貨施第四九号
平成一〇年七月六日

北海道運輸局運航部長あて

運輸政策局貨物流通施設課長通達


市街化調整区域における倉庫業の用に供する施設に係る開発許可について


市街化調整区域における倉庫立地のための開発許可に関しては、建設省から「市街化調整区域における開発許可制度の運用について」(昭和六一年八月二日付け建設省経民発第三三号通達及び第三四号通達)及び「大規模な流通業務施設についての開発許可等の取扱いについて」(平成二年一一月三〇日付け建設省経民発第五四号通達)により弾力的な運用を図ることが示されているところであるが、今般、「市街化調整区域における開発許可制度の運用について」(平成一〇年七月一日付け建設省経民発第四〇号通達)により、1)インターチェンジからの距離に係る数値基準の撤廃、2)大型自動車の一日平均発着回数に係る基準の撤廃、3)物流の一層の効率化に資するよう積極的に区域指定を行うことが示されたところである(別添参照)。
このため、関係事業者に対し、周知徹底に努めるとともに、当該地域における倉庫立地の動向を把握し、必要と認められる場合には、区域指定を速やかに行うよう地方公共団体等に働きかけるよう配慮されたい。



別添

市街化調整区域における開発許可制度の運用について

(平成一〇年七月一日)
(建設省経民発第四〇号)
(都道府県、指定都市、中核市開発許可担当部局長あて建設省建設経済局宅地課民間宅地指導室長通達)
標記については、昭和四四年一二月四日付け建設省計宅開発第一一七号・建設省都計発第一五六号(以下「施行通達」という。)、昭和五七年七月一六日付け建設省計民発第二八号(以下「五七年通達」という。)、昭和六一年八月二日付け建設省経民発第三三号(以下「六一年局長通達」という。)等をもって建設省建設経済局長等から通達されたところであるが、市街化調整区域における開発許可制度の運用に関する事務の執行に当たっては、近年の社会経済情勢の変化を踏まえ、さらに左記事項にも留意のうえ、遺憾なきよう配慮されたい。
なお、貴管下の都市計画法第八六条第一項の規定に基づき都道府県知事の委任を受けた市にも周知徹底取り計らわれたい。
1 都市計画法(以下「法」という。)第三四条第一〇号ロ及び都市計画法施行令(以下「令」という。)第三六条第一項第三号ハの規定の運用について

法第三四条第一〇号ロ及び令第三六条第一項第三号ハの規定の運用については、施行通達記2の4の(6)、五七年通達記1の(2)のロ、六一年局長通達記一等において、一般的にみてこれらの規定を適用して許可することが考えられる事例を例示的に列挙しているところであるが、これら以外の事例についても、地域の特性、社会経済の発展状況の変化、市街化区域を含めた市街化の状況、市街化区域と市街化調整区域に係る区域区分の態様等の事情を総合的に勘案し、当該開発行為又は建築行為の目的、位置、規模等を個別具体的に検討して許可することは差し支えないので、地域の実情に沿った円滑な制度の運用を図られたい。
この趣旨を踏まえ、例えば、次のような事例についても、やむを得ない事情が認められ、周辺の土地利用に支障を及ぼさない限り、法第二九条又は第四三条の規定による許可が相当か否かの審査の対象として差し支えないと考えられるので、適切な運用を図られたい。
イ 既存の土地利用を適正に行うため最低限必要な管理施設の設置
ロ 既存の住宅の増築のためやむを得ない場合の敷地拡大
ハ 法に基づく許可を受けて建築された後相当期間適正に利用された建築物のやむを得ない事情による用途変更

2 市街化調整区域における大規模な流通業務施設の立地について

一般貨物自動車運送事業の用に供する施設等の大規模な流通業務施設である建築物の市街化調整区域における立地については、六一年局長通達記1の(3)及び昭和六一年八月二日付け建設省経民発第三四号(以下「六一年室長通達」という。)記七並びに平成二年一一月三〇日付け建設省経民発第五四号(以下「平成二年通達」という。)により弾力的な運用を図るよう通達しているところであるが、近年、経済の高コスト構造を是正し、社会経済情勢の変化に対応するため、一層の物流の効率化を図ることが求められており、本年三月三一日に閣議決定された規制緩和推進計画において、インターチェンジの周辺等における物流施設に係る開発許可に関して、立地の条件を緩和することとされたところである。
ついては、これまでの運用の弾力化の経緯及び前記の趣旨を踏まえ、地域の実情に即した円滑な物流拠点の整備に資するよう、次の事項に留意の上、適切な運用を図られたい。
(1) 六一年室長通達記7の(2)を次のように改めること。

「(2) 都道府県知事又は政令指定都市の長は、四車線以上の国道、都道府県道等の沿道又は高速自動車国道等のインターチェンジ周辺であって現在及び将来の土地利用上支障とならない区域を予め指定することなどにより、大規模な流通業務施設の立地が適切に行われるよう配慮すること。

この場合において「インターチェンジ周辺」とは、地域の特性、社会経済の発展状況の変化、市街化区域を含めた市街化の状況、市街化区域と市街化調整区域に係る区域区分の態様、交通の状況等の事情を総合的に勘案して判断されるものであること。また、「現在及び将来の土地利用上支障がない」とは、当該区域に優良農地が含まれないこと及び将来において住居系の土地利用が想定されていないこと等により判断すること。」

(2) 六一年室長通達記7の(3)を次のように改めること。

「(3) 「大規模な流通業務施設」とは、貨物自動車運送事業法(平成元年法律第八三号)第二条第二項に規定する一般貨物自動車運送事業のうち同条第六項特別積合せ貨物運送に該当しないものの用に供される施設及び倉庫業法(昭和三一年法律第一二一号)第二条第二項に規定する倉庫業の用に供する同法第二条第一項に規定する倉庫のうち、地域の特性、社会経済の発展状況の変化、市街化区域を含めた市街化の状況、市街化区域と市街化調整区域に係る区域区分の態様、交通の状況、地域における物流の特性等に即して相当と判断される規模のものであること。

なお、規模への該当の判断に当たっては、相当と判断される要件を示した上で地方運輸局長等に当該規模の認定を求めるなど、運輸担当部局と十分に連絡をとること。」

(3) いまだに区域指定を行っていない都道府県知事及び政令指定都市の長は、道路整備の進捗状況等を勘案して、前記の趣旨に即し、物流の一層の効率化に資するよう積極的に区域指定を行うこと。
(4) 平成二年通達記二中「インターチェンジからおおむね五〇〇メートルの距離にあること」を「高速自動車国道等のインターチェンジ周辺であること」に改めること。
(5) 平成四年九月三日付け建設省経民発第三三号記五中「昭和六一年室長通達記7(3)イ」を「昭和六一年室長通達記7(3)」に改めること。

3 市街化調整区域における有料老人ホームについて

市街化調整区域における有料老人ホームの立地については、六一年局長通達記1の(4)及び六一年室長通達記8において、設置及び運営が国の定める基準に適合する優良なものであって、その立地がやむを得ないものを法第三四条第一〇号ロ又は令第三六条第一項第三号ハの規定を適用して許可することが考えられる事例として示しているところであり、その優良性の判断は、厚生省の策定する有料老人ホームの設置運営指針への適合と併せて、年金福祉事業団等の公的融資を受けて建設されるものであることをもって行うものとされているが、その後、平成三年の有料老人ホーム設置運営指針の全部改正により、安定的な経営確保のための基準の充実が図られる一方、平成九年度から日本開発銀行の融資対象が延床面積二、〇〇〇m2以上のものに限定され、今年度からはホーム内に介護機能を有するものに限定する制度の変更が行われている。
ついては、今般の制度の変更により公的融資を受けられないものであっても、有料老人ホーム担当部局と十分な連絡調整の上、安定的な経営確保が図られていることが確実と判断されるものについては、開発許可の審査対象として差し支えないので、遺憾のないようにされたい。
なお、公的融資を受けない施設についても、五七年通達記1の(2)のイの趣旨を踏まえ、地域の特性、経済社会の発展状況の変化、市街化区域を含めた市街化の状況、市街化区域と市街化調整区域に係る区域区分の態様等の事情を総合的に勘案し、当該開発行為又は建築行為の目的、位置、規模等を個別具体的に検討して許可することが妨げられるものではないので、念のため申し添える。


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