気管第三九六号
昭和五四年一〇月二四日

気象庁長官通達



農業気象業務実施要領の制定について


農業気象業務実施要領を次のとおり定め、昭和五四年一一月一日から実施する。
なお、農業気象業務実施要領(昭和三四・一二・七気管第三四二号)は、同日付け廃止する。

農業気象業務実施要領

一 気象に起因する農業災害の防止軽減、気象の利用による農業技術の合理化及び農業生産性の向上を図るため気象官署が行う農業気象業務については、別に定めるもののほか、この要領の定めるところによる。
二 この要領において農業気象業務とは、次に掲げる業務をいう。

(一) 農業に関連のある気象の観測成果の収集・整理
(二) 農業気象情報の作成及び提供
(三) 農業気象協議会の運営
(四) 前三号の業務を行うに必要な付帯業務

三 農業気象業務は、気象庁本庁、管区気象台及び沖縄気象台がその管轄区域について並びに別表左欄に掲げる府県担当官署(府県農業気象業務を担当する官署をいう。以下同じ。)が同表右欄に掲げる担当区について行う。
四 前項に規定する気象官署は、おおむね次の業務を行うものとする。この場合において、府県担当官署は、その業務の一部を担当区内の気象官署に行わせることができる。
四・一 気象庁本庁

(一) 農業気象業務に関する全国管理及び技術指導
(二) 全国農業気象協議会の運営
(三) 前二号の業務を行うに必要な付帯業務

四・二 管区気象台及び沖縄気象台

(一) 農業気象業務に関する管内府県担当官署の指導
(二) 地域農業気象協議会の運営
(三) 前二号の業務を行うに必要な付帯業務

四・三 府県担当官署

(一) 農業気象情報の作成及び提供
(二) 地方農業気象協議会の運営
(三) 前二号の業務を行うに必要な付帯業務

五 農業気象情報

農業気象情報とは、気象観測資料、気象の予報及び警報、部外機関の農業関連資料等を利用して、地方の農業事情に適合するよう作成したものをいい、その種類は農業気象通報と農業気象公報とする。

五・一 農業気象通報
五・一・一 農業気象通報は、農業に関連のある気象の情報を、府県担当官署から都道府県(北海道にあっては支庁)の農林担当部局へ通報するものとし、その内容は、おおむね次のとおりとする。

(一) 地域気象観測システム等による観測の成果のうち農業に関連のある部分及びその解説
(二) 天気予報、天気概況及び週間天気予報の予報事項のうち農業に関連のある部分並びにその解説
(三) 気象注意報、気象警報、地面現象注意報、地面現象警報、高潮注意報、高潮警報、浸水注意報、浸水警報、洪水注意報及び洪水警報の予報事項及び警報事項並びに気象情報のうち農業に関連のある部分並びにその解説
(四) その他必要と認める情報

五・一・二 府県担当官署は、農業気象通報の実施期間は、内容、通報の方法等については、地方農業気象協議会又はこれに準ずる会等において意見をきき定めるものとする。
五・一・三 府県担当官署は、必要と認めるときは、報道機関の協力を求めて、農業気象通報の内容を農業機関及び農業従事者に周知させるよう努めるものとする。
五・二 農業気象公報
五・二・一 農業気象公報は、府県担当官署と都道府県(北海道にあっては支庁)の農林担当部局が共同で作成し、発行するものとする。
五・二・二 農業気象公報の種類は、農業気象速報と農業気象災害速報とする。
五・二・三 農業気象速報は、原則として毎旬一回発行するものとし、府県担当官署が担当する事項は、おおむね次のとおりとする。

(一) 前旬の気象概況
(二) 代表地点の気象経過図
(三) 気象要素(気温、降水量等)の分布図
(四) 毎日の気象資料を旬ごとにまとめたもの(下旬に発行するものにあっては、月集計値を付加する。)
(五) 季節予報の予報事項等

五・二・四 農業気象災害速報は、原則として農業気象災害の発生後できるだけ速やかに発行するものとし、府県担当官署が担当する事項は、おおむね次のとおりとする。

(一) 農業気象災害に関係ある気象概況
(二) 農業気象災害に関係ある気象資料及び気象要素(気温、降水量等)の分布図

五・二・五 府県担当官署は、農業気象公報の内容、発行の方法等については、地方農業気象協議会又はこれに準ずる会等において意見をきき定めるものとする。
五・三 報告

府県担当官署は、農業気象公報を発行したときは、原則として発行後五日以内に、気象庁本庁及び管区気象台に各二部送付するものとする。

六 農業気象協議会

第三項に規定する気象官署は、地方の農業事情に即応した行政需要との整合を図りながら、業務の円滑な運営と情報交換の充実を図るため、次の各級の農業気象協議会又はこれに準ずる会を運営する。

六・一 全国農業気象協議会

農林水産省本省と気象庁本庁が協力して運営する。

六・二 地域農業気象協議会

地方農政局(北海道にあっては、北海道)と管区気象台及び沖縄開発庁と沖縄気象台が協力して運営する。

六・三 地方農業気象協議会

都道府県(北海道にあっては支庁)、農林水産省出先機関等関係機関と府県担当官署が協力して運営する。

六・四 気象庁本庁は、全国農業気象協議会を開催したときは、協議の成果を取りまとめて、各管区気象台及び沖縄気象台に通知するものとする。
六・五 管区気象台及び沖縄気象台は、地域農業気象協議会を開催したときは、協議の成果を取りまとめて、気象庁本庁に報告するとともに、管内府県担当官署に通知するものとし、また、必要に応じて隣接管区気象台に通知するものとする。
六・六 府県担当官署は、地方農業気象協議会を開催したときは、その旨を管区気象台に報告するものとする。
七 補則

前各項に定めるもののほか、この要領の実施に関し必要な細目的事項は、観測部長が定める。



別表

府県担当官署及び担当区

府県担当官署
担当区
稚内地方気象台
宗谷支庁
網走地方気象台
網走支庁
旭川地方気象台
上川・留萌支庁
釧路地方気象台
釧路・根室・十勝支庁
室蘭地方気象台
胆振・日高支庁
札幌管区気象台
石狩・後志・空知支庁
函館海洋気象台
渡島・桧山支庁
青森地方気象台
青森県
秋田地方気象台
秋田県
盛岡地方気象台
岩手県
山形地方気象台
山形県
仙台管区気象台
宮城県
福島地方気象台
福島県
新潟地方気象台
新潟県
富山地方気象台
富山県
金沢地方気象台
石川県
福井地方気象台
福井県
宇都宮地方気象台
栃木県
前橋地方気象台
群馬県
熊谷地方気象台
埼玉県
水戸地方気象台
茨城県
銚子地方気象台
千葉県
東京管区気象台
東京都
横浜地方気象台
神奈川県
長野地方気象台
長野県
甲府地方気象台
山梨県
静岡地方気象台
静岡県
岐阜地方気象台
岐阜県
津地方気象台
三重県
名古屋地方気象台
愛知県
京都地方気象台
京都府
神戸海洋気象台
兵庫県
奈良地方気象台
奈良県
彦根地方気象台
滋賀県
和歌山地方気象台
和歌山県
大阪管区気象台
大阪府
鳥取地方気象台
鳥取県
松江地方気象台
島根県
岡山地方気象台
岡山県
広島地方気象台
広島県
高松地方気象台
香川県
松山地方気象台
愛媛県
徳島地方気象台
徳島県
高知地方気象台
高知県
下関地方気象台
山口県
福岡管区気象台
福岡県
大分地方気象台
大分県
佐賀地方気象台
佐賀県
熊本地方気象台
熊本県
宮崎地方気象台
宮崎県
長崎海洋気象台
長崎県
鹿児島地方気象台
鹿児島県
沖縄気象台
沖縄県

(注)※ 東京都に対する農業気象通報は、別に定めるところにより気象庁本庁が行う。


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