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別紙 漁業離職者対策
目次
I 概要
II 運用の方針
III 漁業離職者対策の実施
第一 手帳の発給
一 発給要件
二 再離職者に対する発給
三 発給の申請
四 手帳の有効期間
五 手帳の失効
六 求職希望の変更
第二 職業転換給付金の支給
一 職業転換給付金の種類
二 職業転換給付金の内容
(1) 就職促進手当
(2) 技能習得手当
(3) 移転費
(4) 自営支度金
(5) 再就職奨励金
(6) 雇用奨励金
三 他の収入との調整
(1) 失業保険金等との調整
(2) 自己の労働による収入との調整
第三 職業紹介等の強化
一 漁業離職者対策の周知徹底
二 情報の把握等
三 漁業離職者の態様に応じた職業紹介の実施
四 職業訓練の積極的な推進
第四 職業転換給付金の経理上の取扱い
I 概要
国際環境の変化等に対処するために実施される漁船の隻数の縮減に伴い、離職を余儀なくされた漁業離職者の再就職を促進するため漁業離職者求職手帳(以下「手帳」という。)を発給し、手帳所持者に対し特別の就職指導を実施するとともに職業転換給付金を支給することとしている。
II 運用の方針
この法律に規定されている諸施策の活用によつて、今後漁業離職者の就職の確保に最大限の努力を傾注しなければならないが、特に、
一 今後の経済情勢の変動によつて雇用失業情勢が一時的に悪化することも予想されるので、このような事態に対処するためにも、手帳制度により就職促進の措置を積極的、かつ、公正に推進するとともに、
二 漁業離職者を雇い入れる事業主に対し、受入れを容易にするための行政指導を積極的に展開することとされたい。
III 漁業離職対策の実施
第一 手帳の発給
一 発給要件
(1) 手帳は、漁業離職者(政令第一条に規定する業種に係る漁業に従事していた者であつて、当該漁業を取り巻く国際環境の変化等に対処するために実施された当該漁業に使用される漁船の隻数の縮減に伴い離職を余儀なくされたもののうち船員職業安定法(昭和二三年法律第一三〇号)第六条第一項に規定する船員となろうとするものをいう。以下同じ。)であつて次の要件に該当すると、地方運輸局長(海運監理部長を含む。以下同じ。)が認めた者に対して発給する。
イ 当該漁業に使用される漁船の隻数の縮減(以下「減船」という。)に伴い離職した日(以下「離職日」という。)において四〇歳以上であること。
ロ 離職日が次に掲げる者の区分に応じ、それぞれ次に定める期間内にあること。
(i) 政令第一条第一号に掲げる母船式捕鯨業に係る漁業離職者 昭和五十一年五月二十日から同年八月十九日までの間(その期間内に離職しなかつたことについて特別の事情があると地方運輸局長が認めた場合は、その事情がやんだ日の翌日から起算して三月を経過する日(その日が昭和五十二年一月一日以後の日であるときは、昭和五十一年十二月三十一日までの間)。
この場合において、「特別の事情」とは、原則として母船式捕鯨業からの離職者が次のいずれかに該当する場合をいう。
(あ) 昭和五一年五月二九日出航した北氷洋捕鯨船団に乗り組んでいること。
(い) (あ)の捕鯨船団の監視船(水産庁派遣)に乗り組んでいること。
(う) 減船を実施する漁業者の他の漁業に使用される漁船に大型船員及び事業員として乗り組んでいること。
(ii) 政令第一条第二号に掲げる遠洋かつお・まぐろ漁業に係る漁業離職者 法第六条第一項の認定の申請の日から当該認定に係る同項の整備計画に従い実施された減船の日後一週間を経過する日までの間。
この場合において「減船の日」とは、漁業者が減船した漁船に係る漁業法(昭和二四年法律第九六七号)第五二条の許可証を同法第六条の二及び指定漁業の許可及び取締り等に関する省令(昭和三八年農林省令第五号)第一五条の規定により返納した日をいう。
ハ 離職日まで一年以上引き続き減船に係る漁業者の業務に従事していたこと、又は離職日前二年間に毎年六月以上減船に係る漁業に従事していたこと。
ニ 労働の意思及び能力を有すること。
ホ 離職日以後において安定した職業に就いたことがないこと。
ヘ 前に手帳又は漁業離職者に係る職業転換給付金の臨時特例に関する省令(昭和五一年労働省令第二七号。以下「特例省令」という。)第一条第一項の漁業離職者求職手帳(以下「求職手帳」という。)の発給を受けたことがないこと。
(2) (1)の認定の運用は次に定める方針により行うこととする。
イ (1)の本文中「政令第一条に規定する業種」とは、漁業法第五二条第一項の指定漁業を定める政令(昭和三八年政令第六号)第一項第九号に掲げる母船式捕鯨業又は同項第一〇号に掲げる遠洋かつお・まぐろ漁業とする。
ロ (1)の本文中「政令第一条に規定する業種に係る漁業に従事していた者」とは次のいずれかに該当するものをいう。
(i) 漁業に従事していた船員である離職者としては、母船式捕鯨業又は遠洋かつお・まぐろ漁業に従事していたことを要するが、これは、単に、過去にこれらの漁業に従事したことがあるというだけでは足りず、やむなく離職するに至つたこととこれらの漁業に従事していたこととの関係が十分に認められることを要する。したがつて、離職日まで一年以上の長期間にわたり常時当該漁業に従事していた者はもちろんこの要件に該当するが、一般的には、少なくとも離職日前の相当期間においてその相当部分は当該漁業に従事していたことにより、通常当該漁業に従事していたと認められることを要する。ただし、これについては漁業の業種によつてその業態を異にする等の違いがあるので、具体的には、母船式捕鯨業に従事していた者については、名簿を別途送付する予定である。
なお、遠洋かつお・まぐろ漁業に従事していた者については、追つて通達する。
(ii) 船員以外の者にあつては、遠洋かつお・まぐろ漁業のみを営む漁業者に雇用されて離職日まで一年以上引き続き陸上で船員の配乗、資材の購入等の管理部門の業務に従事していること。
ハ (1)の本文中「漁船の隻数の縮減」とは、漁業法(昭和二四年法律第二六七号)第五二条により許可を受けた漁船を当該許可に係る漁業に使用することを廃止し、当該許可が失効したことをいい、具体的には次に定めるところによる。
(i) 母船式捕鯨業にあつては、昭和五一年五月二〇日に実施された届出に伴う許可の失効
(ii) 遠洋かつお・まぐろ漁業にあつては、法第六条第一項の承認を受けた整備計画に従い、当該漁業に漁船を使用することを廃止したことに伴う許可の失効
ニ (1)の本文中「漁船の隻数の縮減に伴い離職を余儀なくされた者」とは、前記ハの漁船の隻数の縮減により余剰人員が発生したことに伴い人員整理の対象となつて解雇された者をいうが、その具体的判定に当たつては次に定めるところによる。
(i) 表面上は漁船の隻数の縮減に伴い離職した者であつても、当初から定年のように離職が予定されている場合は、離職を余儀なくされた者とは認めないこと。ただし、漁船の隻数の縮減に伴い定年の繰り上げが行われたとき又は臨時日雇労働者のように短期に雇用されている者であつて契約更新により事実上常用労働者となつている者が契約の更新を行わなかつたことにより解雇された場合は、漁船の隻数の縮減に伴い離職を余儀なくされた者とみなして差し支えない。
(ii) 漁業者が、減船を実施し、それに伴い離職者が発生した場合であつても、他方、当該漁業部門に新規に雇入れを行う等減船を奇貨として人員整理を行つた場合は、当該離職者を漁船の隻数の縮減に伴い離職を余儀なくされた者とは認めないこと。
(iii) 離職の原因が自己の都合によるもの又は自己の責に帰すべきときは、漁船の隻数の縮減に伴い離職を余儀なくされた者とは認めないこと。
(iv) 二以上の業種の漁業を営む漁業者において、減船の実施に伴う余剰人員を他業種の漁業に配置転換を行つたため、当該業種の漁業から発生した離職者は、漁船の隻数の縮減に伴い離職を余儀なくされた者とは認められないこと。
(v) 漁業者が、他人の所有する漁船を用船又は賃貸借して漁業を営む場合において、当該漁船が減船の対象となつたことにより離職を余儀なくされた者は、漁船の隻数の縮減に伴い離職を余儀なくされた者と認めて差し支えない。
ホ (1)のハ中「減船に係る漁業者の業務に従事していたこと」とは、減船を実施した漁業者が営む漁業(政令第一条に掲げる業種以外の業種に係る漁業を含む。)に使用される漁船に乗り組んでいたこと又は当該漁業に附随する業務に従事していたことをいう。
ヘ (1)のハ中「当該漁業に従事していたこと」とは、政令第一条に掲げる母船式捕鯨業又は遠洋かつお・まぐろ漁業の漁船に乗り組んでいたことをいい、この場合において、乗り組んでいる全期間を同一の漁業者の漁船に乗り組んでいる必要はないが、離職日直前においては、減船を実施した漁業者の漁船に乗り組んでいたことを要する。
ト (1)のニ中「労働の意思及び能力を有すること」とは、次のとおりとする。
労働の意思又は能力の判定については、一律の基準によつて処理することは適当でなく、個々の場合について慎重に判断すべきものであるが、例えば次の場合には、原則として労働の意思及び能力がないものと認められる。
(i) 結婚、妊娠、出産、育児、老病者の看護、家事又は家事の手伝い等のため退職の事由が消滅していない者
(ii) 老衰、長期に亘る療養を要する疾病若しくは負傷、著しい身体障害若しくは精神障害等その者の身体又は精神の欠陥により通常のいかなる職業にも就くことができないと認められる者
(iii) 就職指導を行つたにもかかわらず、特別の理由がないのに地方運輸局長が適当と認める紹介先に就職することを数度に亘つて拒み、又は地方運輸局長が不適当と認める職業又は不当と認める労働条件その他の求職条件の希望を固執する者
チ (1)のホ中「安定した職業に就いたことがないこと」とは、離職日以後継続して失業状態にあるか又は職業に就いた場合であつても、その収入等からみて長期に亘つてその者の生計を託することが全く不可能なものであつて絶えず他の職業を求めざるを得ないような状態にあることを意味し、その判定に当たつては、その者の家計上の地位、職歴、作業内容又は営業状態、雇用期間その他の事情を総合して個々に判断すべきであるが、一般的に、例えば次のような場合にはその状態にあると認められる。
(i) 行商、露店商等の如く零細な自営業、他人の手伝い、内職等に従事しているが、その収入、営業状態等からみて、その者が長期に亘つてこれに生計を託することが不可能であると認められ、転職の意思及び能力を有すること
(ii) 地方運輸局長から失業者又は漁業離職者として紹介を受けて、一般又は特別失業対策事業、臨時対策事業等に就労している場合
二 再離職者に対する発給
手帳は、一の(1)の者のほか、漁業離職者であつて、新たに安定した職業に就いた後一年以内にその者の責に帰すべき事由又はその者の都合によらないで更に離職したものに対しても発給(一度手帳又は求職手帳の発給を受けていた者に対しては再発給)することができる。
イ この場合において「責に帰すべき事由」とは、次に掲げる場合をいう。
(i) 刑法(明治四〇年法律第四五号)各本条の規定に違反し、又は職務に関連する法令に違反して処罰を受けたことによつて解雇された場合
(ii) 故意又は重過失により事業所の信用を失墜せしめ、又は損害を与えたことによつて解雇された場合
(iii) 故意又は重過失により事業所の設備又は器具を破壊したことによつて解雇された場合
(iv) 労働協約又は労働基準法(昭和二二年法律第四九号)若しくは船員法(昭和二二年法律第一〇〇号)に基づく就業規則等に違反したことによつて解雇された場合
(v) 事業所の機密を漏らしたことによつて解雇された場合
(vi) 事業所の名をかたり、利益を得又は得んとしたことによつて解雇された場合
(vii) 他人の名を詐称し、又は虚偽の陳述をして就職したために解雇された場合
ロ 自己の「都合によらないで更に離職した」について正当な理由がある場合とは、次に掲げる場合をいう。
(i) 体力の不足、身体の障害、疾病、負傷、視力、聴力、触覚の減退によつて退職した場合
(ii) 上役又は同僚から故意に排斥され又は著しい冷遇を受けたことによつて退職した場合
(iii) 採用条件と実際の労働条件が著しく相違したことによつて退職した場合
(iv) 支払われた賃金が、その者に支払われるべき賃金日額の三分の二に満たない月を継続して二か月以上に亘るために退職した場合
(v) 賃金が同一地域における同種の業務において同職種、同程度の経験年数、同年輩の者が受ける標準賃金と比較し、おおむね一〇〇分の七五以下になつたことによつて退職した場合
(vi) 定年となつたことによつて退職した場合
(vii) 故郷に残した老父(母)が死亡し、帰郷して老母(父)を扶養するための退職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことによつて退職した場合
(viii) 扶養すべき家族と別居生活を続けることが困難となつたことによつて退職した場合
(ix) 自己の意思に反しその住所を通勤困難な地に移転させられたことによつて退職した場合
(x) 鉄道、軌道、自動車その他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等により、通勤困難となつたことによつて退職した場合
(xi) 事業主の事業内容が法令に違反するに至つたため退職した場合
(xii) 事業主の希望により解雇の形式をとらず、依願退職の形式により退職した場合
(xiii) 労働組合からの除名により当然解雇となる団体協約を結んでいる事業所において、事業主に対し自己の責に帰すべき重大な事由がないにもかかわらず、組合から除名の処分を受けたことによつて解雇された場合
三 発給の申請
手帳の発給は、これを受けようとする漁業離職者の申請に基づいて行われ、その申請は、原則として離職日又は二の安定した職業から離職するに至つた日の翌日から起算して三月以内に行わなければならない。ただし、天災若しくは本人の疾病・負傷により、又は社会通念上、これに準ずるやむを得ない理由があると地方運輸局長が認めたときは、この限りではない。
四 手帳の有効期間
手帳の有効期間は、手帳の発給を受けた者の離職日の翌日から起算して二年に、その者に係る船員保険法(昭和一四年法律第七三号)第三三条ノ一二第一項に規定する所定給付日数を加えた期間(船員保険法第三三条ノ一二の二から第三三条ノ一三ノ二までの規定による所定給付日数を超える失業保険金の支給(以下「延長給付」という。)が行われた場合にあつては、所定給付日数に当該延長給付が行われた期間を加えた期間)とする。
ただし、三年を超える場合は、三年とする。
五 手帳の失効
一の(1)及び二により手帳の発給を受けた者(以下「手帳所持者」という。)については、積極的に就職指導及び職業紹介並びに職業訓練の指示を行うものとする。
手帳発給の趣旨に反して積極的な就職意欲に欠ける場合等一定の要件に該当すると地方運輸局長が認める場合には、手帳を失効させることとする。
この場合における「一定の要件」とは、次に掲げる場合をいう。
(1) 労働の意思又は能力を有しなくなつたとき。
イ 「労働の意思」とは、自己の労働力を提供して就職しようとする積極的な意思をいうが、求職のため地方運輸局(地方運輸局等海運支局組織規程(昭和二六年運輸省令第五〇号)別表第三に定める地方運輸局の海運支局及び沖縄開発庁設置法(昭和四七年法律第二九号)第一〇条の規定により沖縄総合事務局に置かれる事務所で地方運輸局において所掌することとされている事務を分掌するものを含む。以下同じ。)に出頭して求職の申込みをした者については、一応、労働の意思ありと推定して差し支えない。
ロ 「労働の能力」とは、労働(雇用労働)に従事し、その対価を得て自己の生活に資し得る精神的、肉体的並びに環境上の能力をいい、労働の能力の有無の判定にあたつては、本人の体力、知力、技能経歴、生活環境等を総合して決定するものとする。
(2) 新たに安定した職業に就いたとき。
この認定にあたつては、一の(2)のチを参照すること。
(3) 手帳を他人に譲渡し、又は貸与したとき。
(4) 正当な理由がなく、地方運輸局の就職指導若しくは特例省令第四条第一項の規定による公共職業安定所の就職指導を再度受けず、地方運輸局又は公共職業安定所の紹介する職業に就くことを再度拒み、又は就職活動に関する地方運輸局の指示に再度従わなかつたとき。
この場合における「正当な理由」とは、次に掲げる場合をいう。
イ 紹介された職業がその者の能力からみて不適当であるとき。
ロ 就職するために現在の住所又は居所を変更することを要する場合において、その変更が困難であるとき。
ハ 就職先の賃金が同一地域において同一職種に従事する船員に通常支払われる賃金に比べて不当に低いとき。
六 求職希望の変更
特例省令による求職手帳を所持する者(有効な手帳を所持する者であること。)が公共職業安定所に求職し、同所から就職指導を受けていたが、途中で海上産業への就職希望に変更し、地方運輸局に求職した場合には、相当な理由があると認められる場合に限り(原則として変更は一回に限るものとする。)、この省令による手帳を所持する者とみなすこととし(逆の場合も同様としている。)、就職指導等を行うこととする。
第二 職業転換給付金の支給
一 職業転換給付金の種類
職業転換給付金は、漁業離職者の就職を促進するため、法第一三条第一項及び政令第二条の規定に基づき、次に掲げる種類の給付金として支給されるものとする。
(1) 手帳所持者に対して支給するもの。
イ 就職促進手当
ロ 技能習得手当
ハ 移転費
ニ 自営支度金
ホ 再就職奨励金
(2) 手帳所持者を雇い入れる事業主に対して支給するもの。
雇用奨励金
二 職業転換給付金の内容
職業転換給付金の内容は次のとおりである。
(1) 就職促進手当
イ 支給要件
就職促進手当は、手帳所持者(求職手帳所持者を含む。以下本項において同じ。)が、地方運輸局が行う就職指導を受けることを要件として、その就職指導を受ける期間の日数に応じて、支給する。
ロ
(i) 減船を実施した漁業者(以下「減船漁業者」という。)に雇用されていた船員保険法による被保険者であつた手帳所持者に係る就職促進手当は、日額表告示の定めるところにより、その者の離職日前の賃金日額が属する賃金等級に定められた金額を日額とする。この場合において、賃金日額の算定については、船員保険法第三三条の九第一項の給付基礎日額の算定の例によるものとし、運用にあたつては、都道府県の船員保険事務を担当する課に照会を行つて賃金日額を決定するものとする。
なお、手帳所持者が雇用労働者であつたかどうかの認定は、当該者を雇用していた減船漁業者から必要な書面を提出させて行うものとする。
(ii) 減船漁業者に雇用されていた手帳所持者が、船員保険法による被保険者以外の者である場合における就職促進手当についても(i)の場合と同様とするが、算定が困難であると認められる場合には、本省に照会されたい。
ハ ロに掲げる減船漁業者に雇用されていた者以外の当該減船漁業者の事業主又は家族労働者等であつた手帳所持者に係る就職促進手当は、基本手当及び就職活動手当とする。
(i) 基本手当は、地方運輸局長の指示により就職指導を受ける期間に応じて、かつ、手帳所持者の居住する地域に応じた日額を支給する。
(ii) 就職活動手当は、地方運輸局長の指示により次のいずれかに該当する就職活動を行つた日数に応じた日額を支給する。
(a) 地方運輸局に出頭し、就職指導を受けたとき
(b) 求人者と面接したとき
(c) 地方運輸局以外の施設において健康診断又は職業適性検査を受けたとき
(d) 職業補導等を受けたとき
ニ ロ及びハに係る手帳所持者に支給する就職促進手当の決定にあたつては、各都道府県の保険課及び船員保険の事務を取扱う社会保険事務所等と連絡をとりつつ行われたい。
ホ 支給の制限
(i) 手帳所持者が病気等のため一四日を超えて就職指導を受けることができない場合には、一四日を超える日については、支給しないことができる。
(ii) 就職促進手当の支給を受けることができる手帳所持者が、地方運輸局長の紹介する職業に就くことを拒んだ場合、又は就職活動に関する地方運輸局長の指示に正当な理由がなく従わなかつた場合には、一定の場合を除き、一月間は当該手当は支給しないものとする。
ヘ 第二における就職指導及び職業訓練とは次のことをいう。
(i) 就職指導は、手帳所持者に対してその個別的事情に応じて、再就職上の諸問題の把握から解決するに至るまでの一連の過程を個別的かつ継続的に処理するいわゆるケースワーク方式により行うものとする。就職指導の内容は、計画的に就職を促進する方策としての進路決定のための相談及び指導、的確な職業紹介を行うための紹介相談、職業訓練を受けさせるための相談及び指導等とするが、家族をも含めた全般的な生活指導をも必要に応じて行うものとする。
(ii) 職業訓練とは、手帳所持者に対して作業環境に適応することを容易にさせ、又は再就職に必要な知識及び技能を習得させるために行われる訓練(講習を含む。)であつて、当該訓練を行う施設は、船員保険法第三三条の三第一項に規定する職業補導所を指定する件(昭和三八年社会保険庁告示第二一号)に定める施設及び地方運輸局長が適切と認める施設とする。
おおむね適切と認められる施設としては、次に掲げる例を参考とされたい。
(2) 技能習得手当
イ 支給対象者
技能習得手当は、手帳所持者であつて、地方運輸局長の指示に従い職業訓練を受けているものに対して支給する。
ロ 技能習得手当は、受講手当、通所手当及び寄宿手当であつて、イの支給対象者が地方運輸局長の指示により職業訓練を受けることを要件にして、受講手当は、その者が職業訓練を受けた日数に応じて、通所手当は、その者が職業訓練を行う施設に通所する期間に応じて、寄宿手当は、その者が職業訓練を受けるためにその者により生計を維持されている同居の親族(届出をしていないが、事実上その者と婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)と別居して寄宿する期間の日数に応じて支給する。
(3) 移転費
イ 移転費は、手帳所持者が地方運輸局長の紹介した職業に就くため、又は地方運輸局長の指示した職業訓練を受けるためにその住所又は居所を変更することが必要であると認める場合に支給する。
ロ 移転に要する費用が就職先の事業主から手帳所持者に対して給与される場合において、当該給与額がこの省令に基づき算定された支給額に満たないときは、その差額に相当する額を支給し、当該給与額がこの省令に基づき算定された支給額以上であるときは、移転費を支給しないものとする。
(4) 自営支度金
イ 自営支度金は、手帳所持者が離職日の翌日から起算して二年以内に事業を開始する場合であつて、当該事業により自立することができると地方運輸局長が認めるときに支給する。
ロ 自営支度金は、離職日の翌日から手帳所持者が当該事業を開始した日までの期間を二年から差し引いた期間に応じて支給する。
ハ 手帳所持者が、過去に省令又は特例省令による自営支度金又は再就職奨励金を受けた場合には、自営支度金を支給しないものとする。
(5) 再就職奨励金
イ 再就職奨励金は、手帳所持者が離職日の翌日から起算して二年以内に地方運輸局長の紹介により継続して雇用される船員として就職する場合に支給する。
ロ 再就職奨励金は、離職日の翌日から手帳所持者が雇い入れられた日までの期間を二年から差し引いた期間に応じて、支給する。
ハ 手帳所持者が過去に省令又は特例省令による再就職奨励金又は自営支度金の支給を受けた場合には、再就職奨励金を支給しないこと。
(6) 雇用奨励金
イ 雇用奨励金は、事業主が手帳所持者を地方運輸局長の紹介により継続して雇用する船員として雇い入れる場合に、その支給を受けなければ、手帳所持者を雇い入れることが困難であると地方運輸局長が認めるときに支給する。
ロ 国、地方公共団体及び特別の法律によつて設立された法人(役員の任命が内閣若しくは主務大臣により行われ、又は予算について国会の承認若しくは主務大臣の認可を受けなければならないものに限る。)が手帳所持者を雇い入れる場合には、支給しないものとする。例えば、いわゆる三公社五現業の公共企業体又は雇用促進事業団等のいわゆる特殊法人は、これにあたる。
三 他の収入との調整
(1) 失業保険金等との調整
イ 失業保険金との調整
職業転換給付金の性格にかんがみ、手帳所持者が同一の事由により、船員保険法又は雇用保険法(昭和四九年法律第一一六号)等による失業保険金の受給資格者である場合には、失業保険金の支給を受け終るか、又は受けることができなくなるまでの間は、原則として就職促進手当(以下「手当」という。)を支給しないものとし、又はその者が失業保険金の支給を制限されたときにおいても失業保険金の支給残日数が経過するまでの間は、手当を支給しないものとする。
ロ 傷病手当金等との調整
船員保険法第三〇条第一項の規定による傷病手当金、労働者災害補償保険法(昭和二二年法律第五〇号)第一二条の八第一項第二号に規定する休業補償給付、及び第一八条の規定による長期傷病補償給付等が支給されている場合、又は災害対策基本法(昭和三六年法律第二二三号)第八四条の規定による損害補償、消防法(昭和二三年法律第一八六号)第三六条の二の規定による災害補償等が支給されている場合には、それぞれの期間は手当を支給しないものとする。運用にあたつて疑義を生じたような場合には、本省に照会されたい。
ハ 技能習得手当金との調整
船員保険法第三三条の一五の規定による技能習得手当及び寄宿手当が支給されている場合、雇用保険法第三六条の規定による技能習得手当及び寄宿手当が支給されている場合には、当該期間内は、技能習得手当は支給しないものとする。
(2) 自己の労働による収入との調整
手帳所持者が自己の労働により収入を得た場合は、当該収入を得た日に係る手当の額は、次により算定した額とする。
イ 手帳所持者が自己の労働によつて得た収入の一日分に相当する額から一、〇〇〇円を控除した残りの額と、その者に支給される手当の日額との合計額が賃金日額の一〇〇分の八〇に相当する額を超えないときは、手当の日額の全額を支給する。
ロ その合計額が当該賃金日額の一〇〇分の八〇に相当する額を超えるときは、その超過額を手当の日額から控除した残りの額を支給し、その超過額が手当の日額を超えるときは、手当を支給しない。
なお、例えば日雇労働に従事した場合のごとく「安定した職業」以外の職業に就いた場合には、当該就労により得た収入を自己の労働による収入と解して、手当の減額又は不支給の処理を行うものとする。
第三 職業紹介等の強化
一 漁業離職者対策の周知徹底
地方運輸局にあつては、減船漁業者及び関係事業者団体に対して、漁業離職者対策の概要について周知徹底を図ること。
二 情報の把握等
地方運輸局においては、各都道府県水産主務課、公共職業安定所、関係事業者団体等の関係機関と接触を密にし、これら関係機関と漁業離職者の発生等についての情報連絡を行うとともに、必要に応じて関係地方運輸局との間で連絡会議を開催し、情報の交換を行うよう努められたい。
三 漁業離職者の態様に応じた職業紹介の実施
漁業離職者については、中高年齢者が多く、又長年海上労働に従事していたこと等により、再就職について困難な事情があり、再就職にあたつてきめ細い配慮を必要とすることにかんがみ、漁業離職者に対する職業紹介にあたつては、離職者の態様に応じてきめ細かい職業相談、就職指導を行うとともに離職者の能力に見合つた求人の確保に努められたい。
この場合に、漁業離職者が特定の地方運輸局に集中して発生することも予想されるので、そのような地方運輸局に求人、求職に関する情報を集中する等、職業紹介が効果的かつ効率的に行われるよう配慮されたい。
四 職業訓練の積極的な推進
漁業離職者の再就職については、漁業離職者の実態からみて新たに技能を習得させる必要がある場合が多いと考えられるので、職業訓練の受講について地方運輸局と職業訓練施設の間で事前に打合せを行つたうえ、地方運輸局における就職指導の際、漁業離職者の能力等からみて職業訓練を行うことが適当であると認められる者に対して、職業訓練の受講を積極的に指示するよう努められたい。
第四 職業転換給付金の経理上の取扱い
国が支給する職業転換給付金の支出科目は、次のとおりである。
会計 一般会計
(組織) 運輸本省
(項) 運輸本省
(目) 漁業離職者職業転換給付金
職業転換給付金は、地方運輸局(本局)へ予算の配賦を行うこととなる。
今回の政令で予算決算及び会計令臨時特例の一部を改正し、職業転換給付金を前渡できる資金の範囲に含めたので、職業転換給付金の支払いは、資金を前渡して行う。
この資金の前渡を受ける資金前渡官吏としては、各地方運輸局(本局)会計課長及び各地方運輸局海運支局長(沖縄総合事務局にあつては、総務部会計課経理担当補佐)をこれにあてることとされたい。
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