

海労第一七八号
平成七年六月三〇日
船員の雇用の促進に関する特別措置法に基づく離職船員対策実施要領
船員の雇用の促進に関する特別措置法(以下「法」という。)に基づく離職船員対策については、法及び船員の雇用の促進に関する特別措置法施行令(以下「令」という。)並びに船員の雇用の促進に関する特別措置法施行規則(以下「省令」という。)に定めるもののほか、以下の実施要領によることとする。
I 手帳の発給等及び就職指導
一 発給対象者
(一) 離職船員求職手帳(以下「手帳」という。)は、令第一条に定める者(以下「離職船員」という。)であって、次のイ〜ハに該当する者に対して、その者の申請に基づいて発給するものとする。
離職船員とは、具体的には、沿海旅客海運業(定期航路事業に係るものに限る。以下同じ。)に従事していた船員であって沿海旅客海運業に係る事業規模の縮小等に伴い平成九年七月一日から平成一一年六月三〇日までの間に離職を余儀なくされたもののうち、再び船員となろうとする者をいう。
(i) 沿海旅客海運業(定期航路事業に係るものに限る。)とは、日本沿岸及び日本沿岸諸港間を旅客船等により一定の航路において一定の日程表に従って、主として旅客の運送を行うものをいい、具体的には海上運送法(昭和二四年法律第一八七号)第二条第五項に規定する「一般旅客定期航路事業」及び「特定旅客定期航路事業」のうち、河川、湖沼及び港湾内(港則法(昭和二三年法律第一七四号)第二条の規定による港及びその区域)以外の区域において事業を行うものをいう。
(ii) 事業規模の縮小等とは、次の(a)〜(c)のいずれかに該当する場合であって、これに伴い当該事業において使用する船員の数が減少するものをいう。
なお、当該船舶が二以上の業種にわたり使用されている場合は、最近一年間において、沿海旅客海運業に係る旅客輸送量、取引額又は関係被保険者数が当該船舶全体の旅客輸送量、取引額又は関係被保険者数の概ね二分の一以上でなければならない。
(a) 事業規模の縮小等
沿海旅客海運業を営む航路において、航路廃止、航路変更(縮小の場合に限る。)、運航の休止又は回数の縮減(一時的なものを除く。)、使用船舶の変更(縮小の場合に限る。)を行う場合をいう。
(b) 事業の廃止等
船舶の廃棄又は譲渡によって、事業の廃止又は譲渡を行う場合をいう。
(c) 事業の転換
(a)又は(b)のいずれかに該当する場合であって、当該縮小又は廃止等に係る事業と輸送目的、輸送区域等を異にする事業の開始又は拡充する場合をいう。
(注)
沿海旅客海運業については、事業規模の縮小等を行うに当たり、海上運送法の規定により、以下のとおり運輸大臣又は地方運輸局長等の許認可等が必要となっているので、当該許認可申請等の有無及び内容等について確認することとされたい。
|
事業の廃止
|
事業の休止
|
事業の譲渡
|
航路の変更
|
運行回数の変更
|
使用船舶の変更
|
一般旅客定期航路事業
|
許可
|
許可
|
認可
|
認可
|
認可
|
認可・届出
|
特定旅客定期航路事業
|
届出
|
届出
|
届出
|
認可
|
認可
|
認可・届出
|
イ 令第一条の業種に係る事業規模の縮小等に伴い離職した日(以下「離職日」という。)まで一年以上引き続き当該離職に係る業務に従事していたこと。
ロ 労働の意思及び能力を有すること。
「労働の意思及び能力」の判定については、一律の基準によって処理することは適当でなく、個々の場合について慎重に判断すべきものであるが、例えば、次の場合には、合理的な理由がない限り、労働の意思又は能力がないものと認められる。
(イ) 結婚、妊娠、出産、育児、老病者の看護、家事、家事の手伝い等のため職に就くことができないと認められる者。
(ロ) 老衰、長期療養を要する疾病若しくは負傷、身体又は精神の障害等により船員として就業することができないと認められる者。
(ハ) 特別の理由がなく、地方運輸局長(海運監理部長を含む。以下同じ。)が適当と認める紹介先に紹介されることを数度にわたって拒み、又は地方運輸局長が不適当と認める職業若しくは労働条件等に固執する者。
ハ 離職日以後において安定した職業に就いたことがないこと。
「安定した職業」とは、その者の家計上の地位、作業内容、賃金、雇用期間、営業状態等から判断して、その者が長期にわたって生計を維持することができると認められることが必要であり、個々の場合について総合的に判断すべきであるが。例えば、行商、露天商等の零細な自営業、日雇労働等のごとくその者が長期にわたってこれに生計を託すことが不適当と認められる場合は「安定した職業」とはみなされない。
(二) 手帳は次のいずれかに該当する離職船員に対しても、その者の申請に基づいて発給することができるものとする。
イ (一)イ及びロに該当する者であって離職日以後新たに安定した職業に就いた日の翌日から起算して1年以内にその者の責に帰すべき事由又はその者の都合によらないで更に離職し、かつ、その離職した日が令第一条の期間(以下「離職期間」という。)内であって離職日の翌日から起算して三年を経過する日までの間にある者。
ロ (一)により手帳の発給を受けた後、安定した職業に就いたことにより手帳が失効した者であって、新たに安定した職業に就いた日の翌日から起算して一年以内にその者の責に帰すべき事由又はその者の都合によらないで更に離職し、かつ、その離職した日が離職期間内であって離職日の翌日から起算して三年を経過する日までの間にある者。
なお、この場合において「その者の責に帰すべき事由又はその者の都合によらないで更に離職した」ことの運用については、漁業離職者対策について(昭和五一年七月五日付け員労第三九八号)の取扱いと同様とする。
二 手帳の有効期間
手帳の有効期間は、当該手帳の発給を受けた者の離職日の翌日から起算して三年である。
三 手帳の失効
手帳は、その有効期間を経過したとき及び手帳の発給を受けた者が次の(一)〜(四)いずれかに該当すると地方運輸局長が認めたときは、失効するものとする。
(一) 労働の意思又は能力を有しなくなったとき。
(二) 新たに安定した職業に就いたとき。
(三) 一一の就職指導を再度受けなかったとき。
(四) 偽りその他不正の行為により、法に掲げる就職促進給付金の支給を受け、又は受けようとしたとき。
四 手帳の発給申請
(一) 手帳の発給を申請する者(以下「申請者」という。)は、その居住地を管轄する地方運輸局(地方運輸局等海運支局組織規程(昭和二六年運輸省令第五〇号)別表第三に定める地方運輸局の海運支局及び沖縄開発庁設置法(昭和四七年法律第二九号)第一〇条の規定により沖縄総合事務局に置かれる事務所で地方運輸局において所掌することとされている事務を分掌するものを含む。以下同じ。)(以下「管轄地方運輸局」という。)に離職日の翌日から起算して三月以内(その期間内に離職期間が満了する場合は、当該期間内)に出頭し、求職の申込みをしたうえ、離職船員求職手帳発給申請書(特様式第一号。以下「申請書」という。)に次のイからハまでに掲げる書類等を添付して(一(二)に該当する者にあっては、さらに離職船員再離職証明書(特様式第二号)を添付するものとする。)を提出するとともに、船員保険の被保険者であるときは船員失業証明票を提示しなければならない。
イ 事業規模の縮小等に伴う離職証明書(一)(特様式第三号)
この証明書には、事業主が実施した事業の規模の縮小等の内容等を記載した事業規模の縮小等に関する調書(特様式第四号)を添付させるものとし、当該調書については、当該事業主が所属していた団体(地区船主会、地区海運組合、協議会等)があるときは、当該団体の長、当該事業主が団体に所属していない場合は、当該事業主が営んでいる業種の他の事業主の証明を受けていること。
ただし、申請者が特定不況業種等関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法(昭和五八年法律第三九号。以下「特定不況業法」という。)第六条第三項又は第七条第一項の規定により認定を受けた雇用維持等計画に含まれている者である場合は、事業規模の縮小等に関する調書の添付は要しない。
ロ イの書面を添付することができない場合にあっては、事業規模の縮小等に伴う離職証明書(二)(特様式第五号)。
当該証明書については、当該申請者を雇用していた事業主が所属していた団体の長、当該申請者が離職時に乗船していた船舶の船長若しくは船員又は当該申請者が加入していた労働組合のいずれかの証明を受けていること。
(注)雇用維持等計画については、特定不況業法第二条第一項第三号に定める特定不況業種事業主が同法第六条第一項に規定する事業規模の縮小等(相当数の離職者の発生を伴うもの)を行おうとする場合は、その作成と管轄公共職業安定所長の認定を受けることが義務付けられており、また、同法第七条第一項においては、前記以外の事業規模の縮小等を行おうとする場合において管轄公共職業安定所長の認定を受けることができることとなっている。
令第一条の業種である沿海旅客海運業については、特定不況業法第二条第一項第一号の特定不況業種として平成九年七月一日から平成一一年六月三〇日の期間をもって指定されていることから、当該事業主が事業規模の縮小等を行う場合も当然上記の取扱いを受けるものであり、例えば、離職者が全員船員であり、当該離職者全員が再び船員となろうとする場合であっても、雇用維持等計画は、管轄公共職業安定所長の認定を受けることとなるものである。
管轄公共職業安定所長は、雇用維持等計画を認定したときは、雇用維持等計画認定通知書により認定の申請をした事業主に通知することとなっており、当該認定通知書の船員であった者を含む場合には、従前どおり当該認定通知書の写を当該事業所の所在地を管轄する地方運輸局長に送付することになっているので了知するとともに、関係公共職業安定所との連絡協議を密接に行われたい。
ハ 申請者の写真(縦四cm×横三cm、申請の日前六月以内に撮影した正面無帽上半身像のもの) 二枚。
(二) 手帳の発給の申請は、離職日(一(二)に該当する者にあっては、その離職した日)の翌日から起算して三月以内(その期間内に離職期間が満了する場合は、当該期間内)に行わなければならない。ただし天災その他申請をしなかったことについてやむを得ない理由があるときは、その理由がやんだ日の翌日から起算して一月以内に申請をしなければならない。この場合には上記の(一)のイからハまでの書類等のほか当該期間内に申請をしなかった理由及びその理由となった事実がやんだ日を証明する書面を添付しなければならない。
(三) 地方運輸局長は、申請を受理したときは、当該申請者を担当する就職指導担当官を指名するものとする。
五 手帳の発給
手帳の発給は、次により行うものとする。
(一) 地方運輸局長は、申請書を受理したときは、申請者が一に該当するかどうかを審査し、これに該当すると認めたときは速やかに申請者に対して離職船員求職手帳((特)様式第六号)を発給するとともに、離職船員求職手帳発給台帳((特)様式第七号。以下「手帳発給台帳」という。)及び離職船員就職促進給付金支給台帳((特)様式第八号。以下「支給台帳」という。)を作成する。また、申請者が手帳の発給要件に該当しないと認めたときは、申請者に対してその旨を離職船員求職手帳不発給通知書((特)様式第九号)により通知するものとする。
(二) 申請者に手帳を交付するにあたっては、定期出頭日を指定するとともに、就職指導、訓練待期手当等本制度の内容について十分理解させ次の事項について説明するものとする。
イ 地方運輸局に出頭して就職指導を受けるとき及び就職促進給付金の支給を受けるときは、必ず手帳を提出しなければならないこと。
ロ 手帳を滅失したとき又は損傷してその用に堪えなくなったときは、速やかに地方運輸局に申し出て再交付を受けること。
ハ 手帳は、有効期間を経過したときは手帳の発給を受けた者が三に該当すると地方運輸局長が認めたときは失効すること。この場合には、当該手帳を直ちに地方運輸局長に返納しなければならないこと。
ニ 有効な手帳を所持する者が居住地を他の地方運輸局の管轄区域内に移転した場合等においても、当該手帳は引き続き有効であり、新たにその居住地を管轄することとなった地方運輸局において再交付するものでないこと。
ホ 船員保険の失業保険金の受給資格者については、手帳に訓練待期手当等日額が記入されていても、当該失業保険金受給期間中は訓練待期手当等は支給されないものであって、当該失業保険金の支給を受け終わるか又は受けることができなくなっても、なお就職できない場合であって、かつ、訓練待期手当等の受給要件に該当する場合に支給するものであること。
ヘ 就職指導を受ける期間に自己の労働による収入があったときは必ず定期出頭日にその旨を申告すること。
(三) 申請者が一(二)に該当する者であるときは、申請者の過去における手帳発給状況及び離職日以後の再就職状況等を確認するものとする。ただし、手帳の発給を受けたことのある者(一(二)ロに該当する者)については当該発給に際して審査済みの事項に関する書類の添付は要せず、過去の手帳発給に係る申請書類、離職船員求職手帳発給台帳等によって確認するものとする。
なお、申請受付地方運輸局と過去の手帳発給地方運輸局とが異なる場合には、後者から離職証明書等及び離職船員求職手帳発給台帳の写しの送付を受けこれによって所要事項を確認するものとする。
六 手帳の記入
手帳の所要事項の記入にあたっては次の点に留意するものとする。
(一) 離職した業種
申請者が離職した業種を記入すること。
(二) 支給番号
支給台帳の番号を記入すること。
(三) 番号
上欄には、地方運輸局の官庁名の略号を記入し、下欄には、手帳の発給年度及び地方運輸局ごとの一から始まる手帳番号(一連追番号、年度が変わっても変更しない。)を記入すること。
例えば、関東運輸局東京海運支局が平成七年度の最初に発給した手帳には
と記入すること。
(四) 写真
写真は、手帳を発給するときに所定欄に貼付し、地方運輸局長の印により割印すること。
(五) 定期出頭日
定期出頭日として決定された曜日を記入すること。
(六) 有効期限
有効期限は二に定める手帳の有効期間の最後の日を記入すること。
(七) 地方運輸局長印
ここに使用する地方運輸局長の官印は二〇×二〇mmのものとすること。
(八) 支給番号、就職担当指導官、住所及び定期出頭日の各欄
これらの各欄には予備を設けてあるので、それぞれの欄に異動があった場合に使用すること。
(九) 職歴
「離職した事業所」とは手帳の発給を受ける基礎となった離職に係る事業所である。
(一〇) 就職指導及び訓練待期手当等の支給の状況
イ 「記事」欄の点線の左側には就職指導を行ったときは「指導」と記入するほか、職業訓練の受講の指示を行ったときは当該指示事項、職業紹介を行ったときはその旨並びに紹介先事業所名及び職種、省令第三条第二項、第七条第四項又は第八条第五項に該当する事実があったときはその旨、その他必要が認められる事項を記入すること。
ロ 「記事」欄の点線の右側には、訓練待期手当等の支払を行うときはその金額を記入し、その横に支給に係る日を括弧書きで記入すること。
ハ 「確認印」欄には、記事欄の記入を行った就職指導担当官の印を捺印すること。
(一一) 手帳を本人に交付したときは、発給台帳の手帳受領印欄に本人の受領印を押捺させること。
七 手帳の失効通知
手帳が失効したときは直ちに発給台帳に所要の記載を行い、その失効が省令第三条第二項各号のいずれかに該当するときは、本人に対し、離職船員求職手帳失効通知書((特)様式第一〇号)を発してこれにより手帳が失効したことを通知するとともに、その返納を求め、返納された手帳はその本来の有効期限を経過するまで別途保管するものとする。
八 手帳の再交付
手帳所持者が、手帳を滅失したとき又はき損してその用に堪えなくなったとき若しくは記事欄に余白がなくなり、予備欄を使用しても足りないと認められるときにおいては、手帳を再交付するものとする。
このような手帳の再交付に当たっては、離職船員求職手帳再交付申請書((特)様式第一一号)を提出させるものとする。この場合における手帳の記入は六に準じて行うが、手帳の第二項欄外に再交付と朱書し、その下に再交付日の日付を記載するものとする。
九 委嘱又は移管による手帳発給台帳の処理
就職指導の委嘱を行い、又は移管を行うときは、手帳発給台帳の写しを作成してその写しを委嘱又は移管先の地方運輸局に送付するものとする。
一〇 離職船員又は特定不況業種離職者の求職意思の変更に伴う地方運輸局と公共職業安定所との調整
(一) 船員の雇用の促進に関する特別措置法に基づき手帳の発給を受けた離職船員(以下この項において「船特手帳所持者」という。)又は特定不況業法に基づき特定不況業種離職者求職手帳(以下「業種法手帳」という。)の発給を受けた特定不況業種離職者(船員であった者に限る。以下この項において「業種法手帳所持者」という。)が求職意思を変更し、公共職業安定所又は地方運輸局に申し出た場合であって、当該求職意思の変更について公共職業安定所長又は地方運輸局長がやむを得ないものと認めた場合は、特定不況業種離職者又は離職船員として認定し、業種法手帳又は手帳を発給(以下「所管変更」という。)するものとする。
なお、この取扱いは、求職者本人の職業選択の自由という面から、三年間という比較的長期にわたる手帳の有効期間中内には特別の事情もあり、求職意思の変更がなされることもあるので特に行うこととしたものであるが、手帳の有効期間内に効率的に就職指導を行い再就職に結実させる本来のこの制度の目的からみて、中途で再度にわたり求職意思の変更をすることは好ましいことではないので、原則として一回に限り真にやむを得ないと地方運輸局長又は公共職業安定所長が認める場合に行うものとすること。従って初めて地方運輸局に業種法手帳所持者が出頭して求職申込をする際は、本人の求職意思を十分に確認すること。また、所管変更にあたっては、求職者の意思変更については公共職業安定所と連絡を密にし、遺漏なきよう取扱うこと。
(二) 船特手帳所持者が求職意思を変更(船員になろうとする者が、船員以外の者になろうとする者に意思を変更)し、公共職業安定所へ出頭し求職申込みをした場合は、次のとおり処理する。
イ 船特手帳所持者が管轄公共職業安定所へ出頭し、求職申込みをした場合であって、公共職業安定所長が求職意思の変更について相当な理由があると認め、地方運輸局長に業種法手帳の発給申請を受理した旨連絡してきたときは、すみやかに当該離職船員を呼出し、臨時の就職指導を行い求職意思の変更を確認すること。
ロ 地方運輸局長は、当該離職船員の求職意思の変更を確認したときは、公共職業安定所長が認めた日の前までに支給することとなる就職促進給付金の支払を行うとともに、手帳を返納させること。
ハ 公共職業安定所長より当該離職船員について所管変更を受入れた旨の通知を受けたときは、当該離職船員に係る手帳発給台帳の就職指導欄及び支給台帳の処理状況欄にそれぞれに「〇月〇日〇〇公共職業安定所へ所管変更」と朱書し、手帳の失効手続きを行うものとする。この場合において、手帳の有効年月日は当該離職船員を所管変更した日(公共職業安定所で業種法手帳を発給した日の前日)とする。また、公共職業安定所長に対し手帳発給台帳の写し(本人の写真を貼付したもの。)及び離職証明書の写しを作成して、管轄公共職業安定所へ送付すること。
(三) 業種法手帳所持者が求職を変更(船員以外の者になろうとする者から船員になろうとする者に意思を変更)し、管轄地方運輸局へ出頭し求職申込みをした場合は次に定めるところにより手帳を発給することとする。
イ 業種法手帳所持者が、地方運輸局へ出頭し求職申込みをした場合であって、地方運輸局長が求職意思の変更について相当な理由があると認めたときは、申請書に地方運輸局長が必要と認める書類を添付して地方運輸局長に提出しなければならない。
なお、求職意思の変更に伴う手帳発給の申請については、省令第一条第四項の「天災その他申請しなかったことについてやむを得ない理由があるとき」に該当するものとし、「その理由がやんだ日」である当該求職意思変更により申請者が地方運輸局に求職申込みを行った日から一月以内に申請しなければならないものとする。
ロ 当該申請を受理したときは、業種法手帳を発給した公共職業安定所長へその旨を連絡し、特定不況業種離職者求職手帳発給台帳及び雇用維持等計画の対象証明書の写しの送付方を依頼する。
ハ 特定不況業種離職者求職手帳発給台帳の写しの送付を受けたときは、これにより所要事項を確認した上で、五に定めるところにより手帳を発給するとともに、手帳発給台帳及び支給台帳を作成し、手帳発給台帳の、就職指導及び支給台帳の処理状況欄に「〇月〇日〇〇公共職業安定所から所管変更と朱書した上で使用すること。
ニ 求職意思の変更による手帳の特例発給申請者に対し求職手帳を発給したときは、業種法手帳を発給した公共職業安定所長に対し、発給年月日その他必要な事項について連絡するものとする。
ホ 所管変更後に当該手帳所持者が三に定めるところにより手帳が失効した場合は、その旨を業種法手帳を発給した公共職業安定所長へ連絡すること。
一一 就職指導
「漁業離職者職業転換給付金支給細則について」(昭和五一年七月五日付け員労第三九九号船員局長通達)の第二に定めるところと同様の扱いとする。
II 就職促進給付金の支給
一 訓練待期手当
法第三条第一項第一号及び省令第七条の訓練待期手当(以下「訓練待期手当」という。)の支給については、以下に定めるところによる。
(一) 支給対象者
訓練待期手当は、手帳所持者であって、地方運輸局長の指示した職業訓練を受けるために待期している者に対して支給するものとする。
(二) 訓練待期手当の日額
イ 省令第七条第二項に該当する者の場合
(イ) 訓練待期手当の日額
訓練待期手当の日額は、当該手帳所持者に係る離職日前の賃金日額に応じて決定するものとし、運輸大臣が定める日額表(訓練待期手当及び就職促進手当の日額表を定める等の告示(平成七年運輸省告示第三九八号))におけるその者の賃金日額が属する等級に応じて定められた金額とする。
(ロ) 賃金日額の算定
賃金日額は、手帳の発給申請の際提出される船員失業証明票に基づいて次の要領により算定する。
(i) 船員保険被保険者であった場合(船員保険法(昭和一四年法律第七三号)第三三条ノ一三第二項の規定により失業保険非適用であった者を含む。)賃金日額は、船員保険被保険者であった者の被保険者であった期間の月及びその前月における標準報酬日額(船員保険法第四条の標準報酬日額をいう。以下同じ。)を平均した額(その最後の月の報酬が法令又は労働協約若しくは就業規則に基づく昇給その他これに準ずる報酬の増加によりその前月の報酬に比し多額となったときは最後の月における標準報酬日額とする。)とする。その標準報酬日額については、当該者が、船員保険の失業保険非適用者である場合には、各都道府県の船員保険事務担当課に船員保険標準報酬照会票((特)様式第一二号)により照会を行うこととする。なお、当該照会票の裏面の受給資格者氏名、被保険者証記号番号及び照会の対象月は、地方運輸局において記入することとする。一方、当該者が船員保険の失業保険適用者である場合には、船員保険の失業保険金の支給の際の資格等照会票によるものとする。
(ii) 船員保険被保険者であった者以外の者の場合
(a) 賃金日額は、手帳所持者が離職日の属する月前一二月(月の末日において離職したときは、その月及びその前一一月)において賃金の支払の基礎となった日数が一四日以上である各月(その月数が六月を超えるときは、最後の六月)に支払を受けた賃金の総額を三〇日にその月数を乗じて得た数で除して得た額とする。
(b) (a)により算定した額が次のいずれかの額に満たないときは、賃金日額は、それぞれ(あ)又は(い)によって算定された額とする。
(あ) 賃金が、労働した日もしくは時間によって算定され、又は出来高払制その他の請負制によって定められている場合においては、(a)の期間に支払われた賃金の総額をその期間中に労働した日数で除して得た額の一〇〇分の七〇に相当する額
(い) 賃金の一部が、月、週その他一定の期間によって定められている場合においては、その部分の総額をその期間の総日数(月の場合は一月を三〇日として計算する。)で除して得た額と(あ)の額との合算額
ロ 省令第七条第三項に該当する場合
(イ) 訓練待期手当の種類
訓練待期手当は、基本手当及び就職活動手当とする。
(ロ) 訓練待期手当の日額
訓練待期手当の日額は、基本手当の日額に、手帳所持者が地方運輸局長の指示により就職活動を行った日につき就職活動手当の日額を加算した額とする。
(i) 基本手当
基本手当の日額は、手帳所持者が居住する地域の区分(その区分については、昭和五三年一月五日付員労第八九五号通達別添二漁業離職者訓練待期手当支給要領二(二)ロ(イ)に定める級地区分(以下単に「級地区分」という。)によるものとする。)に従い、次に定める額とする。
一級地 四、一〇〇円
二級地 三、七五〇円
三級地 三、三六〇円
(ii) 就職活動手当
就職活動手当の日額は、二七〇円とする。
就職活動手当は、基本手当の支給を受けることができる日であって、地方運輸局へ出頭した日、求人者に面接した日、地方運輸局以外の施設において健康診断、適性検査等を受けた日、その他就職活動を行った日について支給する。
(三) 訓練待期手当の支給
イ 訓練待期手当の支給期間
訓練待期手当は、職業訓練の受講を指示された日から指示された職業訓練が開始される日の前日までの期間について支給するものとする。
ロ 訓練待期手当の支払
(イ) 訓練待期手当は四週間に一回、地方運輸局長が定めて訓練待期手当の支給を受ける者に通知した日(以下「支払日」という。)に定期的に支払うものとする。
(ロ) 訓練待期手当は前回の支払日の翌日(今回の支払日が最初の訓練待期手当の支払日であるときは、手帳の発給の申請の日から起算して八日目に当たる日)から今回の支払日までの分を一括して支給するものとする。
(ハ) 地方運輸局長は、訓練待期手当の支給を受ける者について疾病、負傷、就職、その他やむを得ない理由により当該支払日に訓練待期手当の支払を受けるため出頭させることが著しく困難な事情があると認めたときは、当該支払日以外の日を指定して、その指定された日にその日までに支給すべき分の訓練待期手当を支払うことができる。
(ニ) 手帳所持者は、訓練待期手当の支払を受けようとするときは、地方運輸局に出頭し、手帳を提出しなければならない。また、疾病、負傷、就職、その他やむを得ない理由により訓練待期手当の支払を受けるために、地方運輸局に出頭することができない場合に限り代理人によって訓練待期手当の支払を受けることができる。この場合、代理人は、地方運輸局に出頭し、その資格を証明する書類を手帳に添えて提出しなければならない。
(四) 調整
イ 船員保険失業保険金等との調整
(イ) 手帳所持者が船員保険法の規定による失業保険金又は同法第三三条ノ一六第一項に規定する失業保険金の額に相当する給付(傷病給付金)の支給を受けることができる場合には、当該支給を受け終わるか又は受けることができなくなるまでの間は、訓練待期手当を支給しない。
(ロ) 手帳所持者が船員保険法第三三条ノ一六ノ二第一項の規定による高齢求職者給付金の支給を受けることができる場合には、当該離職日から一年間(その者が当該給付を受けた場合には、当該一年間を経過する日の当該給付に係る失業の認定が行われた日から起算して当該給付に係る給付算定の基礎となった日数(船員保険法第三三条ノ一六ノ三第一項)を経過する日のいずれか早く到来するまでの間)は、訓練待期手当を支給しない。
(ハ) 船員保険失業保険金の受給資格者である手帳所持者が船員保険法第五二条ノ二の規定による処分を受けたときは当該処分が同時に省令第七条第四項第二号による訓練待期手当の支給制限の理由に該当することとなるため、当該一か月間について訓練待期手当は支給しない。
ロ 雇用保険基本手当等との調整
(イ) 手帳所持者が雇用保険法の規定による基本手当又は傷病手当その他法令又は条例の規定による手当に相当する給付の支給を受けることができる場合には、当該相当する給付の支給を受け終わるか又は受けることができなくなるまでの間は、訓練待期手当を支給しない。
(ロ) 手帳所持者が雇用保険法第三七条ノ三第一項の規定による高年齢求職者給付金の支給を受けることができる場合には、当該離職日から一年間(その者が当該給付を受けた場合には、当該一年間を経過する日と当該給付に係る失業の認定が行われた日から起算して当該給付に係る給付算定の基礎となった日数(雇用保険法第三七条ノ四第一項)を経過する日のいずれか早く到来する日までの間)は、訓練待期手当を支給しない。
ハ 自己の労働による収入との調整
手帳所持者が自己の労働により収入を得た場合は、当該収入を得た日に係る訓練待期手当の額は、次により算定した額とする。
手帳所持者の収入等の確認は、昭和五八年六月八日付け員労第三一〇号の例により行うものとする。
(イ) 省令第七条第二項に該当する者である場合
手帳所持者が自己の労働によって得た収入の一日分に相当する額から一、〇〇〇円を控除した残りの額と、その者に支給される訓練待期手当の日額との合計額が賃金日額の一〇〇分の八〇に相当する額を超えない時は、訓練待期手当の日額の全額を支給し、その合計額が当該賃金日額の一〇〇分の八〇に相当する額を超えるときは、その超過額を訓練待期手当の日額から控除した残りの額を支給し、その超過額が訓練待期手当の日額を超えるときは、訓練待期手当を支給しない。
(ロ) 省令第七条第三項に該当する者である場合
手帳所持者が、自己の労働によって収入を得たその日に支給されるべき訓練待期手当の額(就職活動手当が支給される日であるときは基本手当の額にその額を合算した額)から、その収入の一日分から一、〇〇〇円を控除した額を差し引いた額を支給する。労働による収入の一日分から一、〇〇〇円を控除した額とその日について支給されるべき訓練待期手当の額以上になるときはその日についての訓練待期手当は支給しない。
(五) 訓練待期手当の支給制限
イ 偽りその他不正の行為により、法第三条第一項に規定する就職促進給付金を受け又は受けようとしたときは、省令第三条第二項第四号の規定により手帳は失効することとなるので、その不正のあった日以後訓練待期手当は支給しない。また、偽りその他不正の行為により他の法令又は条例の規定による就職促進給付金の支給を受け、又は受けようとしたときも、その日以後訓練待期手当は支給しないものとする。
ロ 訓練待期手当の支給を受けることができる者が、次のいずれかに該当するときは、当該事実のあった日から起算して一月間は訓練待期手当は支給しないものとする。
(イ) 地方運輸局長の紹介する職業に就くことを拒んだとき、ただし、次のいずれかに該当するときを除く。
(i) 紹介された職業がその者の能力からみて不適当であるとき。
(ii) 就職するために現在の住所又は居所を変更することを必要とする場合において、その変更が困難である場合。
(iii) 就職先の賃金が同一地域において、同一職種に従事する船員に通常支払われる賃金に比べて不当に低いとき。
(iv) その他正当な理由があるとき。
(ロ) 正当な理由がなくて就職活動に関する地方運輸局長の指示に従わなかったとき。
なお、支給制限の処分を受けた者については、訓練待期手当が支給されない間も就職指導を受けるために地方運輸局へ定期的に出頭させるものとする。
ハ 手当の支給制限を行う場合には、地方運輸局長は手帳にその期間及び理由を記載するとともに、その旨を本人に通知するものとする。
(六) 訓練待期手当の返還
イ 上記(五)のイの場合において、不正の行為があった日以後の分についてその者に支給した手当があるときは、その分についての支給決定を取消し返還させるものとする。
ロ 職業訓練を受けるため待期している者が、正当な理由がなく指示された職業訓練を受けることができなくなった場合、又は受けなかった場合には、既に支給した手当の全部又は一部の返還を請求するものとする。
「正当な理由」とは、職業訓練を受けるため待期している者の疾病、負傷その他職業訓練受講指示を受けた時には予測できなかった事情の変化で、やむを得ないと認められるものをいう。
(七) 事務処理
イ 手帳を発給する際の事務処理
(イ) 就職指導担当官は、手帳を発給する際は、次の事務を行うとともに訓練待期手当の日額、支払日、訓練待期手当の不支給等所要の留意事項を本人に説明するものとする。
(i) 訓練待期手当の日額の決定
(ii) 支払日の決定
(iii) 給付金支給台帳の作成
(ロ) 手帳の発給を受ける者が船員失業証明票を所持するときは、その船員失業証明票及び求職票を船員保険受給資格決定事務担当者へ回付するものとする。
この場合、その者が船員保険失業保険金の受給資格がないと認めたときは、船員保険受給資格決定事務担当者は、その船員失業証明票及び求職票を就職指導担当官に返付するものとする。
ロ 訓練待期手当の支払日に出頭した場合の事務処理
(イ) 就職指導担当官は、訓練待期手当を支払う場合は、次の点を確認のうえ、支払うべき訓練待期手当の額を計算し、給付金支給台帳及び手帳に所要事項の記入等を行い、これを給付金支払担当係に回付するものとする。
(i) 手帳所持者が前回の出頭日に出頭し、就職指導を受けたものであるかどうか(出頭義務免除、又は支払日の変更を行ったものであるかどうかについても確認すること。)。
(ii) 手当の支払を受ける期間中に自己の労働によって収入を得たかどうか。
(iii) 支払を受ける者が代理人であるときは、本人の委任状が添付されているかどうか。
(ロ) 給付金等支給台帳等の回付を受けた給付金支払担当係は、給付金支給台帳に基づき支払内訳書を作成した後訓練待期手当を支払い、給付金支給台帳に領収印を徴したうえで本人に手帳を還付するものとする。
(ハ) 就職指導担当官は、手帳所持者が船員保険失業保険金を受給する場合には就職指導を行った後、船員保険担当係へ出頭するよう指示するものとする。
ハ 相互の連絡
(イ) 船員保険担当係は、次に掲げる事項について就職指導担当官に連絡するものとする。
(i) 手帳所持者に対して船員保険失業保険金の支給決定を行ったときは、支給決定年月日、支給番号、受給期間満了年月日、所定給付日数、船員保険失業保険金の支給日及びその日額。
(ii) 手帳所持者が次に掲げる場合に該当したときは、その都度、その旨。
(a) 支給終了となった場合
(b) 船員保険法第三三条ノ一二ノ二から第三三条ノ一三ノ二までのいずれかの措置を行った場合
(c) 船員保険法第五二条ノ二の規定による給付制限又は同法第五五条の規定による支給停止処分を行った場合
(ロ) 就職指導担当官は、就職指導等を行っている過程において、船員保険失業保険金を受給中の者が、次に掲げる場合に該当すると認めたときは、その都度船員保険担当係にその旨を連絡するものとする。
(i) 地方運輸局長の紹介する職業に就くこと又はその指示した職業訓練を受けることを拒んだ場合
(ii) 就職指導を受けるための出頭日又は紹介のための呼出日に不出頭の場合
(iii) 労働の意思又は能力の疑わしい場合
(iv) 就職し、又は自己の労働による収入を得た場合
ニ 給付金支給台帳の作成及び記録要領
給付金支給台帳は、次の要領により作成及び記録を行うものとするが、当該台帳は、手当の領収証をも兼ねているので整理保管は厳格に行うものとする。
(イ) 作成要領
次により各欄の記入を行うこと。
(i) 「支給番号」欄
手当を支給する地方運輸局ごとに手当の支給を受ける者について決定した番号(一連追番号)を記入すること(番号は年度が変わっても変更しない。)
(ii) 手当等支給台帳上方の「取扱者印」欄
手当等支給台帳作成者の印章を押印すること。
(iii) 「登録領収印」欄
手帳の発給を受けた者が手当を受領する際の領収印を明瞭に押印すること(この場合その者に対し、手当受領の際には、同一の印章を持参すべきことを注意すること。)
印章の滅失、き損等により印章を変更する必要がある場合には、新たな印章を押印し、その下部に変更年月日を記入すること(この場合、印章変更届を徴し、決裁を受けたのち一括編綴のうえ保存すること。)
(iv) 「氏名」「性別」「年齢、生年月日」「住所」欄
それぞれ手帳の発給を受けた者の氏名、性別、年齢、生年月日、住所を記入すること。
(v) 「手帳有効期限」欄
離職日の翌日、省令の施行の日)から起算して三年に当たる日を記入すること。
(vi) 「訓練待期手当」欄
「支給の対象となる最初の日」は、申請の日から起算して八日目にあたる日を記入すること。
(ロ) 手当支給の場合の記録要領
次により各欄の記入を行うこと。
(i) 「就職指導出頭年月日」欄
手帳所持者が就職指導を受けるために出頭した日(天災その他やむを得ない理由により就職指導を受けられなかった場合にあっては、その理由を記載した証明書を地方運輸局長に提出させ、その理由が適切であると地方運輸局長が認めたときは、その出頭したとみなされる日)を記入すること。
(ii) 「訓練待期手当支給期間」欄
当該支払日に支払う手当の支給対象となる期間、すなわち、点線左側に当該支払日に支払う手当についてその支給対象となった最初の日を、点線右側にはその支給対象となった最後の日(通常は当該支払日)を記入すること。
(iii) 「訓練待期手当支給日数」欄
手当を支払う日数を記入すること。従って「支給期間」中に含まれる日であっても、例えば、内職収入を得たために減額計算を行った結果、手当の支給されない日等は除くものであること。
(iv) 「就職活動日数」欄
省令第七条第三項により、就職活動手当が支給される者について、その者が地方運輸局に出頭した日、求人者に面接した日等就職活動を行った日数を記入すること。
(ハ) その他の記録要領
その他の必要の都度次により各欄の記入を行うこと。
(i) 「住所確認」欄
手帳の発給を受けた者の住所を確認したときは、その年月日及びその確認の資料名を記入すること。
(ii) 「訓練待期手当」「就職促進手当」「船員保険失業保険金」「技能習得手当」欄
担当係から連絡を受けた場合等、手当の支払に必要な事項を把握した都度、所要事項を記入すること。
この場合には、予め定められている事項以外に、例えば、船員保険失業保険金の受給者が船員保険法第三三条ノ一二ノ二の給付日数の延長措置の適用を受けるに至った場合はその旨を簡潔に備考欄に記入する等手当支給に必要な事項を把握した都度その旨を簡潔に記入すること。
二 就職促進手当
法第三条第一項第一号及び省令第八条の就職促進手当(以下「就職促進手当」という。)の支給については、以下に定めるところによる。
(一) 支給対象者
就職促進手当は、次のいずれかに該当する者に対して支給する。
イ 手帳所持者のうち、離職日において三五歳以上である者であって、運輸大臣が指定する手帳所持者(離職日の翌日から起算して一年にその者に係る船員保険の失業保険金の所定給付日数(延長給付が行われた場合にあっては、当該延長給付が行われた日数)を加えた期間((三)のイの(イ)において「支給対象期間」という。)が経過していない者に限る。)
なお、これに該当する者は現時点では無いので念のため申し添える。また、運輸大臣の指定が行われるときは追って通知する。
ロ 手帳所持者であって地方運輸局長の指示した職業訓練を受けているもの。
(二) 就職促進手当の日額
イ (一)に該当する者であって事業主に雇用されていたものに係る就職促進手当の日額は、当該手帳所持者に係る離職日前の賃金日額に応じて決定するものとし、具体的には、II一訓練待期手当の(二)イの日額と同額である。
ロ (一)に該当する者であって、イに掲げる者以外の者に係る就職促進手当の日額は、基本手当及び就職活動手当とし、基本手当の日額に手帳所持者が地方運輸局長の指示により就職活動を行った場合にはその行った日につき就職活動手当の日額を加算した額とする。
(イ) 基本手当
基本手当の日額は、手帳所持者が居住する級地区分に従って定める次の額とする。
一級地 四、一〇〇円
二級地 三、七五〇円
三級地 三、三六〇円
(ロ) 就職活動手当
就職活動手当の日額は、二七〇円とする。
就職活動手当は、基本手当の支給を受けることができる日であって、地方運輸局へ出頭した日、求人者に面接した日、地方運輸局以外の施設において健康診断、適性検査等を受けた日、その他就職活動を行った日について支給する。
(三) 就職促進手当の支給
イ 就職促進手当の支給期間
就職促進手当は、次に掲げる者の区分に応じそれぞれ次に掲げる期間支給する。
(イ) (一)イに掲げる者については、手帳発給の申請の日から起算して八日目に当たる日から支給対象期間が経過する日までの間において、手帳所持者が就職指導を受けた場合に、当該就職指導を受けた日の直前の就職指導を受けるべき日の翌日(当該就職指導を受けた日が最初の就職指導を受けるべき日であるときは、手帳の発給の申請の日から起算して八日目に当たる日)から当該就職指導を受けた日までの期間について支給する。
(ロ) (一)ロに掲げる者については、地方運輸局長の指示した職業訓練を受講している期間について支給する。
なお、疾病、負傷、その他省令第四条第三項第一号から第四号までに定める理由により就職指導を受けることができない場合において、その理由を記載した証明書を提出したときは、当該就職指導を受けたものとみなして当該就職促進手当を支給する。
ロ 就職促進手当の支払
(イ) 就職促進手当は、四週間に一回、支払日にその支払日までに支給すべき分を一括して支払うものとする。
(ロ) 管轄地方運輸局長は、疾病、負傷、就職その他やむを得ない理由により当該支払日に就職促進手当の支払を受けるため出頭させることが著しく困難な事情があると認めるときは、当該支払日以外の日を指定してその指定日にその日までに支給すべき分の就職促進手当を支払うことができる。
(ハ) 手帳所持者が疾病、負傷、就職その他やむを得ない理由によって、支払を受けるために管轄地方運輸局に出頭できない場合に限り、代理人によって就職促進手当の支払を受けることができる。この場合には、代理人は、その資格を証明する書類を手帳に添えて管轄地方運輸局長に提出しなければならない。
(四) 調整
イ 船員保険失業保険金等との調整
訓練待期手当の調整(III一(四)参照)の取扱いと同様とする。
ロ 訓練待期手当との調整
手帳所持者に対して職業訓練を受けることを指示したときは、当該指示した日からは、訓練待期手当を支給し、就職促進手当は支給しないものとする。
(五) 就職促進手当の支給制限
イ 就職指導拒否による支給制限
訓練待期手当の場合の取扱いと同様である。
ロ 疾病又は負傷による支給制限
就職促進手当の支給を受けることができる者が、疾病又は負傷により就職指導を受けるために地方運輸局に出頭することができない場合において、その期間が継続して一四日を超えるときは当該一四日を超える期間は、就職促進手当を支給しない。
ハ 手当の支給制限を行う場合には、地方運輸局長は手帳にその期間及び理由を記載するとともに、その旨を本人に通知する。
(六) 就職促進手当の返還
(五)イの場合において、不正の行為のあった日以後の分についてその者に支給した手当があるときは、その分についての支給決定を取消し、返還させるものとする。
(七) 事務処理
イ (一)イに掲げる者に手帳を発給する際の事務処理
(イ) 就職指導担当官は、手帳を発給する際は、次の事務を行うとともに就職促進手当の日額、支払日、就職促進手当の支給制限等所要の留意事項を本人に説明するものとする。
(i) 就職促進手当の日額の決定
(ii) 支払日の決定
(iii) 給付金支給台帳の作成
(ロ) 手帳の発給を受ける者が船員失業証明票を所持するときは、その証明票及び求職票を船員保険受給資格決定事務担当者へ回付するものとする。この場合、その者が船員保険失業保険金の受給資格がないと認めたときは、船員保険受給資格決定事務担当者は、その船員失業証明票及び求職票を就職指導担当官に返付するものとする。
ロ 就職促進手当受給資格者が、当該手当の支払日に出頭した場合の事務処理
(イ) 就職指導担当官は、就職促進手当を支払う場合は、次の点を確認のうえ、支払うべき就職促進手当の額を計算し、給付金支給台帳及び手帳に所要の事項の記入等を行い、これを給付金支払担当係に回付するものとする。
(i) 手帳所持者が前回の出頭日に出頭し、就職指導を受けたものであるかどうか(出頭義務免除、又は支払日の変更を行ったものであるかどうかについても確認すること。)
(ii) 就職促進手当の支払を受ける期間中に自己の労働によって収入を得たかどうか。
(iii) 支払を受ける者が代理人であるときは、本人の委任状が添付されているかどうか。
(ロ) 給付金支給台帳等の回付を受けた給付金支払担当係は、給付金支給台帳に基づき支払内訳書を作成した後就職促進手当を支払い、給付金支給台帳に領収印を押したうえで本人に手帳を返還するものとする。
(ハ) 就職指導担当官は、手帳所持者が船員保険失業保険金を受給する場合には、就職指導を行った後、船員保険担当係へ出頭するよう指示するものとする。
ハ 相互の連絡
(イ) 船員保険担当係は、次のことについて就職指導担当官に連絡するものとする。
(i) 手帳所持者に対して船員保険失業保険金の支給決定を行ったときは、支給決定年月日、支給番号、受給期間満了年月日、所定給付日数、船員保険失業保険金の支給日並びにその日額。
(ii) 手帳所持者が次の場合に該当したときは、その都度、その旨。
(a) 支給終了となった場合
(b) 船員保険法第三三条ノ一二ノ二から第三三条ノ一三ノ二までのいずれかの措置を行った場合
(c) 船員保険法第五二条ノ二の規定による給付制限若しくは同法第五五条の規定による支給停止処分を行った場合
(ロ) 就職指導担当官は、就職指導等を行っている過程において、船員保険失業保険金を受給中の者が、次の場合に該当すると認めたときには、その都度船員保険担当係にその旨を連絡するものとする。
(i) 地方運輸局長の紹介する職業に就くこと又はその指示した職業訓練を受けることを拒んだ場合
(ii) 就職指導を受けるための出頭日又は紹介のための呼出日に不出頭の場合
(iii) 労働の意思又は能力の疑わしい場合
(iv) 就職し又は自己の労働による収入を得た場合
ニ 給付金支給台帳の作成及び記録要領
給付金支給台帳は、次に掲げる者の区分に応じてそれぞれ作成、記録を行うものとし、厳重保管するものとする。
(イ) (一)イに掲げる者の場合
(一)イに掲げる者に手帳の発給を行った場合は、給付金支給台帳を作成するものとするが、台帳の作成要領についてはII一(七)を参照すること。
この場合において、「給付金支給番号」は給付金を支給する地方運輸局ごとに給付金の支給を受ける者について決定した番号(一連追番号)を記入すること(番号は年度が変わっても変更しないものとする。)
(ロ) (一)ロに掲げる者の場合
(一)ロに掲げる者に就職促進手当を支払うこととなった場合は、給付金支給台帳の就職促進手当欄に所要事項を記入すること。
三 技能習得手当
法第三条第一項第二号及び省令第九条の技能習得手当(以下「技能習得手当」という。)の支給は、以下に定めるところによる。
(一) 地方運輸局長の指示による認定職業訓練受講の場合の措置
イ 概要
手帳所持者であって地方運輸局長の指示により省令第九条第一項に規定する職業訓練(以下「認定職業訓練」という。)を受けた者(以下「受給資格者」という。)は、すみやかに職業訓練施設の長の発行する認定職業訓練受講証明書((特)様式第一三号。以下「受講証明書」という。)に手帳を添えて地方運輸局長に提出しなければならない。
受講証明書及び手帳を受理した地方運輸局長は、当該受講証明書及び手帳の記載内容に基づいて船員保険法第三三条ノ一二ノ二から第三三条ノ一三ノ二までの規定による失業保険金の延長給付の可否、寄宿手当及び通所手当の支給の可否及び支給額を判断するものとすること。受給資格者に対する給付は、受講証明書の記載に基づき一括して行うものとする。
ロ 認定職業訓練受講者に対する給付
(イ) 給付金の支給
地方運輸局長の指示により認定職業訓練を受講する受給資格者に対し技能習得手当は毎月一回、支給日においてその日の属する月の前月までの分を支給するものとする。
(ロ) 受講証明書の提出及び支給手続
技能習得手当の支給を受けようとする受給資格者は、受講証明書に手帳を添えて管轄地方運輸局に提出しなければならない。受講証明書は、毎暦月の初めに所要の計算期間をみたうえ、認定、支給日前にその前月分のものを提出させるよう指導する。受講証明書の提出は、代理人によって行わせることができるものとする。
なお、受講証明書の提出にあたっては、寄宿手当支給対象者である場合において「別居して寄宿していない日」があるときは、その日及び理由を記載せしめるよう指導する。また、継続して一四日以上疾病その他の理由により認定職業訓練を受講しなかった期間のあるときは、その期間の開始年月日及び受講証明書の提出のあったときに既にその期間の終了しているときはその終了年月日並びにその理由をあわせて「備考」欄に記入させる。「氏名印」欄の印は、省略しても差し支えない。
(ハ) 受講証明書受理地方運輸局の事務処理
受講証明書を受理した地方運輸局は、支給日までに各給付について支給すべき金額を決定し、給付事務に支障をきたさないようにすること。
(二) 技能習得手当の支給
イ 概要
受給資格者が地方運輸局長の指示した認定職業訓練(その期間が一年をこえるものを除く。以下同じ。)を受ける場合には、受講手当と通所手当を支給し、また、認定職業訓練を受けるためその者により生計を維持されている同居親族と別居して寄宿する場合には、寄宿手当を支給するものとする。
ロ 受講手当の支給要件
受講手当は、受給資格者が地方運輸局長の指示した認定職業訓練を受ける場合において、認定職業訓練を受けた日であって、就職促進手当の支給の対象となる日について支給される。
従って、認定職業訓練を受講しない日並びに待期期間中の日、給付制限期間中の日については支給されない。
ハ 受講手当の支給額
(イ) 受講手当の日額は一、七九〇円である。
(ロ) 手帳所持者が、船員保険法の規定による受講手当の支給を受けることができる場合には、これに相当する額の受講手当は支給しない。
従って、これらの者に支給する受講手当の額は、一、七九〇円から船員保険に基づく受講手当の額五九〇円を控除した額(一、二〇〇円)とする。
ニ 通所手当の支給要件
通所手当は、次の(イ)から(ハ)までのいずれかに該当する受給資格者に対して支給される。
(イ) 受給資格者の住所又は居所から、職業訓練を行う施設への通所(以下「通所」という。)のため、交通機関又は有料の道路(以下「交通機関等」という。)を利用して、その運賃又は料金(以下「運賃等」という。)を負担することを常例とする者(交通機関等を利用しなければ通所することが著しく困難である者以外の者であって交通機関等を利用しないで徒歩により通所するものとした場合の通所の距離が片道二km未満であるもの及び(ハ)に該当する者を除く。)
(ロ) 通所のため自転車その他の交通の用具(以下「自転車等」という。)を使用することを常例とする者(自転車等を使用しなければ通所することが著しく困難である者以外の者であって自転車等を使用しないで徒歩により通所するものとした場合の通所の距離が片道二km未満であるもの及び(ハ)に該当する者を除く。)
(ハ) 通所のため交通機関等を利用してその運賃等を負担し、かつ、自転車等を使用することを常例とする者(交通機関等を利用し、又は自転車等を使用しなければ通所することが著しく困難な者以外の者であって、交通機関等を利用せず、かつ、自転車等を使用しないで徒歩により通所するものとした場合の通所の距離が片道二km未満であるものを除く。)
ホ 通所手当の支給期間
通所手当の支給は、受給資格者がニ(イ)から(ハ)のいずれかに該当するに至った日(以下「通所開始日」という。)の属する月から開始し、同項各号の一に該当しなくなるに至った日の前日(以下「通所終了日」という。)の属する月に終わるものとする。ただし、通所開始日から通所終了日までの期間の月数(通所開始日から起算し、一月未満であるとき又は一月未満の端数があるときは、それを一月として計算するものとし、通所開始日から通所終了日までの期間に職業訓練を受けなかった期間が継続して一月以上あるときは、その一月ごとの月数を除くものとする。)をこえては支給しない。
ヘ 通所手当の支給額
(イ) 通所手当の月額は、次に掲げる受給資格者の区分に応じ、それぞれに掲げる額とする。
(i) ニ(イ)に該当する者 左記(ロ)及び(ハ)に定めるところにより算定したその者の一月の通所に要する運賃等の額に相当する額(以下「運賃等相当額」という。)(その額が二三、五〇〇円を超えるときは二三、五〇〇円。)
(ii) ニ(ロ)に該当する者 自転車等の使用距離が片道一〇km未満の者にあっては三、四二〇円、その他の者にあっては四、五〇〇円。
(iii) ニ(ハ)に該当する者(交通機関等を利用しなければ通所することが著しく困難である者以外の者であって通常徒歩によることを例とする距離内においてのみ交通機関等を利用しているものを除く。)のうち、自転車等を使用する距離が片道二km以上である者及びその距離が片道二km未満であるが自転車等を使用しなければ通所することが著しく困難である者 運賃等相当額と前号に掲げる額との合計額(その額が二三、五〇〇円を超えるときは二三、五〇〇円。)
(iv) ニ(ハ)に該当する者のうち、運賃等相当額が(ii)に掲げる額以上である者((iv)に掲げる者を除く。) (i)に掲げる額
(v) ニの(ハ)に該当する者のうち、運賃等相当額が(ii)に掲げる額未満である者((iii)に掲げる者を除く。) (ii)に掲げる額
(ロ) 運賃等相当額の算定は、運賃、時間、距離等の事情に照らし、最も経済的かつ合理的と認められる通常の通所の経路及び方法による運賃等の額によって行うものとする。
(ハ) 運賃等相当額は、次の各号による額の総額とする。
(i) 交通機関等が定期乗車券(これに準ずるものを含む。以下同じ。)を発行している場合は、当該交通機関等の利用区間に係る通用期間一月の定期乗車券(等級区分があるときは、最低の等級による。)の価額。
(ii) 交通機関等が定期乗車券を発行していない場合は、当該交通機関等の利用区間についての通所二五回分の運賃等の額であって、最も低廉となるもの。
ト 寄宿手当の支給要件
寄宿手当は、受給資格者が、地方運輸局長の指示した認定職業訓練を受けるため、その者により生計を維持されている同居の親族(届出をしていないが、事実上その者と婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)と別居して寄宿する場合に、当該親族と別居して寄宿していた期間について支給されるものである。なお、寄宿手当は、認定職業訓練受講期間中の日についてのみ支給されるものであり、認定職業訓練受講開始前の寄宿日又は受講終了後の寄宿日については支給されないものである。
(イ) 「その者により生計を維持されている」とは、その生計の基礎を主として受給資格者に置いていることを意味し、「主として」に該当するか否かは、個々具体的な事例について判断するほかはないが、継続的恒常的な状態に基づいて判断すべきものであって、たとえば、継続的な雇用関係の当事者となり勤労収入を得ている者等安定した職業についた者、恒常的に自己の生計を維持していくことが期待される収入を得る地位にある者等については、一般的にはこれに該当しない。
(ロ) 「同居」の親族とは、世帯を同じくして常時生活を共にしている親族をいい、「親族」とは、民法第七二五条にいう六親等内の血族、配偶者及び三親等内の姻族をいう。ここにいう親族には、受給資格者と内縁関係にある者を含むが、受給資格者の親族と内縁関係にある者は含まれない。
(ハ) 同居の親族と「別居して」とは、従来共同生活を営んでいた生活本拠となっていたところから同居の親族と分離した生活を開始することである。必ずしも受給資格者単独で分離した生活を始めることを要しない。受給資格者により生計を維持されていない同居の親族と別居する場合は、寄宿手当の支給の対象とはならない。
(ニ) 「寄宿する」とは、職業訓練等を行う施設に付属する宿泊施設又はその他の施設(アパート、貸間、下宿等)に入居することをいう。受給資格者の所有に係る施設に入居する場合は「寄宿」するとはいえない。
また、当該認定職業訓練の受講と当該寄宿との間に因果関係があることを要するものであり、たまたま認定職業訓練等の受講の開始と時を同じくして寄宿することになっただけでは因果関係があるとはいえない。当該寄宿の開始について移転費支給要領(一)ロ(イ)の(移転を必要と認める場合の基準)に該当しない場合は、一般には当該因果関係を有するものとは認められないので、このような場合には寄宿手当の支給は行わない。
チ 寄宿手当の支給額
(イ) 寄宿手当の月額は、一〇、二〇〇円である。ただし、次に掲げる日のある月の寄宿手当の月額は、その日数のその月の現日数(大の月は三一日、小の月は三〇日、二月は二八日又は二九日)に占める割合を一〇、二〇〇円に乗じて得た額を減じた額である。すなわち、次に掲げる日については日割りによって減額計算をするのである。
(i) 受給資格者が親族と別居して寄宿していない日
一時的に短期間寄宿先を離れた場合については「別居して寄宿していない日」には該当しない。この場合、一時的に短期間とは、概ね継続して一四日を限度として取り扱う。
(ii) 就職促進手当の支給の対象とならない日
受給資格者が地方運輸局長の指示した認定職業訓練を受け始めた後、懲戒処分により一定期間当該認定職業訓練を受けなかった場合には、当該認定職業訓練を受けなかった日については、就職促進手当の支給の対象とはならない日となる。ただし、その者が当該懲戒処分に誠実に服しており、労働の意思及び能力を有すると認められる場合は、就職促進手当の支給の対象日となし得る。
(iii) 受給資格者が、天災その他やむを得ない理由がないと認められるにもかかわらず、認定職業訓練を受けなかった日。
「その他やむを得ない理由」の有無については、次に掲げる場合は、その理由があるものとして取り扱う。
(a) 当該受給資格者の疾病又は負傷
(b) 生計をともにする親族の疾病又は負傷であって受給資格者の看護を必要とするもの
(c) 忌引
忌引については、下記日数以内に限り認める。
(あ) 父若しくは母、配偶者又は子が死亡したときは、七日
(い) 祖父若しくは祖母、孫、兄弟姉妹又は配偶者の父若しくは母が死亡したときは、三日
(う) (あ)、又は(い)に該当しない三親等以内の血族又は姻族が死亡したときは、一日
(d) 選挙権その他の公民権の行使
(e) 訓練施設の行事又は訓練上の理由による訓練の停止
(f) 訓練職種に係る各種国家試験、検定等の受験
(g) 訓練職種に係る就職試験、面接等
(h) 前各号に掲げる場合に準ずるものであって社会通念上やむを得ないと認められるもの。
(ロ) 計算して得た最終結果に円未満の端数を生じたときは、国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律第二条第一項の規定に基づき、これを切り捨てる。
リ 技能習得手当の支給並びに支給日
技能習得手当は、管轄地方運輸局において、就職促進手当の支給日に、その日の属する月の前月までの分を、就職促進手当とあわせて支給する。
この場合、給付金支給台帳に所要の事項の記入を行うものとする。
四 移転費
法第三条第一項第三号及び省令第一〇条の移転費(以下「移転費」という。)の支給については、以下に定めるところによる。
(一) 支給対象者
移転費は手帳の発給を受けている者(船員保険法第五七条ノ三、雇用保険法第五八条に規定する受給資格者を除く。)に対し、次の各号のすべてに該当する場合に支給する。
イ 地方運輸局長の紹介した職業(雇用期間が著しく短いものを除く。)につくため、又は地方運輸局長の指示した認定職業訓練を受けるために住所又は居所を変更すること。
この場合において「雇用期間が著しく短い」とは、おおむね一年未満の雇用期間の定めがある場合をいう。ただし雇用契約が更新され継続して雇用されることが明らかである場合にはこの限りでない。
ロ 地方運輸局長が当該居住地の変更(以下「移転」という。)が必要であると認めること。
移転が必要であるか否かの認定は、次に掲げる基準に従って、管轄地方運輸局長が行うものとする。
<移転を必要と認める場合>
(イ) 通常の交通機関を利用し、又は通常の交通の用具を使用して通勤するための往復所要時間が四時間以上であるとき。
(ロ) 交通機関の始(終)発の便が悪く、通勤に著しい障害を与えるとき。
(ハ) 就職先の事業所の特殊性又は事業主の要求によって移転を余儀なくされる場合において、移転を必要とする十分な理由を明らかにした事業主の証明書を提出するとき。
ハ 就職のため移転する場合において、移転に要する費用が就職先の事業主から給与されないこと、又はその給与額が移転費の額に満たないこと。
(二) 内容及び支給額
イ 移転費は、本人及びその随伴する家族に係る鉄道賃、船賃、車賃、移転料及び着後手当とする。
この場合において家族とは、受給資格者の収入によって生計を維持されている同居の親族である。従って必ずしも同一の戸籍にあることを要しないが、受給資格者と別居している者については支給されない。しかし、受給資格者が職業訓練等受講のため、生計を維持していた同居の親族とやむなく別居していた場合であって、その後も継続して生計を維持していた者については、ここでいう家族と考え、その者についても移転費を支給する。
ロ 移転費は、移転費の支給を受ける求職者等の旧居住地から新居住地までの順路に従い次により支給する。
(イ) 鉄道賃は、普通旅客運賃相当額とし、次の各号に該当する場合は、当該普通旅客運賃相当額に当該各号に定める額を加えた額とする。
(i) 普通急行列車を運行する線路による場合(その線路ごとに、その線路の距離が五〇km以上(その線路が特別急行列車を運行する線路である場合には、五〇km以上一〇〇km未満)である場合に限る。)当該線路ごとの普通急行料金相当額。
(ii) 特別急行列車を運行する線路による場合(その線路ごとに、その線路の距離が一〇〇km以上である場合に限る。)当該線路ごとの特別急行料金相当額。
(ロ) 船賃は、二等運賃相当額(鉄道連絡船にあっては、普通旅客運賃相当額)とする。
(ハ) 車賃は、一kmにつき三七円とする。
(ニ) 移転料は、家族を随伴する場合においては、下表に定める額とし、家族を随伴しない場合においては、その額の二分の一に相当する額とする。
移転の距離(単位 km)
|
五〇未満
|
五〇以上一〇〇未満
|
一〇〇〜三〇〇
|
三〇〇〜五〇〇
|
移転料(単位 円)
|
六二、〇〇〇
|
七一、〇〇〇
|
八八、〇〇〇
|
一〇八、七〇〇
|
移転の距離(単位 km)
|
五〇〇〜一、〇〇〇
|
一、〇〇〇〜一、五〇〇
|
一、五〇〇〜二、〇〇〇
|
二、〇〇〇以上
|
移転料(単位 円)
|
一四四、〇〇〇
|
一五一、三〇〇
|
一六二、〇〇〇
|
一八八、〇〇〇
|
(ホ) 着後手当は、家族を随伴する場合においては、二五、四〇〇円とし、家族を随伴しない場合においては、一二、七〇〇円とする。
ただし、地方運輸局長の指示した職業訓練を受けるために移転する場合においては、一二、七〇〇円とする。
ハ 就職先の事業主から移転に要する費用が給与される場合においては、その給与額がロにより計算した額に満たないときは、その差額に相当する額を移転費として支給する。
(三) 支給事務手続
イ 支給申請書の提出等
移転費は、管轄地方運輸局において支給する。従って移転費の支給申請後支給決定前に他の地方運輸局の管内に居住地を変更したときは、申請書記載事項を確認したうえ、その旨申請書欄外に記載して、新管轄地方運輸局へ移管する。
なお、この場合であっても、事務の混雑を避けるため、本人から申出のないときは、旧管轄地方運輸局において支給することは差し支えない。
支給を受けようとする者は、移転費支給申請書((特)様式第一四号)を移転の日から起算して一月を経過する日(随伴する家族に対する移転費の支給申請書については、その家族の移転の日から一月を経過する日)までに管轄地方運輸局長に提出しなければならない。
天災その他申請書を提出しなかったことについてやむを得ない理由があるときは、移転の日から一月を経過した日以降であってもこれを提出することができるものとする。この場合には、その理由が止んだ日から七日以内に申請書を提出しなければならない。
管轄地方運輸局以外の地方運輸局において移転を必要とする職業の紹介を行った場合は、管轄地方運輸局に通報しなければならない。この場合には、通報を受けた管轄地方運輸局がその者の移転を必要と認めた場合に、移転費を支給する。
ロ 支給事務手続
管轄地方運輸局長は、移転費支給申請書の提出を受けたときは、口頭又は文書によって申請者に移転理由を申告させ、移転が必要であるかどうかについて認定を行うとともに、他の支給要件が具備されているかどうか審査し、支給することを決定した場合は移転費支給決定書((特)様式第一五)を作成する。
不支給の決定をした場合には、適宜の様式により、不支給の旨及び当該不支給処分に対して不服のある場合には審査請求ができる旨を記載した文書をその者に交付する。
ハ 地方運輸局長は申請者に移転費を支給するときは、移転費支給決定書及び移転証明書用紙((特)様式第一六号)を交付し、同時に、次の事項を指示しなければならない。
(イ) 申請者は、移転後直ちに移転費支給決定書及び移転証明書用紙を就職先の事業主又は訓練施設の長に提出すること。
(ロ) (イ)の事業主又は訓練施設の長は、支給決定書と同時に提出された移転証明書用紙に所要の記載を行ったうえ、記名押印し、移転費を支給した地方運輸局に返送すべきものであることを説明する。
なお、支給決定書は証明書から切り取って本人に返付させるものであること。
(ハ) 移転費の支給を受けた者が実際に移転しないこととなった場合は、その事実が確定した日から一〇日以内にそのことを届け出るとともに、その支給を受けた移転費に相当する額を返還する義務があること。
ニ 支給後の事務処理
移転費の支給を受けた者が紹介された職業に就かず、若しくは指示を受けた訓練を受けなかった場合又は相当期間を経過した後も事業主又は訓練施設の長から移転証明書の送付がない場合には、支給した移転費を返還させ、又は直接事業主又は訓練施設の長に対し移転の事実の有無を照会する等の措置をとらなければならない。就職後解雇されたときは移転費の返還を要しないことは勿論であるが、採用決定後、事業主のやむを得ない事情により採用が取り消され、事実上の解雇と認められる場合も返還を要しない。
家族の移転が住宅事情、移転のための家事整理、家族の傷病、子弟の転校等社会通念上やむを得ない理由のため若干遅れるような場合であっても、その遅滞の事由が解消した後遅滞なく移転するものであるときは、家族に対する移転費を支給する。遅滞なく移転しなかった場合は次による。
(イ) 当該家族全員が移転しなかった場合は、支給ずみの移転費の額から単身移転の場合における移転費の額を引いた残額分について返還させる。
(ロ) 当該家族の一部が移転しなかった場合は、その移転しない者について支給した運賃を返還させる。
五 自営支度金及び再就職奨励金
法第三条第一項第四号、令第二条第一項第一号及び省令第一一条の自営支度金(以下「自営支度金」という。)並びに法第三条第一項第四号、令第二条第一項第二号及び省令第一二条の再就職奨励金(以下「再就職奨励金」という。)の支給については、以下に定めるところによる。
(一) 支給対象者
自営支度金及び再就職奨励金は、それぞれ次の各号のすべてに該当する者に対して支給するものとする。
イ 手帳所持者であって、離職日において三五歳以上であること。
ロ 自営支度金にあっては、離職日の翌日から起算して一年六月以内に事業を開始し、かつ、当該事業により自立することができると地方運輸局長が認めた者であること。
再就職奨励金にあっては、離職日の翌日から起算して一年六月以内に地方運輸局長の紹介により継続して雇用される船員として再就職する者であること。
ハ 過去に自営支度金又は再就職奨励金の支給を受けたことのない者であること。
「過去に自営支度金又は再就職奨励金の支給を受けたことのない者」とは、過去に省令の規定による自営支度金又は再就職奨励金の支給を受けたことのある者以外の者をいう。
(二) 支給額
支給額は、事業主に雇用されていた者については、等級別日額の三〇日分とし、事業主に雇用されていた者以外の者については、基本手当の日額の三〇日分とする。
(三) 支給申請の手続
イ 支給の申請は、自営支度金又は再就職奨励金の支給を受けようとする者(以下「申請者」という。)が、その者の居住地を管轄する地方運輸局長に自営支度金支給申請書((特)様式第一七号)又は再就職奨励金支給申請書((特)様式第一八号。以下「申請書」という。)を提出して行うものとする。
なお、申請書には、次の書類を添付するものとする。
(イ) 手帳
(ロ) 自営支度金の支給を申請する場合は、事業開始の事実を証明する書面又は当該証明書が得られないときは、近隣の者二名以上の証明書とする。
(ハ) 再就職奨励金の支給を申請する場合であって、申請書の提出を受けた地方運輸局長以外の地方運輸局長の紹介により再就職した者のときは、申請者を紹介した地方運輸局長の発行するその者が継続して雇用される船員として再就職したことを証明するに足りる書面
ロ イの申請は、自営支度金にあっては事業開始の日、再就職奨励金にあっては再就職の日から起算して一月以内に行わなければならない。ただし、天災その他やむを得ない理由により当該期間内に申請できない場合には、当該理由がやんだ日から起算して七日以内とする。
(四) 支給決定の手続
イ 申請の受理
地方運輸局長は、(三)により申請書の提出を受けたときは、申請者の住所、申請書の記載漏れ、添付書類の有無等を確認したうえ受理するものとする。
申請を受理したときは、申請書の処理欄に受理年月日を記入するものとする。
ロ 受給資格の決定
申請を受理したときは、申請書及び添付書類の記載事項に基づいて申請者の受給資格の有無の確認を行うものとするが、必要があると認める場合には、自営支度金にあっては、(イ)申請書に記載された日に事業を開始したか否か、(ロ)今後引き続き当該事業を営む意思があるか否か、(ハ)事業を継続することができると判断するに足りる客観的条件を具備しているか否か等について調査を行うものとし、また再就職奨励金にあっては、継続して雇用される労働者として再就職したものであるか否か等について調査を行うものとする。
ハ 支給の決定
申請者に受給資格があると決定したときは、(二)に定めるところによりその者に支給すべき自営支度金又は再就職奨励金の支給額を決定するとともに、申請書の処理欄に支給番号、支給決定年月日及び支給金額を記入するものとする。
ニ 支給の決定通知
支給の決定を行ったときは、自営支度金・再就職奨励金支給決定通知書((特)様式第一九号)により申請者に通知するものとする。
ホ 自営支度金又は再就職奨励金を支給しないことと決定したときは、適宜の様式により、不支給の旨及び当該不支給処分に対して不服のある場合には審査請求ができる旨を記載した文書をその者に交付するものとする。
ヘ 申請書の整理保管
自営支度金又は再就職奨励金を支給したときは、当該支給に係る申請書は支給決定番号順に、不支給に係る申請書は不支給決定年月日順にそれぞれ整理し、保管するものとする。
(五) 調整
次に掲げるもののうちいずれかの給付の支給を受けることができる場合には、自営支度金又は再就職奨励金は支給しない。ただし、次に掲げるものにより支給される額が自営支度金又は再就職奨励金の支給額に満たない場合、その差額に相当する額を自営支度金又は再就職奨励金として支給する。
イ 船員保険法第三三条ノ一五ノ二第一項の規定による再就職手当
ロ 雇用保険法第五六条の二第一項の規定による再就職手当
ハ イ及びロに定めるもののほか同一の事由により支給される他の法令又は条例の規定による給付金であって自営支度金又は再就職奨励金に相当するもの
(六) 返還
イ 偽りその他不正の手段により自営支度金又は再就職奨励金の支給を受けた者については、支給した自営支度金又は再就職奨励金を返還させるものとする。
ロ 地方運輸局長は上記イに該当する事案を発見した場合は、自営支度金・再就職奨励金支給決定取消通知書((特)様式第二〇号)により支給決定処分を取り消す旨を申請者に通知するものとする。
III 経過措置
現に有効な「特定不況海上企業離職船員求職手帳」を有する者の取扱については、「特定不況海上企業離職船員対策実施要領について」(昭和五三年一月二〇日付け員労第二四号)の廃止後も、なお従前の例によられたい。
All Rights Reserved, Copyright (C) 2003, Ministry of Land, Infrastructure and Transport
|