港湾法等の一部を改正する法律(昭和四八年法律第五四号)の施行については、昭和四九年一一月一日付け港管第二七七四号により港湾局長より通達したところであるが、同法及び関係政省令の解釈及び運用については、同通達のほか、左記の点に留意し、遺漏なきよう努められたい。
なお、この通達において「法」とは港湾法(昭和二五年法律第二一八号)を、「令」とは港湾法施行令(昭和二六年政令第四号)を、「則」とは港湾法施行規則(昭和二六年運輸省令第九八号)をいう。
一 臨港地区内における行為の届出等について(法第三八条の二、令第一五条の四及び則第五条〜第八条関係)
(一) 法第三八条の二第一項第二号の「廃棄物処理施設」には、廃棄物の再生利用を目的とする施設は含まれないものであること。
(二) 令第一五条の四第一号の「危険物を取り扱う施設」には、電気事業法(昭和三九年法律第一七〇号)第二条第七項に規定する電気工作物及びガス事業法(昭和二九年法律第五一号)第二条第七項に規定するガス工作物は含まれないものであること。
(三) 勧告、変更命令又は要請を行う場合には、次の点に留意すること。
(1) 廃棄物処理施設について勧告、変更命令又は要請を行う場合は、地方公共団体の区域における廃棄物の処理の状況を勘案して措置すること。
(2) 港湾運送事業、倉庫業、自動車ターミナル事業、道路運送事業、鉄軌道業、パイプライン事業、電気事業、ガス事業、熱供給事業等公益性の高い事業を営む者に対し勧告、変更命令又は要請を行う場合は、あらかじめ当該事業を所管する省庁の地方行政機関に協議すること。
(3) 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三二年法律第一六六号)及び放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(昭和三二年法律第一六七号)の規制を受ける施設に対し勧告を行う場合は、あらかじめ科学技術庁に協議すること。
(四) 届出については、次によるよう届出者を指導すること。
(1) 届出書の様式及び届出事項について(法第三八条の二第二項並びに則第五条第一項及び第七条)
1) 法第三八条の二第一項第一号、第二号又は第四号の行為の届出の場合
イ 則第一号様式中「施設の種類」は、泊地、船だまり、ごみ焼却施設、汚でい脱水施設、廃油焼却施設、廃プラスチツク類破砕施設、給油施設、黄りん製造施設、過酸化アセチル保管施設等具体的な施設の種類を記載させること。
なお、運河、用水きよ、排水きよ又は揚水施設については、より具体的に記載させる必要はない。
ロ 則第一号様式中「施設の規模」には幅員、面積、水深等物理的な広さ、大きさ等を、「施設の使用の計画」には最大及び通常の取扱量、使用方式等機能的な計画を記載させること。
ハ 施設の改良の場合にあつては、改良によつて変更を生ずる届出事項について、その改良前及び改良後の状態を対照させて記載させること。
2) 法第三八条の二第一項第三号の行為の届出の場合
イ 則第二号様式中「{/工場/事業場/}の種類」は、原則として、統計調査に用いる産業分類並びに疾病、傷害及び死因分類を定める政令第二条に基く分類の名称及び分類表(昭和二六年統計委員会告示第六号)に掲げる小分類によつて記載させること。
ロ 則第二号様式別紙ノ中「貨物の種類」欄には、鉄鉱石、A重油、トルエン、冷蔵庫、トラツク等具体的な貨物名を記載させること。
ハ 則第二号様式別紙ノ中「輸送に関する計画」欄には、発着地並びに港湾及びその周辺における輸送機関の種類及び積載能力、輸送経路等を記載させ、港湾を利用する貨物にあつては、当該貨物を船舶に積み込み、又は船舶から積み卸すために利用する水域施設、係留施設、臨港交通施設等を明らかにさせること。この場合において、輸送経路が文章で明確に表現できない場合にあつては、当該経路を明示した図面を添付させること。
ニ 則第二号様式別紙ノ備考四中「貨物の量の概計の算出の基礎を記載した書面」においては、工場にあつては生産工程、生産量、操業状況等、事業場にあつては従業員数等並びに算出の過程及び結果を記載させること。
ホ 則第二号様式別紙二中「廃棄物の種類」欄には、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和四六年政令第三〇〇号)第五条及び第七条に掲げる廃棄物名等を記載させること。
ヘ 則第二号様式別紙二中「処理方法」欄には、処理施設、処理工程等を、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四五年法律第一三七号)第六条第三項及び第一二条第二項並びに海洋汚染防止法(昭和四五年法律第一三六号)第一〇条第二項及び第一八条第二項に規定する廃棄物の収集、運搬及び処分に関する基準に適合しているか否かを検討できる程度に具体的かつ詳細に記載させること。
ト 則第二号様式別紙二中「その他廃棄物の輸送の方法等廃棄物の処理に関する計画」には、廃棄物の収集方法、輸送機関、輸送経路等を記載させること。
チ 則第二号様式別紙二備考二中「廃棄物の量の概計の算出の基礎を記載した書面」には、廃棄物の発生過程等並びに算出の過程及び結果を記載させること。
リ 工場又は事業場の増設の場合にあつては、増設によつて変更を生ずる届出事項について、その増設前及び増設後の状態を対照させて記載させること。
(2) 届出の添付書類について(法第三八条の二第三項及び則第五条第二項)
1) 「施設の工事設計書」には、当該施設に係る設計計算、材料及び工法の概要を記載させること。
2) 「施設の位置及び付近の状況を表示した縮尺一〇、〇〇〇分の一以上の図面」は、届出行為と港湾計画との斉合性を効率的にみるため、一〇、〇〇〇分の一以上の港湾計画図が存在する場合には、それに当該届出に係る施設の位置を表示させること。
3) 則第五条第二項第三号に掲げる図面は、届出行為に係る施設の種類、規模等から判断して、その必要がないときは、その一部を省略することができるとされているが、そのうち平面図を省略させることは適当でない。また、施設の種類に応じ、提出させるべき図面の基準を示すと次のとおりである。なお、断面図は標準断面図、構造図は構造上主要な部分を表示した図面で差しつかえない。また、水域施設の平面図には、等深線又は海図状に数値をもつて水深を付記させること。
施設の種類
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平面図
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立面図
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断面図
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構造図
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水域施設
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○
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運河、用水きよ及び排水きよ
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○
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○
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廃棄物処理施設(廃棄物埋立護岸を除く)
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○
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○
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○
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廃棄物埋立護岸
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○
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○
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工場及び事業場
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○
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○
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△
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危険物を取り扱うための施設
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○
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△
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△
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△
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揚水施設
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○
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○
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○
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○‥提出させるべき図面
△‥場合によつては、省略してもよい図面
空白‥省略してもよい図面
4) 「その他参考となるべき事項を記載した書類」は、各港湾の実情に応じて審査に必要な書類を提出させることとなるが、たとえば届出行為と港湾計画との斉合性を説明した書類、届出行為を必要とする理由を記載した書類等が考えられる。
5) 施設の改良又は工場若しくは事業場の増設の場合にあつては、改良又は増設によつて変更を生ずる事項について、その改良又は増設の前後の内容が明らかになる書類を提出させること。
(3) 届出行為の変更の届出について(法第三八条の二第四項及び則第八条)
1) 則第三号様式中「変更に係る事項」は、次の例のように、変更に係る事項を届け出た期日、変更に係る施設及び変更に係る事項を記載させること。
例
○昭和四九年一〇月一日に届け出た排水きよの構造
○昭和五〇年一一月一日に届け出た石油精製業に供する工場の作業場の床面積
○昭和五一年二月一日に届け出た普通倉庫業に供する穀物倉庫の種類
2) 添付書類は、変更後の事項を記載した書類を提出させること。たとえば、施設の構造を変更する場合は、変更後の構造を表示した図面を提出させることとなる。
二 港湾の施設に関する技術上の基準について(法第五六条の二、令第一九条、則第二八条及び港湾の施設の技術上の基準を定める省令関係)
港湾の施設に関する技術上の基準は、港湾の施設に適用されることとなるが、ここでいう「港湾の施設」とは、専ら港湾の機能の確保及び増進に資する施設を指すものである。また、たとえば、開発保全航路、鉄軌道、道路運送法(昭和二六年法律第一八三号)による一般自動車道、道路法(昭和二七年法律第一八〇号)による道路、駐車場法(昭和三二年法律第一〇六号)による路外駐車場等には適用されないものであること。
三 その他
港湾隣接地域の指定(変更の指定を含む。)を行つた場合は、その区域を公告することとなつているが、運輸大臣への指定の報告にあたつては、その写しを添付することとなつた(則第三条の五第二項)ので、留意すること。