各海運局長あて
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(別紙一) 船登第二一九号
昭和三四年四月三〇日
法務省民事局長殿
運輸省船舶局長
製造中に抵当権設定の登記がなされた船舶の所有権保存登記の代位申請について
製造中に抵当権設定の登記がなされた船舶(総トン数二十トン以上の船舶であるが、所有者(甲)は所有権保存の登記をなさず、船籍票の交付を受けていた。)を譲り受けた所有者(乙)が船舶法第四条の規定により管海官庁に船舶の積量の測度を申請したところ、前記の船舶の製造中の抵当権設定登記に係る抵当権者(丙)は、自己の債権保全のため(甲は所有権の保存登記をなさず、また乙は船籍票船からの編入として登記申請をしようとし、当該抵当権の登記と無関係の登記をなさんとする意図が明らかとなつたため)、船舶登記規則第一条において準用する不動産登記法第四十六条ノ二の規定による登記の代位申請をなすべく、管海官庁に対し当該船舶の船舶件名書の謄本の交付申請をなすに至つた。この事例について、次の疑義があるので、至急貴見の御回示を煩わしたい。
記
1 製造中の船舶の抵当権の登記をした上記船舶につき、船舶所有者(甲)の申請により、都道府県知事が小型船舶の船籍及び積量の測度に関する政令第二条第二項の検査をなし、船籍票を交付したのであるが、乙に所有権を移転した後において他の行政庁により検査を受けた結果、当該船舶の総トン数が当初より二十トン以上であることが判明した場合には、当該船籍票は本来無効であり、抵当権の登記は当初より有効なものと解すべきものと考えるが如何。
2 本事例において、丙は代位登記の申請をなしうるものと考えるが船舶件名書の謄本の交付に関する代位申請については如何。
すなわち、船舶法上、債権者代位権による申請に関する規定がないため、管海官庁は、船舶の積量の測度を申請した船舶所有者に対して船舶件名書の謄本を交付すべきものと考える。しかし、船舶件名書の謄本は、船舶自体の表示に関する事項を公証した書面であつて、権利に関する書面ではなく、また、船舶の所有権の保存登記手続上必要とする書面であつて、船舶の登録手続上においてはこれを要しないのであるから、債権者保護のためには、船舶の保存登記の代位申請の前提として、船舶の積量の測度(船舶件名書の謄本の交付を含む。)又は船舶件名書の謄本の交付についても代位申請を認める方が適当であると考えるが如何。
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(別紙二) 法務省民事甲第一〇五九号
昭和三四年五月二五日
法務省民事局長
運輸省船舶局長殿
製造中に抵当権設定の登記がなされた船舶の所有権保存登記の代位申請について(回答)
本年四月三十日付舶登第二一九号で御照会のあつた標記の件については、第一項、第二項いずれも貴見のとおりと考える。
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