記通達の一部を次のように改める。
自動車登録フアイルに登録された自動車の差押登録の嘱託手続等について(昭和四七年一月二一日/自管第二一二号/自車第九二七号/)の二(ロ)中「、仮差押、仮処分等」を「、仮処分その他の保全処分(民事訴訟法第六編及び民事執行法第三章に規定する仮差押えについては、登録の嘱託が重複してなされた場合の取扱いについて(昭和五五年九月二五日自管第一五三号)の第四により、通知書による通知がなされるので、これを除く。)」に改める。


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